DZ015さんの映画レビュー・感想・評価 - 11ページ目

去年マリエンバートで(1961年製作の映画)

3.9

新たなトラウマを植え付けられるような作品だった。まるで催眠術のように同じセリフが繰り返される冒頭から、エッシャーのだまし絵の中を彷徨うような94分。「これは夢だな」と自覚のある夢、決して恐ろしい内容で>>続きを読む

朝が来る(2020年製作の映画)

3.4

「奇跡だよ。二人も子供授かってるなんて奇跡だよ」

長い不妊治療の末、特別養子縁組という手段を選ぶ一組の夫婦。冒頭からぐいぐい引き込まれた。ぼく自身不妊治療経験者なので前半のリアルさには目を見張る。ド
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女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

4.0

18世紀初頭のイングランド。アン女王と幼馴染で女王を陰で操るサラ、そこに現れるサラの従妹で没落した貴族の娘アビゲイルによる三つ巴の壮絶な権力闘争。その実話ベースの物語をあの変態監督(良い意味で)ヨルゴ>>続きを読む

ロブスター(2015年製作の映画)

4.2

冒頭連れている犬を「兄です」と言うシーンから「ちょっと何言ってるか分からない」状態。その後もどうしたらこんなに性格の悪い作品が撮れるんだというブラックジョークギリギリのめくるめく展開。自分のような捻れ>>続きを読む

縞模様のパジャマの少年(2008年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

これまでに観たホロコースト題材の作品中もっとも悲しく辛いラストかも知れない。生涯忘れ得ない作品。

カラマリ・ユニオン(1985年製作の映画)

3.3

「人を震わせる風などなくても世界は回る。世の中は要らないものだらけだ」

15人の「フランク」という名の男たちによるロードムービー。ややこしいわと言う。

ひとつも救いのない話なのにクスッとしてしまう
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ウィッシュ・ルーム(2019年製作の映画)

3.0

のっけからツッコみどころの多さにやっちまったかと思いつつ観賞していたがある「仕組み」が発覚すると俄然面白くなる。バートン、デル・トロ作品のような切なさが加われば更に好みだった。あと確実にいくつかドラえ>>続きを読む

バクラウ 地図から消された村(2019年製作の映画)

3.9

ネット上の地図から突如消えた村バクラウ。そして頻発する不可解な出来事。

シャマランやアリ・アスター、ランティモス作品を思わせるミステリアスな雰囲気。なのでもっと不条理かつ不可解な展開を覚悟していたの
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ビリー・アイリッシュ 世界は少しぼやけている(2021年製作の映画)

5.0

「まるで一曲の歌のような家族なの。今でも兄の部屋で曲を作ってる」

本当に素晴らしいドキュメンタリーだった。ひとりのアーティストの、というよりひとつの家族のドキュメンタリーとして。

心配から過干渉気
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ザ・ライダー(2017年製作の映画)

4.6

アメリカ中西部のサウスダコタ。ロデオで落馬し頭部に大怪我を負ったカウボーイ。後遺症と戦いながら復帰への道を探る。

知らない役者さんだけどイケメンだな、抑えた演技が素晴らしいな、しかし馬の扱いがやたら
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未来世紀ブラジル(1985年製作の映画)

5.0

「未来世紀ブラジル」は自分にとって「映画」のすべてが詰まったような作品でもう何十年もオールタイム・ベスト。何度観たかわからないし上映をめぐる配給会社との戦いを綴った書籍「バトル・オブ・ブラジル 」も大>>続きを読む

異端の鳥(2019年製作の映画)

3.9

全編モノクロで助かった。時代も場所も知らされぬまま描かれるひとりの少年の地獄めぐり。別府か。

ヴェネツィア映画祭では上映中に退出者が続出したとのこと。ひたすら美しい映像で綴られる無情の残酷。

ホロ
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浮き雲(1996年製作の映画)

4.2

「本棚とソファのローンも残ってるのよ」
「何とかなる。4年ぐらいすぐだ。そしたら本を買おう」

大好きな作品。パンデミック下の今観ると余計に刺さる。どんな苦境でも飄々と、ユーモアは忘れずに。現実はこの
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愛しのタチアナ(1994年製作の映画)

4.0


「もし彼らが”急ごう”と言っても どこにもたどり着けないわ」

コーヒー中毒ヴァルトとウオッカ中毒レイノの中年二人組ロードムービー。現実的な物語のはずなのにどこかファンタジック。2人の奥手さ、レイノ
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