Foufouさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)

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これは正しく眼差しの物語。

しかしそもそも映画とは、眼差しの運動そのものではないか。そういう意味で、本作は極めてプリミティブな映画であり、その起源を突いているともいえる。だからこそのオルフェウス神話
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アフター・ヤン(2021年製作の映画)

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静かな時間を欲して本作。

すると思いがけず冒頭にダンスシーン。みんなでそろってダンスって、ほんとセクシー。ヘイリー・ル・リチャードソンがキレキレで踊ってるの見てときめく私。嬉しい誤算。

chat
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アナイアレイション -全滅領域-(2017年製作の映画)

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annihilation を「アニヒレーション」と発音したら、したり顔して「アナイアレーション」でしょ、と苦笑する人間に一抹の嫌悪(憎悪)を感じずにはいられない、そんな私です。これだから英語は嫌いだと>>続きを読む

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022年製作の映画)

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ビブラニウムとは石油の比喩ですね。UAEやサウジの金満ぶりを尻目に世界(特に欧州)は脱炭素化に向けはやる。いっぽうで、排他的経済水域内での油田の開発にも余念がない、と。

いっぽう、十分すぎる油田や頁
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BECKY ベッキー(2020年製作の映画)

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可能性は感じます。

これはもう少しどうにかなった映画。子どもが相手となると、まぁ、どうしたって手心が加わるのはわかりますが。『ホームアローン』のね、スプラッター版と割り切って撮ればよかったんじゃない
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暗数殺人(2018年製作の映画)

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俳優の火花散るような演技合戦。それだけでもう素晴らしいですね。

海老蔵似の悪党の快演もさることながら、刑事役の抑えた演技が光る。ソンガンホほどの悪相ではなく、どことなく品があって、隙も見える。けして
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逃げた女(2019年製作の映画)

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意味深長なタイトル。

最後の最後で女は昔の男に会う。偶然かどうかは不明だが……。男は著名な作家らしい。テレビのインタビューでしかつめらしい顔して同じことを作家が語るのを、あれはやめたほうがいい、と諌
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キル・ボクスン(2023年製作の映画)

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長いですけどね。おもろいわー。マジで。韓国エンターテイメントのいいとこ取りしたような映画。『魔女』とか、あのあたりの系譜。でもこちらはシリアス一辺倒ではございません。

冒頭にファン・ジョンミンが名古
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クローゼット(2020年製作の映画)

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夜中に子どものはしゃぐ声を聞くというのはなんとも気持ち悪いものです。

西洋はどうでも、東洋では子どもは冥界に通じるとの認識があるのではないか。ほら、古来日本では幼名に◯◯丸なんてつけるじゃないですか
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モスル~ある SWAT 部隊の戦い~(2019年製作の映画)

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火薬の量はなかなかだし(一部CGかも)、ロケ地はじっさいに解放後のモスルなのか、廃墟と瓦礫の街が舞台というのはそれだけで迫力だし、出演者は皆アラブ系ないしはペルシャ系なのかな? 言語は終始アラビア語で>>続きを読む

トスカの接吻(1984年製作の映画)

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オペラに造詣が深いわけでもないのにこれを見たのは、ひとつはサブスクでの配信が3月末までだったのと、ごく個人的に400本目のレビューを飾るのに相応しいと思ったからで。

ドキュメンタリーというには躊躇わ
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アウトポスト(2020年製作の映画)

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主演スコット・イーストウッド。クリント・イーストウッドの息子さんですね。目元がお父様とよく似てらっしゃる。でも鼻が……。誠実な役柄を演じるには邪魔になるレベル。

五十名を超える部隊の、群像劇とは言わ
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ソイレント・グリーン(1973年製作の映画)

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主演はチャールトン・ヘストン。

全米ライフル協会会長として『ボウリング・フォー・コロンバイン』でマイケル・ムーアに槍玉に挙げられていた伝説の俳優です。そうした文脈で見たときの、この人が血まみれの手を
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

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歌舞伎です。

贔屓の役者がお約束の場面で見栄を切る。〇〇屋! と大向こう。これですよ。思えばトム・クルーズとともに年を刻んだようなもの。よくやるよと鼻白みながら(まだまだ脱ぎます)、最後の最後で拍手
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特攻大作戦(1967年製作の映画)

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いや、もう、こんなオモロイ映画あっていいのってくらいオモロイわ。

また俳優陣が豪華! チャールズ・ブロンソンにドナルド・サザーランド、そして若き日のジョン・カサベテス。いやはや、なんか、もうお腹いっ
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ベニスに死す(1971年製作の映画)

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トーマス・マンの原作のほうは、死と祝祭の描き方に圧倒された覚えがございます。原作では小説家だった主人公が、映画では音楽家になっている。教授、と呼ばれていますが、作曲家なのか理論家なのか、ちょっとわから>>続きを読む

名探偵登場(1976年製作の映画)

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東洋人は臭いとかまともに喋れないとか、聾唖者や盲人の扱いとか、ゲイのエピソードとか、今なら大問題になりかねない「ギャグ」もさることながら、おそらくポリコレ的に一番アウトなのはピーター・セラーズの支那人>>続きを読む

セイント・モード/狂信(2019年製作の映画)

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Maud(モード)はMathilda(マチルダ)の別称で、Mathilda はゲルマン語の「猛き戦士」に由来。Saint Maud は、だから「聖戦士」ということになる。たしかにこの映画で描かれるのは>>続きを読む

