PERSPECTIVEさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

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クリスティーン(1983年製作の映画)

3.8

カーペンター作品の中では可もなく不可もなくの立ち位置。

化け物車とそれに見せられ狂う運転手というクローネンバーグだったら感情移入モリモリにしかねないストーリーをあくまで観客目線を維持して冷徹に綴り、
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パラダイム(1987年製作の映画)

3.7

何かが始まるぞ!とぞわぞわしていたらいつの間にか終わっていた。

現実の学問を超越した悪の証明という形で実験設備を組み立てるところは観ていて楽しかったが、よくよく考えたらそれエクソシストでやってたわ。
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シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

スクリーンと客席で「ウルトラマンが好き」という告白をし合っているだけ。

それがどうした?

いいえ、どうもいたしません(どうでもいい)。

よく言えば観客を信頼した、悪く言えば独創性0の脚本(ピー音
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空に聞く(2018年製作の映画)

5.0

東日本大震災の被災地、様々な人々の声を空に放ったラジオの記録映画。

73分という短尺の中に我々の思考を誘導する語りや文字は一切なく、ただ復興の過程と有象無象の人々の生きざまが静かに、それでいて確かな
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ウォッチメン アルティメット・カット版(2009年製作の映画)

4.5

自分自身すら満足に救済できないロクデナシが他人や世の中を救おうとヒーローに。

バッドエンドしか作れないジョークである。

Vフォー・ヴェンデッタ(2005年製作の映画)

4.0

ディストピアを潰すのはガン=カタを極めたヒーローであってもらいたいが、実際にはもっと過激なディストピアなのかもしれない。

THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

3.0

白河の清きに魚も棲みかねて
もとの濁りの田沼恋しき

ミステリー映画を名乗るには探偵にやさし過ぎ

ヒーローアクション映画を通すには登場人物の動きが不安定すぎる(フィルムノワールから効率性をなくすな)
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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

4.9

役者、アスペクト比、色彩、字幕のレイアウト...画面に映っているものすべてにまんべんなくこだわり、それら培ってきた情熱やアートが死や別れであっけなく消えるムナシサを覚悟しつつ何が何でも前を向き続ける。>>続きを読む

犬ヶ島(2018年製作の映画)

3.5

フレンチ・ディスパッチの目くるめくフランス愛を見せられた後だとこの人の日本愛なんてのは"ああ、こんなもんか..."と思う程度にしか見えない悲しみ。
日本語吹替で突然出てくる細野さん以上の面白みがない。

グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

4.4

往年のニューウェーブがオーケストラアレンジで帰ってきた!

笑ってる暇なんてないぞ。何も考えずに次の場面に期待せよ。

ムーンライズ・キングダム(2012年製作の映画)

4.0

「マクドーマンドおばさんと不倫してるブルース・ウィリス」というなんとも言い難い設定のみ教えられて見たのだが、実際に見てみるとそんな汚さを感じさせない少年のようなブルース・ウィリスを見てしまった...>>続きを読む

ダージリン急行(2007年製作の映画)

4.5

画面外からの飛び道具にあふれた前半と一転して画面内をじっくり見せる後半のコントラストが見事。

傷や死の描写の強烈さに感情を浸らせつつ、ラストの"オーシャンゼリゼ"で見事に流されてってくださいな。

ライフ・アクアティック(2004年製作の映画)

5.0

最強にポップかつ最凶にハードコア。なんでもござれのニューウェーブ。

面白すぎて、人にはすすめられません。

ザ・ロイヤル・テネンバウムズ(2001年製作の映画)

3.2

そりゃ並大抵の映画よか面白いよ?

でもウェスアンダーソン作品として考えるとワーストの出来では...

これまで善悪問わず骨太な役で輝いていたジーン・ハックマンにはああも骨のない小物はあまりにも似合っ
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Ribbon(2021年製作の映画)

4.5

おもたい、それでいて地に足がつかない感情。留めようとするたびに傷つき、答えが分かっていても器用に足が動かないこのもどかしさによくぞ立ち向かった。

前作「おちをつけなんせ」では力を必要以上に入れ過ぎて
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おちをつけなんせ(2019年製作の映画)

3.6

猪口才なテクニックなしに直感的にワンショットワンショットをキめる瞬発力と、反比例的に欠乏したスタミナをごまかす繋ぎと切りの暴力的な連鎖。

のんの天才性と彼女ですら手に余る映画という器の大きさを再確認
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ヒロシマモナムール/二十四時間の情事(1959年製作の映画)

4.6

戦争という消し去りたい記憶
青春という消し去れない記憶

両方を同時に持ってしまったものの苦しみ

ただ反戦というよりよっぽど戦争の存在を語る秀作。

スズさん 昭和の家事と家族の物語(2021年製作の映画)

1.4

昭和を家事で生き抜いてきたスズさんが実際に家事をしている各シーンの強烈な雄弁さと、それを作品の1,2割しか使わずに退屈かつ的外れな戦争語りで埋め尽くす映像作者の無能さには舌を巻いた。

最後の一文しか
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マクベス(2021年製作の映画)

