象徴的なモチーフの数々。
水と火。
性的メタファーとしてのミルク。
母親と妻をおなじ女優に演じさせることで、遡行する記憶の中に「母」=「女性」にたいする欲望と畏れを見出し、そこに生涯をとおしてタルコ>>続きを読む
三人の美女のそれぞれの魅力をいかしたコメディ。
なかでもローレン・バコールのかっこよさが光る。
マリリンの近眼ネタはいまだにラブコメ界においてはお約束ともいえる定番。
ヒッチコックばりに二転三転するサスペンスだが、とびきりお洒落に仕上がっているラブコメディでもある。
マンシーニの音楽とジバンシィの衣装も特筆もの。
ケイリー・グラントの抱腹もののシャワーシーンは彼の>>続きを読む
オードリーとゲイリー・クーパーとは見たところあまりに年齢の釣り合いがとれていないし、彼女のなりすましに百戦錬磨のプレイボーイが騙されつづけるのも不思議としか言いようがない。
すべてがリアリティを欠い>>続きを読む
有名な地下鉄の風でスカートが拡がるシーンもふくめて、特別にマリリン・モンローの魅力を引き出した作品というわけでもない。
それでも見応えがあるコメディに仕上がっているのは、なによりもワイルダーの脚本がし>>続きを読む
ジバンシィによるいわゆる「サブリナパンツ」をはじめとしたハイセンスな衣装に身をつつんだオードリー・ヘップバーンの魅力にやられっぱなし。
素敵なラブコメディだが、なぜウィリアム・ホールデンのような遊び>>続きを読む
リアルにサイレント時代のスターであったグロリア・スワンソンを起用して、トーキー時代の到来とともに失った栄光を忘れられない狂気の女優の悲劇をえがく。
スワンソンの怪演、ウィリアム・ホールデンのハマり具>>続きを読む
ベルイマンの映画のなかにおいても、とくに精神分析的、哲学的なテーマが明確に表現されている一作。
それらが思弁的になることなく、美しい詩として映像化されている。
目の前にいる女は、どこかの分岐点でわか>>続きを読む
優等生の姉と、性に奔放な妹。
予定外の宿泊になった東欧のとある街のホテルでかさねられる許されぬ行為。
「神の沈黙」三部作の最終章でありながら、信仰や神についてはダイレクトに語られることはほとんどない>>続きを読む
「神の沈黙」三部作のうちのひとつ。
神への信仰をもとめるみずからの言葉の無力さ、無意味さに気がついてしまった牧師のトーマス。
自殺した男を見に行くシーンの、ヌーベルバーグを思わせるようなナチュラルな>>続きを読む
精神を病んだ娘と、それをみずからの文学のために記録しようとする父親。
人間の抑えることのできない欲望とそれにともなう「罪」の意識。
そしてそれを「罰する/許す」ための「父/神」の不在。
ベルイマンが>>続きを読む
「信仰の偉大さ」というより「信仰の無力さ」というのは、ベルイマンが生涯をとおして追求したテーマだが、この『処女の泉』にもその片鱗がある。
異教徒たちのまえで、神の怒り、神への畏れというものが、いかに>>続きを読む
いまとなってはあまりに内容的には古臭く感じずにはいられない。
ジェームズ・ディーンの荒削りな魅力。
兄の恋人アブラを演じるジュリー・ハリスが、だんだんきれいになっていく不思議。
内容的にはいまとなっては古臭さを感じずにはいられないが、それでもやはり魅力があるのは俳優のちから。
若きマーロン・ブランドも素晴らしいが、神父を演じるカール・マルデンが熱い。
オードリー・ヘップバーンの「時分の花」たる最高傑作が『ローマの休日』だとすれば、こちらはオードリーの「誠の花」たる最高傑作。
デビュー当時よりも年齢をかさねて美しさに磨きがかかった不世出のスターの、女>>続きを読む
作品としては勧善懲悪の西部劇だが、それにとどまらないメッセージを持つ。
シェーンは街に秩序をもたらしたのち、みずからも街をさらなければならない。
秩序をもたらした暴力は、あくまでもその秩序の外にあら>>続きを読む
ジーン・ケリーの魅力にあふれたミュージカル映画の大傑作。
有名な雨中でテーマソングを歌うシーンのみならず、全編にわたってケリーの健康的な肉体の動き、愛嬌ある明るさ、その歌声に痺れるのみ。
サイレン>>続きを読む
無駄のない密度あるフィルムノワール。
淡々とした飾り気のない強盗シーン、有名な長回しの逃走シーンなど、のちのヌーベルバーグの諸作品を思わせる部分が満載。
終盤、白い霧のなかから顔が現れるのが白黒ス>>続きを読む
