ENDOさんの映画レビュー・感想・評価 - 12ページ目

地獄のバスターズ(1976年製作の映画)

4.0

お前が生き残るんかい!と思いつつも逃亡したとはいえ米兵の特殊部隊を誤殺して責任を感じたのち決死作戦に挑む野郎ども!手癖の悪いヒッピー軍人ニックが最高。無線機故障によって直接連絡するため橋に向かうバイク>>続きを読む

ジャン・ルノワールのトニ(1935年製作の映画)

4.2

洗濯物を乾かすジョゼファに忍び寄るアルベール。叔父のシャツを踏んでも意に介さない男の不躾な態度に苛立つものの、ベッドシーツと思われる白い大きな布をそれぞれ両端を持って風に煽られながらも畳むという共同作>>続きを読む

荒野に生きる(1971年製作の映画)

4.0

リチャード・ハリスがグリズリーに襲われて放置され見捨てたヒューストン隊長を追跡するお話。『レヴェナント』では息子の仇を討つため復讐の妄執が描かれるが、こちらは冬支度をして皮を舐めし完全装備でゆるゆる追>>続きを読む

SAFE(1995年製作の映画)

4.2

静謐。過度な環境汚染の不安から生きることが難しくなる。吃音気味なムーアの寄る辺なき人生。WASPとして何一つ不自由なことなどないのに突然発作で失神するムーア。燻蒸中のクリーニング屋で泡を吹いて痙攣。ス>>続きを読む

自分の穴の中で(1955年製作の映画)

4.0

男性ホルモンの塊みたいな三國連太郎は有望な若手医師。蛙を解剖したての血塗れの手(の甲)で懇ろな看護師の首筋を撫でながら無理やり接吻。婚約話を口実に料亭で密会する月丘夢路には根性焼き。なし崩し的に入り込>>続きを読む

峠を渡る若い風(1961年製作の映画)

4.2

まさかの芸人道を見せつけられ涙。衒いが薄い分登場人物達の心理が浮立つ。かき氷のシロップの色をライトの色で表現するのは清純的!お手ぶらの健こと金子信雄のブラジャー啖呵売とヤクザ達との大立ち回り見れただけ>>続きを読む

東京騎士隊(ナイツ)(1961年製作の映画)

4.0

成城学園の校舎がデカい!日活国際会館屋上での夜の銃撃戦!ジョージ・ルイカーのアクの強さにみんなのキャラが霞む。切り立った採石場もゴルフ場のスケールも映り込むものにいちいち感動してるうちに終わってしまう>>続きを読む

スウィーティー(1989年製作の映画)

4.2

オーストラリア時代のカンピオン。インディーズ感溢れるのは主人公ケイがスピリチュアルだからだろう。近所の婆さんによる紅茶占いで顔にクエスチョンマークがある男と結婚すると言われたのち、職場の同僚の婚約者ル>>続きを読む

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.5

1820年オレゴン準州にて毛皮ハンターの食料調達係兼コックとして働く"クッキー"ことフィゴヴィッツとロシア人殺しで追われている中国人"キング"・ルー。入植地に初めてやってきた牛の乳を夜な夜な盗み取って>>続きを読む

四十挺の拳銃(1957年製作の映画)

4.0

連邦保安官3兄弟vs権力者40人という構図がタイトルから想起させられるが、蓋を開けてみれば人でなし弟と地元の保安官ジャガーがスタンウィックの足を引っ張るというお話。巨大なテーブルを囲む晩餐会だけが40>>続きを読む

光年のかなた(1980年製作の映画)

4.0

スピリチュアル系鳥人間映画。飛ぶまでの技術論ではなく精神的な解放をジジイに教わるジョナス。給油所の店番、廃車工場の大掃除、そのすべてが徒労に終わりつつジジイとの関係は良くなっていく。その中で飼っていた>>続きを読む

北の冠(1991年製作の映画)

4.2

北の冠とはラップランドつまり北欧、正確にはスカンディナヴィア半島北部からコラ半島に至る地域の別称である。天然資源の採掘によって追い出されたサーミ人たちの末裔へのインタビューを淡々と映し出す。炭鉱や工場>>続きを読む

