mikuさんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

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私、君、彼、彼女(1974年製作の映画)

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くたびれた袋にスプーンを突っ込んで砂糖を食べ続ける女の狂気。射精させてもらったあと聞いてもねえことを話し続ける男。やることやったらさっさと帰る女。置き手紙のひとつもせずに、約束通りに。女だからってセッ>>続きを読む

ベルイマン島にて(2021年製作の映画)

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大好き。美しいフォーレ島を自転車で駆け抜ける。キラキラな水面を、この風景を、ずっと見ていられるだけでもしあわせ。「グッバイ・ファーストラブ」の帰着。忘れられない初恋の終わらせ方的なむず痒い劇中劇と、自>>続きを読む

アネット(2021年製作の映画)

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笑わせること=殺すこと。笑いを強要する男は、その笑いを有害な男性性から導き出そうとする故にひとつも笑えない。独りよがりで哀れな男。愛するものがなく、未来永劫手に入らない。収監されて時間だけを空費する生>>続きを読む

正しい日 間違えた日(2015年製作の映画)

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コーヒーを飲もうのごり押し男と、コーヒーを買ってくるの一点張り女(いいから家にあるお茶淹れろ)。お酒を飲み始めるとキムミニがいつキレだすかそわそわしてしまう。包み隠さずに本音で語り合えば、心が通じ合う>>続きを読む

浮草(1959年製作の映画)

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浮草物語は鑑賞済み。働かないを撮る。芸人たちが酒ばかり飲んだり海岸で駄弁ったり、全然稽古も何もしないで怠けてるのがちょっと良いよね。若尾文子が船の前に立つショットの美しさ。小津作品の中でも最もハッとし>>続きを読む

ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ(1975年製作の映画)

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ゴミとか虫とか食べたものを口から出すとか、不潔なものの羅列で出来てる。ジェーンバーキンが繰り返し絶叫するのが下品で可哀想でいやだった。あんなに叫ばれても続けられるって、相当耳が悪いんでしょうか。そのあ>>続きを読む

真夜中の刑事/PYTHON357(1976年製作の映画)

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一番はじめの、時計がニつ並んで置いてあるショットからして心奪われる。からのパイソン357がどーん!そのあとは弾を作っていく映像がぬるぬると続く。こういう、何かを作っていく過程をじっくり映した映像って好>>続きを読む

彼岸花(1958年製作の映画)

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田中絹代と佐分利信が芦ノ湖のほとりで思い出話をする映画はこれです。珍々軒とルナの再びの登場。明治の男オブ男、頑固お父さんの佐分利信も、なんだかんだと女性陣に転がされちゃってるのがかわいい。だって人生は>>続きを読む

宗方姉妹(1950年製作の映画)

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制作会社が違うってだけでこんなに違ってしまうの?!田中絹代さまがこちらに振り返る動きの妙なドラマチックさ。まりちゃんが舌をぺろっと出すかどうか笠智衆がしつこく言うの。まりちゃんに品のない台詞言わせるの>>続きを読む

湖のランスロ(1974年製作の映画)

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ロマンティシズムの一切の排除。死に対する空虚さ。神も何もない。無機質に甲冑や蹄の音がかちゃかちゃと鳴り続けるのが心地よい。音が心地よい割に、鑑賞中に眠ってしまわなかった方のブレッソンです。終盤、ただ鳥>>続きを読む

はなればなれに(1964年製作の映画)

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誰も見ていないところでさえ、わざわざ手信号を出すオディール。ラッキーストライク以外の煙草を断るオディール。これほどまでにアンナカリーナをかわいく撮れる人は他にはいない。アンナカリーナとゴダールの関係が>>続きを読む

東京暮色(1957年製作の映画)

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いよいよ原節子が紀子じゃない。「良いところに来ちゃったな」のn回目の登場。映画のなかの煙草を吸う女子の中でもかなり上位に入る、頬杖つきながら陰鬱に煙草を吸う有馬稲子。いつも着ているコートもかわいい。妻>>続きを読む

