この時代の映画に漂う、いかがわしい猥雑なにおいがたまりません。
群衆シーンに力がありますが、せむし男視点の見下ろしたアングルがいい。
ところでアレハンドロ・ホドロフスキーが生涯ベストとか言ってた記>>続きを読む
あまり情報を入れずに見たほうがいい映画ですね。
で、全く素晴らしいです。本作もヒッチコック節キレキレです。
「当たった演劇を映画化するとき、ヒットの要因である構成を変えてはいけない。ただ撮れ」……と>>続きを読む
後半の、家二軒だけが舞台になるミニマル感が愛らしい。
ちょっと編集が「?」となった部分もあるが、全体の演出はまさしく手練れの仕事という感がある。
今ではパロディの対象にされるようなホラー映画的クリ>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
美しくグロテスクで怪奇。残酷なホラーでありつつも、どこか滑稽で、美学と詩情を感じさせる。
要所に配置された鏡や水たまりなど、こちらの姿を反射するモチーフ。その中にあって仮面の向こうから控え目にのぞく娘>>続きを読む
A MOVIE--これは映画だ、という宣言から始まる、まともな評価基準を携えているとぶっ飛ばされてしまう大林宣彦映画。どうかしてる演出にサイケで酩酊した画面、その中に囚われた少女。
冒頭、いきなり女>>続きを読む
空間に対するフェティシズムを感じさせる映画は、それだけでうっとりしてしまうタチなんですが、それが3時間続くので大変でした。好物を食わされ続けてやや気持ち悪くなったと言えば良いのか。
美術の美しさ、色彩>>続きを読む
ノゾミ、ツキモノの順に見た。
全体に、会話のリズムの詰め方みたいなのがいかにも日本的でよいなと思った。
和テイスト(あえてJホラーという言葉は避けるが)な前者と、アメリカのゾンビものっぽい後者。自>>続きを読む
こんな面白く感動的な映画に最低映画賞をやるゴールデンラズベリー賞は信用できない。前から、信用なんてしていなかったけど。
おっぱいも、当たり前のように露出されているのを見続けるといやらしさとか劣情をか>>続きを読む
名著『映画術』で、トリュフォーとヒッチコックの二人がさんざん本作を愚痴るものだからどんなもんだろうと思って見たが、楽しめた。やはりあの人達の「失敗作」を真に受けてはいけない。
フロイト分析学に基づい>>続きを読む
やっぱポランスキー映画はただごとじゃない。冒頭クレジットは「めまい」に対するシンプルなオマージュだと受け止めた。目に始まり、目に終わる映画。
初めのうちは、肩越しに主人公を追いかけていくカメラワーク>>続きを読む
ほとんどロマン・ポランスキー映画のノワール/サスペンス/ホラーに通じるような恐怖。滑稽と言えば滑稽だが、しかしどうも異様な事態が進行しているらしいということだけ垣間見える。徐々に世界の真の姿があらわに>>続きを読む
53年の作品、叔父に資金を出してもらって制作したそうです。キューブリックの幻の処女作と言われ、本人的には黒歴史だった模様。しかし、面白いじゃないですか。
低予算なのは非常に良く分かりますし、ちょっと>>続きを読む
光と影、画面が美しい。タップダンスのシーン(ワンカット)の空気、会話の間に流れる空気。
説明的な表現でなく、ただただ2人の過去と現在を交互に語っていく。
歩き去る背中がひたすら悲しい。
予算の範囲内&最低限度の労力しか使わずに最短距離の手間によって世界を滅ぼすコスパの良い男ジョン・カーペンター。彼の「黙示録三部作」の1作。
ただでさえ映画の最後に世界が滅びると得した気分になりますが>>続きを読む
物事(アクション、動き、展開)が連鎖的に、時には唐突に、けして一本調子ではないリズムを刻みながら紡がれていくこの監督の語り口は、純粋に映画的という感じがして見ていて心地よい。感覚派という言い方が正しい>>続きを読む
なるほどなぁ、という感じ。
終盤あたりに至って、言われているほど、そこまで難解じゃないかもしれない、と思うようになりました。
オーケストラも歌唱も何一つ本当のものがない劇場が出てきますが、あれなんて>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
