せいけさんの映画レビュー・感想・評価 - 12ページ目

せいけ

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ボストン市庁舎(2020年製作の映画)

4.0

4時間半という長尺ゆえ正直に言うと全てに対して集中して見れたわけではないけど、市庁舎に勤める人たちと市民の町を良くしたいというこの上なくシンプルな思いがストレートに伝わってくる
恥ずかしながらあまり日
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正しい日 間違えた日(2015年製作の映画)

4.0

同じシチュエーションを2度繰り返す変則的な2部構成
会場に前乗りした映画監督が女性と出会いどうなるかというお話的には極限までシンプルなストーリー
シンプルだからこそこの変則的な構成によりこちらとしては
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飛行士の妻(1980年製作の映画)

4.3

ロメールのラブストーリーとしては珍しく男性視点が多めの作品
片想いの幻想を膨らましてジタバタするフランソワを見るのが可笑しい
偶然の出会いから発展するその日限りの関係性っていう描き方がロメールっぽい
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天国はまだ遠い(2015年製作の映画)

4.2

濱口竜介がゴーストストーリーを手がけるとやはり演じることについての話となってしまう
近作や初期作のパワーに比べると大人しめだけど追求するテーマに誠実に向き合っている
演じることはある意味憑依することで
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満月の夜(1984年製作の映画)

4.0

奔放な女性と神経質な男性、軽薄な男性が織りなす会話劇
ロメール作品としては珍しくモノトーン気味の色彩配色
これ自体が今作のテーマを暗示しているように感じる
2つの拠点を持ち、常に隣の芝生を青く感じてし
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友だちの恋人(1987年製作の映画)

4.2

軽やかでお洒落なのに等身大で自由な雰囲気、ほんとにロメール作品の登場人物はよく喋るし哲学的なのに感情的でもある
湖畔のロケーションも素敵でただ撮っているだけに見えるのに自然と見入ってしまうような美しさ
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美しき結婚(1981年製作の映画)

4.5

ひたすら恋バナに花を咲かせ思い通りにいかない展開に地団駄を踏む主人公を暖かく見守る映画
宛もないのに結婚すると宣言する向こう見ずな性格の女性が見ているだけで興味深い
ひたすらに高飛車で自分主導で動きた
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偶然と想像(2021年製作の映画)

5.0

ギリギリありそうなラインから地に足ついているのにどんどん飛躍していくようなストーリーライン
ここまで表現の力と可能性を信じている映画作家もそういうない
濱口竜介に出会っていない人生を想像したくもないほ
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レネットとミラベル/四つの冒険(1986年製作の映画)

4.5

レネットとミラベル対照的な環境で育った2人の少し不思議な出来事を軽やかな会話劇で描く
おしゃれな日常の中からフワッと飛躍する非日常的な出来事を描くのがロメールは圧倒的に上手い
ありそうだけど人生に一度
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PASSING -白い黒人-(2021年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

モノクロのスタンダードという単純に映像から得られる情報量を削ぎ落とすことで奥行きを表現したまさに映画らしい映画
視線の交差、階段を使った演出も秀逸
白人としても“通用する”肌の色を持った黒人という複雑
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クローズ・アップ(1990年製作の映画)

5.0

想像以上の面白さ
これは映画館じゃないと集中力持たなそう
キアロスタミは一貫してフィクションとドキュメンタリーの狭間を描く
どうやったらこんなのが成り立つのだというくらい自然なやりとりの連鎖の中から辿
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ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

4.0

浴びるような音響、煌びやかな照明の点滅、虚構と現実の交差する感覚はまさしく映画体験
エリーが感じる恐怖を観客が追体験しているように感じさせる演出力はさすが
素朴さと狂気を兼ね備えたトーマシンマッケンジ
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浅草キッド(2021年製作の映画)

3.0

綺麗にまとまった作品だと思うけど何か物足りなさを感じてしまう
劇中で言われるお笑い論的なものとこの映画のスタイルが少々矛盾しているのが個人的にはどうしてもノイズになってしまった
部分部分で見ると上手い
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パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)

5.0

雄大な自然の中で過ごす人々を映す圧巻の映像美や繊細な演出、説明的要素を極力排除され、形容しがたい違和感を散りばめながら展開していく語り口はまさしく映画的
主要登場人物それぞれの面構えが素晴らしく、ただ
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梅切らぬバカ(2021年製作の映画)

5.0

自閉症の息子とその母の日常をほのぼの描いた物語
いくらでも説教臭く説明臭くなりそうな題材なのにしっかり地に足つけながらもリアリティある描写の積み重ねで展開していくところが素晴らしい
子役や食事シーンの
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悪の法則(2013年製作の映画)

4.0

一歩踏み入れてしまったら易々とは後戻りできない領域の本当の恐ろしさに絶望する主人公の話
こんなダーティーな世界観なのに原題が弁護士なのがいい意味で素っ気ない
その素っ気なさこそがこの作品の肝なのかもし
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恋する寄生虫(2021年製作の映画)

3.6

奇抜な設定と映像美、実在感ある林遣都の演技、何と言っても小松菜奈に圧倒的な存在感がこの映画の魅力
ポエティックなアートムービーかと思いきや他者と上手く向き合えない人たちに寄り添ったヒューマンドラマでも
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劇場版 きのう何食べた?(2021年製作の映画)