証人の未亡人と、彼女を護衛する刑事との列車ものサスペンス。
二転三転する展開に全体に娯楽映画としてふつうに楽しめるが、いまであればもう一転くらいはするなという印象。
いま観てもじゅうぶんに楽しめる、立て籠もり系サスペンス。
ジョン・ガーフィールド演じる立て籠もり犯が圧倒的に素晴らしい演技を見せる。
そんな怯える男に惹かれてしまう愚かな女を好演するシェリー・ウィン>>続きを読む
徹底的にクールにえがかれたフィルム・ノワール。
そんなに一部で絶賛されるほどの映画だろうかとも思うが、ラスト近くでジョン・ガーフィールドがそびえる石壁の大階段を駆け下りるシーンは圧倒的。
立ち向かっ>>続きを読む
オーソン・ウェルズの映画のなかでも、屈指の傑作。
ウェルズ自身のオセロがひじょうにリアリティのある素晴らしい演技を見せていること。
きわめて緻密に計算された構図、冒頭の葬礼シーンをはじめとする構成の>>続きを読む
チープな舞台セットと小道具による演劇を撮影したかのような異様なテイストの『マクベス』。
これを低予算だの、陳腐だのといった言葉でかたづけてしまうのはもったいない。
冒頭やラストで登場する、三人の魔女>>続きを読む
勝手に映画会社が編集したために無理な構成になっていると言われている曰くつきの作品。
だが、その変拍子的な展開も、この独特のサスペンスを損なってはいないように思われる。
オーソン・ウェルズの役者として>>続きを読む
オーソン・ウェルズ監督の前作『市民ケーン』にくらべると、ずいぶんとストーリー的にも映像的にも地味な印象。
そのぶん、冷徹な眼で没落する一家の推移をひじょうにていねいにえがいている。
後半はウェルズの>>続きを読む
オーソン・ウェルズの名前を映画史に刻んだ不滅の名作。
批評家たちに絶賛されたディープフォーカスなどの実験的な撮影テクニックの数々もさることながら、重曹的に「語られる」ことでケーンという人物を浮かびあ>>続きを読む
スクリーンに映し出されているのは墓づくりを行う子供たちだが、そこに「死へのリアリティ」をなくしてしまったすべての人々を重ねて見ずにはいられない。
戦争によって傷つけられたすべての心を癒やすべく作られた>>続きを読む
ジョン・フォード監督の最高傑作。
多民族国家アメリカのなかにある、普段は覆い隠されているなにかを、本作はむき出しにして見るものに突きつける。
その凄みにやられることは間違いないが、さまざまな可能性を>>続きを読む
フォードの監督に、ジョン・ウェイン、モーリン・オハラ、ヴィクター・マクラグレンと、揃いも揃った布陣である。
血の気の多いアイルランドの田舎町だが、ここには誰ひとりとして悪いやつはいない。
気持ちの良>>続きを読む
騎兵隊三部作の最後の一本。
西部劇だが、インディアンとの争いよりも、ジョン・ウェインとモーリン・オハラの夫婦関係をていねいにえがくことに中心をおいたドラマ。
ふたりのこころがしだいに通い合っていくさ>>続きを読む
フォード監督の騎兵隊三部作のひとつ。
西部劇にしてはめずらしくひとが殺されるシーンがないという特徴をもつ。
そのためかどこかのんびりとした明るさを始終感じさせる。
ジョン・ウェインもさすがの存在感>>続きを読む
フォードの騎兵隊三部作のうちのひとつ。
人間味あふれるヨーク大佐(ジョン・ウェイン)と、頑なな司令官サースデイ中佐(ヘンリー・フォンダ)のぶつかりあいが見ものの西部劇。
ジョン・フォードとしては異色作か。
メキシコにおいて、カトリック弾圧を逃れて国外へ脱出しようとする司祭をヘンリー・フォンダが演じる。
映画としてののりにくさは、ストーリーとして一本筋が通っていない>>続きを読む
ヘンリー・フォンダ演じるワイアット・アープ保安官を主人公にした西部劇。
西部劇にしては派手なアクションよりも、ていねいな画面のなかにドラマが作られているという印象が強い。
『荒野の決闘』という邦題>>続きを読む
ウェールズの炭鉱町を舞台に、労働者であるモーガン一家の人々をえがいたヒューマンドラマ。
貧しさのなかで誠実に生きることの大切さ、正直に生きることの難しさを見るものに語りかけてくれる。
搾取する資本家と>>続きを読む
ともすれば政治的なメッセージが前面に出すぎてしまいそうなテーマだが、そうならないのはフォード監督のたくみな画面づくりと、俳優たちのアンサンブルが見せる熱い人間ドラマがあるからだろう。
自分たちのちか>>続きを読む