おおなりさんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

おおなり

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神曲(1991年製作の映画)

3.5

ベートーヴェン《悲愴》と共に始められ、シーンのひとつとしてのピアノの演奏と人間の声によって神や宗教や哲学が語られる。動きの少ないカメラで映す難解な会話劇はある種のベルイマンの手法に通じるものがある。>>続きを読む

続・黄金の七人/レインボー作戦(1966年製作の映画)

4.0

全体的にわちゃわちゃしすぎている。それにしても、緊張と緩和の繰り返し、陽気な強盗団は子気味良い。ロッサナ・ポデスタは峰不二子。

黄金の七人(1965年製作の映画)

4.4

知略の限りを尽くした強盗団による金塊奪取の流れは、素敵な音楽も相まって愉快と緊張の連続。金庫の床に空けた穴からボロボロと金塊が落ちてくる様子は、夢のような幸福感がある。
せっかく盗んだ金塊をポンコツな
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哀しみのトリスターナ(1970年製作の映画)

3.6

愛とか人間関係とかのひねくれ方にブニュエルが詰まっている!

ブルジョワジーの秘かな愉しみ(1972年製作の映画)

3.5

カットとカットの面白いつなぎ方が散見。コント的な要素も散見。ズームやトラヴェリング多め。デルフイーヌ・セイリグのこと髪型好きだ。

皆殺しの天使(1962年製作の映画)

3.7

閉じ込められた部屋から脱出するために全員で協力をしないと…と言いつつも、人間のエゴを爆発させるブニュエル。
サスペンス風の設定と演出をしてもブニュエル的なタッチが強すぎてサスペンスになりきらないブニュ
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小間使の日記(1963年製作の映画)

3.1

これはジャンヌ・モローの映画であって、別にブニュエルである必要性はないと思う。脚フェチイメージは出てくんだけど…

非情の罠(1955年製作の映画)

3.5

荒削りだけどたしかに光るキューブリックの映像センス

ヒロシマモナムール/二十四時間の情事(1959年製作の映画)

3.0

アラン・レネ的な、全てがレネによって作り出された虚構のような撮り方(『去年、マリエンパートで』と同じ)はこの映画の持ち味なのだが、男女の恋愛会話劇に広島の原爆が利用されている感が否めないのは、僕が広島>>続きを読む

フェリーニのローマ(1972年製作の映画)

3.7

ストーリーに一貫性ははない。フェリーニのやりたい放題がオムニバスのように詰め込まれている。愉快愉快。
劇場でのショーと観客のヤジの応報がいかにも喜劇的。
ラストのバイク集団目線での異動撮影、エットーレ
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サテリコン(1969年製作の映画)

3.5

いつの時代も宗教と美術は密接に関係しているように、フェリーニの壮大な美術と宗教が強く結びつく。
別に面白くはないけれど、全ての映画的要素を芸術性に注ぎ込んだような大作映画。

恐怖と欲望(1953年製作の映画)

4.0

人が死ぬシーンのヒッチコック・サスペンス的なモンタージュ、映画の古典的な高等テクニックがすばらしいキューブリックの長編第1作。

いかだの上にて単騎、複数の敵と撃ち合う兵士は、備中高松城攻めの和睦の証
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マドモアゼル a Go Go(1973年製作の映画)

4.3

4人のマドモワゼルたちのキュートな強盗ドタバタ喜劇。迫真カーチェイスの間にもギャグを入れてるくの好きだよ。ジェーン・バーキンもゲンズブールも好きだよ。

無防備都市(1945年製作の映画)

4.3

「戦後の映画史はこの作品から始まった」と山田宏一に言わしめ、イングリッド・バーグマンのハリウッドでの地位や名声を捨ててまでロッセリーニの元へ旅立たせるほど魅了し、それによってヒッチコックを憤慨させた作>>続きを読む

憧れのハワイ航路(1950年製作の映画)

2.5

齋藤寅次郎×美空ひばり(子供時代)の映画は『東京キッド』の方がおもしろい。

超絶ビブラート

東京キッド(1950年製作の映画)

4.0

ティーネイジャー美空ひばりの貫禄
家族愛の物語と痛快茶番喜劇

日曜日が待ち遠しい!(1982年製作の映画)

4.0

トリュフォーの映画はたくさん観たけど、ヒッチコック・サスペンス的なショットとか、トリュフォーらしい脚とか、軽快なシーンとか、ロマンスとか、色々詰まっていて集大成的遺作。
人差し指だけでタイプする秘書候
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恋愛日記(1977年製作の映画)

3.5

女たらしの男が幾人もの女性との関係を赤裸々に語るアンリ・ピエール・ロシェの『手帖』に通ずる物語。
女性を愛するトリュフォーの脚フェチが惜しみなく発揮される。

暗くなるまでこの恋を(1969年製作の映画)

