せいけさんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

せいけ

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こちらあみ子(2022年製作の映画)

5.0

そこにいるだけであみ子を感じさせてくれる大沢一菜の存在感、難易度が高い役柄にも関わらず堂々とあみ子を実在感ある人物に昇華していた
クラシカルな画面作りの撮影とフレッシュな飛躍を用いた映像表現の豊かさと
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わたしは最悪。(2021年製作の映画)

5.0

映画が始まってから終わるまで自分が好きな要素で満たされていた
自分が分からず右往左往する人間は見ているだけで興味深く、キャラクター性としては地に足着いていないが演技としてはとても実在感を感じられてずっ
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FLEE フリー(2021年製作の映画)

4.5

他の作品では味わったことない独特な質感のドキュメンタリー
アニメーションの映像表現でありながら恐らく実際に録音されたインタビュー音声を流すことによりむしろ語りが明瞭に聞こえてくる気がした
アニメーショ
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トムボーイ(2011年製作の映画)

4.5

主人公のロールを男の子とも女の子とも判別したくないなと思う
自分の違和感なのか正直な感性なのか言語化する術を持たない子供を瑞々しく繊細に描いている
映画は顔だとよく言ったものだが主役の子が中性的な雰囲
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テルマ(2017年製作の映画)

4.3

禁欲的な家庭で育てられた主人公がある恋に目覚め、抑圧と欲望の中で葛藤する様を描く
ホラーとしての恐怖は抑えめだが、一見理性的に見える家族からの抑圧がじわじわと居心地が悪い
震える体を自らの手で押さえる
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母の残像(2015年製作の映画)

4.7

戦場写真家だった母を亡くし残された父と子2人の物語
ひたすら静かに淡々とその死と向き合う様が描かれるが決まったショットと斬新な語り口から退屈な瞬間はまるでない
この手の作品としてほとんど男性同士で寄り
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水の中のつぼみ(2007年製作の映画)

4.5

等身大の人物を地に足着きつつ、思春期特有のあっちへ行きこっちへ行きとぐらつぐ感情を描き出す
特に視線と水のモチーフが印象的
冒頭のシンクロのシーンも上手い
単純に画的にダイナミックなのと、みんな同じ動
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X エックス(2022年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

対立し相反するものが掛け合わされたときに映画は豊かになるのだと実感
現実と虚構、若さと老いが絶妙にシンクロしていく構成が絶妙にスリリング
小さいシチュエーションからの抜けのいい展開は不思議なカタルシス
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リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

5.0

映像的快楽の連続、男女が出会い見つめ合いすれ違い、相手を思い走り出すというアクションから展開するストーリーテリングが心地よい
個性的なアラナとゲイリーのやり取りも微笑ましく、2人の価値観から絶妙に歳の
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モガディシュ 脱出までの14日間(2021年製作の映画)

4.2

韓国お得意のポリティカルサスペンス
ソマリアとの外交のさなか内戦に巻き込まれ、北朝鮮と韓国の対立関係からなる脱出劇というスリリングな展開に思わず体に力が入ってしまう
アクションとストーリーテリングの中
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ミニオンズ フィーバー(2022年製作の映画)

4.0

ひたすら可愛く楽しいグルーとミニオンのエピソード0的な作品
大方同じような見た目に見えるミニオンたちもそれぞれ細かくキャラづけされていてそれがまた可笑しい
エンタメ作品として楽しませることを心がけなが
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インヒアレント・ヴァイス(2014年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

毎度PTAの作品には理解が追いついていないのに魅せられてしまう
やや話を練りすぎたきらいはあるけれども熟練の演出力で2時間半全く飽きることなく見られた
ドッグが信頼できない語り手なのか実は1番信頼でき
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現金に手を出すな(1954年製作の映画)

4.7

とても面白い
最小限の展開と的確な演出により映画はこんなに面白くなるのかと驚かされる
フィルムノワールとしてのスリリングさと中年の悲哀がかけ合わさったストーリーになんとも言えない感慨にさせられる
なん
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ソー:ラブ&サンダー(2022年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

MCUってこんなもんだったっけ?
というのが何よりの正直な感想
肩の力を抜いて楽しめる王道エンタメではもちろんあるし、楽しめた部類だけど余りにドラマ性が弱く展開が雑に感じた
それぞれのキャラクター性も
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シティ・オブ・ゴッド(2002年製作の映画)

4.7

ギャング映画の傑作の1つとして数えられるクオリティなのでは
ボイスオーバーを使ったり現在の地点から過去を振り返っていく構成はジャンルも相まって『グッド・フェローズ』を彷彿とさせる
しかし実話を元に作ら
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メタモルフォーゼの縁側(2022年製作の映画)

4.0

決してクオリティが高いタイプの作品ではないけど、そんなことがどうでも良くなるほどの優しさが詰まっている
好きなものを通して世代を超えて繋がる関係の温かさたるや
好きから生まれるモチベーションや書店に楽
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ザ・マスター(2012年製作の映画)

5.0

この映画で伝えられる真意には到底到達できていないけれど、圧倒的な映画の力によりとんでもないものを見た感覚にさせられた
一瞬の緩みもない画作りと、ホアキン・フェニックとフィリップ・シェーモア・ホフモンの
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バズ・ライトイヤー(2022年製作の映画)

