ヤンヤンの視点は、超然としている。誰からも理解されないが、誰よりも理解している。芸術の化身として。
意識のないお婆さんに話しかける言葉は全て登場人物の鏡となる。ブーメラン。
NJの失われた時間は戻>>続きを読む
視覚的ドラッグ映画。
取って付けたようなホグワーツみたいな魔法学校。一気に飛び級してしまう天才カンバーバッチ。ボスとの対決もジョジョ第5部的な感じ。マッツの無駄遣い感がすごく、別にマッツじゃなくてもい>>続きを読む
これは男女間の断絶の話だ。
旦那は事件を追求していくけれど、妻を思ってのことではない。彼自身の尊厳が傷付けられたからだ。心身ともに傷付いた彼女をさらに傷つけるという残酷さ。
疑心暗鬼がひとを変える。同>>続きを読む
良くも悪くも、信仰をテーマにしているメルギブ印の映画。主人公は、苦痛や逆境への耐性が強く、もうドMとしか言いようがない。
前半のフニャフニャした坊やのアンドリューの白痴的な笑みや、ともすれば痛いヤツの>>続きを読む
誰も感情を爆発はさせない。
奥行きのある人物の捉え方は、そこにある空気や風すらも感じさせる。
けれど、少しずつ感情のズレが発生する。一度繋がった電話は、妻の想像力を掻き立てる。妻の小説を読んだ夫は、>>続きを読む
凄まじい。自分の村に移動するホロコースト、Einsatzgruppenがやってくる。パルチザンに憧れた少年が、キャンプに置き去りにされ少女と出会う。森で一晩過ごし戻ると…爆撃の火薬の量も凄まじいけれど>>続きを読む
老境のローガン。号泣。
冒頭五分で、希望が全く潰えたことを知る。
老眼鏡をかけるローガン、仲代達矢かよ。そして寛容さを失ってしまったのはあまりにも心に傷を負ってしまったから。マッド・マックスに匹敵する>>続きを読む
映像の美しさ、演出の不穏さがすごい。ワンカットで奥行きを駆使した演出は、小津の静謐さと、溝口の大胆さを兼ね備えてるとかいうとシネフィルっぽいけど。カメラワークが本当にいい。キスシーンの暗闇、討ち入りの>>続きを読む
テロリスト側の視点。パレスチナの若者の行き場のなさ。パッケージ化され形骸化したテロ。ビデオ屋に並ぶのは殉教者と密告者。全てが並列になり、何のためにやるかというと、自身の心に囚われているか、イデオロギー>>続きを読む
革命に命を掛け、テロを遂行したものが、彼の命を救うよう懇願し、負の連鎖を止めようとする姿に涙するしかない。
前半の逃走劇の怖さ。一夜にして地獄と化す。
グルジアン・ブルースが無骨で乾いてて、
涙を誘っ>>続きを読む
シャーリーズ・セロンはすごい女優だ。この汚れ役、つらい、つら過ぎる。
突然、昔の彼から連絡が来て、年甲斐もなく、ラブロマンスを期待する結婚適齢期のメイビス。現在の自分を肯定できないからだ。美貌と知性>>続きを読む
アンゲロプロス作品の中でも、最も希望のある物語。
死を前にした詩人アレクサンドロスとアルバニアからの不法移民の子どもが過ごす一日。長回しの映像は現在と過去が途切れることなく直接繋がっており、詩人の記憶>>続きを読む
これはきっとおじさん達が一番泣ける映画だと思う。だって孤独なおじさんが一回りも年下の娘に、救われる話だから。その点で他のヒーローと一線を画す。
エモい、泣かせる演出はイタリアの古典っぽい。
エンツォ>>続きを読む
原題:arrival 到着、到達、出生
これは『理解』の映画だ。そして途方もなく希望に満ちている。
エイリアンとの接触を通して描く、人間自身の物語。観念や哲学を超えた作品。音楽というよりは音を聴く。>>続きを読む
サブジアンがバスの中で小さな嘘をついた時、彼の中のオルター・エゴが蠢動する。
すごく説明しにくいけれど、イラン人の心の広さがわかる映画。実際に詐欺にあった被害者家族とその犯人が自分たちで再現VTRを>>続きを読む
今までのクライムサスペンスとは一線を画す設定。
危険な人物の公認会計士として雇われる男。今度は社会的にも善意ある顧客をと思って仕事をしてみたら、実は……。
自閉症の凄腕会計士をベン・アフレックの怪演。>>続きを読む
ウォルターはブルーメスを作ったが、トランボはアンフェタミンで、脚本をシコシコ書く。
レッドパージの辛さ。昨日の友が今日の敵。アメリカは恐怖を消費することで、敵を作ることで大きくなってきた。ソ連とその>>続きを読む
夏休みの1日前から始まる。70年代後半。
新高1と高3の交流。
20年以上後に撮られた『エブリバディ・ウォンツ・サム』と同じように輝く日々。
70年代のロック最高。
原題のdazed and conf>>続きを読む
