mikuさんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

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ジャンヌ・モローの思春期(1979年製作の映画)

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12歳の少女が30歳の男性に淡い恋をする。国も時代も違えど、わたしにもいつかそんな記憶があるのです。フランスの田舎の美しい風景と、そこにある見たくもない大人の事情と。大人のみっともなさを、見て見ぬふり>>続きを読む

春原さんのうた(2021年製作の映画)

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わからないけどわかる。観る人が如何様にでも感じ取ってかまわないような態度が好きだ。ただ、他人の家で断りなく相手のリコーダーを吹く、写真を撮るときに顎の下にマスクを持っていく、他人が家にいるのに布団に入>>続きを読む

たぶん悪魔が(1977年製作の映画)

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死に向かいゆく生に耐えきれなくなった、ということ。彼のように美しくも聡明でもないが、10代の頃からこの恐怖には覚えがある。あの言い知れぬ感覚を形にしてくれた、と勝手に受け止めた。彼のような死を選ぶつも>>続きを読む

パラダイスの夕暮れ(1986年製作の映画)

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「マッチ工場の少女」しかり、仕事の手順をきちんと映し出していく映像が好きだ。今回はごみ収集の男。ごみの中からレコードを拾い上げて耳に当てる。レコーダーを手に入れて家で聴いているマッティ・ペロンパーがな>>続きを読む

カラマリ・ユニオン(1985年製作の映画)

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高級住宅地のエイラを目指して男たちが旅立つ。ほんのすぐの距離のはずなのに、いつまでたっても辿り着けないのはこの世の不条理ね。その間に唐突に人が死にまくる。それを見てもなんとも思わない人たち。突然のウェ>>続きを読む

麦秋(1951年製作の映画)

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「いけないんじゃなくていかないの、いこうと思ったらいつだっていけます。」結婚することが幸福だと決めつけられる世の中で、本当は戦地から帰ってこないお兄さんを待つために、結婚せずに家にいたのだろうか。結婚>>続きを読む

テオレマ 4Kスキャン版(1968年製作の映画)

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初パゾリーニ。突然現れた青年により狂わされていくブルジョワ一家。彼は何者なのか。神である、とでも言いたげな。同性愛的描写を含んでカトリックに挑んだ、とでも言うのか。ブルジョワ達は破滅へ向かっていくのに>>続きを読む

小さな兵隊(1960年製作の映画)

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アンナ・カリーナに「5分で恋に落ちる」だなんて脚本書いちゃうんだもの。あっという間に恋に落ちてしまったのね。アルジェリア戦争最中のフランス軍への批判に若さと痛さを乗せて。暗殺相手のすぐそばで銃を構えて>>続きを読む

さよなら子供たち(1987年製作の映画)

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やるせない。今の時代ともなんら変わらないような無邪気な少年たちの姿がある。それもとても美しい男の子たち。そんな少年たちにも罪の意識を植え付ける。彼らの行いがあったからこそ、引き起こされたとも言えるわけ>>続きを読む

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

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悲しみは使い古された喜び。男たちが森の中の温泉に行って帰ってくる、それだけ。一方は結婚してもうすぐ子供が生まれる。男2人で旅をしてても絶えず妻から電話がかかってくる。それを苦々しく見る他方の男。その様>>続きを読む

白い花びら(1998年製作の映画)

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あんなに歳の離れた旦那だなどと蔑むシェメイッカも十分じじいで笑った。そもそもカティオウティネンが相変わらず娘さんっぽく見えない時点でお察し。まさかサイレント映画だったとは。音楽付きでほとんど常に音楽が>>続きを読む

コントラクト・キラー(1990年製作の映画)

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「神を信じなきゃ地獄は存在しない」
人生に絶望する日もあれば、途端に人生を慈しむような出来事だって起きる。運命の人に出会ってしまったことが生きる理由になるのです。わたしも無表情なフランス人に酒を奢られ
>>続きを読む

晩春(1949年製作の映画)

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家事手伝いをしながら父を甲斐甲斐しく世話する暮らしが気に入り、手放したくない。わかる、わかるよ。こんな気ままな生活を捨ててまで、結婚なんかしたくないって気持ち。でもね、結婚したくないって駄々こねるだけ>>続きを読む

リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

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水色が目に残る。嫌ってほど晴れた空。悪夢の始まりのプールとリーの車などなど。強盗しようとしたら別の強盗に先越されるし、高速道路の料金所さえ突破できない犯罪映画なのである。言われるがままUターンし始めた>>続きを読む

アンビリーバブル・トゥルース(1989年製作の映画)

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世界の終わりよりもエイドリアンシェリーのかわいさの方が強いよ。寝起きのあの破滅的かわいさはもはや言及するまでもなく。個人的には黒のサマーニットを着た彼女が好きすぎて、似た形のものをつい探してしまってい>>続きを読む

風の中の牝鷄(1948年製作の映画)

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おなじみのお腹をこわす子どもと医療費が払えないという命題。たしかに他に方法があったろうとは思うものの、お金に困った妻がやむなく売春したことを夫があれほど怒るのはいまや理解が難しい。時代はこれを不貞と称>>続きを読む

忘れられた人々(1950年製作の映画)

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貧困こそがこの世の悪の根源なのでしょう。父親が誰だかわからない子なんて愛せる訳ないと冷たく言い放つ母親。母親にさえ身の潔白を信じてもらえない子。母親の顔さえ知らない少年。悪事の無限ループにはまって這い>>続きを読む

ベロニカ・フォスのあこがれ(1982年製作の映画)

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「私だと気づかれたくないの」と神経過敏になるおばさんに誰ひとり気がつかない。ナチス政権下で人気を博した女優をもはや誰も顧やしない。戦後仕事を失うことになったのは必ずしも彼女の問題ではない。彼女もまたナ>>続きを読む

