くろいひとさんの映画レビュー・感想・評価 - 23ページ目

くろいひと

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シックス・センス(1999年製作の映画)

4.1

「結末はけっして明かさないでください」と言われるように、その衝撃は本作の最大の「売り」だが、それにとどまらない、全編にわたって愛にあふれる繊細な表現こそが魅力。

わたしたちがいかに「みずからの視点」
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奇跡の丘(1964年製作の映画)

4.0

「マタイによる福音書」をほば忠実に映像化した傑作。

聖書の言葉が淡々とつらねられるが、そこにはよけいな心理描写も解釈もない。
職業俳優ではない出演者たちのもの言わぬ「顔」の豊かさがつくりだすリアリテ
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13F(1999年製作の映画)

3.6

なだたる名作のかげに隠れてしまってはいるが、「このいまいる世界は誰かの想像/創造の産物なのではないか」という、古くから繰り返されてきた哲学的な問題に、直球で切り込んだ作品。

逆に言えば、その問題意識
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フォレスト・ガンプ/一期一会(1994年製作の映画)

3.5

夢と希望、そして他人へのちょっとした愛情を忘れかけているすべてのひとが見るべき、おとなのためのこころあたたまるファンタジー。

歴史上の人物たちとガンプが「共演」するが、まさに彼が走り抜けたのはアメリ
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バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3(1990年製作の映画)

3.6

圧倒的なおもしろさをほこる第一作にまさるとも劣らない第三作。

前作での伏線を回収し、ウェスタンの世界観のなかで展開するものがたり。
なんと言ってもドクことブラウン博士を演じるクリストファー・ロイドの
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バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2(1989年製作の映画)

2.9

第一作ほどの完成度はなく、より複雑に交錯する時間軸も欲を出してまとまらなかった印象。
最終作への重要な橋がかりとしての作品。

バック・トゥ・ザ・フューチャー(1985年製作の映画)

3.5

理屈抜きに楽しいタイムトラベルものの名作。

パラドックスもなんのその、無理やりな展開もおかまいなく、デロリアン号は痛快に時を超える。

赤目四十八瀧心中未遂(2003年製作の映画)

3.3

車谷長吉の原作も独特の世界観を持った傑作だが、本作は原作をほぼ忠実にえがきながら、それとはまったく異なったテイストに仕上がった秀作。

キャリア初期からその類まれなる才能を見せる寺島しのぶの熱演。
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シェフ!~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~(2012年製作の映画)

3.5

才能ある若き料理人を演じるミカエル・ユーンと、一流シェフ演じるジャン・レノのユーモラスなでこころあたたまるやりとり。

定型どおりのライトコメディだが、観ただれもが幸せになる一本。

王様のためのホログラム(2016年製作の映画)

1.4


なかなか面白そうな滑り出しかと思ったのもつかのま、稀にみる駄作。
中盤からは中東の観光案内を目的とした映画なのかと思えてきた。

トム・ハンクスも、仕事は選んだほうがいい。

ダーティハリー5(1988年製作の映画)

2.9

シリーズ第五作。

『ダーティハリー』シリーズを通底していたテーマは影をひそめ、どこにでもありそうな犯罪ドラマになっている。
キャラハンも老いたが、シリーズとしても抜け殻に。

ラストをきめるM29で
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ダーティハリー4(1983年製作の映画)

3.4

シリーズ第四作。

イーストウッド自身の監督で、典型をあえてはずした展開が効果的で、緊張感あるサスペンスにしあがっている。
法が裁かない悪と、そしてそれを排するための超法規的手段はどう裁かれるのか、と
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ダーティハリー3(1976年製作の映画)

3.5

シリーズ第三作。

90分とコンパクトだが、無駄なくまとまった良作。
タイン・デイリー演じる新米女性刑事との異色コンビが魅力的。

ダーティハリー2(1973年製作の映画)

3.4

シリーズ二作目。

前作では超法規的な立場から悪に立ち向かったキャラハン刑事が、今作ではその超法規的な自警グループにたいして否定的な立場をとる。
前作との矛盾について、説得力は残念ながらここにはない。
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ダーティハリー(1971年製作の映画)

3.6

『ダーティハリー』シリーズ第一作。

法の秩序では裁けない悪にたいして、超法規的な例外者となったイーストウッドが挑むという、西部劇の現代版。

犯人役のアンドリュー・ロビンソンの怪演が印象に残る。

グラン・トリノ(2008年製作の映画)

4.5

イーストウッドをして「これで俳優は引退する」と言わしめた(実際には復帰するのだが)のもうなずける、記念碑的な傑作。

多民族国家アメリカの負の部分をためらうことなくえがきながら、そこに血のつながりをこ
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許されざる者(1992年製作の映画)

4.3

クリント・イーストウッド監督・主演の神々しいまでの完成度をたたえた西部劇。

西部劇というジャンルそのものをメタレヴェルから見たようなハードなタッチでえがいた感動的なものがたり。
善悪の彼岸にある、も
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キング・コング(1933年製作の映画)

3.6

怪獣パニック映画の、古典中の古典たる不滅の名作。
ここにすでに、ありとあらゆる典型が完成されている。

1933年の映画であるが、この時代にしてこれだけのものを作ることができたのは奇跡としか言いようが
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ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男(2017年製作の映画)

