経年変化さんの映画レビュー・感想・評価 - 43ページ目

乱世備忘 僕らの雨傘運動(2016年製作の映画)

3.8

踏み込めていないのではなく踏み込んでいないだけ。その一歩手前、日常~オフショットにおける彼等の笑顔の多さがかえって事の深刻さを物語ってはいまいか?見る者の心に楔を打ち込む効果は大

アジアンドキュメン
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シリアからの叫び/シリアの悲痛な叫び(2017年製作の映画)

4.2

傑作『ウィンター・オン・ファイヤー』同様に監督を突き動かしているものは紛れもなく社会的弱者の叫びであるわけだがロシアへの糾弾意識も製作動機の一つとして少なからずあるのだろう。『娘は戦場で生まれた』『ラ>>続きを読む

コロンバス(2017年製作の映画)

4.2

徐々に変容を遂げていく二人の関係はまるでガラス張りの建築物の様な透明性を獲得し、計算された画面設計と繊細且つ生々しい感情表現の交差劇は凛とした感動を提供する。本当に見事な調和。
世界中の喧嘩してるカッ
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ひとくず(2019年製作の映画)

3.2

そこはかとなく漂う北野リスペクトと昭和二時間枠ドラマの香り。うちの母ちゃん好きそう笑。
あらゆる技術面において違和感しかなくて完全蛇足なラストなんて思わず笑っちゃいそうだったけど作り手の熱量で押し切っ
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ゲスト:アレッポ・トゥ・イスタンブール(2017年製作の映画)

4.2

もうひとつの『存在のない子供たち』とでも形容したくなる程に共通項の多い作品だがどうやら製作はこちらが先。
国籍、言語、性差、生活水準、あらゆるボーダーを認識させた上でユニバーサルな愛を説いていく寛容さ
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ジョン・F・ドノヴァンの死と生(2018年製作の映画)

4.0

社会と、家族と、そして己とのディスコミュニケーションについての物語。
表層的なところでしか生きられない男の虚像が、面識すら無い男の触媒となりその先の人生を起動させていく。前作をターニングポイントとし次
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Liberté(原題)(2019年製作の映画)

2.0

ただ一つ言えることは、むしろこの点数の方がA・セラは悦ぶに違いないということだ。

第2回映画批評月間@ユーロライブ

アリスと市長(2019年製作の映画)

4.0

軽妙洒脱でありつつ、言語で武装したポリティカルアクション映画。終盤にブラックアウトするあの瞬間だけでも観る価値ある。『マトリックス・レボリューションズ』のザイオン戦でハンマー号の電磁パルスによって総ア>>続きを読む

波のした、土のうえ(2014年製作の映画)

4.0

視界遮断・イヤホン推奨。瞼の裏に焼き付いた映像がテキストを読み上げる声と共に動き出す。
『二重のまち/交代地のうたを編む』への萌芽

Vimeoにて鑑賞

深紅の愛 DEEP CRIMSON(1996年製作の映画)

3.8

子供の横で女をめった刺すシーンが好き。
『ロンリーハート』も観てみます

シネマニア(2002年製作の映画)

3.8

うわぁ…こんなん東京にもめちゃくちゃ居るじゃないですか…。毎回毎回同じ服着てたり、いかにも不健康そうだったり、もう人生二の次ですみたいな人たち。
あるあるの多さがみてて楽しいんだけどそれらをあるあると
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嘆くな!(1970年製作の映画)

3.4

ソヴィエト&ジョージア映画特集@シネマヴェーラ

逆転無罪(1991年製作の映画)

3.2

ケン・ラッセルのテレビ映画。実に堅実な演出。ファンからすれば平板過ぎると突き放すのも分かるっちゃ分かるけど。
リンゼイ・アンダーソン発見

Fukushima 50(2019年製作の映画)

2.0

反吐が出るほど気持ち悪い映画なんで来年の日本アカデミー賞の有力候補になりそう

キャット・チェイサー(1988年製作の映画)

3.4

ケリー・マクギリスがエロ過ぎて話が入ってこない。髪と瞳と唇の色のコントラストがヤバすぎる。困ったもんです

黒い司法 0%からの奇跡(2019年製作の映画)

3.8

言わずもがな『アラバマ物語』を下地としながらも、各演者がグリシャム作品のあんな人やこんな人と重なってみたり、ジョー・モートン似のおっちゃんはもろに『デッドマン・ウォーキング』のショーン・ペンで泣かせる>>続きを読む

