ガンビー教授さんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

ガンビー教授

ガンビー教授

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ヴィレッジ(2004年製作の映画)

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全編にわたるさり気ない会話の撮り方みたいなのは好きなところ。シャマラン映画なのに(!)、一見すると文芸作品か何かのようなルックであるところも、積極的に面白がれば、面白くはある。

主人公の女性が盲目と
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昼顔(1967年製作の映画)

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カトリーヌ・ドヌーヴには呆然とするほど惹きつけられる。性的行為の意味も知らないようなあどけない態度で羞じらってみせながら同時に匂い立つ色気を隠しきれない娼婦、みたいな矛盾を体現している。差別的な表現と>>続きを読む

メッセージ(2016年製作の映画)

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壮大な話に見えて、すごく小さなストーリーでもある。これは原作が短編だからというのも理由の一つだろう。長編映画には長編小説の尺は長すぎると思う。本作のように短編を基にした方がのびのびと映像化出来るのでは>>続きを読む

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス(2017年製作の映画)

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1作目がこの2作目の布石だったかのような綺麗な続編。

CGアニメーションと実写の境がない作品は、本当はあまり好みでない。何というかすべてがCGで作られた美意識もなければ、実写の生き生きした躍動感も削
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お嬢さん(2016年製作の映画)

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変態だがすがすがしい。快楽をテーマにしている作品だが、きちんと画面に、映像に快楽が宿っている。

画面が豊か。それは金がかかっていそうとかチンケな話じゃない。空間の捉え方の何ともう美しいことか。

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ハプニング(2008年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

どうにも、評価しづらい。

どちらかと言えば自分はシャマラニスト気質だと思う。しかし。
コメンタリーで「トラウマになるような作品は良くないよね。露悪的な描写は趣味が悪い」と語る監督は「いい人」なんだろ
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無限の住人(2017年製作の映画)

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本作を観て色々なことを思ったはずなんだけど、同日に観た「ムーンライト」があまりに良くて感激してその余波でおおかた忘れました。

ということで済ませたいのだけど、それはさすがにあんまりなので、短めに。
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哭声 コクソン(2016年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

魔は、常に人心を惑わす。

やはり白眉の名シーンは「よそ者」と「祈祷師」の祈祷合戦のようになるシーンだろう。編集のしかたによって次々とそれまでとは違う解釈が立ち現れ、観客を惑わせる。
まず、2人が準備
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アンブレイカブル(2000年製作の映画)

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サミュエル・L・ジャクソンの使い方が正しい映画はよい映画。

アメコミヒーローものの脱構築なんだけど、ヒーローの精神にはけっこう忠実と言えるかもしれない。少なくとも、ノーランが始めた「リアル」なヒーロ
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レディ・イン・ザ・ウォーター(2006年製作の映画)

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問題作であり、シャマランを理解するためには最重要作と言うべきだろう。

シャマラン映画に対する、辻褄が良すぎる(ご都合主義的)とか、逆にここがおかしい、みたいな批判も、全てこの作品のメタ構造の前に意味
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ムーンライト(2016年製作の映画)

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「まなざす」ということは、愛することである。少なくとも本作の中では。

最初のうちは、カメラが陶酔的&饒舌過ぎやしないかと少しひねた目で見ていたが、物語を追って行くにつれ、むしろ極めて繊細な仕事をして
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哀しき獣(2010年製作の映画)

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疲れるぅ。

さすがにちょっと脚本がごたついていやしないかと思う。前半のほうがわたしは好き。

容赦のない描写はさすが。また目を引く暴力シーンだけでなく、それぞれのキャラクターの食事とか、ふと靴を見る
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クローバーフィールド/HAKAISHA(2008年製作の映画)

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まあ、こういうものかという感じ。

狙いは分かるが、その狙いすました試みは、同時期の映画で言えばとりわけファウンドフッテージのような仕掛けの施されているわけでもない「ミスト」などのほうがよほど的確に映
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メトロポリス(1927年製作の映画)

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びっくりするほど良かった。久しぶりに映画の面白さでちょっと感動して目頭が熱くなってしまった。

予想より変な作品。未来都市のデザインがちょうカッコイイのだが、唐突に古代神殿のイメージとか、マッドサイエ
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チェイサー(2008年製作の映画)

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『コクソン』を見たあとで本作を見ると、なかなか印象深いものがある。キリスト教のモチーフがちらつくのもそうだが、要所要所に飲み込みがたいクセのようなものを抱えた作品で、単なる暴力的なノワールを超えた個性>>続きを読む

キング・コング(1933年製作の映画)

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コングは極めて動物的に描かれていて、その邪気のなさが恐ろしくも愛おしい。たしかにどことなく好色な面構えに見えないこともないが、ヒロインの服を割いていくところは、むしろ初めて見た存在をつついたりいじくり>>続きを読む

サイン(2002年製作の映画)

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会話や編集の間合いがじっと見ているとどこか変で、何がおかしいとも言いづらいのですが、妙。やけに、狙いすましたような役者の顔のアップが多いのとか、シャマランという人が一度ツボに入ってしまうと見ながらどこ>>続きを読む

ダークレイン(2015年製作の映画)

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イサーク・エズバンの映画は、どこかの箇所で必ず「おれはいまなにをみせられているんだ」「何? えっ……何?」みたいな画面を叩き付けてくれるので楽しい。「これを見てどう思えと……?」それは見る側にゆだねら>>続きを読む

美女と野獣(2017年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

うーん、色々言いたいことはあります。自分の周囲でも褒めてる人が多い。ただ、僕個人が納得できなかった理由を延々探している文章が以下ずっと続くので、ご了承を……

まずエマ・ワトソンは素晴らしいと思います
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バーニング・オーシャン(2016年製作の映画)

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ほんとに事故だけなんですね。

事故りそう

事故るんじゃね?

