じょうだいさんの映画独白さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

じょうだいさんの映画独白

じょうだいさんの映画独白

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パプリカ(2006年製作の映画)

5.0

90分の奇天烈快楽映像集。それをさらに押し上げるのは奇天烈脳破壊ポエム。夢が現実に入り込み、心が映画に鷲掴みにされ、夢を投げ出した男の周囲を夢が高速回転。

誰にも侵されぬ聖域が陵辱の限りを尽くされ、
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ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022年製作の映画)

4.2

ティ・チャラとして、チャドウィック・ボーズマン亡き後の物語。これはもはや何も言うまい。戸惑いと怒りの国家任侠騒動。未来志向の妹による素晴らしい継承の覚悟。

RHCPのCan't Stopが本作で起用
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ジョン・ウィック(2014年製作の映画)

4.8

キアヌ・リーヴスのガンフーが見所であることはわかっている。そこが企画の出発点かもしれない。

しかしこの感情は抑えられない。これは大いなるメッセージだ。ありのまま受け入れるんだ。正直に、素直に受け取る
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おおかみこどもの雨と雪(2012年製作の映画)

4.5

細田守アニメで一番好き。

オオカミ人間というファンタジーの整合性は置いておこう。シングルマザーが子供2人に孤 孤軍奮闘する前半。雨と雪がオオカミとしての本能が人間として生きていく枷になり始める後半。
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

5.0

瞬き厳禁のまごう事なき傑作。

無駄なシーンが一瞬もない。手際よく金持ち一家に寄生する貧乏一家。そのまま転落していく様もまた早い。

娯楽作として2時間楽しませ、それだけでは終わらない重しを飲み込ませ
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インセプション(2010年製作の映画)

5.0

ノーラン映画で1本誰かに勧めるなら間違いなくコレ。

夢泥棒プロフェッショナルたちが不可能なミッションに挑む。だからこそ、プロフェッショナルといえどギリギリの状況めあたふたしながら綱渡りをこなしていく
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グリーン・ナイト(2021年製作の映画)

4.3

ロードオブザリングのフロド様に匹敵するダメ主人公。皆の前でいいカッコしたばかりに、緑の騎士の首を切り落として変な呪いを受ける。サムのような献身的お供もなく、彼の孤独な旅が始まる。

これは仕組まれた運
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ある男(2022年製作の映画)

4.5

監督作にハズレなし。盲目的にならざるを得ない傑作の数々。愚行録→蜂蜜と遠雷→Arcと作品規模を着実に広げていった中で、狭い物語に回帰した本作。それは世間であり裁量であり視野。

もしも違う人生を歩めた
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コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

4.2

劇場で最初見たときは、家族の問題が解決しきっていないのでもやもやした。でも多分2回目見たら手のひら返すんだろうな、と思っていた。

かなり早い段階でAmazon Primeにきたので2回目の鑑賞。そし
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天気の子(2019年製作の映画)

4.2

新海アニメの中では一番好き。

前作で売れ線のかぎりを尽くし、本作では行きすぎたところを修正して、大衆性と作家性のチューニングがうまくいっている。

着地は賛否あるらしいが、完全ハッピーエンドよりは残
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花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

4.0

世間の反応に比べて、共感する部分はあまりない。しかし2人だけの世界も、2人対世界も興味が尽きない。

まるでデートになってない映画の後の
「またして欲しいことがあったら言ってね」

思ってたのと違うプ
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そして、バトンは渡された(2021年製作の映画)

3.8

いい話し過ぎるのと、驚きの展開がまるで驚きではないのでもっと観客を信用してほしい。

レビュー動画
https://youtu.be/ziqwo4tLfD8

母性(2022年製作の映画)

3.8

告白、贖罪、少女。湊かなえ原作の映像化は嫌でも期待してしまう。

しかし色々と頑張ってはいるものの、満を持しての実写化というよりも、どうしても「湊かなえブランド」に頼らざるを得ないという雰囲気を感じて
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夜、鳥たちが啼く(2022年製作の映画)

4.6

城定秀夫×松本まりかだけであとは耳を塞いで鑑賞必須だったが、山田裕貴×高田亮という才能が加味する事で、セリフもダウナーっぷりもマイナスが加速して映画を見ている喜びの空気が充満する至福。

R-15的な
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ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド ゾンビの誕生(1968年製作の映画)

4.0

今日まで続くゾンビ映画の原点。基本プロットはこの時既に完成している。一体のゾンビの出現が日常を絶望に陥れ、どこからともなく無数のゾンビに囲まれ、建物に孤立する。逃げ道を失った人間が同士討ちを始める。本>>続きを読む

月子(2017年製作の映画)

4.1

ドライブマイカー、エルピスの三浦透子が自閉症の女の子を演じ、ひたすらそれに振り回される映画。付き合う義理もないはずなのに目的地になかなか進まない中、ひたすら周囲の目が冷たい。帰る場所を失い、桃源郷を目>>続きを読む

ドレミファ娘の血は騒ぐ(1985年製作の映画)

3.8

アマプラに黒沢清監督の初期作が数本入った。平和ボケゆえの苦悩、もしくはわざわざ苦悩を作り出し、それを口実にモラトリアムの謳歌と消化に勤しむ学生たち。しかし彼らは、考えを止める前の最後の世代かもしれない>>続きを読む

カイジ ファイナルゲーム(2020年製作の映画)

3.0

2020年東京オリンピック開催後に日本は完全に終わる。その描写があまりにも極端で、当時言われていた「庶民の感覚」を鵜呑みにしたディストピアにリアリティなど皆無。自分の身から出た錆に後悔しながら戦うテー>>続きを読む

