mikuさんの映画レビュー・感想・評価 - 11ページ目

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裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)

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ごめんなさい、「神を見た」とか「神の声が聞こえた」とかいうジャンヌダルクが精神疾患であるようにしか思えない。と思ったら、そんな研究結果がいくつか散見されますね。あの見開いた目も狂気と思えてならなかった>>続きを読む

プラットホーム(2000年製作の映画)

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まったく近寄らないカメラに、タバコの煙や吐く息の白さにぼやけた世界。長回しの連続で、そこで起きる出来事をただ映し続けるのみ。意味があるのかないのか。随分とぶっきらぼうな映画だなあ。ただ雪の中でトラック>>続きを読む

冷たい水(1994年製作の映画)

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ダイナマイトが爆発しなくてよかった。彼らの世界はもっと些細で、取るに足らない。あの頃にはそれが世界の全てだったはずなのに、大人になると彼らの破壊行動や逃避や愛のすべてがばかばかしく見えてしまってだめね>>続きを読む

PASSION(2008年製作の映画)

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初見で親に嫌われた人とは結婚すべきじゃない。夜中から明け方にかけての散歩は「親密さ」を思い出させた。夜に光るフリスビー投げ合うのは「何食わぬ顔」かな。サッカーボールから明瞭に見えるような素材に変えたん>>続きを読む

何食わぬ顔(2003年製作の映画)

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さすがに映像がザラザラしすぎ、暗闇何も見えないし、などと思っていたのにやっぱりおもしろかった。電車内で辞書を読み上げていくところ、こういういかにも意味のなさそうな場面を延々と映す感じがすでに濱口竜介だ>>続きを読む

青春の夢いまいづこ(1932年製作の映画)

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学友たちの共有財産の田中絹代様がかわいい。男が着ている状態のシャツを繕うのどエロいですよね。最高。きっと小津さんもカンニングたくさんしてたんだろうな。雇用する側とされる側になってしまった友情は、かつて>>続きを読む

暗殺のオペラ(1970年製作の映画)

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ここではみんな友達!などとほざくじいさんや、道を聞いても歌ってばかりで答えないじいさんなど、冒頭から出てくるのは狂った人間たち。初めて見たときは、アトスパパは自ら英雄になるために死を選んだのだと思って>>続きを読む

東京の合唱(コーラス)(1931年製作の映画)

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出た!カロリー軒!一皿満腹主義!お腹壊す子どもと、都落ちのモチーフはここで初登場だろうか。このあとに続くホームドラマの原型を見た気がする。戦前って生きるためのプライドを捨てきれない時代だったのか。昭和>>続きを読む

死刑台のエレベーター(1958年製作の映画)

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マイルスデイヴィスの劇伴のなか、恋人を探してシャンゼリゼを漂うジャンヌモロー様があまりに美しく。携帯電話なんてなかったから、成り立つんだよな。令和の世の中じゃ女が鬼電して終わり。風情も何もないのよ。み>>続きを読む

淑女と髭(1931年製作の映画)

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だがしかし、剃っても剃っても生えるのが髯である。この当時ばかにしちゃいけないものを、軒並みばかにしたお笑い。私、治安維持法と結婚しますわ、とかね。あんな髭もじゃ男の岡田時彦の家が、至極モダンなアパアト>>続きを読む

ハンガー(1983年製作の映画)

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冒頭のバウハウスがクラブで歌うシーンが素晴らしいゴシックで、ここだけでも見る価値がある。カトリーヌドヌーヴとデヴィッドボウイがふたりでシャワーを浴びているのがこの世のものとは思えない美しさ。説明的描写>>続きを読む

抵抗(レジスタンス)-死刑囚の手記より-(1956年製作の映画)

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「死刑囚は逃げた、あるいは風は己の望むところに吹く」真面目な顔をした男が脱獄に向けて作業をしている。地味で手のかかる作業を延々と。目的のためにただひたむきに、奇妙なほどストイックに。これほどまでに生き>>続きを読む

落第はしたけれど(1930年製作の映画)

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いつの世も大学生というのはしょうもないものです。大学生男子たちのきゃっきゃする姿を事細かに映した映画の初代では。今みたいに必死でアルバイトをしなくても、親からの仕送りがもらえる生活。就職先も見つからな>>続きを読む

その夜の妻(1930年製作の映画)

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今夜が峠です、と言われている子どもがずいぶん元気に騒ぐのでちょっと冷めた。美人に拳銃持たせたいって欲望はこの当時からあったんだな。しかも着物で二丁拳銃、カッケェ。時は昭和恐慌、子どもの治療費も工面でき>>続きを読む

朗かに歩め(1930年製作の映画)

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昭和5年の日本にこんなフィルムノワールがあったとは。本場の作品と違うのは、義理深い弟分が最後までいいやつすぎて、裏切りなしのハッピーエンド。義理と人情かな。ファムファタールも出てこないし、愛の力で男は>>続きを読む

トムボーイ(2011年製作の映画)

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10歳の子では自身のセクシャリティーに揺らぎを感じることがあってもそれが確実たるものではない、ということなのか。ロールが男の子であると嘘をついたことを、母は頭ごなしに叱った。本人の意見もなしに、無理や>>続きを読む

学生ロマンス 若き日(1929年製作の映画)

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「忘れるといけないから覚えなかった」最高の哲学だな、あの名も知らぬぼんくら。スキー場でセーラー服にベレー帽っていうのがとてもかわいいけれど、こんな軽装で寒くなかったのかしら?しょぼくれた斎藤達雄がかわ>>続きを読む

生れてはみたけれど(1932年製作の映画)

