ENDOさんの映画レビュー・感想・評価 - 52ページ目

殺人の追憶(2003年製作の映画)

4.2

連続殺人鬼を追う話だけど、警察の拷問と冤罪逮捕が繰り返される、かなりノワールな展開。でも、映し出される田舎の風景はどこまでもノスタルジーがあって、田舎の刑事たちの間抜けさもあってコメディ的要素もある。>>続きを読む

鬼畜(1978年製作の映画)

4.0

頼りない緒形拳にイライラ。鬼の形相の岩下志麻に戦慄。一番震えたのは末っ子に対する静かな行為。

ビフォア・サンセット(2004年製作の映画)

4.0

あれから9年。実は彼女は彼のそばにいたのに会えなくて。飛行機が出るまでのほんの数時間の邂逅。あの特別な一日は美化され、お互いの支えであり、枷にもなっていた。失われた可能性。時間は過ぎ去る。戻らない。だ>>続きを読む

ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(1995年製作の映画)

4.0

一目惚れの高揚感。一晩だけと知ってるから、燃え上がる。若い日の、忘れられないある一日。

ボーグマン(2013年製作の映画)

4.0

淡々とした語り口の不条理劇。金持ちの家に得体の知れぬ人間が侵入し、家庭を崩壊させていく。理不尽なのに、なぜか爽快感がすら感じさせる。後半の畳み掛ける展開。謎の毒物、手術道具、その使用方法意図は描かれな>>続きを読む

アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)

4.2

恋に落ちる、それは堕ちるとも言い換えられる。堕落してしまうのだ。価値観や境遇が違いすぎたから、燃え上がって、執着してしまう。レズビアンへの憧れと軽蔑、教師と芸術家、パスタと生牡蠣。アデルがエマに恋する>>続きを読む

ドラゴン・タトゥーの女(2011年製作の映画)

4.0

ルーニー・マーラーがエロくて賢くて強くて痺れた。殺人事件の顛末は、金田一耕助みたいだった。

悪の力(1948年製作の映画)

3.8

所謂ラッキーナンバーを不正で当たらせて、配当金の出せない弱小の胴元を潰す話なのですが、時代もあって主人公はやっぱり道徳的。終盤の銃撃シーンは緊張感ありました。最後の埠頭のシーンは、やたらとかっこいい構>>続きを読む

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)

4.4

自分の信念を曲げないことの苦しみ。殉教の自己陶酔と恐怖。神の存在を信じていなかったとしても、信念というものに置き換えて見ることもできるだろう。転ぶ、それは棄教という言葉を超えて、大小あれど、人間なら一>>続きを読む

シング・ストリート 未来へのうた(2016年製作の映画)

4.5

この、ニューウェーブ、ポストパンクの中心地から離れたアイルランドの片田舎で繰り広げる青春モノ。家庭の崩壊と、学校での不満、恋愛について作品に昇華していく感動。メガネの友人と兄貴がいい人過ぎて何度でも会>>続きを読む

ハーヴェイ(1950年製作の映画)

4.2

側から見たら、ウサギのハーヴェイという友達がいる頭のどうかしてる男の話なんだけど、見ているうちに、その狂気的な広い心に、自分たちの方が狭い世界に生きてるんじゃないかということを意識させられる。姉さんの>>続きを読む

映画に愛をこめて アメリカの夜(1973年製作の映画)

4.6

ジャクリーン・ビセットは笑顔の下にも暗さを含んでいて、本当に美しい。大量のバターを注文したシーンはジャンヌ・モローの『エヴァの匂い』エピソードの引用だったみたい。傷心のレオと一夜を共にしてあげる母親の>>続きを読む

イップ・マン 序章(2008年製作の映画)

4.0

怒りの鉄拳のオマージュすばらしい。ドニーの善人ぶり、どんぶり勘定に敬意。

私が、生きる肌(2011年製作の映画)

4.0

性別、性癖を超えて繋がる愛。まさに狂気。陰惨になりすぎないのがいい。

北国の帝王(1973年製作の映画)

3.8

みなさん、顔がいい。リー・マーヴィンってこんなにカッコよかったんだね。hoboのなけなしのプライドと、そのアウトローさに対する憧れは、立場を超えて伝播する。

葛城事件(2016年製作の映画)

4.6

三浦友和を堪能する映画。団塊の世代の世話焼きの嫌な親父。別に悪意があってこの結果になる訳ではなく、すれ違いが取り返しのつかない所まで来てしまったという印象。次男坊の飛躍した行動よりも、長男の内と外どち>>続きを読む

プリズナーズ(2013年製作の映画)

4.5

神との対話。感謝祭の日に1人で過ごす孤独な刑事ロキと典型的右翼キリスト教原理主義者の父親ケラー。どちらも誘拐犯を追っていくのだが、その顛末は対照的だ。ロキの万能感。最後に送り届けるシーンはハラハラした>>続きを読む

複製された男(2013年製作の映画)