3.6

ひたすらチャーチルを演じたゲイリー・オールドマンの名演技に敬服するほかはない。
狂気を秘めた役を得意とするこのカメレオンのような怪優の実力がいかんなく発揮されている。
非常時に必要なのは、いずれの立場
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フィフス・エレメント(1997年製作の映画)

3.2

さまざまなSF映画、アドヴェンチャー映画、コメディ映画などの要素をこれでもかとないまぜにして、ポップな色彩感でえがかれた娯楽大作。

ツッコミどころは満載だが、それもふくめて気楽に見られるところがよい
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レオン 完全版(1994年製作の映画)

4.0

ミルクしか飲まない凄腕の殺し屋と、彼をたよるしか生きる道のない少女との、奇妙だがこころあたたまる共同生活とその果て。

ナタリー・ポートマンの見せる幼く透明な愛。
不器用な男を演じきるジャン・レノ。
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ニキータ(1990年製作の映画)

3.2

つめたくタッチでハードにえがかれる悲しくも美しいものがたり。
その全編にわたる無機的な空気が、登場人物の誰へにも見るものを近づかせない距離感をつくっているよう。

ジャン・レノ演じる掃除人ヴィクトール
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アンチクライスト(2009年製作の映画)

4.2

そこで行われていることの醜悪さにもかかわらずスクリーンから眼がはなせないのは、徹底的に作りこまれた美しさに満ちているからだ。

理性や調和がキリスト教的な世界観だとすれば、「アンチクライスト」とは欲望
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インターステラー(2014年製作の映画)

4.3

キューブリックの不朽の名作『2001年宇宙の旅』にたいする、いまのところもっとも完成度の高いオマージュと言えるだろう。

時間と空間のつながりを意図的に錯綜させ見るものの認識を揺さぶるクリストファー・
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インセプション(2010年製作の映画)

4.3

映画ときってもきりはなせない関係にある「夢」。
なにが現実で、どこまでが夢なのか。
くりかえしとりあげられたその問いを、ノーラン監督らしい重層的な構成でえがいてみせた傑作。

入れ子になった夢の構造さ
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ダークナイト ライジング(2012年製作の映画)

4.2

「ダークナイト三部作」のラストをかざる三本目。

「例外」としての存在であることやめたバットマンが、ゴッサムシティを守るために再びたちあがる復活劇。
正義を守るための不正義という前作からのテーマは、本
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ダークナイト(2008年製作の映画)

4.2

「ダークナイト三部作」の二本目。

ひとことでいえば、秩序を守るための正義がその秩序のそとに「例外」として存在することのあやうさを浮き彫りにした作品。
それはすべての「アウトロー」たるヒーローにいえる
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バットマン ビギンズ(2005年製作の映画)

4.0

ノーラン監督による「ダークナイト三部作」の一作目。

バットマンはなぜバットマンであるのかという、彼がその姿でいなければならないその根拠をていねいにえがいた傑作。
クリスティアン・ベール、マイケル・ケ
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プレステージ(2006年製作の映画)

4.2

タイプのことなるふたりのマジシャンのものがたり。

時間軸を交錯させるノーラン監督の手法が見るものの認識を混乱させるが、それが逆にものがたりの構成そのものにリアリティを与えることに成功している。
映画
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メメント(2000年製作の映画)

4.3

前向性健忘症の男が、殺された妻の復讐のために生きるものがたり。

時間軸の進行が過去→現在ではなく、さかのぼってえがかれていくという、きわめて実験的な手法が完全に成功している。
10分ほどの記憶しか残
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キス★キス★バン★バン(2000年製作の映画)

4.1


類似のタイトルの別作品にくらべてそこまでの知名度はないが、圧倒的な面白さと美しい絵面の数々は、これぞ映画の愉しみというしかない傑作。
笑いと悲しみが、アートとエンターテインメントが、優しさとハードボ
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ミッション:インポッシブル(1996年製作の映画)

3.2

スパイ映画の王道パターンをこれでもかとなぞる娯楽作品。
いちど聞いたら耳から離れないテーマ音楽。

アンタッチャブル(1987年製作の映画)

3.5

古典的な美しさをたたえた名作。

すべては典型の枠を出ることはないが、それでもスタイリッシュな魅力に惹かれる。

若きケビン・コスナーや名優ショーン・コネリーも素敵だが、なんといってもアル・カポネを演
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カメラを止めるな!(2017年製作の映画)

2.9

メタ構造をもつ構成が盗作ではないかと話題にはなりはしたが、それについてはよくあるパターンで新しいとは言えない。
しかしそれでもよくまとめられており、理屈抜きに楽しめるエンターテインメント。
やや画面に
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2重螺旋の恋人(2017年製作の映画)

4.1

現実と妄想のはざまをキャリアの初期からえがいてきたオゾン監督が、そのテーマを徹底的に追求した完成度の高い傑作。 

鏡に映る姿は、ほんとうに自分自身なのか。
おなじ顔を持つ二人の男、そして彼女自身も…
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スイミング・プール(2003年製作の映画)

4.2


なにが現実で、とこまでが妄想なのか。
その境界線をひくことがわたしたちには原理的には不可能だということを、オゾンは見るものに示す。

冒頭のテムズ川の淀んだ水面はなにも映し出してはくれないが、覆いを
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