定職に就かず戸籍にも縛られずフリーダムに生きる主人公を通して「自由とはなにか?」をコミカルに問うストーリーも面白いけれど、それ以上に俳優やスタッフが顔出しして自己紹介されるオープニングとエンディングが>>続きを読む
シドニー・ポワチエ演じる黒人医師があまりにも白人から見た理想的黒人キャラなので少し白けるものの、それでも嘘臭さを感じることなく誠意に溢れた青年医師として存在感を発揮しているところにポワチエの役者として>>続きを読む
穴のなかに入ったらジョン・マルコヴィッチを15分間VR体験できるという発送が狂っていて素晴らしいし、そんな人の思考の中に入ることを通して自己のアイデンティティーとは何かを問うという安部公房みたいなこと>>続きを読む
高橋長英、村井国夫、地井武男、夏八木勲、竜崎勝、佐々木孝丸、花沢徳衛という盗賊を演じる濃すぎるキャスティングが醸し出す池波正太郎ノワールは悪くなかったけれど、お話がウェットに流されていて今一つ見ごたえ>>続きを読む
同性愛者の集まりからの危険なゲームという流れは舞台をそのまま映画化したという感じでフリードキンらしさはあまり全面に出ていなかったけれど、それでもゲイという人間を単なる偶像にせず身近にいるキャラクターと>>続きを読む
『十三人の刺客』が娯楽としてのテロ時代劇を提供したとしたら、本作はテロリズムに傾倒しすぎて作品のバランスが崩壊してしまった問題作。それでも黄金期の東映時代劇スタッフによる荘厳な美術とそれを生かした加藤>>続きを読む
大手メジャーがスターを起用した大作ばかり製作されていた1970年代後半に、エロ映画で社会派リアリズム映画の名作が作られていたとは。タイトルは絶対公ではいえないけれど。
東京近郊を舞台にバブルで人々が>>続きを読む
正義感溢れる弁護士が戦時中起きた取り調べ中の死亡事故に隠蔽の匂いを感じとり真実を暴かんとするというストーリーを、ここまで異様な映画に変貌させてしまった森谷司郎(監督)と橋本忍(脚本)の手腕に驚嘆。そし>>続きを読む
微妙な差異ではあるが洗練された映像の美しさやオチといいこちらの方が好みかな、あと1982年版では主人公の心の声が多過ぎて少し辟易したけれどそこも直されていて見やすくなっていた。
子供の頃に見たときは強烈な未来のビジュアルと世紀末的な建物が混在するディストピアな世界観に魅せられたが、改めて見直すと探偵が犯罪事件に巻き込まれるも解決するというアメリカ映画ならではのハードボイルドス>>続きを読む
この時代に既に明け透けに女優の内幕を描いたドラマがあることに驚かされるし、売れない女優たちが暮らす寮で意地の悪い会話をひっきりなしに交わしていくのは痛快だったけれど肝心のショウビジネスの世界をやや綺麗>>続きを読む
名器を持っていたことが発覚したことをきっかけに芸者として生きることになった杉本美樹がお金を稼ぐために性戯の達人竿師段平との戦いに挑むという馬鹿馬鹿しいストーリーを、日本人を外人に改造しようとしたり『木>>続きを読む
戦争映画らしからぬ緩い話の構成や一切外連味のない戦闘シーンに驚かされるけれど、同時に自分もどうなるのかわからない先の見えない戦場で生きる一兵士のリアルな状況が伝わってきて『戦争=娯楽』というハリウッド>>続きを読む
多数の登場人物と市を絡めつつ破綻せずラストまで一気に突っ走っていく伊藤大輔(脚本)&三隅研次(監督)コンビの語り口は見事としかいいようがないし、卓越した三隅監督の映像センスも相変わらず冴えているけれど>>続きを読む
第二次世界大戦でイギリス軍がドイツのダムを破壊するため、通常の爆弾投下ではダメージを受けないので小石を水の上に投げる要領で爆弾を投入→爆破に至る実際の作戦をプロジェクトX風に淡々と地道に描いていくドラ>>続きを読む
この映画でのロバート・ミッチャムはアメリカ的な父親像と男性像、リーダー像を極端なまでに歪ませたような人間で地元の名士として見事に振る舞っている一方で何を判断するにも自分イズムで欲しいものは狩りでも女性>>続きを読む
公開当時複数の不倫関係のドラマが観客や批評家の不興を買い炎上したらしいが、それを踏まえて鑑賞するとこの映画の上流階級そのものが実は当時のフランスだったのではと思えてきた。そしてルノワール監督がフランス>>続きを読む
男二人と女一人による三角関係とコルホーズが描かれた他愛のないドラマよりも、舞台となるカスピ海や夕陽を美しく捉えたバルネット監督がこだわった映像の数々に魅了された。特に冒頭などで登場する荒れた海で勢い良>>続きを読む