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「学校に行くのも帰ってくるのも楽しいけれど、その間がどうも気に入らないね」小津さんは子どもの生態がよくわかっているんだな。と思って、やんちゃ小僧どもをわくわく見ていたはずなのに、大人の序列をまざまざと>>続きを読む

冬物語(1992年製作の映画)

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会えるはずのない運命の相手を待ち侘びながら、2人の男の間を行ったり来たりするフェリシー。子どももいるのに自由すぎないか?と呆れちゃうくらい。さすがはロメールの映画のなかの女である。自分の住んでる町の名>>続きを読む

雨月物語(1953年製作の映画)

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勤勉そうに見えても、男の理想のメタファーのような幽霊にころっとやられちゃうので、所詮どいつもこいつもクズって話なのかもしれない。悲しいのは殺された妻であって、残された夫の悲しさなんか知るか、てめえのせ>>続きを読む

偶然と想像(2021年製作の映画)

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タクシーのなかでの女子2人の会話、これを濱口竜介が書いたのかと思うだけですごく面白くなっちゃう。同時に気持ち悪くてすごい。これわたしも言ったことあるな?って言葉を放ちまくるので、どうやって彼が言葉を選>>続きを読む

ハッピーアワー(2015年製作の映画)

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序盤から内容が空っぽなワークショップが延々と映され、わたしは一体何を見させられているんだろうと不安になる。結局は、みんな人を好きになったり浮気したり離婚したりしているだけだった。なのに、どうしてこんな>>続きを読む

春のソナタ(1989年製作の映画)

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フランスの高校生は哲学が必修なんだなあ。食事のときにも哲学談義をぶちかまし、超越論的がなんだとか言ってマウントを取り始める。こんな女のこと嫌いになって当たり前だし、わたしならこんな女を好きな父親のこと>>続きを読む

第三世代(1979年製作の映画)

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「意思と表象としての世界」をスローガンに活動する秘密結社。ショーペンハウアーの言葉だろうけど、この人たちはいかにも理解せずに発していそうだ。(わたしもわからないけどな)いわゆる第三世代の信念なき革命家>>続きを読む

13回の新月のある年に(1978年製作の映画)

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人生は美しい、だけど私の居場所はない。別に男が好きなんじゃない、ただ一人愛した男がいたために性転換手術をしたエルヴィラ。男でも女でもない、心の拠り所もなし。牛の屠殺場のなか、あらゆることを話し続ける。>>続きを読む

野いちご(1957年製作の映画)

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死に取り憑かれた老人。他人と関わることは相手のいないところで悪口を言うことだ、と語り、孤独の中に生きてる。生きながら死んでいる。その老人が、何もありがたくも思っていない名誉博士号をもらいに行く道中、居>>続きを読む

グレイ・ガーデンズ(1975年製作の映画)

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ぎゃーぎゃーといつまでも大声でわめく女たち。時には妄想めいたことで騒ぎ立て、相手の言うことは耳に入らない。おそろしく不衛生な環境に、ひたすら恐怖を感じる。ついには家に棲みついたアナグマに食パンを与える>>続きを読む

アニー・ホール(1977年製作の映画)

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男女がくっついては離れ、また寂しくなってくっついて、どこか違うなと思って離れる。あんな神経質でペラペラ喋る男って嫌だけど、クモが出たからって夜中に呼び出して助けに来てくれたら、やっぱり好きだって思っち>>続きを読む

叫びとささやき(1972年製作の映画)

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叫びもささやきもかくして沈黙に帰した。赤の映画。鮮血のような、子宮のような赤。血を顔に塗りたくったあの恍惚とした表情は、あまりの恐ろしさにご勘弁願いたいね。誰も彼も愛を求めているのに、それはどれも歪ん>>続きを読む

やさしい女(1969年製作の映画)

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「これからはもっと愛するよ」に対して、「このままでいいのに」と返す女。惨めな暮らしから逃れることのみが結婚から得られたけれど、最初から男に期待すらしていなかった。独占欲を愛と履き違える男。これは「すべ>>続きを読む

ファーゴ(1996年製作の映画)

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ブシェミが変な顔って言われまくる。寒そうなのが良いアメリカの街並み。しょうもない犯罪のはずだったのにね。騙されませんように。

教授と美女(1941年製作の映画)

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なるほど、白雪姫が原作なのか。学問の天使爺さんたちがライフルぶちかますシーンが最高すぎる。大声だして笑ってしまった。言語学というものが出現してきながら、マイフェアレディとはまるで反対の作品なのかな、と>>続きを読む

スウィート・シング(2020年製作の映画)

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冒頭のスタッフクレジットに、アルドルフォロロの名前を見つけてにこにこしてしまった。本当に本当にいい映画だったのだけど、どうにも子どもたちが可哀想な映画は見ていられないのです。最悪な世界のなか、彼女たち>>続きを読む

ゴーストワールド(2001年製作の映画)

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髪を切ったらなんだかイーニドみたいになっちゃったので見た。世の中をひりついた目で眺めて、平凡なんて最悪だなどと思いながらも、自分自身も何者にもなれなくって。これって自分にも身に覚えのある話だった。髪型>>続きを読む

ジャズ・ロフト(2015年製作の映画)

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ニューヨークの花屋街の中にあるロフトだから、真夜中に散々演奏した帰りには街の中がお花で溢れているっていうのが良かった。セロニアスモンクのピアノまで聴けるなんて。あのセッションで、上手く演奏できない奏者>>続きを読む

イン・ザ・スープ(1992年製作の映画)

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ブシェミがずっとずっとかわいい。ジョーに翻弄されて、いつまでもあの困り顔をしているのを愛おしく思わずにはいられない。何よりも、踊れないチャチャを練習するのがかわいい。雪の降る屋上で踊るシーンも、川沿い>>続きを読む