せいけさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

せいけ

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生きちゃった(2020年製作の映画)

4.5

見るものの神経を逆撫でするような演出に緊張感が高まる
冒頭から忙しなく動く手持ちのカメラアングルとグラグル揺れる置物に嫌な予感が漂う
抑制されたトーンの演出でありながら役者から迸る感情の揺れ動きはしっ
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ブレット・トレイン(2022年製作の映画)

3.8

トンチキニホン描写もいい意味でツッコミどころ満載で娯楽に振り切った愉快な1作
運命に導かれる人生を行き先が決まっている新幹線に例えるわかりやすさ
運命の中で奔走する殺し屋たちのウィットに富んだ会話や残
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ぜんぶ、ボクのせい(2022年製作の映画)

4.0

タイトルの意味など鑑賞後すぐは問いかけとして観客に委ねすぎと感じたが、時間を経るごとにさまざまな解釈が浮かんでくる
タバコなど小道具の使い方もうまい
この手の作品で経済的な限界を描くことはとても重要で
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ヘルドッグス(2022年製作の映画)

3.8

噂通りセリフの聞き取りづらさだったりで話の展開についていきにくい問題点は大きくあるが、エッジの立った画面作りや魅力的な俳優たちのお陰で荒唐無稽な世界観もカッコよく成り立っている
その聞き取れないセリフ
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夏へのトンネル、さよならの出口(2022年製作の映画)

3.8

整理されてストーリーと手際のよい演出により荒唐無稽な設定も飲み込めるものに
サクサク進む展開は見やすさもありながら若干薄めに感じなくもない
清涼感溢れる風景ながら奥底に流れるドロッとした感触や抑揚の少
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百花(2022年製作の映画)

3.5

抑制された演技演出とワンカット長回しの撮影手法や悍ましい音楽使いなど映画へのセンスを感じる川村元気の初長編
認知症を疑似体験させられるような原田美枝子の主観映像にはファーザーよろしくゾッとさせられるよ
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LOVE LIFE(2022年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

深田晃司の真骨頂的な作品
それでいて展開の衝撃具合は過去作のほうがあると感じる人は多そう
家族というコミニュティへの侵入者によって化けの皮が剥がされていくような展開が多い深田晃司の作品
いい意味で意地
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カップルズ(1996年製作の映画)

4.8

台湾という街を描いてきたエドワード・ヤン
複雑なアイデンティティを持つこの国の喧騒に揉まれながら綱渡りのように生きていく男たちの話
ホモソーシャルな関係性の危うさが序盤からひしひしと伝わってくる
不穏
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NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

王道の大作映画としてとても楽しめた
映画についての映画
見てはいけないと言われながらも見てしまう好奇心と奇跡をフィルムに収めようとする人物たちに胸が熱くなる
序盤のメタファーが多分に含まれているのだろ
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さかなのこ(2022年製作の映画)

5.0

沖田修一らしい平面的な画作りや間合いを絶妙に使った笑いのリズム感などは今回も炸裂
ただ、これまでの作品と違うのはある人物の半生を描くということ
人生の夏休みを描いてきた沖田修一からすると次のステージに
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神は見返りを求める(2022年製作の映画)

4.5

身の回りにありそうな居心地の悪さとブラックな笑い、意外とニュートラルな着地など吉田恵輔節が今作も炸裂
岸井よしのとムロツヨシのキャスティングでこの話をやるというキャスティングの慧眼に唸らせながら、若葉
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パリ、テキサス 2K レストア版(1984年製作の映画)

4.0

リマスター上映で初鑑賞
圧倒的な映像表現の巧さと美しさに魅せられつつも、トラヴィスのパーソナリティに違和感を感じる
映画の白眉のシーンの素晴らしさに惹きつけられつつ、このやり取りの納得のいかなさに自分
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三姉妹(2020年製作の映画)

5.0

三姉妹の異なる境遇とその生きづらさを痛切に画面に焼き付かれている
それゆえに映画を見続けるのにとても体力を消耗されるが見逃すのがもったいないと感じるほどの引力に惹きつけられる
この人たちの生活を覗かせ
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ニューオーダー(2020年製作の映画)

4.0

印象的な色彩表現と敢えて見せすぎる描写と見せすぎない描写の按配が絶妙で観客の不安感を煽ってくる
徹底して平等を掲げる新体制から浮かび上がってくる不均衡の禍々しさ
後半はやや露悪表現に傾倒しがちなのが若
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EUREKA ユリイカ(2000年製作の映画)

4.5

青山真治の代表作。
バスジャック事件で生き残った人たちの再生ドラマ。
217分という長尺だが、格調高い画作りと、役者たちから滲み出るささやかなる生命力に魅せられた。
この人たちのドラマを描くのにこれだ
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プレデター:ザ・プレイ(2022年製作の映画)

4.0

プレデター門外漢の私でも楽しめました
シンプルにエンタメとして面白く、省略が効果的な使われていてテンポよく進んでいくストーリーテリングが心地よい
広大な自然を映した撮影も詩的な雰囲気が漂い意外性も感じ
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2/デュオ(1997年製作の映画)

4.5

アドリブ芝居ということは先に知ってから見たので、序盤はリアルっぽい感じだなと思っていたが、2人のやり取りを見るにつれしっかり映画の中のリアルに変わっていった
関係性にヒビが入る瞬間を逃さないカメラの瞬
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放浪記(1962年製作の映画)

4.5

林芙美子の一代記
時に愚かで時にたくましい生き方を描いていており、毎度のことながら高峰秀子の熱演が見どころ
特徴的な顔立ちと声質でありながら毎回きちんと違った人物に見えてくる
自身の貧乏エピソードを赤
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ビリーバーズ(2022年製作の映画)