お茶と同情(1956年製作の映画)

3.4

一線を越えそうでなかなか越えない付かず離れずの距離感がもどかしいもののそこが魅力のメロドラマ。
その後のデボラ・カーを一切映さずに幕を下ろすところがニクイ

追いつめられて…(1959年製作の映画)

4.2

犯人と目撃者という関係が徐々に相互依存のそれへとスライドしていくところにグッとくる。
ラストの二人の抱擁は「THE END」のその先すらも想像させてくれる。もうこれは紛れもない愛ですよ愛。心の保湿効果
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セブン・ビューティーズ(1975年製作の映画)

3.8

ユーモアとペーソスの絶妙な匙加減。
下(しも)へ下へと話が流れていくもんだからカメラの寄りが次第にストレスになってくる。これはきっと確信犯

男装(1935年製作の映画)

3.8

男装したキャサリン・ヘプバーンがフットワーク軽めにかき回す前半はルビッチ『男になったら』のような楽しさ。
中盤の鈍重さは否めないが多幸感溢れる着地でオールOK

狼獣(けだもの)たちの熱い日(1983年製作の映画)

4.4

どいつもこいつも純度100%のキチガイ!これにフランシス・レイのスコア被せる製作者側も頭イッてる。
逃げ込んだ先でプッシープッシー喚いてるベルナデット・ラフォンにドン引きするリー・マーヴィン笑。強盗・
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ザ・バルチャー/哀しみの叛逆(1983年製作の映画)

3.8

80年代といえばハンガリーにとっては非常に困難な時代。そんな社会主義体制下の歪みが産み落とした必然まみれの映画。
借り物的要素が散見される作品ながらも、街中を走り散らかすチェイスシーンやラストの爆発に
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レ・ミゼラブル(2019年製作の映画)

4.0

ドワイヨン『少年たち』、ケシシュ『身をかわして』等と同系譜の団地&子供映画。ドローンが物語に貢献してくる、三者三様の思惑が『エネミー・オブ・アメリカ』さながらに交錯する瞬間がいい

娘は戦場で生まれた(2019年製作の映画)

4.6

他国の過剰介入を事実上看過している世界の目。授かった命とまるで引きかえになるようにして潰える弱者の命。届かない悲痛な叫び。近年のドキュメンタリー作品同様に、作り手が全身全霊を捧げその惨状を世界へ発信し>>続きを読む

神々の王国(1949年製作の映画)

4.0

感化院という閉鎖的空間での少女の連帯(援護射撃)は、かの名作『制服の処女』を想起。
災害の象徴として立ちはだかる河川へと歩を進めていく二人の姿がなんとも勇ましい。お幸せに!

キャリントン(1995年製作の映画)

4.0

このエマ・トンプソンは評価されるべき。こんなに奥行きのある演技をするとは。
ジョナサン・プライスの「これが死なら大した事はない」って台詞も好きでたまらん

赤い鳥逃げた?(1973年製作の映画)

3.8

アメリカンニューシネマ的な範疇にとどまらずその枠線を一歩踏み出し色々やらかしちゃっててイイ。願わくは10代の時に観たかった

【特集上映 原田芳雄生誕80年】@ユーロスペース

年上の女(1958年製作の映画)

4.2

喪失して初めて愛の大きさに気づき漆黒の闇へと堕ちていく男を体現したローレンス・ハーヴェイもなかなかだが、それを引き出すシモーヌ・シニョレのクールビューティっぷりが傑出している。
しかしむしろ彼女がフェ
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悪人と美女(1952年製作の映画)

4.0

映画界内幕モノ。やんわりと横たわり続ける哀愁がラストショットでもって横溢してくる奇妙な感覚。あとは何と言っても車中でテンパるラナ・ターナーが強烈。何事かと思った。
因みにあれって本物のオスカー像って事
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恐怖の逢びき(1955年製作の映画)

4.4

素晴らしすぎて首がもげそうになったスペイン産因果応報ノワール。地平線に消え行く自転車を寄らずにロングで捉え続けるオープニングの不穏さからして既に身震いが止まらないし、フラグ化する背面ショットや此処ぞと>>続きを読む

エプソムの紳士(1962年製作の映画)

3.2

おそろしく退屈だが『騙し屋』に出てきそうなせこいジャン・ギャバンは何だか新鮮