コンタクト(1997年製作の映画)

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ロバート・ゼメキスかぁ……となかなか手の出なかった作品です。択捉島にある基地がどうとかこうとかと聞いたことがあって、わざわざ北方領土を舞台にするとは、いずれ政治的な映画なんだろうと。しかしこれは解説者>>続きを読む

ザ・マミー(2017年製作の映画)

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このカタカナの題名には注意を要します。mammy なら「お母さん」ですし、mummyなら「ミイラ」。ホラーならどちらもありますね。「お母さん」のほうは、本来庇護者の最たる存在の母親がじつは化け物でした>>続きを読む

ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

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これはもう色々と言いたくなる映画ですね。3時間20分の長編ですが、台本はト書きだらけでセリフ全体は原稿用紙一枚にも満たないのではないか。

沈黙は、言葉を要求する。あるいは言葉が沈黙を埋めたがる。あた
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恋のドッグファイト(1991年製作の映画)

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あらすじや星数だけで見ることは滅多にありませんが、「ナンパされたはいいが、それはブス・コンテストだとのちに知ったヒロインは……」って、先が気になるじゃないですか。まず現代では撮れないであろうプロット。>>続きを読む

別れる決心(2022年製作の映画)

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パク・チャヌクの映画の持ち味ってなんだろうとふと思うわけです。

日本の漫画が原作の『オールド・ボーイ』がカンヌで受賞し、ハリウッドでもリメイクされ、大いに話題をさらった時期がございました。のちに復讐
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ちひろさん(2023年製作の映画)

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テレビをほとんど見ない私にとって、有村架純とはauのCMのかぐや姫でしかありませんでした。『窓辺にて』以来、また有名どころの起用かと見る前からちょっとかまえていたわけですが、まったくの杞憂でした。才能>>続きを読む

修道女(1966年製作の映画)

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先日『ベネデッタ』を見ましたので、こちらも。リヴェットを鑑賞する機会はなかなかないわけですが、彼を特集する尖ったサブスクが本邦には存在する。私にとっては文化村で見た『美しき諍い女』以来です。それもこれ>>続きを読む

レリック ー遺物ー(2020年製作の映画)

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中盤までどうなることかと思いましたが、いい意味で中盤からは世評通りでした。ちょっとしたアイデアですが、これぞ映画というか、絵的に面白いものが撮れていると思う。

私たちがもっとも恐怖するのは、当たり前
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

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今泉力哉氏がTwitterで、百億超という興行収入を期待される重圧を背負って(新海誠が)映画制作に臨んでいること自体がすごい、と書かれているのを見て、なるほどそういう見方もあるのかと思ったものです。>>続きを読む

ベネデッタ(2021年製作の映画)

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なんか凄いものを見てしまったわけなんですけど、ほとぼり冷めると、こんなこと書いてあれなんですけど、ヴィルジニー・エフィラのホトの匂いばかりが爪の間にこびりついている、となるような映画です。

ハリウッ
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シャドウプレイ 完全版(2018年製作の映画)

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まずこの映画を見ようと思った動機はいささか不純なもので、映画宣伝部の「天安門」云々の謳い文句に「おや」となった。

今の中国で映画は果たして「天安門」を描けるのか。描くとして、どう描くのか。また開放経
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

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もうね、始まって十分で私はノックアウトでした。

岸井ゆきののすっぴんの横顔のアップから始まって、あの年頃の女子には不似合いな殺風景な畳の部屋ですよね。畳に直に座りついて、折りたたみ式の一人用のテーブ
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ザ・ガンマン(2015年製作の映画)

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昨日見た『デンジャラス・ラン』でデンゼル・ワシントンがライアン・レイノルズに言ってましたよ、「特殊工作員が普通の恋愛をしようなんて思うなよ」って。まさに箴言です。ショーン・ペンも『デンジャラス…』をも>>続きを読む

デンジャラス・ラン(2012年製作の映画)

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この映画、トニー・スコットのオマージュなんじゃなかろうか。というくらいにカメラワークから画質から似ておりました。そこに我らが安定のデンゼル・ワシントンですからね。ますますトニー・スコットでございました>>続きを読む

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

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PádraicはPádraigで、聖パトリックはアイルランドにキリスト教を伝えた守護聖人のひとり。ColmはCalm(平穏)との類似を想像させるが、調べてみるとラテン語で鳩を意味するcolumbaから>>続きを読む

リトル・シングス(2021年製作の映画)

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安定のデンゼル・ワシントンと言いたいところですが、当たり前のことですがお年を召されました。体も作ってらっしゃらない。『イコライザー』はもう卒業なんですね……と思うとなんとも寂しい限り。

故あって刑事
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ネッド・ライフル(2014年製作の映画)

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「ヘンリー・フール」トリロジーのトリを飾る本作。哀愁と感傷を誘うBGMに終始泣かされます。思いつきで広げた話がとりあえず完結を見た、という感じではありますが、ところどころ、「わかるわかる」となります。>>続きを読む

ラスト・ムービースター(2017年製作の映画)

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バート・レイノルズといえば、私にとっては「キャノンボール」「ロンゲスト・ヤード」そして「ブギー・ナイツ」でございます。いや、特に彼がどんな俳優だったか知らなくとも、本作の要諦は誰にもわかりますでしょう>>続きを読む