Foufouさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

ヒッチハイカーKAI:手斧のヒーロー、その光と影(2023年製作の映画)

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カリスマと異常者は紙一重、あるいはほとんどカリスマは異常者なのではないかと勘ぐりたくなるようなお話。メディアの責任とか、そういう次元ではないですね。ちょっとエキセントリックな好青年が、実は犯罪者予備軍>>続きを読む

21ブリッジ(2019年製作の映画)

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マンハッタンとは周囲21の橋によって連絡する島なんですね。島であるとはさすがに知ってましたが、東側のハーレム側にかかる橋が15本なのに対し、西側ハドソン川にかかる橋は1本のみ。残り5本は北方のイースト>>続きを読む

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

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久しぶりにエキサイトいたしました。『リコリスピザ』を見て打ち震えるのとはわけが違います。もっとこれは直截的な興奮。ネッシーが捕獲されたと聞いて高揚するのに近いでしょうか。

映画についていくらpeda
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神々の山嶺(2021年製作の映画)

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夢枕獏原作、谷口ジロー漫画化。でこれをフランス人監督がアニメーション映画にしたと。フランス人による日本漫画への期待値は本邦のそれを遥かに凌ぐのではないか。アングレーム国際漫画賞では楳図かずおの『わたし>>続きを読む

スランバーランド(2022年製作の映画)

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思ってたのと違いました。
単なる冒険活劇ファンタジーではありません。

監督のセンスが光ります。質感にこだわる監督は……の、アレですね。

ご都合主義的……といえばそうなんですけど、そこをセンスで乗り
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ホワイト・ノイズ(2022年製作の映画)

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まさかの『ドントルックアップ』系。今般のウイルス騒動のカリカチュアライズ。ヒトラーへの愛憎半ばする感情ってのは、西洋人インテリの典型的なパラドックスてなわけか。

まぁ、惹かれるのはわからないでもない
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ナイブズ・アウト:グラス・オニオン(2022年製作の映画)

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前作のほうが断然良いよ。

ミステリーファンには肩透かしものです。安楽椅子の探偵、とまではいかないにしても、あのダニエル・クレイグが老いを隠さずアクションからすっかり身を引いて、頭脳で勝負するキャラク
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アウトサイダー(2016年製作の映画)

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ドイツのアクション映画とは珍しいと思って視聴。

いや、こうすればいいのに、と一々視聴者がイラつく演出、というか脚本。まずは救急車をちょっと遠くに動かしなさいよ、と。起爆装置の電波が届かなければいいだ
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ポーラー・エクスプレス(2004年製作の映画)

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クリス・ヴァン・オールズバーク原作『急行「北極号」』が村上春樹の翻訳で書店に並んでおりました。日本でどのくらい馴染みの児童書かわかりませんが、寡聞にして小生未読。欧米では古くから子どもたちに読み継がれ>>続きを読む

アンナの出会い(1978年製作の映画)

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英国映画協会なるものが12月1日付で発表したThe Greatest Films of All Time が話題だそうで、十年ぶりの更新らしいが、1位に輝いたのがシャンタル・アケルマン監督の『ブリュッ>>続きを読む

THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

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さすがに176分は長過ぎる。好きな人は内容如何によらず、というところがあるから、長ければ長いほどいい、ということなのかもしれないが。……と客を選ぶと思いきや、しっかり13+の設計。この辺に中途半端さが>>続きを読む

妖怪大戦争 ガーディアンズ(2021年製作の映画)

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なんともまたウエットな作品でございました。「妖怪とは鎮魂なり」という真理に行きついた模様です。そして、雲間から三人の白い束帯姿の男たちが現れて、篳篥と笛と笙を奏で、それに合わせて妖怪たちが合唱する……>>続きを読む

睡蓮の人(2003年製作の映画)

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16分のストップモーション作品。これはまた! というくらい雑、というか端的にいうと汚いパペットのお出ましです。粘土で作られてるんですかね、わざとにしても、なかなか凄まじい。まぁ、ああいう年寄りも居なく>>続きを読む

AVA/エヴァ(2020年製作の映画)

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あまり評判のよろしくない本作ですが、まぁ、私は楽しめました。

ジェシカ・チャステインの肉体が、どうしても喧嘩映えしないんですよね。同じ小柄でも、スカーレット・ヨハンソンなんか、アクションをやり遂げて
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オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

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これはもう、見る人によってさまざまな感想が口にされる映画でしょう。なにも難しい映画ではない。ふたりの旧友が、二日がかりで森の温泉を訪う、ただそれだけのお話。

出産を控える妻となんとも気まずい感じの優
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ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

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ガソリンスタンドに付属する洗車機ありますよね。あれ、みなさんもお好きなんじゃないかしら。わたしも好きです。で、あれやってもらってるとき、運転席に座りながら、映画みたいだなあって、いつも思うんです。わた>>続きを読む

ギレルモ・デル・トロのピノッキオ(2022年製作の映画)

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原作は19世紀後半ですから、ファシスト政権下の物語として描かれる本作は、名実ともにデル・トロ版ピノキオということになりましょう。原作のどこをどう変えたかは、そのまま作家性を顕すことにもなる。

時代背
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メランコリック(2018年製作の映画)

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一本映画を見終えて、さぁ、寝ようかな、と思いつつなんとなく見ていたら、これが止まらなくなりました。これ、大変な傑作ではありませんか? 脚本も監督がご自身で書いておられる。漫画原作を疑ってしまいました。>>続きを読む

