せいけさんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

せいけ

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ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(2022年製作の映画)

4.0

マルチバースが展開され、まさかの監督サム・ライミとMCU作品としては色々新境地なテイスト
大味で仰々しいカメラワークや振り切ったB級的なビジュアルと頭がクラクラするような異世界感のごった煮具合で映像に
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英雄の証明(2021年製作の映画)

4.8

ちょっとした善行で過剰に美談として取り上げられた主人公が周囲に振り回される話
緻密に練り上げられた演出と観客の主観をとことん揺さぶってくるストーリーテリングの巧妙さによって展開にエンジンかかってからは
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アンジェリカの微笑み(2010年製作の映画)

4.0

構図の美しさと死んでいるはずの人間が微笑みかけてくるという奇妙なストーリーに魅せられた
視点の逆転という映画の特性を活かした演出も見事でほんとにゾッとした
飛躍する展開も潔く面白い
時代感がよくわから
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ふたりのベロニカ(1991年製作の映画)

4.0

イレーヌ・ジャコブの存在感、セピア調の美しい映像と禍々しい音楽使いからなる映像作品としての質の高さ色気に見惚れる
鏡や窓を使った演出が秀逸でこれによりここではないどこかにいるもう一人の自分という当人に
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A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

長回しのじっくり落ち着いたカメラワークから映される構図の美しさ
セリフは少ないけれど、佇まいや所作により遺されたものの哀愁を雄弁に語っていく演技、演出が素晴らしい
幽霊視点で語られる展開はとても切なく
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TITANE/チタン(2021年製作の映画)

5.0

エッジが立ちまくりなビジュアルセンスと想像もつかないストーリー
アート性もフィクション性も高いのに思いもよらず自分とリンクする部分を感じたりした色んな意味で意外な映画体験だった
車に恋するホラー映画と
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静かな雨(2020年製作の映画)

3.8

手持ちと引きのフィックスをバランスよく織り交ぜて、自然光を生かした美しい映像が日常的な描写の積み重ねに程よいファンタジーの色付けとなっている
タイムループ的な展開の中にちょっとした違い示す演出が映画的
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アカルイミライ(2002年製作の映画)

4.0

引きの画作りと長回しに灰色がかった画調といういかにも黒沢清イズムが炸裂した映像がカッコいい
サイコサスペンスになりそうな雰囲気の画面とは裏腹な浮遊感ある展開のギャップが面白い
緊張感あるシーンで流れる
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ホーリー・モーターズ(2012年製作の映画)

4.0

虚構と現実の境界が曖昧な不思議な世界観
冒頭の映画館のシーンから見るに物語や演じることの豊かさと苦しさを描いているとシンプルに捉えた
レオス・カラックスのドニ・ラヴァンの偏愛映画としての見方もできる
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映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

30周年ということなのかお約束展開をふんだんに入れながら現代的価値観を付け加えるベスト盤のような作品
みさえとひろしが頑張る展開に今回ひとつアクセントが入っていて従来とはまた違ったエモーショナルの高ま
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ハードエイト(1996年製作の映画)

3.8

いかにも90年代っぽいというかタランティーノっぽさすら感じるクライムサスペンス
ショットの洗練され具合や演出力はデビュー作でありながらも目を見張るものがある
役者の魅力もしっかり引き出されていて、何が
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リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

ただ情けなく行き当たりばったりの括弧付きに逃避行を続ける2人
普通はここからサスペンス色が強くなるであろう展開からハシゴを外していい意味でぬるぬるっと話が展開されていく
何も起きないというより何も起き
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コロンバス(2017年製作の映画)

4.2

どこまでも美しく完璧に構成された構図の映画
構図や色彩の使い方などまさしく小津安二郎オマージュだが、小津があまり使わない長回しがあったり、オマージュと差異の比較もまたおもしろい小ネタ的な部分
物語の軸
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TOKYO!(2008年製作の映画)

3.8

3人の名監督が東京を舞台に短編を制作するという企画
それぞれ個性が出ていて面白い
単純に映像の洗練され具合でいうとポン・ジュノ、奇想天外具合ならカラックス、その間をゴンドリーといった感じか

クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん(2014年製作の映画)

4.3

ギャグの面白さとドラッギーなアニメーションはしんちゃん映画の中でも最高峰
いい意味で肩の力を抜いて観れるバカバカしさを湛えながら、そこはかとなく感じてくる不穏さにも引き込まれる
多少強引ではあるけど、
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オートクチュール(2021年製作の映画)

3.0

Diorの針子の話
意外にもヒューマンドラマに重きが置かれていて驚き
よく言えば真面目で地に足ついた作風、悪く言えば地味で遊びがない作風といった感じ
1人1人が問題を抱えながら生きている様をちゃんと描
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別離(2011年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

全編一瞬も気を抜けない緊張感
登場人物が知っている情報が少しずつ違うことと抜群のカット割がスリリングさに拍車をかける
嘘や人間の良心という映像には映りようがないものの扱いがとても上手く観客の感情をひた
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MONOS 猿と呼ばれし者たち(2019年製作の映画)