4.6

「シェイクスピア」、「ドイツ表現主義」というパワーワーズの前に平身低頭して作っているようで、ちょっとした描写にコーエンの映画でしか味わえない成分を混ぜる巧みさよ。

とりわけマクベスのいる空間からカメ
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マクベス(1948年製作の映画)

4.0

代り映えしない風景に退屈することもあったが、ところどころに見せるショットの強さと物語を進めているのではなく仕組まれた演劇をただ実行しているような虚無感(冒頭とラストの悪魔の描写のサンドイッチが見事)は>>続きを読む

蜘蛛巣城(1957年製作の映画)

3.6

ここから二つのマクベスを鑑賞したのだが、戦の扱いや忠義や友情といった日本人的なツボをうまく落とし込められていてとても話が分かりやすかった。つまり「日本人限定」マクベス入門には最適なのかも。

終始目が
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偶然と想像(2021年製作の映画)

3.9

意味のない猥談、移入を拒む空間、理解を超えた言動。

偶然の一言で簡単に済ませたくなる、耐えがたいイライラ。

しかし想像するのだ。最後にはイライラは快感に変わる。

この身勝手な交信が映画でも現でも
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寝ても覚めても(2018年製作の映画)

3.7

とにかく人間に対する解像度が高すぎる。

そしてそれ以外の空間描写に力が入っていなさすぎる。

ドライブマイカーでは後者はぎりぎりごまかして前者だけに集中できたが、ここでは両者ともに全開。恍惚するか窒
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エターナルズ(2021年製作の映画)

4.0

冒頭からラストまで巨大な存在をばかばかしさナシに大真面目に見せきる監督の空間描写力のデカさには脱帽もの。ノマドランドの時は見くびった発言をしていたことをここに謝罪します。
反面これまでのお約束をかなり
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SAYONARA AMERICA(2021年製作の映画)

4.0

一昨年の"NO SMOKING"の感想にて
「昔の細野さんを追うより今の細野さん見てる方が面白くね?」
と書いたのだが、それを改めて確認。やっぱナウが一番よろしい。

前半は観客のインタビューで歌かき
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ハロウィン KILLS(2021年製作の映画)

4.6

エイリアンやら悪魔のいけにえやら70年代ホラーのスクラップブックと化してて「これ(ハロウィン要素)いる?面白かったけどさぁ...」な感じだった前作から一転、「なぜ"John Carpenter's"が>>続きを読む

クライ・マッチョ(2021年製作の映画)

5.0

日頃の行いは間違いなく悪いのだが、東京国際映画祭の当日券を残りあと2枚というところで買えてしまったのだ。人生最大の快挙である。

予告編を見たときから「これで最後かもしれん」という思いが頭から離れず、
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グラン・トリノ(2008年製作の映画)

5.0

自由という伝統。しきたりという伝統。

真逆でも同じ伝統から疎外された2人の男が出会ったときに現れる希望と絶望。そこから見えてくるのは人間への” 諦め”と”明らめ”。

イーストウッドの憎たらしいまで
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チェンジリング(2008年製作の映画)

5.0

イーストウッドの監督作でナンバー1は何ですか?と聞かれたら、多分これを答えるのかなあ。

ワンショットワンショットのダークぶりと展開のヘヴィさの相乗効果は作品としての切れ味や緊張感を限界まで引き上げて
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センチメンタル・アドベンチャー(1982年製作の映画)

4.8

クリント・イーストウッドはアクションではなく、人間ドラマの監督である。このことを痛感させる一本。ブルース・サーティスの映す美しき闇に、カウボーイになってしまった彼の音楽への野望が見えてくる気がする(そ>>続きを読む

ガントレット(1977年製作の映画)

5.0

冗談のような物量の銃撃戦や、いかにもサスペンス!としたヘリとバイクのチェイスよりも、クリント・イーストウッド×ソンドラ・ロックの極悪不倫コンビによるペーソスたっぷりな恋愛劇の方が破壊的だという事実。>>続きを読む

続・夕陽のガンマン/地獄の決斗(1966年製作の映画)

5.0

銃撃、戦争、砂漠、脱出、友情、兄弟愛、駆引、技巧、洒落...男女間の恋愛を除けば映画が面白くなる要素全部入っているのでは?と思える贅沢ぶり。

3時間という長尺すら短く思えてしまう重量の見事な配分ぶり
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夕陽のガンマン(1965年製作の映画)

4.9

ラストの決斗シーンの瞬間最大風速はドル箱三部作中一番だと思っている。

決斗直後のやりとりも椿三十郎へのリスペクトをカッコよく見せている。

とはいえそこにたどり着くまでがややまどろっこしかったという
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椿三十郎(1962年製作の映画)

4.3

黒澤明、90分で面白さがスタミナ切れする説を推していきたい。

荒野の用心棒(1964年製作の映画)

5.0

ダイナマイトの爆風が去った時、そこにいたのはまごうことなき神だった。

オリジナルと比べるとやや無茶ぶりが激しいがワンシーンごとの比重やメリハリはこちらの方が効いてると思う(人質交換の時の母親の描写を
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