人間さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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街をぶっ飛ばせ(1968年製作の映画)

3.0

躁鬱的映画。13分という短尺に台詞もなくてこの満足感。アルケマンの原点は気狂いピエロらしいですがそれに影響を受けているのが伝わってきますし、後のジャンヌ・ディエルマン〜にも繋がる作品だと感じました。

シュトロツェクの不思議な旅(1977年製作の映画)

4.5

ベルリンの刑務所を出所したばかりのブルーノは、新たな人生をスタートさせるために娼婦のエーファと隣人のシャイツ老人と共にアメリカへ渡るが……
ジョイ・ディヴィジョンのイアン・カーティスが亡くなる直前に観
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あの胸にもういちど(1968年製作の映画)

3.0

新妻が愛人に会うためバイクを飛ばす話。
信頼できない語り手とは少し違うかもしれませんが、ずっと彼女の独白で話が進むので何が現実で何が妄想なのか分からなくなる感覚が面白かったです。ただストーリーは薄くラ
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緑の光線(1986年製作の映画)

4.0

緑の光線とは、夕陽が沈み切る直前に太陽の弧が緑色に光ったように見える現象。
ロメール監督はどうしてこんなに等身大のリアルな女性を描くのが上手いんだろう。
私自身恋愛に関してはあまり興味はありませんが、
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SF核戦争後の未来・スレッズ(1984年製作の映画)

4.0

198x年の英国北部。ルースと彼氏のジミーは婚約前にルースの妊娠が発覚したことで結婚について前向きに検討していた。一方、アメリカとソ連の中東危機から発端した核戦争に英国も巻き込まれていく。
戦争が始ま
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アンナと過ごした4日間(2008年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

中年男性が一人の女性に倒錯する話。「仕立て屋の恋」や「愛に関する短いフィルム」などを連想させる覗き系……いや、不法侵入系恋愛映画。
同監督作だと「早春」を彷彿とさせるような内容でしたが、若さ故の痛々し
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田舎司祭の日記(1950年製作の映画)

3.5

田舎に赴任してきた司祭が村人たちから悪意を向けられる、冷淡で陰鬱な映画。
ブレッソン独自のスタイルが確立する以前の作品のようなので、かなり演技ぽかったり音楽が流れ続けていたりと意外にも普遍的な作品だっ
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薔薇の葬列(1969年製作の映画)

4.0

本作はいわゆるアングラ作品やアバンギャルドな世界観に憧れを抱いていた中学生時代にとても観たかった一本なのですが、月日は流れ令和6年になってようやく観ることができました。
めちゃくちゃ面白い〜。確かに実
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パッション(1982年製作の映画)

3.5

映画製作は工場労働だ!労働は愛だ!快楽だ!
この作品を通してゴダールが伝えたいことの半分も私は理解できていないと思いますが、面白かったです。絵画を映画にするというということでセットも豪華で美しく、撮影
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殿方ご免遊ばせ(1957年製作の映画)

3.0

大統領の一人娘ブリジットは秘書官のミシェルに夢中。ひょんなことから二人は結婚するも、ミシェルはいろんな女性と浮気。彼を嫉妬させるためにブリジットも浮気を試みる。
この映画をわざわざレンタルして観る人(
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ドラキュラ/デメテル号最期の航海(2023年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

古典ホラー小説「吸血鬼ドラキュラ」の第7章「デメテル号船長の航海日誌」に脚色を加え映像化した作品。
従来のドラキュラ伯爵のイメージを覆す描写は斬新でしたが、あまりにもビジュアルが獣的すぎて(本編でも獣
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満月の夜(1984年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

主演のパスカル・オジェの腕が今にも折れそうなくらい細くて本編よりそれがとても心に残りました。
大切なものを大切にしなかった結果、全て失ってしまう。真冬の街並みから感じる肌寒さがラストシーンの切なさを一
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摩天楼(1949年製作の映画)