5.0

ドキュメント性とアート性を行き来する禍々しさ、ここ最近見た映画では圧倒的に恐ろしかった
背景が全く説明されずに異常な世界に放り込まれる感覚
武装組織に所属している少年少女兵の無垢ゆえの狂気のエスカレー
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クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲(2001年製作の映画)

5.0

大人が大人じゃなくなることの恐怖を途轍もなく感じる
秩序の乱れから不気味さを映像の質感だったり不穏な音楽使いで表現しているのが映画的
演出の手際が素晴らしく、サスペンス的な局面でありながら笑いも並行し
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ボーイ・ミーツ・ガール(1983年製作の映画)

4.0

ゴダールっぽい独特な編集テンポとちょっとバカバカしさまで感じるユーモアとモノクロのカッコいい映像に魅せられる
ただ他のアレックス3部作に比べるとパンチはどうしても弱く感じる

汚れた血(1986年製作の映画)

5.0

全シーン全カット美しく色気漂うショットで構成されていながら愛嬌もある
憎いほどに素晴らしい映画
ドニ・ラヴァン、ジュリエット・ビノシュ、ジュリー・デルピーの佇まい、ただそこにいるだけで目を離せない存在
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ポンヌフの恋人(1991年製作の映画)

5.0

ずっとこの2人のことを見ていたい
不自由さを抱えていながらも映画の作りはとんでもなく自由
生きる上で障壁があってもこの映画自体は2人の味方でいるかのよう
アート的な高尚さもあるけど2人のドキュメンタリ
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ミークス・カットオフ(2010年製作の映画)

5.0

目的地もはっきりせず、夜はほぼ周りが見えないほどに暗い。そんな過酷な環境の中、ひたすら疑念を抱きながら、移動を繰り返す極限まで映画純度を高めたような作品。案内人ミークの傲慢な態度にこちらとしても訝しん>>続きを読む

愛なのに(2021年製作の映画)

4.7

こちらの方が今泉×城定の化学反応がはっきり表れていて作品としての抜けがよく、特に後半の展開はその手があったかと驚かされた
バカバカしくも切実に愛を求め右往左往する登場人物たちは愚かに見えてはやはり愛お
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猫は逃げた(2021年製作の映画)

4.7

ダメな人をありのままダメに描いてくれるから今泉作品は大好き
側から見たらとんでもなくバカバカしいことでも本人達にとっては切実というバランスがいい
それがちゃんとユーモアにも求めている愛情にもつながるの
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カールじいさんの空飛ぶ家(2009年製作の映画)

4.7

オープニングがまず圧巻
夫婦の尊い時間を映し日常に潜む冒険性をさりげなく提示している
それからの冒険パートもピクサーらしいわくわく感で楽しませてくれる
脚本も緻密で突飛に見える展開や心変わりも布石が打
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ベルファスト(2021年製作の映画)

4.3

余りにも今の世界情勢とリンクしているもで色々考えながら見てしまった
主人公家族の立ち位置の置きどころがリアルでフェアだなと思った
状況によってマジョリティにもマイノリティにもなり得る、というかそもそも
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ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)

4.5

洗練された撮影と美術からなる世界観構築はさすがデルトロ
それに加え今作ではスター俳優と名バイプレイヤーの揃い踏みとくれば長尺の上映時間も贅沢に思えてしまう
ノワール的な作劇にジワジワと興味を惹かれてい
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私ときどきレッサーパンダ(2022年製作の映画)

4.2

思春期、親離れと子離れを描いた作品
ミニマルな物語からの潔い壮大な飛躍が気持ちいいこれぞアニメーション
等身大ないち少女の悩みを突き詰めているので友達や家族との関係性にリアリティを感じる
まさしく最も
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白い牛のバラッド(2020年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

死刑執行数が世界で2番目に多いイラン
他者への厳しさと裏腹に立ち上がってくる赦しという行為の複雑さを描く
隅々まで計算され尽くした画面と重大なことが少しずれて登場人物や観客に伝わるストーリーテリングも
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ミラベルと魔法だらけの家(2021年製作の映画)

4.5

編集のテンポ、色彩豊かで決まった構図の映像、リズミカルな音楽などなど映像作品とすてとにかく見ていて気持ちがいい
内向きなストーリーで地味めに見えるかもしれないけど、徹底的に自分らしさを見つめる視点がデ
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SING/シング:ネクストステージ(2021年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

個人的には見た目以上に深い題材を扱っているような気がする
展開の早さやご都合主義的な展開からドラマ性が薄くなっているのは正直否めないけど、今回は製作の現場に振り切って焦点を充てたことによってその欠点が
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ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

ある1日から振り返る6年間の2人の物語
映画は何を語るかはもちろんどう語るかが重要だなと感じる
同じようなシチュエーションの反復から見えてくる2人の関係性の変化の見せ方が絶妙
タイトル通りこの映画は全
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THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

便宜上ネタバレ注意にしているけど、案外ネタバレしてしまったからといって面白さが目減りするタイプの作品ではないと思う
どちらかというと見せ場や出来事で話を引っ張っていくストーリーテリングではなくバットマ
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