ENDOさんの映画レビュー・感想・評価 - 52ページ目

ゆれる人魚(2015年製作の映画)

3.8

ポーランドのホラー・ディスコ・ミュージカル。妖怪セイレーンと人魚姫の設定を同時にぶち込み夜のストリップ・バーで歌わせるという倫理観無視の設定。バンドの関係性がよく分からなかったが、喧嘩して死んでる感じ>>続きを読む

羊の木(2018年製作の映画)

4.2

錦戸くんがひたすらかわいい映画でした。優香は笑えるほどセクシー。ディスコミュニケーションの龍平。淡々とした日常と、アンゲロプロス的神の出現。そしてラーメン。

78/52(2017年製作の映画)

4.0

ホラー映画の監督たちの嬉々として語るシャワーシーンの解説に観てるこちらも楽しくなる。編集、音楽、音響全てが創意工夫されて検閲を免れながらも、脳裏に焼き付け離れないような狂気的な世界観が生まれたのね。覗>>続きを読む

COBAIN モンタージュ・オブ・ヘック(2015年製作の映画)

4.0

あまりにも繊細な男は、世界にルールに振り回され続けた。発露する場所が音楽しかない。不器用だな。家族がいても理解されない孤独。インタビューされている人々の偽りと真実。想像するしかない構成になっている。ノ>>続きを読む

パディントン(2014年製作の映画)

4.0

パディントンの新鮮さは何と言っても家族全員が協力的なところ!むしろお母さんが率先して協力して、お父さんや子供たちをも懐柔していくところ。それはやはり紳士的なパディントンが子ども以上に大人に与える印象が>>続きを読む

きっと、いい日が待っている(2016年製作の映画)

4.5

施設虐待モノなので、最初の1時間はなす術もなく兄弟が打ちのめされる。目を覆いたくなる展開のオンパレード。理解者であった国語の先生が去っていくシーンの絶望感は比類がない。幽霊を装い、不屈の魂で立ち向かう>>続きを読む

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ(2016年製作の映画)

4.2

マクドナルド兄弟の古き良きアメリカの悲哀と、現代アメリカの理想レイ・クロックの非情さよ。単純に50年代カルチャーの美術が素敵すぎる。おじさんしか出てこないがそこがいい。

ジェーン・ドウの解剖(2016年製作の映画)

4.2

最初から詰んでいる。原因はわかっていても治療できない恐ろしさ。雨月物語の吉備津の釜よろしく、騙してきます。聴く耳を持たぬ魔女は狭い範囲ながらも関わる者全てを不幸にしていく。冤罪が呪いを招いた。演出上怪>>続きを読む

RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)

4.5

痛みの感覚。人間はない腕にも幻痛がするほど五感の情報から誤認識してしまうものだ。ひたすら身近な痛みの発展系。思春期の痛み。女性は一定期間自ら血を流す。人生と痛みは隣り合わせなんだ。ジュスティーヌという>>続きを読む

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)

4.2

コーエン兄弟のように乾いていたり、寓話的な話かと思いきや意外に心温まる話だった。相次ぐミスリードに、観客が持つキャラクターの固定概念をどんどん覆していく。徐々に明かされるセクシャリティや人種やマイノリ>>続きを読む

新感染 ファイナル・エクスプレス(2016年製作の映画)

4.0

走る系ゾンビの怒涛の展開。子を持つ親が見たら落涙モノだ。韓国のガタイの良い偉そうな親父はどうしてこう最高にカッコいいのだろうか……男が惚れる漢!勢い良すぎてコケるゾンビが出ていながら王道のメロドラマ!>>続きを読む

ジョン・ウィック:チャプター2(2016年製作の映画)

4.5

何のために戦い続けるのか?復讐中毒の男。主人公はParanoiaにしか見えなくなる。街中の誰もが自分を襲ってくる悪夢が現実になる。ルパン三世みたいな殺し屋の掟の中にある組織が存在する世界。一見アウトサ>>続きを読む

デトロイト(2017年製作の映画)

4.2

むせ返るほどの胸くそ悪い展開。ボイエガの無力感たるや……。彼は警備員の制服を着て白人と黒人の間で善意の為に立ち回る。犯罪率は低下しているのに、警官による黒人の射殺の件数は一定のままらしい。恐ろしい。暴>>続きを読む

デヴィッド・リンチ:アートライフ(2016年製作の映画)

4.2

当時の8ミリフィルムに映った家族や友人以外、ほぼリンチしか出てこない。製作風景のみなので抑揚がないが、イレイザーヘッドで世に出るまでの鬱屈さや両親(特に父親)に愛され培われたDIY精神が彼を形作り、そ>>続きを読む

極楽特急(1932年製作の映画)

3.8

古き良き映画の粋な技法が駆使されていてお洒落である。泥棒カップルと麗しの未亡人との三角関係。確かに演出は素晴らしいと思う。しかし心情描写がどうにもよく分からない。あまりに短絡的で前時代的なソフィスティ>>続きを読む

ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男(2014年製作の映画)

4.0

JBは家族であれバンドのメンバーであれ、JBという偶像であることを選んだ。その孤独たるや……。彼を発見して長年連れ添ったジミーとの訣別も泣いてしまう。極貧から、凄まじい上昇志向でセルフプロデュースし登>>続きを読む

疑惑のチャンピオン(2015年製作の映画)

3.8

病を克服し、死を超越する。勝利に取り憑かれた男の狂気。ベン・フォスターの悪の不屈さと、ジェシー・プレモンスの振り回されて、操られてしまう揺らぎのある存在。ピカレスク・ロマンとして魅力的に仕上がっている>>続きを読む

ぼくらと、ぼくらの闇(2017年製作の映画)

