ガルベスさんの映画レビュー・感想・評価

ガルベス

ガルベス

正義の行方(2024年製作の映画)

4.2

1992年に福岡県飯塚市で2人の女児が殺害された事件の、現在に至るまでの顛末を映したドキュメンタリー映画。

犯人と目された人物が死刑判決を受けてからわずか2年という異例の早さで刑が実行。
だが、罪を
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

3.6

主人公とヤクザが初めて邂逅してからのタイトルバックが秀逸。

キャスティングが絶妙だし、監督特有の脱力感や思春期の学生が醸し出すボンクラっぷりのリアルさなどいちいち達者。

とは言え、笑いのテイストが
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マエストロ:その音楽と愛と(2023年製作の映画)

3.5

レナード・バーンスタインの半生を描いた作品。

揺らがぬ名声を手に入れたが、世間体を保ちながら秘めたるセクシャリティを解放することがなかなか叶わず、妻との関係の軋轢が描かれるなど思いのほかビターな味わ
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辰巳(2023年製作の映画)

4.2

「ケンとカズ」の小路紘史監督の8年ぶりの新作。

裏稼業に従事する主人公の身に巻き起こった些細なトラブルが一大事に発展していくミニマムなストーリーなのだが、すこぶる面白い。

堅気でない面々の荒ぶる顔
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マンティコア 怪物(2022年製作の映画)

3.6

モラルに反する欲望を抱えるゲームデザイナーが他者の身に害を及ぼさない範囲で解消していたのだが、ボーイッシュな異性と出会い親密になっていく。

一般的とされる欲望をなぞろうとするも馴染めず、違った形で満
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ゴジラxコング 新たなる帝国(2024年製作の映画)

3.6

〈sio〉の鳥羽周作シェフが提唱する、ペヤングの焼きそばに松屋の牛皿を乗せマヨネーズをぶっかけるやつを先日食べたのだが、そんな感じのジャンクな作品。

パワーアップしたコングがジャンボ鶴田化し、ゴジラ
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キングオージャーVSキョウリュウジャー(2024年製作の映画)

-

二本立ての二本目。
どちらの戦隊も全く知らないので、どう観て良いのか分からなかったが、空蝉丸というキャラクターの挙動がひたすら空回りし続けていて笑えた。

飯豊まりえが戦隊モノに出演したことを初めて知
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キングオージャーVSドンブラザーズ(2024年製作の映画)

-

完全に「ドンブラザーズ」目当て。
「王様戦隊キングオージャー」がファンタジー的な世界観なので水と油かと思いきや、全員が死んで一つの世界で一緒になるという突飛な設定。

バトル中に「ドンブラザーズ」の主
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青春(2023年製作の映画)

3.8

中国の農村部出身の出稼ぎ労働者の若者が、子供服を仕立てる零細企業に住み込み働く様を描いたドキュメンタリー映画。

表向きは目覚ましい発展を遂げる中国とは言っても国民の全てに金銭的な潤いをカバーできてい
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コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

3.9

恋人と旅行に行くはずがドタキャンされ、一人でモスクワへ向かうフィンランド人女性が失意の最中に寝台列車で粗野なロシア人男性と同室となる。

ガサツでデリカシーのない男性の振る舞いに憤慨するのだが、接する
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.1

子供時代に互いに確かな恋心を抱いていた二人だったが、女性の家族の海外移住に伴い離れ離れに。
12年後にオンラインにて再会を果たし、やはりかけがえのない存在であったことを体感するのだが…自身のその先のキ
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アイアンクロー(2023年製作の映画)

4.0

プロレス界の〝呪われた一家”エリックファミリーの道程を描いたA24製作の実話映画。

「鉄の爪」の異名を取る名レスラー フリッツ・フォン・エリックは、息子達に最高峰のベルトであるNWA世界ヘビー級王座
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インフィニティ・プール(2023年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

スランプに陥っている小説家と資産家の娘である妻が、リゾート地へバカンスに訪れる。
そこで出会ったひと組の夫婦と交流することである事態に巻き込まれ…。

ブランドン・クローネンバーグ監督、父親譲りの狂気
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TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

3.5

SNSでバズった降霊の儀式に軽い気持ちで参加してみたら、ホントにヤバい憑依のされ方に遭い泥沼に陥っていく様が描かれていた。

亡くなった母が降霊し不可解な死の真相を知ろうとするも、親友一家との間に亀裂
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RHEINGOLD ラインゴールド(2022年製作の映画)

4.2

クルド系として迫害を受けドイツに亡命し、幼少期から作曲家の父から音楽の教育を授かるも離婚により困窮に立たされグレていく主人公。
音楽の道に夢を抱くも、ボクサーから喧嘩指南を受けて過剰な復讐をしたり悪事
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.7

あのシーンに関しては得も言われぬ凄まじき驚異を見せつけてくれてさすがはノーランと思わされたのだが、一方でどうしても被爆の側として観ざるを得ないのでモヤモヤ感は拭えず。
主人公が良心の呵責に苛まれるし、
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オオカミの家(2018年製作の映画)

-

アリ・アスターも言っているけどヤン・シュヴァンクマイエルやクエイ兄弟の世界観を思い起こすのだが、独自性も感じられた。

U-NEXTのミニ解説番組を見たので、チリの歴史的背景が作品に込められていたこと
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コンフィデンシャル:国際共助捜査(2021年製作の映画)