ハズバンズ(1970年製作の映画)

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濱口竜介監督がこの映画に多大な影響を受けているからという、逆引き的な映画の見方をした。強烈なミソジニーを全身に喰らったみたいだ。愛していると言いながら妻を言いなりにさせる、ロンドンで引っ掛けた女たちへ>>続きを読む

四月物語(1998年製作の映画)

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引っ越しを手伝おうとして邪魔をする、家の中に収まりきらない荷物を送る、他人の都合も聞かず待たせる、他人が家に来てるのにいつまでも電話を切らない。いい人なのかもしれないけど、私には世間知らずのトロい人間>>続きを読む

ノロワ(1976年製作の映画)

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これはパリじゃないだけでなく、全然女の子たちがきゃっきゃしない方のリヴェットでした。そもそも西部劇だと言っておいて、出てくるのが海賊とは。定義がでたらめ。攻略法のわからないクソゲーみたいな感じだった。>>続きを読む

デュエル(1976年製作の映画)

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めちゃくちゃ面白いと眠いの共存だった。結局わたしはリヴェットが描くパリの街と、そこできゃっきゃする女の子たちが好きだったのかもしれない。映るのは水族館とかホテルとか賭博場ばかりで、そのどれもが素敵な場>>続きを読む

フランスの思い出(1987年製作の映画)

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知らないおじさんに脅されながら来た家で、真っ先に見たのがうさぎの皮剥ぎだなんて、わたしなら恐怖で泣く。田舎って嫌いだ。些細なことでいちいちお節介。ここでも死と性ばかりが話題で、否が応でも目に入る。そん>>続きを読む

秘密の子供(1979年製作の映画)

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人と人がいっしょにいるのにこんなにも冷えきっていることが伝わってくる。音もなくヒリヒリとした妙な静けさの中で、私は微睡みに誘われてしまった。電気ショックを与えるときのあの無音だけが、妙に頭にこびりつい>>続きを読む

最高殊勲夫人(1959年製作の映画)

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オープニングクレジットの時点で傑作が約束されていた。オフィスビルの壁に映し出される文字のかわいさよ。結末はあのかわいいジャケットを見た時点でわかりきっているので、若尾文子と川口浩がはいはいお似合いです>>続きを読む

メリー・ゴー・ラウンド(1981年製作の映画)

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ホテルに呼び出された男と女。待ち人は現れず、タバコなんか吸いながら互いのことを探りあっていくあたりまではわくわくしたのだけど、あっさり彼女は見つかって、そのあと新たな謎が次々吹っかけられていく内にどう>>続きを読む

他人の顔(1966年製作の映画)

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爆発事故で顔に大火傷を負った男が、特殊素材で作ったマスク「他人の顔」と対峙する。主の目的は人間としての尊厳の回復なんてものではなく、拒絶された妻を誘惑することにある。他人の顔を手に入れたって、ついには>>続きを読む

くじけないで手紙を書いた(2011年製作の映画)

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歌人の枡野浩一さんの一日。第一に枡野さんの話す間が心地よくて、彼そのものが歌なんだと勝手に感じていた。一日の物語だって言ってるのに二日かけて撮影してるし、家は別の人の家だし、嘘も本当もごちゃ混ぜで。カ>>続きを読む

遠くの水(2014年製作の映画)

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脚本という脚本はなく、役者たちの特技を並べて繋げたものだとか。杉田監督の作品のなかでは兎角写真を撮りたがる。カレーを食べたあとに、もう会うことないよって話しながら写真を撮る。記念写真=別れの法則だなん>>続きを読む

セブンス・コンチネント(1989年製作の映画)

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洗車が怖い映画。顔は映さない、手を映す。絵を描く、魚に餌をやる、平手打ちをする、お腹を掻くなどなど。執拗な手の描写。感情は外から見てとれず、ただ動作だけが映し出されていく。なんでそんなことしたの?とい>>続きを読む