3.8

突き抜けた性描写、観客を飽きさせない精神を感じるケレン味溢れるカメラワークや役者たちの狂演もあり閉鎖的な世界でありながらも興味の持続が最後まで保たれていた
カルト教団の危うさも思いもよらず今日的なテー
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驟雨(1956年製作の映画)

5.0

コミカルな導入で肩の力を抜いて見られる作品かと思いきや想像を遥か超えた面白さ
隣人とのコミニュケーションや夫婦間の不和など対人関係の問題を浮き彫りにしてその余白を残したまま最後まで走り切られた
いい意
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娘・妻・母(1960年製作の映画)

4.5

家族の繋がりというより赤の他人になり切れない制度の中に縛られながら、責任を転嫁していくような話に感じた
味わいやキャスティング的には小津安二郎のような趣がある
流れるような会話から滲み出る気まずさと建
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ジュラシック・ワールド/新たなる支配者(2021年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

恐竜演出の悍ましさや造形のいい意味でも不気味さ、今まで見たことないようなアクションシークエンスなど単体としてはしっかり楽しめる娯楽作に仕上がっていた
過去作に比べると行動原理は明確にあるためイライラす
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お引越し(1993年製作の映画)

5.0

家族の不和を描いた作品としても、夏休みを描いた作品としても傑作
子供の視点から見た理不尽な大人の世界
その世界に迎合することなくなんとか自分の力や意思を表明し続ける田畑智子の存在感に引き込まれた
空間
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こちらあみ子(2022年製作の映画)

5.0

そこにいるだけであみ子を感じさせてくれる大沢一菜の存在感、難易度が高い役柄にも関わらず堂々とあみ子を実在感ある人物に昇華していた
クラシカルな画面作りの撮影とフレッシュな飛躍を用いた映像表現の豊かさと
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わたしは最悪。(2021年製作の映画)

5.0

映画が始まってから終わるまで自分が好きな要素で満たされていた
自分が分からず右往左往する人間は見ているだけで興味深く、キャラクター性としては地に足着いていないが演技としてはとても実在感を感じられてずっ
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FLEE フリー(2021年製作の映画)

4.5

他の作品では味わったことない独特な質感のドキュメンタリー
アニメーションの映像表現でありながら恐らく実際に録音されたインタビュー音声を流すことによりむしろ語りが明瞭に聞こえてくる気がした
アニメーショ
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トムボーイ(2011年製作の映画)

4.5

主人公のロールを男の子とも女の子とも判別したくないなと思う
自分の違和感なのか正直な感性なのか言語化する術を持たない子供を瑞々しく繊細に描いている
映画は顔だとよく言ったものだが主役の子が中性的な雰囲
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テルマ(2017年製作の映画)

4.3

禁欲的な家庭で育てられた主人公がある恋に目覚め、抑圧と欲望の中で葛藤する様を描く
ホラーとしての恐怖は抑えめだが、一見理性的に見える家族からの抑圧がじわじわと居心地が悪い
震える体を自らの手で押さえる
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母の残像(2015年製作の映画)

4.7

戦場写真家だった母を亡くし残された父と子2人の物語
ひたすら静かに淡々とその死と向き合う様が描かれるが決まったショットと斬新な語り口から退屈な瞬間はまるでない
この手の作品としてほとんど男性同士で寄り
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水の中のつぼみ(2007年製作の映画)

4.5

等身大の人物を地に足着きつつ、思春期特有のあっちへ行きこっちへ行きとぐらつぐ感情を描き出す
特に視線と水のモチーフが印象的
冒頭のシンクロのシーンも上手い
単純に画的にダイナミックなのと、みんな同じ動
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X エックス(2022年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

対立し相反するものが掛け合わされたときに映画は豊かになるのだと実感
現実と虚構、若さと老いが絶妙にシンクロしていく構成が絶妙にスリリング
小さいシチュエーションからの抜けのいい展開は不思議なカタルシス
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リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

5.0

映像的快楽の連続、男女が出会い見つめ合いすれ違い、相手を思い走り出すというアクションから展開するストーリーテリングが心地よい
個性的なアラナとゲイリーのやり取りも微笑ましく、2人の価値観から絶妙に歳の
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モガディシュ 脱出までの14日間(2021年製作の映画)

4.2

韓国お得意のポリティカルサスペンス
ソマリアとの外交のさなか内戦に巻き込まれ、北朝鮮と韓国の対立関係からなる脱出劇というスリリングな展開に思わず体に力が入ってしまう
アクションとストーリーテリングの中
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ミニオンズ フィーバー(2022年製作の映画)

4.0

ひたすら可愛く楽しいグルーとミニオンのエピソード0的な作品
大方同じような見た目に見えるミニオンたちもそれぞれ細かくキャラづけされていてそれがまた可笑しい
エンタメ作品として楽しませることを心がけなが
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インヒアレント・ヴァイス(2014年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

毎度PTAの作品には理解が追いついていないのに魅せられてしまう
やや話を練りすぎたきらいはあるけれども熟練の演出力で2時間半全く飽きることなく見られた
ドッグが信頼できない語り手なのか実は1番信頼でき
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現金に手を出すな(1954年製作の映画)

4.7

とても面白い
最小限の展開と的確な演出により映画はこんなに面白くなるのかと驚かされる
フィルムノワールとしてのスリリングさと中年の悲哀がかけ合わさったストーリーになんとも言えない感慨にさせられる
なん
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