3.8

韓国側の刑事(ユ・ヘジン)の義妹役のイム・ユナが「EXIT イグジット」と同様に天才的なコメディエンヌぶりを発揮。
反面、彼女の出番が多くなったり第三極のFBIイケメンが絡むことで韓国と北朝鮮の凸凹コ
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12日の殺人(2022年製作の映画)

3.6

惨たらしい殺され方をした若い女性の事件を追う殺人捜査班の犯人探しの右往左往を描いた作品。

あの手この手を駆使して真相を解き明かそうとするのだが、ゴールが見えたと思いきや振り出しに戻されさらなるぬかる
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ビニールハウス(2022年製作の映画)

4.2

不本意ながらも息子と離れてビニールハウスで暮らす女性が、盲目の老人と認知症の妻を訪問介護する職を得て資金を稼ごうとするのだがある事態に見舞われ、運命があらぬ方向へと向かっていく。

ハードモードな状況
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.0

ストーリー的には色々端折っているのかあまりノれなかったが、中性的なシャラメが本作では神格化されたカリスマ性を帯びていて新境地。

比較的地味めで暗がりの世界観やデザインが好みで、特に終盤のバトルシーン
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マルセル 靴をはいた小さな貝(2021年製作の映画)

3.6

現実の生き物として貝のマルセルを被写体としたドキュメンタリーを製作する様をストップモーションアニメと実写を掛け合わせた離れ業で見せてくれる唯一無二の世界観。

かつては賑やかだった家もある出来事から仲
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アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

3.8

才能はあるもののプライドが高く売れるまでにはいたらない黒人作家が、私生活で思うに任せない事態に見舞われ続ける。
やけくそな心境で、これまでのスタイルを壊した黒人のステレオタイプを徹底させた作風の本を書
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梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

4.2

盲目の鍼医が、その腕前を買われ宮廷での職を得る。
病の弟を養うために仕事に精を出すのだがある事件に巻き込まれ…。

窮地に追い込まれてからは常に緊張感が持続し、秘密が明かされていくことで物語に推進力が
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幻滅(2021年製作の映画)

4.0

詩人を夢見、青雲の志と純粋な恋心を抱いてパリに移り住む青年だったが、階級差や生々しい現実に直面することで、やさぐれ街道を爆進していく作品。

復讐心や嫉妬心をバネに如何ともしがたい壁を乗り越えようとし
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.0

思いのほか冗長で前半は睡魔に襲われ、ラスト付近もぼんやりとした印象だったが、ある局面に関しては震えるほどに素晴らしかった。

機能不全に陥り完全に破綻した関係をこれでもかと見せつけられ、その真実を知っ
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犯罪都市 NO WAY OUT(2023年製作の映画)

3.9

清々しく拳で悪党を成敗していくマ・ドンソクの魅力が最も伝わるシリーズの三作目。

ドンソクに振り回される小物の使い方が絶妙で、暴力シーンは多々あるのだが緩急が効いていてお見事。

それぞれの思惑が交錯
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マダム・ウェブ(2024年製作の映画)

3.5

MCU系作品として観たら地味に映るし多くのファンが期待するものからは外れているのだろうけど、個々の強さはなくとも連帯することで困難を乗り越えていくドラマ性、母から娘、そしてその先の未来へと意志が継がれ>>続きを読む

コカイン・ベア(2023年製作の映画)

3.6

数百万ドル相当のコカインを飛行機で密輸する際にミスって野に放ってしまい、それを口にした熊がコカイン中毒になる。

普通に盛大なグロ描写もあるのだが、人を餌にするという以上にコカインを欲していて、ついで
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ダム・マネー ウォール街を狙え!(2023年製作の映画)

3.8

社会の裏街道を歩まざるを得なかった主人公が、間隙を縫った挙動を取ることから生じた出来事をきっかけに、金融資本主義のエリートらを相手に乾坤一擲の大勝負に出る実話映画。

ごく一部の勝ち組によるマネーゲー
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

アリ・アスター監督が本来持つホラー的資質をコメディ方面にシフトさせていて、個人的には過去作以上に好み。

主人公に片時も安寧させる暇を与えない不条理なノンストップ無間地獄を見せつけられ飽きることなく堪
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ソウルに帰る(2022年製作の映画)

3.6

韓国で生まれるも養子縁組によりフランスで育てられた主人公が、25歳となって母国に渡り生みの親を探し求める。

韓国の風習からは逸脱した型破りな振る舞いをしてしまうのだが、ルーツが不明なアイデンティティ
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.5

社会一般なるものの価値観と相容れない特性を持つがゆえに苦しんできた男女二人が、互いのそれを知ることで緩やかなれど支え合い、自分達なりの居所を見出していく作品。

適合しなければいけないと思い込んでいた
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苦い涙(2022年製作の映画)

3.3

ファスビンダー監督の元の作品は未見。

中年の映画監督が一人の若き青年を見初め恋に落ちるのだが、段々と青年が増長。

金や名声はあっても惚れた側が振り回され、周囲に感情を爆発させるシーンが見せ場。
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その鼓動に耳をあてよ(2023年製作の映画)

4.1

〝断らない救急”をモットーに誰しもを受け入れる愛知県の病院の救命救急センター(ER)の日々の営みを追った東海テレビのドキュメンタリーの劇場版。

飛び降り自殺を図った男性やオーバードーズで搬送された女
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.0

蘇生の前も後も男性原理に支配されていた女性(エマ・ストーン)が、既成の価値基準を疑いひとまず体験してからフィードバックしつつ自分なりの知性を獲得していく様は、支離滅裂どころか極めて聡明。

ポール・バ
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