教授とわたし、そして映画(2010年製作の映画)

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またまたまたまた三角関係です。
ただ、本作では、見目麗しい若い女子をめぐる、若い男(既婚)と、その上長にあたる初老の男(既婚)の物語。しかも後半の視点人物は女子。うん、これは男の鑑賞者なら、どちらの立
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聖なる証(2022年製作の映画)

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たしかにこれは傑作。
このように考え抜かれた脚本は、そうあるものではないでしょう。

なぜ私たちが物語を欲するのか、なぜ物語がなくてはならないのか、いざ説明を求められると答えに窮するような問いですが、
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カンウォンドの恋(1998年製作の映画)

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ホン・サンスの劇場公開2作目にあたるとのこと。38歳の作品です。現在の彼の作品からすると、思わず吹き出しかねない演出は鳴りをひそめ、同じ恋愛劇、不倫劇でも、シリアスで基調は誠に暗い。

酔い過ぎて、管
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リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

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道沿いにレールを敷いてですね、そこにカメラを据えて、人物が歩道や通路を行き来するのに合わせて、スーッとカメラを横へスライドさせる。

このように撮られた映画のシーンに、もうどれだけわたしたちは心をつか
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グリーン・ナイト(2021年製作の映画)

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クリスマスにもってこいの映画ではありませんか。

キリスト教の復活思想と、ドルイドを代表とする土着信仰の再生(=緑)思想とが相まって、またとない愛の物語が展開します。

人生とは、何をもって生きるに値
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漁港の肉子ちゃん(2021年製作の映画)

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冒頭の肉子ちゃんの人生振り返るモンタージュで、作家志望の男と彼女が付き合うシーンがあって、その男の机上に『回転扉』が置かれていて、ちょっとビックリしたと。なんかあるのかな、と思って、牛に引かれて善光寺>>続きを読む

女と男のいる舗道(1962年製作の映画)

3.2

どこを取ってもカットが決まっている。つまりどこを切り取ってもポスターにして飾れてしまう。

ということは、逆にいうとポスターにするに足る絵の連続で構成された映画ということになり、やはりすごいなぁ、と惚
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ハハハ(2010年製作の映画)

4.0

舞台は統営(トンヨン)市。釜山からさらに南へ行った島嶼地なんですね。風景が、同緯度にある対馬や五島列島に酷似します。李舜臣が豊臣軍を迎撃した要塞都市であるようで、朝鮮民族の英雄筆頭たる李舜臣に因んだ史>>続きを読む

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

1.0

そんなにテレビシリーズとは馴染みがないんですけど、「ウルトラマンごっこ」はそれなりにやった記憶がございます。

私は戦うのが嫌いで、お気に入りはアトラスでした。あの、非力な感じと、左太ももに巻かれた足
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つみきのいえ(2008年製作の映画)

4.5

ショートアニメーションの模範のような作品。セリフなし。表象だけで一人の男の人生を語ってみせる。

やはり短さは、ポエティックなものへと収斂していくのでしょうね。長大な何かの部分を切り取る、という発想も
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彼女と彼女の猫 -Everything Flows-(2016年製作の映画)

2.0

母親のキャラ設定がもう無理。それに合わせたかのように、声優の声がまた耳障り。笑い声なんか、ちょっと聞いてられない。


お話については……。

まぁ、ペットはいつか死ぬ。ペットじゃない、家族だ、と言っ
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鬼灯さん家のアネキ(2014年製作の映画)

5.0

傑作。
以上。
あとは見るべし、でレビューなんて終えていい映画です。

いや、もう、見終えて顔がグシャグシャ。隣の妻もダンマリで、やがて鼻を啜る音が。

人を好きになる、がどういうことか、今泉力哉流に
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ローマでアモーレ(2012年製作の映画)

3.8

ウディ・アレンの新作を年一で見る。なんて寅さん的恒例化は高齢化につき不可能となったわけか。

それともMeToo運動の打撃がやはり大きいのか。あのMeTooもなんだったのかね。アメリカが騒げば日本も騒
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言の葉の庭(2013年製作の映画)

2.5

高校生を美化する、というのがこの国の文化の一端にはあるようで、あれはなんなのか。ことアニメのヒット作というのはこの基本線をいまだ忠実になぞる感あり。

本作の主人公は女子高生ではなく男子校生だから、そ
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サッドティー(2013年製作の映画)

4.0

今泉力哉監督と青柳文子氏の本作についてのインタビューがネットで閲覧できます。

今泉映画には茶がよく出てくる、というご友人との会話から、「寂茶」というワードが浮かんで、それではタイトルとして渋過ぎるか
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窓辺にて(2022年製作の映画)

3.0

万難を排して見に行って参りました。すっかり出不精になりましたけど、久しぶりの遠出です。立冬です。こんなにワクワクしたのも久しぶり。11時に街でブランチして、いざ開演。

相変わらず、俳優たちがみな綺麗
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こっぴどい猫(2012年製作の映画)

5.0

今日から新作『窓辺にて』公開です。

万難を排して観に行こうと思っております。どんなに忙しくても、この映画を観に行くのに忙しいから、とほかのすべてをうっちゃらかす覚悟。

しかし今泉力哉という監督はほ
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恐怖(1961年製作の映画)

4.0

思いがけず良質のサスペンス映画に出くわしました。いたずらに音楽で盛り上げたりしないところもいい。セットや小道具も細部まで神経が行き届いているし、カットも決まっている。古典的名作の一つとしてもっと顕揚さ>>続きを読む