半兵衛

賭博師の娘の半兵衛のレビュー・感想・評価

賭博師の娘(1951年製作の映画)
4.0
娘を棄てた父親が二十年の時を経て成長した娘と再開するという、親子の再生というシリアスな題材をコメディタッチで処理しているのがブニュエル監督らしい。でも粗暴な父親など個性的な登場人物たちが織り成す笑いは下手なコメディ映画より笑えるし、何より前半の父と娘の別れを簡略して説明する語り口や後半娘を必死に探す父と酒浸りの義父に耐えかねて恋人と駆け落ちした娘のすれ違いを巧みに引っ張りオチまで観客の目を離さないブニュエル監督の卓越したテクニックが吉本新喜劇のようなベタな内容を完成度の高い秀作に仕上げている。

照明の点滅で物語が変化することを示唆する演出がエモい、そして冒頭電気が消える家とラストの電気が付く行為が結び付くのも最高。

カジノを経営する主人公の下で働く子分二人のとぼけ具合がいい味を出している、そんな二人が何かあるとすぐ殴る主人公をボスではなく友人として想っているのが泣ける。

主人公と娘、レストランで因縁をつけられた男との決着、歌手として上京した妹とすべての伏線が結び付くラストが圧巻、そこから主人公のバッドエンドになるのかと思いきやの反転に思わずホロリ。

ラストのメタな演出の使い方が粋。
半兵衛

半兵衛