祈りの幕が下りる時(2017年製作の映画)

4.7

ドラマの完結編とは知らずに視聴。ガリレオシリーズ同様、これ単体で成立する物語。

福澤克雄監督は、テレビ的な演出過剰な部分が多い中「ここだけは絶対に譲らん」という聖域のようなシーンがあり、そこだけは圧
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弱虫ペダル(2020年製作の映画)

3.0

弱虫ペダルは感動ものではあるけど、その感動じゃないぞと言いたくなるようなスロー演出とピアノ。原作にある「風で身をすり減らして前へ進むタッチ」が映像にはなく、あれを実写で表現するのはかなり難しいのだが、>>続きを読む

カイジ2 人生奪回ゲーム(2011年製作の映画)

3.2

重い腰を上げて2を見たら、意外と背骨はしっかりしている。しかし隅から隅まであらゆる手段で実況するので頭を使わずに見れてカイジを見てる感覚は皆無。相手のイカサマも気付いていながら脳筋絶叫ゴリ押しなのはど>>続きを読む

ベルファスト(2021年製作の映画)

4.3

現代ベルファストから回想に移行することで微かな舞台性を帯びる。幼心から見る暴力の恐怖と、幼心ゆえに見えなかった大人が抱えた宿命。身体性の臨場感と、モノを隔てた心の不可侵領域。窓の隙間を覗き込むようにケ>>続きを読む

アバター(2009年製作の映画)

5.0

10数年ぶりに見たけど、クッソおもろいやないか。当時はあらゆる映像作品の集大成で、それを3Dという次の映像表現に繋いでいく感じ。ぐらいにしか思ってなかった(森がFF過ぎる)。しかしそんなチンケなもんで>>続きを読む

テリファー(2016年製作の映画)

3.0

ピエロってのはダメな奴なんですよ。そんな奴が殺人とかそういう側面ではしっかり仕事ができる描写が苦手というか許せないというか。こういうキャラでピエロ造形はな〜。殺されたんだから死ねよと。ハロウィンもそう>>続きを読む

私は貝になりたい(2008年製作の映画)

4.5

ラストの名演説は日本映画史上の宝。ゲストキャラが「オメェかよ」と突っ込みたくなるが、あまりにも完璧な仕事をして去っていく背中に圧倒される。全体的に映像と音楽の明暗がわかりやす過ぎてもったいない気がして>>続きを読む

箪笥<たんす>(2003年製作の映画)

4.3

Jホラーが全盛期を過ぎ、続いてるシリーズはコメディ調になっていく中、愚直にコピーし続けた韓国ホラーがここに一つの傑作を吐き出した。日本人が忘れてしまったあの濁った湿度が充満している。ほぼ家一軒で話しが>>続きを読む

そこのみにて光輝く(2013年製作の映画)

5.0

汚れれば汚れるほど味が出る綾野剛・菅田将暉・池脇千鶴。濃厚な旨み成分と塩コショウだけで絶品に仕上がってる。閉塞感漂う田舎のへばりつく暑さ。その風土がその土地の人間を作り上げるのか。逃げも隠れもしないが>>続きを読む

シンドラーのリスト(1993年製作の映画)

4.8

より良い戦争映画とは、全人類が一度は見るべきだと痛感し、自分は二度と見たくないと切願するもの。そして主人公の個人的な思いの吐露が反戦と直結する狭い「演説」にある。

ホロコーストのユダヤ人虐殺を3時間
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音楽(2019年製作の映画)

4.5

神作画とは一線を画するなんじゃこれクオリティ。しかしそれは音楽がぶっ壊すべき平坦で退屈な日常そのものであり、終盤の躍動を引き立てるための振り。規範も気品もない混沌から心打つ慟哭が主旋律となり、雑音はや>>続きを読む

老後の資金がありません!(2020年製作の映画)

4.8

あまりにもクソ過ぎる現実はこれぐらいふざけ倒さないとやってられないこの状況、クソ過ぎる。コメディ映画の表現としてトップクラスにブチ切れてるので周り回って裏返って最高過ぎる着地。実はめっちゃよく出来てる>>続きを読む

黄泉がえり(2002年製作の映画)

4.2

2000年代のセンスを凝縮したような映画。クライマックスで笑ってしまった。その飛び道具は誰も文句言えない強者の矛すぎる。日本って「今は亡き愛する人との再会」ネタ大好きだなぁ。あの事件がなければけいちょ>>続きを読む

ファースト・マン(2018年製作の映画)

4.6

デイミアン・チャゼルが描く人類史上初の月面着陸の裏側。

死を覚悟した過酷な訓練と打ち上げ実験。しかし主人公はむしろ死にに行ってる。

一向に成果の出ない政策に怒る民衆。税金を貧困に使えとライムする。
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ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)

4.2

つい最近シンドラーのリストを見て、向こう数年は戦争映画は見たくないと思っていたのに「こいつがあったわー」と鑑賞不可避。

目を背けたいシベリア抑留の実話。予想外な事は起こらない。しかし、予想通りの展開
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ドリームガールズ(2006年製作の映画)

4.5

60年代アメリカの黒人と白人の埋まらない溝が日本人にも深く突き刺さる描写。ビヨンセネキのレスバしても勝てる気がしない圧。アメリカンドリームとノブレスオブリージュ。牽引する者、守る者、去る者、そして4人>>続きを読む

グッバイ・クルエル・ワールド(2022年製作の映画)

3.6

悪い奴ほどよく眠る。狂った世界で必死に生きる中で、仁義すら通せなくなる醜い人間模様。アウトレイジビヨンドの終盤をじっくり見せられているような、戦闘とは程遠い処理の連続。逃げても逃げても最果てはない。地>>続きを読む