4.0

船着場で待つベルモンドの期待に反してなかなか降りてこないブロンドのドヌーヴ、その様子を黒髪女性ばかり移して表現するのがおもしろい。

冒頭にジャン・ルノワールへの献辞が見られるように、『大いなる幻影』
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野性の少年(1969年製作の映画)

4.6

野生児だった子供が訓練によって知性と理性を備え、人間らしさを持ったヴィクトルになってゆく。子供を愛するトリュフォーだから撮れた映画。

ロウソクの火を照明にするのは、『バリー・リンドン』(スタンリー・
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スローガン(1968年製作の映画)

3.2

前衛的な芸術映画を撮ろうという気概がプンプン。ゲンズブールとジェーン・バーキンを見るための映画。ジャンヌ・モローのLPが出てきた。

ナック(1965年製作の映画)

4.5

カット割りが多くテンポが良い喜劇ドラマ。

なかなか車が止まってくれない横断歩道で、服の中にモノを詰め、妊婦のフリをして車を止め、更には荷物まで運ばせる。フランク・キャプラ『或る夜の物語』やゴダールの
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ラ・パロマ(1974年製作の映画)

4.5

黒を基調とした室内のシーンと白を基調とした屋外のシーンが繰り返され、明と暗、静と動、閉塞感と開放感が交互に訪れる。

女を埋葬するシーンが印象的。男が同席者の中で、遺体を切り刻む者を募る。オークション
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リリオム(1934年製作の映画)

3.4

長くてだらだらしてるけど面白い。ハンコをなかなか押せない場面が2度繰り返される。
リリオムの死後、天国の場面はメリエスの『月世界旅行』のよう。

結婚哲学(1924年製作の映画)

3.5

狭い人間関係の中で、それぞれの思惑が交差し、時に互いに人間関係を壊し合う。
軽快でテンポが良い。

PASSION(2008年製作の映画)

4.7

冒頭3組のカップルによる食事シーンは顔面に寄ったカットが多めで、細かい目線の移動や些細な表情の動きを確実に拾い、その後に露わになる人間関係の不安定さを暗示している。男女の人間関係が不安定に揺れる物語は>>続きを読む

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

4.3

『フレンチ・ディスパッチ』誌の記事をそのままオムニバス形式で、けれど雑誌としての一貫性を持った、映画のような雑誌のような映画。テンポよく映像は切り替わり、幾何学的で等速直線運動的なカメラの縦横移動によ>>続きを読む

グレースと公爵(2001年製作の映画)

4.1

広い範囲を俯瞰するように固定されたフレームで切り取られる絵画の背景の中を人々が歩き回る屋外の映像、「自然さ」にこだわるロメールがこんな劇みたいな、非現実的な映像を撮った所以は?

O侯爵夫人(1975年製作の映画)

3.5

同じ時期に、同じ撮影監督ネストル・アルメンドロスによって撮られた、「時代もの」という同じジャンルにトリュフォーの『アデルの恋の物語』があるけれど、「暗く落ち着いた色調で描かれる『アデルの恋の物語』に対>>続きを読む

ザ・フォッグ(1980年製作の映画)

3.5

死人が生き返るゾンビ映画(?)はアメリカ的なものであり、海に不穏が訪れる演出はロバート・エガース『ライトハウス』に多かれ少なかれ引き継がれているものがある気がする。

ジョン・カーペンターの視覚的イメ
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透明人間(1992年製作の映画)

4.5

中に浮かぶ帽子や受話器、拳銃や衣服など…の見えるものを使うことで、見えない透明人間を表現する手法のすばらしさ。
ジョン・カーペンターの映画は物語さながら、視覚的なイメージが独創的で鮮やかだ。

ゼイリブ(1988年製作の映画)

3.5

ボロボロになっても殴り続ける2人、思わず「まだやんのかい」

アメリカ的なシナリオとアメリカ的なイメージ

天国はまだ遠い(2015年製作の映画)

3.5

幽霊が見える/見えないの中で憑依する設定でもチープにならないのは濱口的な語りのすばらしさ。

永遠に君を愛す(2009年製作の映画)

4.3

結婚式当日の朝から結婚式が終わるまでの新郎新婦の心情の移り変わりを描く。自宅の机の上にある結婚届け(新郎の印鑑しか押されていない)を移すカットを入れることで、新婦の迷いを暗示させるのは見事な濱口のテク>>続きを読む

何食わぬ顔(2003年製作の映画)

4.0

8mmフィルムの荒い映像で語られる97分、映画を撮る前半と、その映画が丸ごと組み込まれる後半による2部構成。
暗闇に4つの白い塊(3つのワイシャツと1つのサッカーボール)が浮かび上がるシーンが印象的。
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