宝くじ付き国債のPR映画であることを忘れずに、偽の夫婦がドタバタを経て本当の夫婦になるラブコメとして仕上げてしまうボリス・バルネット監督はさすが「ソ連映画界の貴公子」と言われるだけのことはある(誰が言>>続きを読む
諜報員マイケル・ケインとある作戦のためイギリスに潜入したソ連の工作員ピアース・プロスナンの対決というハリー・パーマーVS007という構図だけでも面白いのに、東西冷戦時代のスパイ活動をリアルに描いた原作>>続きを読む
1968年頃からヒッピームーブメントやパリ五月革命の余波を受けて映画にも常識にとらわれないアナーキーな風潮が押し寄せてくるが、その波に敏感に反応したような印象を受けるのが本作。表向きは子供たちのピンチ>>続きを読む
イーストウッドには監督デビュー作の『恐怖のメロディ』や『タイトロープ』など時々サイコサスペンスの趣が強い作品を放つ傾向があるが、本作もそう。犯人に深みのある設定がついておらず単なる異常者になってしまっ>>続きを読む
松江哲明監督の作品って取材対象の相手に頼りっきりな印象があるが、この作品もそう。GOMAの生きざまは凄いし障害を背負っても音楽を続けようとする姿は感動させられるけれど、監督の存在感は特になく…。こざか>>続きを読む
何気ない小悪党たちの交流による幸福な時間、そしてそんなどうしようもない人間の心の底にある意気やプライドをわざとらしくなくさらりと表現してしまう天才山中貞雄によるまるで美酒を嗜んでいるような演出をこころ>>続きを読む
映画黄金期に作られたミュージカルとしてのゴージャスな面白さに加えて、出演するフレッド・アステア&シド・チャリシーによるスターのオーラが全編に眩しく輝いており何にも余計なことを考えず純粋に楽しく鑑賞する>>続きを読む
石井聰亙(現・岳龍)監督のパンキッシュな演出と本物の族にしか見えない山田辰夫だからこそなし得た唯一無二の傑作(1980年という時代も含めて)。でもこの映画で一躍天才と謳われた石井監督のその後を考えると>>続きを読む
オルフェウスの伝説を現代的に、奔放なイメージで映像化したジャン・コクトーのセンスが光る作品。喫茶店から主人公が異世界へと迷い混んでいく構成も面白いし、ラジオや鏡といった時折見せる不思議な挙動ゆえか他の>>続きを読む
ロイドならではの未熟な青年の奮闘記とコミカルな描写がバランスよく展開されており、それら二つのパートがラストの悪党退治へ自然に繋がっていく語り口にも唸らされる一作。それに加えて舞台となる田舎町の風景を奥>>続きを読む
レイプを通して女性賛歌を描くという発想がさすがバーホーベン、そして登場人物のやってることの大半がアンモラルなことばかりなのにそれでいいんだと肯定してしまうところも。
イザペル・ユペールが四十代の体型>>続きを読む
演出といい物語といい取り立てて目立つところのない平凡な出来栄えのコメディ調ヤンキー映画だけれど、実質的な主役をつとめる我王銀次の伊丹万作作品の片岡千恵蔵を彷彿とさせる飄々とした三枚目ぶりが板についてい>>続きを読む
無駄に広げすぎた大風呂敷をうまく収集できず、変なオカルトや世紀末要素、監督がこだわる変態レベルの少女趣味演出も相まって「なんだこれは」感の強い作品に。手塚とおるの熱演は凄いけれど、別に要らないっちゃ要>>続きを読む
前半は危険なニトロを運搬する人物描写が浅いし物語も平板なので少し落胆したが、中盤石油が炎上して地獄と化すところをガチでやらせる場面からフリードキン流の殺伐としたアクション演出が炸裂して、気づいたときに>>続きを読む
小さい頃はあまりにチープな作りと過去の映像を流用しまくった演出にドン引きしてしまったが、今見直してもその印象はあまり変わらなかった。リアルタイムで見ていた当時の子供たちはどういう印象を持っていたのか気>>続きを読む
国中あげてチェスに夢中になる様子をある夫婦を通して描く喜劇というストーリーは取り立てて優れたところはないけれど、それでも冒頭で妻のところへ向かう夫が変なところから服を取り出して着替えたり服から子猫が次>>続きを読む
ソ連という国が朝の到来と同時に人間、機械、マネキンと様々な物質が活動を開始してやがてそれが大きな躍動する国家へと結び付いていく様を、ストーリーを使用せずモンタージュや多重露光、スローモーション、早回し>>続きを読む
西部劇なのにノワールという異色な作品。夜の闇を生かした映像が他の西部劇にはない緊張感を生んでいるし、主人公であるロバート・ミッチャムが出自の秘密をめぐって四面楚歌になり誰も彼も敵と化していくダークな物>>続きを読む