(1982年製作の映画)

4.0

挑発はしても誰とも寝ない女ユペールと無自覚な同性愛者でありながら彼女に惹かれる男たち。自給自足コミュニティみたいな生活と親父とその友人の間の秘密を孕んだ過去。そこに東京旅行が絡んで夫の嫉妬は増幅する。>>続きを読む

十代の夏/新学期(1956年製作の映画)

4.0

友人に騙されカバンを川に投げ捨て、追い求め水の中を彷徨い、びしょ濡れで教室に戻り、ノートに蛇を挟み込む悪戯で仕返し、文法メチャメチャな宿題代行によって主人公の親父が呼び出され担任教師に説教かまされるも>>続きを読む

犬王(2021年製作の映画)

3.8

ジミヘンの亜種みたいな曲が流れてから画面が停滞するのがツラい。どうにも野暮に感じるDeep PurpleやQueenを模したような楽曲の一昔前感。冒頭の現代から過去に戻るダイジェスト映像、こういうキレ>>続きを読む

ブルー・ジーンズ(1958年製作の映画)

4.0

ナンパ野郎どもの軽薄な1日(もしくは2日)を追う。若さと貧しさの象徴としてvespaが存在し、ガソリンスタンドで差し押さえられ遣る瀬無い時間が流れ、結局はまたぞろ懲りずに時間はたっぷりあると豪語する若>>続きを読む

階段通りの人々(1994年製作の映画)

4.2

盲人の募金箱(原題の直訳『箱』)を狙って集う『階段通りの人々』の群像劇。酒場を少し上がった踊りばの手前にある家が盲人の家。赤いドレスにみを包んだ聖なる娼婦、ファド(ポルトガルの民謡)を奏でその歴史を語>>続きを読む

この空は君のもの(1943年製作の映画)

4.0

保守的だったはずの主婦が飛行機乗りになる転覆があまりに淡々としているので驚く。雨のヴィルヌーヴ駅で帰らぬ母を待つ2人の子ども。ホームには傘をさして待つ乗客たち。土砂降りの中、汽車から父が降りてくると、>>続きを読む

大日本スリ集団(1969年製作の映画)

4.2

万博前の大阪ロケに目を奪われる。そして三木のり平の家。左右に分かれた階段を10段ほど登ると右手側にある一戸建てのロケーションが素晴らしい。住宅に挟まれた隘路から空が開けている。住みたい。戦友であるのり>>続きを読む

ガールフレンド(1978年製作の映画)

4.2

同棲していた無二の親友が結婚してしまい、その孤独に対する代償行為と写真家になるという野望とが混在となって思わず夜中に叫び出す主人公スーザン。全然写真撮らないけど。コロラドを目指してヒッチハイク中のエイ>>続きを読む

リトル・オデッサ(1994年製作の映画)

4.2

神経症的な銃の扱いにヒヤヒヤ。ある殺しのために雪の降る街に戻ってきた兄。弟に対するクソ親父の折檻に黙っておられず家族に介入した結果最悪な事に。焼却炉のショットは2度繰り返されるが、最初はフィックスで2>>続きを読む

シェラ・デ・コブレの幽霊(1964年製作の映画)

4.0

妖怪ハンターみたいな趣の建築家兼霊能者マーティン・ランドーが活躍する連ドラを夢想する。幽霊のコッテリ演出に笑い泣き。タイトルがとてつもないネタバレ。蝋燭灯すのにもたつく間がいい。浜辺で出会った美女の後>>続きを読む

あきれたあきれた大作戦(1979年製作の映画)

4.0

フォークの狂人ぶりとハシャギまくるアーキンに心躍る。緊張感のない銃撃シーンと個性的過ぎる独裁者。原版盗んで金刷って貨幣価値を暴落させるという作戦も今や黒田バズーカを撃ちまくっていても不景気な世の中では>>続きを読む

とんかつ大将(1952年製作の映画)

4.0

50年代初頭の浅草の景色。冒頭坂本武がすっ転んで達磨が起き上がるスピード感からやられる。吾妻橋越しに浅草雷門ビルと神谷バー。あとはお決まりの貴種流離譚みたいな話だけど、相棒である演歌師吟月(三井弘次)>>続きを読む