3.5

個人主義を貫く建築家が、信念を曲げ社会に奉仕するよう圧力をかけてくるお偉いさん、マスメディアに踊らされる大衆、集団主義に抗う話。
おそらくクリエイターが最もぶつかるであろう問題を取り扱った作品でした。
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MEG ザ・モンスターズ2(2023年製作の映画)

3.0

前半の深海でのシーンが若干退屈でウトウトしてしまいましたが、ラストのアクションシーンは迫力があってとても良かったです。
恐竜とかタコとかいろいろ出てきて、MEGシリーズってサメ映画だと思っていたんです
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ザカリーに捧ぐ(2008年製作の映画)

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アンドリューという医師が殺された。殺人の容疑者である女の腹には彼との子供(ザカリー)が宿っていた。アンドリューの幼馴染であるカート・ケニーは、ザカリーに父親の思い出を残すためにカメラを手に取る。
いや
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フォロー・ミー(1972年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

上流階級出身で偏った結婚観に囚われている会計士のチャールズ、夫を愛する反面その煌びやかな生活に息苦しさを感じる元ヒッピーのベリンダ、そして陽気な私立探偵を交えた大人の恋愛ドラマ。
なんてチャーミングな
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ホット・ロック(1971年製作の映画)

3.5

盗んだダイヤが無い!犯罪のプロフェッショナル4人組が起こすドタバタケイパー映画。
全体的にゆるりとした雰囲気は今の気分に合っていたため結構好きでした。しかしクライム映画特有のハラハラ感は少なく、じゃあ
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レネットとミラベル/四つの冒険(1986年製作の映画)

4.0

素朴な田舎娘のレネットと都会育ちの少女ミラベルが自転車のパンクをきっかけに出会い織りなす四つの物語。
めちゃくちゃ面白い〜。この温度感一生観ていられそう。
ささやかな日常の中での冒険。性格も考え方も正
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友情(1974年製作の映画)

4.5

それぞれ悩みを抱え空虚な日々を過ごす三人の中年男性の友情を描いた人間ドラマ。直球すぎる邦題も良いのですが、原題(Vincent, François, Paul… et les autres)がすごく好>>続きを読む

セリーヌとジュリーは舟でゆく(1974年製作の映画)

4.0

しかし、翌日の朝……
やりたい放題、視聴者置いてけぼりの190分。大人のおとぎ話。ギャグの円環の理。
流石に長え〜と思ったけど全編見終わると削るところないな……と感じます。前半あたりかなり難解でしたが
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魔術師(1958年製作の映画)

3.5

魔術師の一座と彼らのトリックを暴きたい役人たちの群像劇。原題のAnsiktetは顔という意味らしいですが、観終わるとしっくりきます。
あらすじを読んでコメディだと思っていたのですが、やはりベルイマンの
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サテリコン(1969年製作の映画)

3.0

古代ローマの変態たちが酒池肉林の限りを尽くすインモラル映画。
澄み切った青空の下で繰り広げられる地獄絵図。画のインパクトが強すぎてストーリーが全く頭に入ってこなくてすごい。途中からもう訳分からなくなっ
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ローラーとバイオリン(1960年製作の映画)

4.5

バイオリン弾きの少年とローラー乗りの青年の友情を描いた作品。
大学の卒業制作でこのクオリティを叩き出すのかーすごいなー。普通に今まで観たタルコフスキー作品で一番好きかもしれない。結局私はわかりやすい話
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私はゾンビと歩いた!(1943年製作の映画)

3.0

40年代のゾンビ映画。ゾンビといえばドロドロの腐乱死体…というイメージですが、本作は「生ける屍」というブードゥー教のルーツに基づいた本来の意味でのゾンビが描かれていて、ゾンビ映画ながらゴシックホラーの>>続きを読む

シュヴァンクマイエルのキメラ的世界(2001年製作の映画)