クラム(1994年製作の映画)

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アメリカのダークサイドを見た。これはクラム家の記録。3兄弟みんな芸術的才能を持ってして、兄と弟は精神を病む。真ん中のロバートだけが、その拗れた精神を漫画として昇華させた。きっと彼は自分をまともな人間だ>>続きを読む

海の沈黙(1947年製作の映画)

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敵国として、相手の独白に沈黙を貫くことで抵抗する。いかに敬意を払われたとしても。小さく呟いたadieuと、「罪深き命令に従わぬ兵士は素晴らしい」と、アナトール・フランスの言葉を読むように支度しておく。>>続きを読む

長屋紳士録(1947年製作の映画)

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蝶子が走る!トーキーだからこその台詞とそのリズムのおもしろさ。垂れ逃げで思わず爆笑してしまった。子役がただむすっとそこに立っているだけで、あんまり上手くないのが良いよね。子どもよりもホースがほしいとか>>続きを読む

大人は判ってくれない(1959年製作の映画)

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バルザックと映画を真に愛した少年アントワーヌ・ドワネル。家族三人で見に行った映画は「パリはわれらのもの」。宿題をやろうとしても家事を手伝えとうるさい母親といい加減な義父。たしかにいたずら好きではあるけ>>続きを読む

ある現代の女子学生(1966年製作の映画)

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「現代の」とは、60年代のフランス。当時の女性の(特に理系方面での)社会進出のあり方を伝えている。今の学生は〜とモノローグで伝えられるが、当時の学生はこれ見て鼻で笑ってたりしないかしら。街にはヒロシマ>>続きを読む

四月(1962年製作の映画)

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何ももたない二人は寄り添いあって暮らせる。物が増えて二人の距離は遠ざかる。言葉は諍いの中にしかない。物を捨てて元通り、のようだけど、あの思い出の中の大樹は切り株になってしまっている。蓄財や生産に対する>>続きを読む

天国はまだ遠い(2015年製作の映画)

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はじまりは随分と喘ぎ声が聞こえ続けるのでとんでもないものを見に来ちゃったんだ、とちょっと焦る。釣り合わない男と女。どこに行くにもついて行く彼女。説明的セリフはほとんどないのに、段々とからくりがわかって>>続きを読む

不気味なものの肌に触れる(2013年製作の映画)

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振られた男はボーリング。フリスビーを投げる。「触れるのが怖いものとは何か」という討論。我々は何を見させられてるんだろう、となるシークエンスも後々あれはああいう意味があったんだなとわかる(気がする)のが>>続きを読む

父ありき(1942年製作の映画)

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今の時代なら子が親と一緒に暮らしたいと言ったら親は喜んで受け入れるはず。この当時は私情で仕事を辞めるなという考えが当たり前だったのか。子は親に逆らわない。葛藤もない。随分と物分かりのいい息子である。戦>>続きを読む

セリ・ノワール(1979年製作の映画)

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荒涼としたパリの片隅でイカれたダンスを踊る。この男独白も多く、随分狂っているなと思いつつも、どこか悪人にはなりきれない。シンプルにおばかなんでしょうか。モナの眼差しの強さはわかるけど、あまりに喋らなす>>続きを読む

戸田家の兄妹(1941年製作の映画)

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佐分利信のあの飄々とした物言いで、いじわる兄妹を軒並み追い出しちゃうのが痛快。なぜに天津なんだ、と思っていたけど当時租界だったのか。不勉強なわたしは、また小津さんに勉強させられるのであった。麹町の大邸>>続きを読む

恋の秋(1998年製作の映画)

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善意の顔した私利私欲のための男の押しつけ。付き合いの長い親友の選ぶ男は、さすがに幾分まともそうではあるけど、選んできた親友の女豹っぷりが出ちゃってる。すべての男に愛されたいって、もう。他方の哲学教師と>>続きを読む

夏物語(1996年製作の映画)

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カセットを鞄から出しておもむろに棚に並べる。海辺を佇み女の子に声をかけられる。でも本当は自称恋人の女を待ち惚け。結果的に3人の女の子の間を行ったり来たり。出た出た、ロメールの映画のなかの優柔不断男。ど>>続きを読む

パリのナジャ(1964年製作の映画)

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ショートヘアーにボーダーのカットソーと白っぽいデニム。そっくりそのまま真似したいナジャのスタイル。きっとパリで生まれ育ったら気がつかないような街の魅力を、外国人の彼女が伝えるという作り。カフェテラスで>>続きを読む

一人息子(1936年製作の映画)

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人の多い東京じゃしょうがありませんよ。無理して進学させた息子も、東京では貧しい暮らししかできない。挙句「おっかさんと田舎で暮らしたかった」などと言われ、かあやんは激怒する。立身出世こそが求められていた>>続きを読む

東京の宿(1935年製作の映画)

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「犬はめしだらう」はわざとやってますね。原っぱで突貫小僧くんたちがエアでお酒飲んだりするの、未だかつてこんな切ないシーンってありました?ここでも原っぱに岡田嘉子様をしゃがませてローアングルで撮る。どエ>>続きを読む

浮草物語(1934年製作の映画)

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ローポジションで撮るということは、女性がしゃがんだり正座したりするところを横から撮れるってことだな、と気付く。ハハーン小津さんお好きね。わたしも好き。坪内美子のしゃがんだ姿がなんとも色っぽい。なんだか>>続きを読む

母を恋はずや(1934年製作の映画)

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自分が母親の実の子でないと知って荒れる息子。当時後妻をもらうことなんてよくあることだったろうに、とは思うものの、その立場になってみないと真の感情はわからない。母も兄弟と分け隔てなく育てようとすればする>>続きを読む