DZ015さんの映画レビュー・感想・評価 - 13ページ目

ある画家の数奇な運命(2018年製作の映画)

4.0

大傑作「善き人のためのソナタ」の監督の新作とあっては189分という長さに怯んでいる場合ではない。

ドイツの現代美術家ゲルハルト・リヒターの半生をベースとした物語。ナチス政権下のドイツを舞台に、本来背
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サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~(2019年製作の映画)

4.3

このタイトルの割りに主人公でドラマーのルーベンと恋人ルーのユニットが奏でるサウンドはメタルではない。さてはまた適当な邦題か、と思いきや原題も「Sound of Metal」。腑に落ちないまま観ていると>>続きを読む

ようこそ映画音響の世界へ(2019年製作の映画)

5.0

「生まれる前我々は暗闇にいた。五感で最初に触れるのは”音”だ」

ハリウッド映画の「音響」にスポットをあてたドキュメンタリー。こんなにも感動的な作品とは思わなかった。時系列で技術の進歩に伴う映画音響の
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ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方(2018年製作の映画)

5.0

「正しくやる。時間はなくともやり直す時間は常にある」

殺処分寸前で保護した愛犬トッドの鳴き声が原因でアパートを退去させられた野生生物番組のカメラマンで本作の監督でもあるジョン・チェスターと妻で料理家
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TENET テネット(2020年製作の映画)

4.5

ノーラン監督からの挑戦状のような作品。

「時間の逆行」というシンプルなプロットもノーラン監督の手に掛かるとまるで寄木細工の如き精巧さ。予想を遥かに上回る難解さで、あと2回は観ないと整理出来る気がしな
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ミッドナイト・スカイ(2020年製作の映画)

4.4

地球滅亡を⽬前にして北極に残る決意をする科学者オーガスティン。主演監督ジョージ・クルーニー。

めちゃめちゃ良かったのにめちゃめちゃ低評価で笑った。確かに極端に説明は少ないし、若い頃のオーガスティンを
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WAVES/ウェイブス(2019年製作の映画)

4.8

とてもとても素晴らしかった。ある黒人一家の悲喜こもごも。が、美しいポスターのイメージで鑑賞すると痛い目に合うヘヴィな展開。

ちまたでは「プレイリストムービー」と言われており、もっと音楽がぐいぐいと牽
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透明人間(2019年製作の映画)

2.8

寓意的にフェミニズムが描かれる作品という面を差し引いても、ツッコミどころの多さが打ち勝ってしまい乗り切れず。

幸せへのまわり道(2019年製作の映画)

3.6

前作「ある女流作家の罪と罰」が素晴らしかったマリエル・ヘラー監督新作は再びの実話。子ども向け番組の人気司会者フレッド・ロジャースを演じるトム・ハンクスと少し恥ずかしくなるぐらい目が合う作品。

基本雑
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SEVENTEEN/セブンティーン(2019年製作の映画)

5.0


「なぜ犬の世話を?」
「自分の面倒を見られるように」

少年院で誰にも心を開かず独居房に入るために脱走を繰り返す17歳のヘクトル。ある日保護犬を利用してのセラピーに参加すると、内気で周囲に馴染めない
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2人のローマ教皇(2019年製作の映画)

4.0

保守派と改革派、2人の教皇交代劇の裏側。ベネディクト16世演じるアンソニー・ホプキンスはもちろん個人的オールタイム・ベスト作品「未来世紀ブラジル」主演で思い入れのある俳優、ベルゴリオ枢機卿演じるジョナ>>続きを読む

Mank/マンク(2020年製作の映画)

4.3

1930年代のハリウッド。アルコール依存症に苦しみながら、「市民ケーン」の仕上げに追われる脚本家ハーマン・J・マンキウィッツ。

しっかりと「市民ケーン」を予習してから臨んだのでスピンオフ作品のような
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愛してるって言っておくね(2020年製作の映画)

4.5

ふとNetflixのメニュー画面で気になったこのたった12分の短編アニメを観たら大変な目にあった。あらすじすら読まずの予備知識なしで是非。

邦題に関してもこういう仕事がして欲しい、こういう仕事がして
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象は静かに座っている(2018年製作の映画)

5.0

「あなたクズなの?
それともクズのふり?」

わずか29歳で自らの生涯を閉じたフー・ボー監督のデビュー作にして遺作。命を賭して届けたかった234分。

中国の地方都市に住む4人が宿命的に絡み合っていく
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市民ケーン(1941年製作の映画)

4.0

「マンク」予習。映画製作に関してはまったくの素人である自分が観ても、この作品が後世に及ぼした影響の大きさが如実にわかる。脚本、撮影両方に現在では「当たり前」となった技法が目白押し。まるで教材。そんな芸>>続きを読む