3.5

シュルレアリストの芸術家、ヤン・シュヴァンクマイエルとその妻エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァーに迫るドキュメンタリー。
ドキュメンタリーというより作品のメイキングに近いような感じでした。
直近でオテサ
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ありふれた事件(1992年製作の映画)

4.0

殺人鬼を追うモキュメンタリー。
まさにタイトル通りなんてことのない、日常の一コマのように殺人を犯すベン。饒舌で博識かつお茶目さも窺える彼の性格がなんだか憎めない。過程は雑ですがそんな彼に魅了されクルー
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夜歩く男(1948年製作の映画)

3.5

警官殺しの男とその犯人を追うロサンゼルス警察の攻防を描いたフィルムノワール。実話ベースだそうです。
約80分かつシンプルなストーリーで手軽に観られるのが良いです。
終盤の下水道での捜査のシーンが良すぎ
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ジャバウォッキー(1971年製作の映画)

4.0

ヤン・シュヴァンクマイエル短編集「ジャバウォッキー」収録作品。
不思議の国のアリスに登場するジャバウォックの詩の朗読から始まるダークファンタジー。
短編集の最後を飾るのは6編の中で最もシュヴァンクマイ
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オトラントの城(1973年製作の映画)

3.0

ヤン・シュヴァンクマイエル短編集「ジャバウォッキー」収録作品。
元祖ゴシックホラー「オトラント城奇譚」に登場する城を探索し続ける学者をインタビューするモキュメンタリーと、物語の挿絵が動くアニメーション
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庭園(1968年製作の映画)

4.0

ヤン・シュヴァンクマイエル短編集「ジャバウォッキー」収録作品。
友人の自宅に招かれた主人公は、そこで人間で造られた”生垣”を目撃する。
シュヴァンクマイエルの完全実写映画。面白い。はじめに”生垣”が目
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家での静かな一週間(1969年製作の映画)

3.5

ヤン・シュヴァンクマイエル短編集「ジャバウォッキー」収録作品。
ある男が扉に穴を開け、その中を覗き見るルーティンを一週間繰り返す話。
扉の内側で繰り広げらている狂気的な生活と常に漂う静寂の対比が不気味
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J.S.バッハ G線上の幻想(1965年製作の映画)

3.0

ヤン・シュヴァンクマイエル短編集「ジャバウォッキー」収録作品。
バッハの音楽に合わせて古びた壁に穴が開く様子や扉が開く様子などが幻想的に映し出される。
やばい、全然わからん……と思っていたら脚本なしの
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シュヴァルツェヴァルト氏とエドガル氏の最後のトリック(1964年製作の映画)

3.5

ヤン・シュヴァンクマイエル短編集「ジャバウォッキー」収録作品。
二人の手品師がそれぞれ手品を出し合う。
なんとこれがデビュー作だそうで。その頃から唯一無二の作風が確立していますね。
作品自体はコメディ
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ザ・ショック(1976年製作の映画)

3.0

ドーラは息子マルコと再婚相手のブルーノと共に7年前に死んだ元夫と住んでいた屋敷に引っ越して来るも、マルコの性格が豹変し……というお家系小ガキホラー。
まさに70年代ホラーだ!というようなプログレBGM
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ルナシー(2005年製作の映画)

4.0

母親の死以来激しい幻覚に苛まれる青年ジャンが、母の葬儀の帰りに謎の侯爵と出会いなんやかんやあって”療法”のために精神病院に入院する話。
シュヴァンクマイエル作品は「アリス」「オテサーネク」「ファウスト
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ゲルニカの木(1975年製作の映画)

4.0

スペイン内戦時。ファシスト軍によってゲルニカという村が襲撃され、次はラミロ村が狙われていた。ゲルニカからラミロ村に脱してきたバンダールという女性の鼓舞により、村人たちは自由を求め武器を手に取るが……>>続きを読む