3.8

『ロスト・ハイウェイ』みたく時系列が、メチャクチャだけど、秘密クラブの最初のシーンとラストの鍵のシーンがループするということを2回目でようやく理解。愛人と妻の間で、解離性遁走が起きてしまって。って説明>>続きを読む

フレンチアルプスで起きたこと(2014年製作の映画)

4.5

ある一つの間違った行動で相手を失望させてしまうその一瞬を切り取ったという点で偉大だと思います。張子の虎だった自分という存在。そして、部屋の外で泣きじゃくる男。気持ちは痛いほどわかりました。ヒゲの男が、>>続きを読む

ロスト・ハイウェイ(1997年製作の映画)

4.0

音像がすげえ。焦燥感のある音楽のくせに、映像はすこぶるタメる。時系列や人物の実存はゆさぶられるが、途中で消えた人物はすべて主人公の作り出した幻に過ぎないのだろう。すげえ気持ち悪いのに何か笑えるのもリン>>続きを読む

悪徳(1955年製作の映画)

4.0

2回目でようやく、内容を理解。絶望に打ちひしがれる主人公。始まりで、もうすでに取り返しのつかないことが起きていることを予見させる。映画スターと不祥事の裏側には何があったのか。銀幕の裏側の話。

太陽(2016年製作の映画)

4.0

村八分かと思いきや、人間の業の話。村上淳が厄ネタ。でも1番救われないのは父ちゃん。そして、神木くんと古川雄輝の友情だけが救いでした。古川くん、優しすぎ。

ヒメアノ〜ル(2016年製作の映画)

3.8

森田は鬼気迫る。おかーさん、麦茶持ってきてー。

エクス・マキナ(2015年製作の映画)

4.0

ブレードランナーみたい。AIと触れ合うことで、自分の人間性とは何かと主人公が悩み、ゆれる点で。表皮の下を覗きたい願望。そんな葛藤をよそに、したたかな一面を見せるAVA。急転直下の展開に。これノワールじ>>続きを読む

マップ・トゥ・ザ・スターズ(2014年製作の映画)

3.5

終始、胸くそ悪い映画です。ハリウッドの裏側の話なんですが、出てくる登場人物たちの悪意に、やられます。
ある日、街に1人の少女がやってきます。
彼女は、ハリウッドで何とか仕事を得たいのです。そこで有名女
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ゲームの規則(1939年製作の映画)

4.5

ルノワールの早すぎた傑作。初上映時では理解されず終わった呪われた映画。ルノワール本人が狂言回しとして出てくる。スラップスティックコメディの体で話は進むが、ラストは相当な悲劇。うさぎ狩りのシーンで、銃声>>続きを読む

できごと(1967年製作の映画)

4.0

人間の執着心とは、こういうものだ。
ダーク・ボガードは、若く美しいジャクリーヌ・ササーヌに対して、欲望を抱きながらも、煮え切らない態度で接することしかできない。しかし、同僚のスタンリー・ベイカーはすで
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ヤコペッティの大残酷(1974年製作の映画)

4.0

時代・時空を超えて地獄巡りをする話。この当時のこってり演出だけど、なぞの陽気さと抜け感があって最高でしたね。

暴力団/ビッグ・コンボ(1955年製作の映画)

3.8

カメラワーク、照明ともに素晴らしい。話はマンネリを超え、様式美の世界へ。つまり、ストーリー云々を語る映画ではない。同性愛の殺し屋たちの悲しみもあった。

歩道の終わる所(1950年製作の映画)

4.1

強引な刑事がふとした事件で殺人を犯して、隠蔽しようとするが……
男の葛藤の話なんですが、良い意味でダナ・アンドリュース演じる主人公が棒立ち棒読みなので、カウリスマキ映画のように、ちょっと独特のオフビー
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クリーピー 偽りの隣人(2016年製作の映画)

4.0

色々とツッコミどころはあるが、香川照之の存在感で、最後まで突っ走る。西島さんもやばい。人の心持ち合わせてない。

ジュラシック・ワールド(2015年製作の映画)

3.5

ジュラシック・パークを一般の旅行客が利用できるようにしたら起きた大惨事。興行収入の上位に食い込んだ、超ビッグバジェット映画。1のオマージュがあるところはファンにはうれしいでしょう。インドと中国出資して>>続きを読む

キッスで殺せ!(1955年製作の映画)

4.2

入れ替わり出てくる登場人物の多さ、主人公の常軌を逸した暴力。探偵マイク・ハマーとしてのモラルからもはみ出す。強権的なハマーにアメリカの不遜さを感じたりとか、深読みするより、絵的な面白さを堪能できる。で>>続きを読む

地獄特急(1957年製作の映画)

4.5

スタンリー・ベイカー主演。エヴァの匂いとは打って変わって、男としてかっこいい。イギリス版トラック野郎。砂利運搬の回数を日々競う物語。男気と友情。若き日のショーン・コネリーも出てます(浮薄な若者役)