誰がその過失を許せるのか。罪とは許しとは何なのか。取り返しのつかない場所に立ってしまった時、心が壊れてしまった時、どうなってしまうのか。
辛辣な映画。本当に辛い。辛いシーンでは必ず言葉は遠のく。そし>>続きを読む
トリコロール3部作🇫🇷の中ではこれが一番泣けました。イレーヌ・ジャコブの美しさもさることながら、トランティニャンの厭世的で屈折した感じもいい。元判事の男が、隣人の盗聴を続ける中で、心優しき女性に会い、>>続きを読む
イラン人の倫理観がわかる。それはとても真摯な心を持っているということだ。その分、戒律に縛られる。まずコーランに宣誓して嘘をつかないという前提。もし嘘をついたならば、その良心の呵責というものに一生苛まれ>>続きを読む
事故で著名な現代音楽家の夫と小さな娘を失った時、女はどうしたのか。ジュリエット・ビノシュの凜とした美しさ。痛々しいまでに、心にできた生傷を孤独に癒していく。できたての傷を忘れるために彼女は夫が作ってい>>続きを読む
淡々と過ぎていく日常。繰り返しの営みが映画内の繰り返しで象徴される。
イラン人って優しい。困ってる人がいると、すぐにお茶でも飲むか?オムレツ作ったから食べるか?って優しく声をかける。だが、それに応じ>>続きを読む
これは力あるものに搾取される国の物語だ。4時間の超大作。
ロング・ショットのため感情表現がわかりにくく、起きていることが苛烈でも、どこか冷静に観てしまう。そこではこちらの想像力が強く要求されるのだけど>>続きを読む
野球好きでもないし、酒が好きでもないけど、これは多幸感がやばい。みんな負けず嫌いだけど悪い奴、説教臭いやつ、辛気臭いやつもいない。彼らを縛るものはない!
一年生が入学する直前の、寮での3日間を描く。ス>>続きを読む
パルチザンの爺さんが、亡命先のロシアからギリシャに戻って来る。彼は信じていた。社会主義の理想を、より良い世界を。でもそうはならなかった。
彼の国は、占領軍と戦った共産党員を次々に排除・粛清し始めた。反>>続きを読む
ウルグアイ映画。
サッカーは初老の兄弟にとっても日常的娯楽。淡々とすぎる日常。
ある日、靴下製造業を営むハコボの元に弟のエルマンが来るらしい。そこで、古参の従業員マルタに妻役を演じてもらうよう依頼する>>続きを読む
飛行機事故に見舞われたら、超人としてヒーローに祭り上げられた男の話。彼によって救われる人々が神格化するが、家族にとっては異物でしかなくなってしまう。家族思いの良き夫が、理解できない他人になってしまった>>続きを読む
有楽町朝日ホール イタリア映画祭2017🇮🇹
前作より断然こちらの方が良い。群像劇はの1作目はどうしてもキャラクターの説明に時間取られるし、冗長になるから。犯罪者から捜査の協力者になるレクター形式だか>>続きを読む
有楽町朝日ホール イタリア映画祭🇮🇹2017
ブレイキング・バッドのイタリア版として期待。能力者なのにクビになってしまう。しかし、コメディな上に主人公はそこそこイケてるやつなので全然悲壮感はない。カラ>>続きを読む
ゴダールが映画について語る。
舞台はサラエヴォ。バルカンの戦争の歴史。象徴的に使われるのはモスタルの石橋。
無が無ければイメージの力は表現されない。言葉は恣意的に対象物を分割する。まるで私たちの過ちの>>続きを読む
ジュリー・デルピーの美しさ。
人物への接近を多用するから、会話しているものだけの世界になり、その対峙によって暴力的な映像になる。
EDの冴えない男が、パリで妻に捨てられる。
賭けにて出て、盲執的に復讐>>続きを読む
青年は、子供を使って窃盗させ、ピンハネして自分のものにする。ベビーカーを曳いて小銭をせがむ。さらに、自分の子供を養子縁にかこつけた、人身売買組織に売り渡そうとする。モラルが全く育っていない。ただし、彼>>続きを読む
アウトサイダーな写真家の話。もし自我が強く、そのヴィジョンが明確で自分なりに生きたいと考え、その上で彼女が人生を選択し、人に知られることなく、自分の構築した世界を完璧に体現できたならそれでいいんだと思>>続きを読む
考えることこそが、幸福、全てを失ったと思うか、自由になったと思うかは君次第だ。想像力こそが全てを救う。想像力のないやつが、戦争を起こす。善意を信じることで永遠の安らぎが得られるのか。
哲学女教師。妻は>>続きを読む
おじさんになっても、やってることが全く変わらない、成長しないやつらの話だ。
マンユーの伝説的プレイヤー、ジョージ・ベストの過去の映像を観ては騒ぎ、プロテスタントのユニオニストの集まりで金を盗み、スコッ>>続きを読む