4.0

このテイストで120分はかなり厳しいのではという予想を遥かに上回って素晴らしかった
劇場版にありがちな説明くさいキャラ描写をごっそり削ぎ落としたのは映画の作りとしても何食べのテーマとしても正しく誠実な
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ひらいて(2021年製作の映画)

4.8

さりげない描写のディテールの積み重ねから文字通り別の世界へ連れ出す映画的な飛躍に打ちのめされた
本心がなかなか見えない登場人物たちにどんどん引き込まれる
抑制されたトーンから位置関係、衣装、シチュエー
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そして、バトンは渡された(2021年製作の映画)

1.0

飽くまでも個人的意見ですが、僕はどうしてもこれをいい映画だとは思えません
原作は好きで、予告の時点で違和感はあったけれどもそれにしても出来が悪かった
どうしても観客を泣かせることに力点を置いたような展
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ヒューゴの不思議な発明(2011年製作の映画)

4.0

孤独な少年が父が残したメッセージの真意を探すファンタジー活劇
映画への愛がそこかしこに溢れていて美しく作り込まれた美術や衣装、美しい映像に多幸感を感じずにはいられない
時間、フィルムのようにも見える時
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兄が教えてくれた歌(2015年製作の映画)

3.5

広々として荒野の中にある郊外の町というロケーションや光源を躊躇なく映す撮影、一種のセラピー的展開などクロエ・ジャオ要素はデビュー作から感じられる
先に後の傑作群を見ていることもあり、どうしてもブレイク
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ヒーローショー(2010年製作の映画)

4.0

ちょっとした女の取り合いから取り返しがつかない事件へと発展していくバイオレンスムービー
歯止めが効かない危険すぎる暴力描写が見ていておぞましい
明らかに日頃から暴力に慣れていない人たちの加減のつかなさ
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エターナルズ(2021年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

クロエ・ジャオの作家性を前面に押し出しつつしっかりヒーロー映画としての魅力、さらにはMCUらしさと新境地として確立させるというとんでもない作品
結論から言うと個人的にはMCU最高傑作
これだけ壮大な世
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パリのランデブー(1994年製作の映画)

4.2

軽妙洒脱なロメールらしい男女の会話劇
短編オムニバスという形式なので長編のような哲学的要素は薄めでサクッと見られる軽やかさが心地よい
ひたすらセリフを織りなすことで見えてくる関係性と偶然の出来事により
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ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日(2012年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

一体どうすればこんな映像が撮れるのかというくらい神秘的で壮大な映像表現が圧巻
信仰がテーマのひとつでもあるので小難しく感じそうだけど、物語の大きな要素が雄大なサバイバル劇なのでシンプルにエンタメとして
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それから(1985年製作の映画)

4.8

明治時代を舞台に格調高い画面作りから1人悶々と友人の婦人に対する恋心を忘れられず苦しむ物語
俗っぽいシーンがほとんどなく、洗練された美術と撮影により映像への没入感が増していく
時代ゆえの息苦しさを淡々
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ゲティ家の身代金(2017年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

世界一の資産家ゲティ家を巻き込む誘拐騒動
普通であればお金を払って解決もしくは、騙されて右往左往という展開であろうが、ゲティの場合はそうはいかない
資産価値を究極までに見極める余り、単純な損得では動か
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最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

5.0

リドリー・スコット版羅生門という触れ込み通り、3人の視点から展開される事件についての“真実”
羅生門テイストがただのスタイルだけでばくテーマと直結する語り口なのが素晴らしい
同じ時系列でちゃんと同じ出
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護られなかった者たちへ(2021年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

大規模公開とミステリーテイストにした弊害なのか多少展開に無理を効かせてる節がなくはないけど、娯楽として消費させないという作り手たちの強い気概を感じる
佐藤健と清原果耶の画面に引き付ける力と純粋な演技力
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複製された男(2013年製作の映画)

4.0

理解できたわけではないけどプロットの面白さと淡々とした中に潜む狂気というか恐怖に魅せられた90分
例に漏れずラストでは驚かされた
ドゥニヴィルヌーヴらしい鈍い色使いとバキッと決まった絵作りがカッコいい

由宇子の天秤(2020年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

昨今幅広く描かれる正しさのついて
劇中同様にドキュメンタリックに問い詰めた力作
大胆にパンするカメラワークの如く、自分が真実だと思っていたことが度々覆されていく
一方では真実を追求しようとして一方では
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アナザーラウンド(2020年製作の映画)

4.3

まさしく酒は飲んでも飲まれるな
酒に溺れていく中年男性たちが一見滑稽に見えるけど、教師という立場だったり基本的には真面目で真っ当な人たちだけに余計痛々しく感じる
さして人から褒められることもなく同世代
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メイン・テーマ(1984年製作の映画)

4.5

薬師丸ひろ子主演のスター映画でも森田芳光の独特の遊び心を持った演出と編集テンポが冴え渡る
正直ストーリーでいうとよくありそうなくっつくくっつかないのメロドラマなんだけど、文字通りマジックのような演出と
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