疑問はいくつかある。
基本的に本作にはまらなかった人間による感想なので、それを踏まえた上で。
まず、これがどのようなことまで「アリ」の世界における話なのかが判然としない。いざココナッツのような海賊が>>続きを読む
いわゆる「ディズニークレイジー」なタッチが本領発揮。「インサイド・ヘッド」に対するアンサーのようであり、「人間を人間たらしめるものは精神だけという描き方だと不正確なんじゃないか」という真面目バカという>>続きを読む
知っている人は知っている原恵一監督の一作。風俗小説という言葉があるが、風俗映画と言ったらいいのか。江戸の闇(メタファーではなく、文字通りその暗さ)を切り取りながら民俗学的な白昼夢を映像化して見せつつ、>>続きを読む
冷戦ものだけど、ヒッチコックなのでその辺の政情にはまったく興味のない作り。変則的なスパイものでありながら、スパイ本人ではなくその側にいる人間の視点から始まるというのもヒッチコックらしい。
どこかの家族という最もミクロ(ドメスティック)な視点から日本人のありようや社会全体を照射し返すというのは、日本映画の伝統芸というか得意技です。この流れを汲んだ作品の一本ということが言えます。そして、3>>続きを読む
光と影の使い方がまったく芸術的で、ほぼずっとそこだけを見ていた。42年の映画ということを忘れそうになる。
まず第一に、この作品がぱっとしないのは「フェミニストが作ったポルノだから」ではない。同企画におけるホワイトリリーが(最初のコンセプトにフェミニズム的要素は想定されていなかったと想像されるのに)完成度も>>続きを読む
見た直後なので多少、高めの熱量になってしまいますが、中田秀夫監督のベストではと思いました。非常に失礼な言い方をすると、「クロユリ団地」とか「劇場霊」のような他人から見ても明らかにやりたくないのではない>>続きを読む
あー、とても良いです。これぐらいの軽みを兼ね備え、これぐらい笑える『インヒアレント・ヴァイス』が(PTA監督であることだけは変わらずに)作られていればな、とか思うんですが、それは無いものねだり。
止め絵を作ることに凝りすぎている一方、編集や間合いによって見せるということ……要するに映画としての時間に即した語り口のキレみたいなものは全く感じない。ふつうの映画に緩急があるとすれば、その「ふつうの映>>続きを読む
どぎつい色彩のセットに独特過ぎる間合いの編集、だが中身はあくまで34日間ですべて撮影された、情緒を売り物にする定型的な任侠プログラムピクチャー、というバランスが良い。とても良い。
絵画もそうだと思うのだけど、映画は、ふつう「美しいもの」を描くと一般に思われていながら、「醜さ」を描いたとき鋭い残酷さを見せる。「何がジェーンに起ったか?」などと同様に過去の虚飾に囚われた女優の醜さ。>>続きを読む
観客の注意と関心を自在にあやつるヒッチコックの手腕が遺憾なく発揮された100分間。ヒッチコックというのは撮りたいものを撮る人で、脚本はそのためにこそある。元からある脚本を上手く映像に落とし込むというよ>>続きを読む
点数は付けない主義ですが、気分のうえでは満点をつけたい。
この映画は「まがいもの」であることに自覚的な「まがいもの」です。「そう撮るしかなかった」ことによってかつての映画の特徴として記憶されているディ>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
はい、人が何と言おうと私はこれ好きです枠の映画。傑作だと思います。
園さんの映画は好きですが、商業的なにおいのほうを強く感じる近作ではチェックから外れているものも何本かあって、これもその一つでした。>>続きを読む
手品師でもあったメリエスの、そのものズバリ手品師という短編。ジャンプカットによるトリック撮影を(氏が)初めて取り入れた『ロベールウーダン劇場における婦人の雲隠れ』(the vanishing lady>>続きを読む
ヒッチコックの十八番、ロードムービー型巻き込まれサスペンス、ではあるものの、ヒッチコックがこの手の作品を多く撮っているために、おのずと比較してしまってアレとかアレの方が出来がいいな、と感じてしまうのは>>続きを読む