東京兄妹(1995年製作の映画)

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豆腐=生娘という概念。鍋を持って豆腐を買いに行ったり、隣のおばちゃんが「お醤油貸して」って現れたりするの、さすがに昭和へのしがみつきが過ぎる。かと思えば、カメラの現像の店に勤めているという設定が非常に>>続きを読む

ひとつの歌(2011年製作の映画)

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語らない映画。冒頭いつまでも台詞がない。余白がたっぷりな分、どのようにでも受け取っていいという懐の大きさを感じつつ。物語を自ら掴み取らなきゃならないと躍起になって疲れちゃうって意見に理解できたりもする>>続きを読む

早春(1956年製作の映画)

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しょうがねえからうどんを食う会と実家のおでん屋。登場するたびに淡島千景にうちわをパタパタさせちゃって、暑いってことがよくわかる。それでいて、出てくる食べ物がどれもこれも熱々っていうのはどういうことでし>>続きを読む

東京物語(1953年製作の映画)

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小津さんは荷造りがお好き。杉村春子の「変なもの持ってきちゃったのよ」とか「わたしの汚い下駄履いてって」とか台詞が容赦ない。京子よりも紀子よりもわたしは大人になってしまったので、親に対する態度なんてあん>>続きを読む

天国の口、終りの楽園。(2001年製作の映画)

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自分のセックスが最高だと思っている青い青いメキシコの少年2人と人妻のロードムービー。お前の恋人と寝た、などという理由で大喧嘩。それぞれ順番に人妻に抱かれる。しょうもない17歳の実情。中産階級の息子たち>>続きを読む

三月のライオン(1992年製作の映画)

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かつて見たことのある東京の風景があふれている。シャンプーしているハルオに抱きつくアイスが好きだ。シャンプーしながら泣いちゃう彼女も。でもこの愛の形は共感できない。いや不快だとさえ思う。なのにこの映画は>>続きを読む

歌う女・歌わない女(1977年製作の映画)

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強くて強いフェミニズム映画だった。かつて中絶禁止だったフランスで戦う女たち。「産みたい子どもだけ産ませて」うーん?そういうこと?歌う女と歌わない女。どちらも結局は結婚してしあわせなふりをしちゃうのが好>>続きを読む

グッバイ・ファーストラブ(2010年製作の映画)

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喧嘩ばかりの素直な感情の彼と、歳上でいつもおだやかな彼。客観的に見れば後者のほうが幸せになれそうだってわかっているのに、つい刺激に身を委ねたくなるもので。過去は、時を重ねれば重ねるほどより美しく見えて>>続きを読む

お茶漬の味(1952年製作の映画)

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「ラーメンはおつゆがおいしいんですよ」の2回目の登場。カロリー軒はn回目の登場です。夫婦関係をうまいことするためには、夫が鈍感なふりして妻を転がすことが必要ってことでしょうか。「淑女は何を忘れたか」の>>続きを読む

ひかりのまち(1999年製作の映画)

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「wonderland」「ひかりのまち」原題も邦題も好きだ。ナディアが歩くロンドンの街にはどことなく見覚えがあって楽しい。そんなことすっかり忘れてたのに、いつかどしゃ降りのロンドンでバスに乗ったことを>>続きを読む

恐るべき子供たち 4Kレストア版(1950年製作の映画)

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この部屋はいわば2人の甲羅、1つの体を共有するごとく暮らしていた。とにかく姉が煩い。煩さに耐えきれず何度も途中で見るのをやめようとしたけど、あの階段を登る4人を写した俯瞰ショットにハッとさせられ、見て>>続きを読む

軽蔑(1963年製作の映画)

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嫌がる妻を初対面の男に半ば押し付ける。余裕ぶってるくせに、妄想で嫉妬する。だるい。何を決めるにも責任を妻に持たせようとする。「君のためにやる」「君が決めて」だ?ハ?てめぇで決めろ。なぜ愛がなくなったの>>続きを読む