デヴィッド・リンチ:アートライフ(2016年製作の映画)

4.0

「時にはひどい失敗をしてかき乱されないと
探しているものは見つからない」

優れたアーティストは何をやらせても質感が同一。デヴィッド・リンチ監督はその代表格みたいな人で、映画も美術も音楽も見事に質感が
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ロスト・ハイウェイ(1997年製作の映画)

4.0

リストア版というのがあったのでつい。この脳内を引っ掻き回されるような感覚が定期的に恋しくなる。久々に観たこの作品、こんなにかっこよかったっけと。オープニングタイトルからエンドクレジットまで、どこを切っ>>続きを読む

恐竜が教えてくれたこと(2019年製作の映画)

4.4

とても良かった。またしても邦題が盛大にやらかしてくれてますが恐竜など一切出てきません。オランダの児童文学「ぼくとテスの秘密の七日間」の映画化。

「地球最後の恐竜は、自分が最後の恐竜だと知っていたのか
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オン・ザ・ロック(2020年製作の映画)

4.4

待望のソフィア・コッポラ監督新作は夫の浮気疑惑をめぐり奮闘する父と娘の物語。何はともあれビル・マーレイが素晴らしすぎる。単なるはまり役を超えた存在感で笑わす泣かす。

娘を持つ父親なら「あのシーン」は
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娘は戦場で生まれた(2019年製作の映画)

5.0

「数千万人が私の投稿を見てる。なのに誰も政権を止めない」

これはきつい。きつすぎた。内戦が続くシリア。内戦勃発時はまだ学生だったワアド・アル=カデブ監督が世界と娘にその凄惨な事実を伝えるため4年間カ
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ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

4.1

とても良かった。「若草物語」は未読未見ですが現代的アップデートが施されているのがとてもよく伝わる作風。四姉妹の少女時代と現在を行き来する時系列のおかげでテンポも良い。

基本四姉妹の物語なのに容赦なく
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マイ・プレシャス・リスト(2016年製作の映画)

2.9

IQ185のこじらせ天才少女キャリーの成長物語。

天才だろうがなかろうがどこか可愛らしいのがこじらせ女子。父の友人のセラピストから渡される「幸せになるためのリスト」を不器用かつ健気にクリアしようと奮
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(2017年製作の映画)

3.3

「映画ってすごく広い世界を生きてるんです。その大きな世界を”言葉”が小さくしてしまうほど残念なことはないんです」

視力を失いつつあるカメラマン雅哉と視覚障碍者向けの映画の⾳声ガイド製作の仕事をする美
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シンプル・シモン(2010年製作の映画)

4.0

アスペルガー症候群のシモンと良き理解者の兄サム。シモンのせいで恋人に振られたサムのために完璧な恋人探しを。

まずは北欧映画ならではの景色、建物、ファッション、小道具の美しさ、可愛らしさがたまらない。
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籠の中の乙女(2009年製作の映画)

3.8

籠の中には長男もいるんですけど!っていう邦題。負けるな長男。

外の世界は危険と刷り込み、一切関わらせることなく息子と二人の娘を幽閉する両親。名前すら与えず言語も独自、唯一の娯楽は家族のビデオを観るこ
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ブルックリン(2015年製作の映画)

4.3

「忘れてた ここはそういう町だった」

毅然。この作品を一言で表すとすればそれに尽きる。アイルランドの小さな街から出てニューヨークで働くことになる主人公エイリシュをはじめ、さまざまな格好良い女性目白押
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孤独のススメ(2013年製作の映画)

4.6

オランダの田舎町で一人暮らしのフレッド。孤独ながらも礼拝は欠かさず規則正しい生活。無一文だというのでお金を貸したことがきっかけで出会った素性不明の男テオとの共同生活が始まる。

「キッチン・ストーリー
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エブリデイ(2018年製作の映画)

3.1

毎朝違う体に憑依して目覚める"A"。16歳の少女リアノンの彼氏に憑依したことから始まる不思議な恋。

と、ここからどう展開するのかワクワクな設定ですが、ぼくなどは容赦なく「あなたはターゲット外です」と
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或る終焉(2015年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

終末期患者のケアにあたる看護師デヴィッド。その言動から重い過去を背負っているのであろう事は推測出来るが説明は一切ない。複数の患者と接する中でパズルのピースが埋まっていくように明らかになっていく。

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スピリッツ・オブ・ジ・エア(1988年製作の映画)

4.2

ずっと観たかったアレックス・プロヤス監督デビュー作。もう全方位好み。「バグダッド・カフェ」並の映像美とティム・バートン的演出とジャン=ピエール・ジュネ的細部への拘りを撹拌したような夢幻世界。

ひとつ
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