3.8

これは確実にIMAXで見たほうがいい作品
宇宙空間に飛び出す瞬間の画角の広がりによる没入感、思わず体に力が入るような臨場感を得られた
ただ、正直ピクサーの中で言うと飛び抜けた傑作というほどではないのが
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マグノリア(1999年製作の映画)

4.8

恐ろしいほどにスマートな語り口で物語の方向性を示しながら、キャラクターの紹介をしていくオープニングから飲み込まれた
本当にこのオープニングが効いていて、何気ないシーンでも常に緊張感がつきまとい、いつか
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パリ13区(2021年製作の映画)

4.0

ワールドワイドな雰囲気漂うパリ13区で暮らす人たちの日々を描いたドラマ
ただそこで暮らしていく中で起こる出来事を淡々としながらも瑞々しく描かれていく
ドラマ的な起伏は少ないものの役者の佇まいとウィット
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恋は光(2022年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

恋の定義について114分間文字通り語り尽くす会話劇
漫画的なキャラクターたちを少なくともこの映画内では実在するようにしか感じられないリアリティを生み出してくれた役者たちの演技が素晴らしい
それぞれのキ
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ブギーナイツ(1997年製作の映画)

4.3

アンモラルでありながらものめり込んでしまう90年代映画的なギラギラした危うい題材とハイテンポな語り口
縦横無尽に動くカメラと映像の力に負けない個性的なキャラクターたちに魅せられる
ポルノ業界についての
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ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択(2016年製作の映画)

4.2

ファーストカットから目を引く非凡さ
じっくりと抑制の効いた演出とテンポで彼女たちの感情を引き出していく
ただ役者がそこにいて見つめ合うだけのシーンにしかならなそうなものをなぜここまで目を見張るものに感
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PLAN 75(2022年製作の映画)

5.0

冒頭のカットから見入ってしまうようなショットセンスに驚かされた
陰影の使い方フォーカスの当て方などなど撮影がとてつもなく素晴らしく、映っている世界は架空の法案が可決された日本なのだが、撮影により程よく
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山の音(1954年製作の映画)

4.5

成瀬らしい家父長制からなる女性の抑圧を描いたホームドラマ
閉鎖的な細道や扉の隙間などらしさ溢れるショットがそれに拍車をかける
時折挟まれる原節子の意味深な表情に心情の複雑さを感じさせ物語の推進力にさせ
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フラワーズ・オブ・シャンハイ 4K デジタルリマスター版(1998年製作の映画)

4.5

ワンシーンワンカット、フェードイン、アウトの暗転といった手法でじっくりと画面を紡いでいく
普通なら単調に感じるショットの連なりも不思議と退屈しないどころか時間の流れも忘れるような感覚
それゆえに映画の
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マイスモールランド(2022年製作の映画)

4.5

不必要にフィクションの中で面白くしすぎないようにしている姿勢に好感が持てる
積極的な悪意を持つ人がいるわけでもなく、自分達を窮地に追い込む制度に憤りを覚えながらも道理から外れるわけでもない
諸悪の根源
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ハケンアニメ!(2022年製作の映画)

4.0

映画史に残る傑作!というタイプではないかもしれないけれど、広く愛されるタイプの作品なのでは
アニメ製作の現場が舞台だけど、誰かが誰かを取りまとめ、取りまとめている上にもまた誰かがいて、最終的に無数の誰
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.5

ダメなら俺がやってやる精神を地でいくトム・クルーズの魅力が存分に発揮された作品
圧倒的なアクションのクオリティもさることながら、生き方や考え方そのものが時代遅れになってしまったマーヴェリックの苦悩と抗
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冬物語(1992年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

ロメールの中でもかなりドラマチックな作風なのでは
言い間違いをしてしまう主人公という設定が絶妙で、彼女から発せられる言葉は自分でも整理がついていないものなのではないかと感じさせられる
それゆえ相手を傷
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夏物語(1996年製作の映画)

5.0

優柔不断な男が旅先で複数人女性に思いを寄せられて右往左往する話
ロメールらしい理屈っぽくも情けない会話劇から展開されるストーリーが大変面白い
セリフに導かれるように主人公へ降りかかる出来事に行き当たり
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シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

2.0

正直個人的には面白さが掴めず
ウルトラマンを描きながら人間讃歌的な着地に向かう構成自体は理解できるけど、あまりにもドラマパートの会話劇やストーリー展開が形式的で平板すぎる
会話のテンポは小気味よいがた
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アネット(2021年製作の映画)

5.0

観客の存在をこれでもかと意識させながら、自分のやりたい表現を貫く潔さ
美しい映像表現はもちろんだけど、その自由さこそがレオス・カラックス最大の魅力なのかなと思ったり
フィクションの構造についての考察の
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流浪の月(2022年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

原作がとても大好きなので見る前は不安もありつつだったけど、これは見事な映画化
原作の物語そのものが素晴らしいけど、絶妙な時系列の調整と「見る」というモチーフを加えることによってより映画的な雰囲気になり
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死刑にいたる病(2022年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

シリアルキラーに知らず知らずのうちに魅せられていくエンタメ思考のミステリーという面を被った渋い作品だと思っている
まずはなんと言っても白石和彌の演出力
まさか『凶悪』の面会シーンをここまでアップデート
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やがて海へと届く(2022年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

視線の扱い方や、記憶と記録の絡み合いや喪失と再生という映画らしいモチーフを扱っていることや役者のポテンシャルの高さもあって映像への吸引力を感じた
不在の中心として堂々とした佇まいを見せる浜辺美波は間違
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