私、君、彼、彼女(1974年製作の映画)

4.2

寝そべりながらスプーンで砂糖を口に掻っ込むアケルマン。私的な空間でパフォーマンスアートか?って感じの独りよがりな芸術を延々見せられるのかと思いきや、1階のガラス越しの部屋を男に覗かれ外へ。ヒッチハイク>>続きを読む

囚われの女(2000年製作の映画)

4.0

プルースト原作。作家であろうとも言葉で全てを言い尽くし、全てを知りたいなんて傲慢すぎる。主人公のしょうもなさに呆れつつ、自ら針の筵に突っ込んで相手をぶっ壊すなんて許されない。もう後半の地獄の問答に吐き>>続きを読む

アンナの出会い(1978年製作の映画)

4.0

車窓からの眺め。主人公の(映画監督らしき)仕事については一切描かれない。移動に次ぐ移動。拠り所のない会話が途切れ途切れ紡がれる。旧知の人物も一期一会の人物も等しく通り過ぎていく。中断するセックス、会食>>続きを読む

オルメイヤーの阿房宮(2011年製作の映画)

4.0

ディーン・マーティン『Sway』口パクステージに向かう暗殺者の背中に寄り添うカメラ。緩いダンスで歌い出す女こそ本作の中心人物ニナ!とにかく湿度が高い停滞した静かな環境音に対して叫び声や嵐の怒号が耳をつ>>続きを読む

愛のきずな(1969年製作の映画)

4.0

『逢いたくて逢いたくて』でもそうだが、絞殺されかけ記憶喪失、またしても二重化する園まり。特殊すぎる役選び。藤田まことに同情の余地なしだが、家族サービス中の遊園地で明滅する佐藤允の残像に光過敏性発作を起>>続きを読む

花つみ日記(1939年製作の映画)

4.2

置き屋の娘・高峰秀子が女学校で無二の親友みつると出会い絶交、退学を経て、舞子になり、病臥に伏す走馬灯のような映画。歌唱が人々を繋ぐ。シーンの構図が凄まじく統制されており、動きすら人形のようだが何度か度>>続きを読む

彼女の名誉(1931年製作の映画)

3.8

モンロー・オーズリーが警察署でコルベールに泣き縋る姿にドン引き。全ての義理を通したのちにようやく結ばれる2人。女の献身に甘える男の弱さを断罪することがプレコードの爽快な所。それにしても回りくどい。ロジ>>続きを読む

ナック(1965年製作の映画)

4.0

躁的に動き回り、市井の人々(主に老人が言う最近の若者はというお決まりのフレーズは、モッズ&ロッカーズめ!)の批判というか幻聴に悩まされ神経症的なヤバさに呆れていたのに、唐突に視線のやり取りだけで恋に落>>続きを読む

ハッピーアワー(2015年製作の映画)

4.2

シネマヴェーラ渋谷でダグラス・サークについて語る濱口竜介監督のトークショーにて。今まで観客が寄り添ってきた人物が全く予想できない行動を取る。つまりその転覆する瞬間は描かれず既に決定的何かはその人物の内>>続きを読む

ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

4.2

今個人的に刺さりまくった一本だった。家事をここまで克明に反復するその意味。自動機械のように何の疑問も持たずに送られる生活。そのテンポの心地よさ。自然に組み込まれている売春行為。生活を蔑ろにしがちな自分>>続きを読む

ホームズマン/ミッション・ワイルド(2014年製作の映画)

4.2

スワンクが2度もフラれて目も当てられず、善良ぶりを口に出して誉めてもらいたいと吐露した時、彼女の中で自尊心が崩壊する。キルトに描かれたピアノ。どれだけ慎ましく生きても他人無しでは生きられぬ世界。精神を>>続きを読む

才女気質(1959年製作の映画)

4.0

轟夕起子主演、こんなに堪能できるとは思わなんだ。橋を渡る人々の中から徐々に遊離して現れる夕起子。五月蝿くて人が散っていく家。大坂志郎は京都市内にあるイノダコーヒーに逃避。シベリア抑留帰りの葉山良二が発>>続きを読む