いや事故るよ

事故!

さらなる事故!(合間に人命救助)

大事故……!(オーシャンがバーニング)

みたいな映画でした。
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アシュラ(2016年製作の映画)

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熱気を放ち、緊張感を保ちながら飽きさせない。
久々に全シーンニヤニヤし続ける体験をしました。

韓国製アウトレイジなんて表現もありましたが、北野映画の完全にキャラクターを突き放した虚無的な感じよりは分
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戦場でワルツを(2008年製作の映画)

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表現は何のためにあるのか。

ドキュメンタリーなのに、なぜアニメーション映画なのだろう? という疑問がまず生まれる。一見して、監督本人が経験した戦争の、身近なところを聞き込み調査で洗っていくドキュメン
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マイマイ新子と千年の魔法(2009年製作の映画)

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五十年前と千年前の時間が並行して描かれるが、その世界の描き方は等価である。片渕監督は、かつての時間を「懐かしく」描くことがない。ひたすらディテールを積み立てていく。
それによって、客観的ではなくむしろ
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キングコング:髑髏島の巨神(2017年製作の映画)

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コング先輩が格好良すぎてイケメンなどという軽々しい言葉を使ってはいけないのではと思わせるほど。これはあれですね、男前と言いましょう。

生物の造形がステキです。どうしてもハリウッドの怪獣映画となると生
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ドリームキャッチャー(2003年製作の映画)

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トンデモな設定にトンデモな展開が重なり、それを用いてホラーやサスペンスを語ろうとしてるものだから楽しい。

何かよく分からないものが便器の中にいて、それを必死で抑え込みながら床に落ちた爪楊枝が取れるか
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愚行録(2017年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

興奮しています。

まず、画面の驚くべき端正さ。ポーランド人のスタッフがカメラマンと色彩補正を担当したことで、少し淀んだ日本の光景が極めて映画的な空間として立ち上がります。これはきっとロケーションも選
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デストラップ・死の罠(1982年製作の映画)

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まさに作中の言葉の通り「軽妙な会話」「意外な結末」が売りの密室劇スリラー。

二転三転する物語や「意外な結末」よりも、この話全体が虚構性を強めてゆく、メタ的な話運びが面白い。とは言え、キャラクターが第
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パッセンジャー(2016年製作の映画)

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まあ、こんな映画だろうなと予想して足を運んだ観客に変化球な物語を投げかける、けっこう異様な映画。

2001年やシャイニング、ソラリスなど思い起こさせるディテールは見ていて楽しい。がらんとした宇宙船の
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レゴバットマン ザ・ムービー(2017年製作の映画)

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まず、日本独自の吹き替え演出に抗議しておきたい。本来なら作品の価値とはまったく無関係なことだから話にも出したくはない。しかし触れざるを得ないだろう。この映画の笑いとは、スラップスティック的単発ギャグも>>続きを読む

雨の日は会えない、晴れた日は君を想う(2015年製作の映画)

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時々街中で見かけるヤバそうな輩、というのを演じさせたらさすがにジェイク・ギレンホールは上手い。

妻が突然の事故で死亡、全く実感の持てない中年男が衝動的な行動を取ったりものを破壊したりしながら日々をや
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ジャッキー・ブラウン(1997年製作の映画)

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今や9作を数えるタランティーノをどう捉えるか、議論の余地は少ないかもしれないが、本作に対する評価によってその人がタランティーノをどう見ているかが現れるような……。

それまでの2作はタランティーノの最
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ありふれた事件(1992年製作の映画)

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ゲスさを煮詰めたような男、ブノワ。ジャンルは変わってくるかもしれないが「ナイトクローラー」「冷たい熱帯魚」など、どうしようもなさ、しょうもなさ、同情の余地の無さを極めた、あるがままの悪としての殺人鬼。>>続きを読む

ドレミファ娘の血は騒ぐ(1985年製作の映画)

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金魚みたいな顔の洞口依子が可愛い。くるっと回転してスカートが舞う。この動き、映画の歴史の中でどれだけ繰り返されてきたんだろうか。

まばゆく光る女陰が凄い。ガーピー言いながら煙を出す怪しげな機械とそこ
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エルム街の悪夢(1984年製作の映画)

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夢の描写に異様さとアイデアがありつつも、本筋の流れとしてはむしろかっちりした脚本に思えた。

疑惑の影(1942年製作の映画)

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サスペンス要素は他の作品と比べると弱く感じられます。サスペンスそのものより、とある闖入者が訪れた小さな町の、「典型的なアメリカ家庭」の様子を観察する人間ドラマと言っていいかもしれません。そこから照射さ>>続きを読む

地獄(1960年製作の映画)

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オープニングクレジット、女性の裸体と「あなた……」と呼びかけるイヤに艶めかしい声、それに続く音楽と不快な叫び声。ここで、「どうもとんでもないものをこれから見せられる」という予感が漂い始めます。
で、そ
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