4.0

nerdなやつらの青春スリラー。近くにいたあいつの意外な一面。おなじ秘密を共有しながら狂っていくあいつ。自分の中の闇と対峙し、また闇に戻っていく。実は何も解決していない。主人公の闇は解放されないからだ>>続きを読む

フランシス・ハ(2012年製作の映画)

4.2

今まで隣にいた人が全く知らない一面を持っていて、混乱する。今まで繋いできた糸がプツンと切れてしまう。意固地になって、優しさも受け止められなくなっていく。途端に人間関係もギクシャクしていく。実はその親友>>続きを読む

人生はビギナーズ(2010年製作の映画)

4.2

癌の大きさが25セントというと実際にそれが出てきたり、カミングアウトする時の記憶が曖昧で話しながら、服装が話しながら切り替わったり、メタファーを映像化する面白さ。感情の起伏が表には出ない主人公の意識の>>続きを読む

帰ってきたヒトラー(2015年製作の映画)

3.5

セミドキュメンタリー、市井のドイツ人のリアクションが観ていて怖い。潜在する先導者を持ち上げたがる欲望。権威におもねるのも、反発するのも簡単だ。自分なりの判断をどう行動に移すかが難しい。どの地域にもある>>続きを読む

キングスマン:ゴールデン・サークル(2017年製作の映画)

3.2

マシュー・ボーンは大袈裟な型を多用する監督だ。わかりやすい演出。ジュリアン・ムーアもサミュエルには勝てない小物感。秘境に住んで自発的じゃないからつまらないんだ。そしてアメリカ大統領のポピーを利用した粛>>続きを読む

ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択(2016年製作の映画)

3.6

アメリカ北西部のモンタナ。雪がちらつく町で起こる事件の大小あるが、物語の変化は緩徐である。あなたのすぐ隣にあるようなありふれた人々。三つ目の話、リリー・グラッドストンのクリステンへの視線。会う理由がな>>続きを読む

トップ・ハット(1935年製作の映画)

4.0

ロジャースの心が引き裂かれている時に最もいい踊りをするのが白眉。人間とは結ばれるまでの歯がゆさにこそ生を実感する。コンチネンタルと同様、ヨーロッパに憧憬する若いアメリカのロマンチズムを感じる。アステア>>続きを読む

全員死刑(2017年製作の映画)

4.5

リンチ映画みたいなアート感覚と仁義なき戦いのような実録バイオレンスが同居している奇跡の映画。文明が発達して、倫理観や権利が叫ばれる世の中になったにも関わらず、このような映画が世界各地で作られ続けるのは>>続きを読む

グリーンルーム(2015年製作の映画)

3.6

ネオナチの中に投下されたパンクスの運命や如何に?いきなり主役の手が切断されかかって養生テープでグルグル巻きに。痛さの描写が凄い。テンポが致命的に遅い分、こちらの知覚にダイレクトに伝わる。切れ味の悪いも>>続きを読む

チャンス(1979年製作の映画)

4.2

最も愚かだと思われていたものが、聖なるものだった。ニーチェの超人思想からか。ピーター・セラーズの戸惑った顔とその後の諦観。

生きるべきか死ぬべきか(1942年製作の映画)

4.0

軽妙なやりとりが時代を超えて愛される秘密か?変装がバレないというのは演劇のお約束。スパイ教授の暗殺シーンは怖い。ヴェニスの商人のシャイロックはユダヤ人。劇中、当時のイギリスでも差別されている男の言葉は>>続きを読む

グッド・タイム(2017年製作の映画)

3.8

犯罪者の心理ってとやかく分析されたり美化されがちだけど、ここまで行き当たりバッタリで巻き込むもの全てを不幸に陥れていく、主人公が凄まじい。目先の利益しか行動原理にない。悲しい性です。終始、異常にアップ>>続きを読む

ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)

4.2

完璧に母親と同期した時、空虚なスーザンはふと思い出す。
リンチ映画の様なオープニングから、彼女のアートへの情熱が冷え切っていることがわかる。前夫が体験した事実に基づいた小説かと思いきや、母娘は存命して
>>続きを読む

ヤング・アダルト・ニューヨーク(2014年製作の映画)

4.0

大人になれない子供というのは、自分の中の倫理やルールに縛られている。若い時には情熱的で周りが見えなくても、その信念で我武者羅に行動する。それが正しいと思えるからだ。最初は新しい世代の画期的に見えたもの>>続きを読む

恐るべき子供たち(1950年製作の映画)

4.2

ダルジュロスは死の天使か?ポールを甘い気持ちにさせつつ、(本人の意識しないところで)命を削るきっかけを与える。画面には1分程度しか登場しないのに。エリザベスの子供じみた行動は最初は微笑ましいが、それ故>>続きを読む

スター・ウォーズ/最後のジェダイ(2017年製作の映画)

4.5

続編を作る上で世界観が前作から大小あれ必ず踏襲されるけれど、ここまでぶち壊してくれるのもなかなかです。ジェダイの否定、つまりノスタルジーへの否定に満ちている。旧作のキャストに目配せしつつも、レイやカイ>>続きを読む

エヴォリューション(2015年製作の映画)

4.0

少年と若い女性しか出てこない。人ならざるものの気配が徐々に高まっていく。この関係が異質なものであるとわかっていく。屠殺される動物に感情があったらこんな感覚なのか。少なくとも私たちの生きている世界とは全>>続きを読む

ブライト(2017年製作の映画)

3.0

地獄めぐりにしては、話のモタモタ感すごい。行く必要のない人混みで撃ち合いしたり。ウィルはさりげなく選ばれし者だし。結局魔法取締官は何をしたんだ。あの夜の事件を揉み消しただけじゃん。デヴィッド・エアーは>>続きを読む