飯さんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

太陽の少年(1994年製作の映画)

4.3

最悪の時代での最高の青春。

動物凶猛。

陽光燦爛的日子。

「ナチス少年の回想録」という言い方も間違いない。

顔たち、ところどころ(2017年製作の映画)

4.5

村のストーリー、顔のストーリー。
生活の芸術化。芸術の生活化。
88歳の少女ヴァルダ。彼女の目から見た世界、彼女の足で踏んだ土地、彼女の耳から聞いた話、全てが愛おしい。

「何を表現したい?」
「想像
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ウェディング・バンケット(1993年製作の映画)

4.0

アン・リーの父親三部作の2作目。

伝統的な東洋価値観と西洋現代社会の衝突。権力の象徴となる父親の窮境と妥協。

中国人の結婚式は色んな欲を解放する場である。人間が獣になるのも一瞬のこと。訳が分からな
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アリゾナ・ドリーム(1992年製作の映画)

4.5

ヨーロッパ監督がハリウッドに行ってしまったら味も変わってくるよね。残念なところもある。

ピンク色のキャデラックでアメリカンドリームを見るというストーリーをベースにして、砂漠を加え、極地を加え、神経質
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黒猫・白猫(1998年製作の映画)

5.0

家畜と人間が共演する荒誕コメディー。

廃棄車を食べ続けている豚。
ガチョウタオル。
金色のひまわり畑とジプシー少女。
戦争のような狂乱ウェディング。
セックスシーンは猫担当。

フェリーニのサーカス
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えぐられた目玉(2014年製作の映画)

5.0

“脱秩序“

バス後座、砂を巻き込んだ風の匂い、ガソリンに浸された革の匂い、汗の匂い。

情欲の匂い、目玉が取られた時の血の匂い、塩っぱくて、錆びた匂い。

内モンゴル高原の乱暴の匂い。
妻と電話する
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占い師(2009年製作の映画)

5.0

徐童の「遊民三部作」の2作目。

古典小説のような章回体で撮ったドキュメンタリー。

マジックリアリズムの素材アーカイブ中国。カメラを置くだけで想像力を超えた現実が噴水のようにあなたの神経を刺激し続け
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ドリーマーズ(2003年製作の映画)

4.0

1960年代、浪漫と革命の時代。全世界の青年はflower children。左翼の風、赤色思潮、パリは空気まで激動していた。ベトナム戦争とヌーヴェルヴァーグ。紅衛兵の毛主席語録と「民衆を導く自由の女>>続きを読む

博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか(1964年製作の映画)

5.0

3回目の鑑賞。
キューブリックは宇宙からのスパイじゃないかと思ってしまった。


Everything in the world is about sex except sex. Sex is abo
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復讐するは我にあり(1979年製作の映画)

4.2

さすが今村監督、変態人類研究を極めた笑。

前進する汽車と勃発する殺意との対照。

圧迫される時の忍耐は復讐の種を蒔く。(誰への復讐?エディプスコンプレックス的な?)

また、観客への圧迫感。

異形
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切腹(1962年製作の映画)

4.9

流動感のある静態。

室外の景物の光が室内に投射する影。(雨の転移)

対角線構図。


かくれんぼ。

傘の変化。

強風が貫いていた荒野決闘。

刀光剣影。

「不知命不知礼不知言。」(『論語』堯
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バーニング 劇場版(2018年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

孤独人間。Great hunger.

南山タワーへのマスターベーション。

セールス員のダンス。飢餓のダンス。夕焼けの下での半裸ダンス。三段階式の解放を完成した女性は愛する男に悪言を吐かれ、ここで死
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マイ・マザー(2009年製作の映画)

4.0

Gus Van Sant+王家衛


"What if I died today?"
"I will die tomorrow."

共感すぎてお母さんに勧めしてしまった

にっぽん昆虫記(1963年製作の映画)

4.2

今村昌平の文化人類学。

戦後の空の下。
泥塗れの下層社会で、目を瞑って只管爬行し繁殖していく昆虫人間の生命力への礼讃。

父と乳。

猫の血で処女を装う。

ストップモーション叙事。

生存:生きる
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ピアニストを撃て(1960年製作の映画)

4.1

犯罪映画というお皿に栄光、成功、堕落、失敗、女と愛の盛り合わせ。

ハリウッドの脱構築。

(逃亡中のパリ処女論。男にもストッキング。息子の嘘で即死した母。雪の中で滑り降る彼女。)

カメラは相当ワイ
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秋日和(1960年製作の映画)

4.0

小津の映画3本連続観ちゃうと、世の中で一番美味しい白米3杯一気に食べてしまったような感じが出てくる。

今村昌平や大島渚をおかずにしないと。

愛のコリーダ(1976年製作の映画)

3.8

性の職人精神。

愛の献祭。

赤裸々。

三味線。

体合わせ。

苦しめてやる。

太陽の下で 真実の北朝鮮(2015年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

「1984」の国民体操の再現笑。


金正恩と涙:

"Don't cry. Try to think of something good."
"What."
"Something good."
"I
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東京物語(1953年製作の映画)

4.0

小津の映画完璧すぎて嘘みたい。

平和の下で逆巻く怒濤の残酷。息苦しい。


ずっと親から離れているけど、今更寂しさを感じた。母に電話かけたら、「大丈夫、私たちのこと心配しないで。あなたは元気でそれで
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気狂いピエロ(1965年製作の映画)

4.0

セーラー帽と機関銃。

気狂いゴダールの感情発散ネタ帳。


私の短い運命線~はかない生命の運命線~

甘い生活(1959年製作の映画)

4.9

ダンテ・地獄編之ローマ上流社会版。

新現実主義から現像学写実主義への一作。
冒頭のヘリコプターに吊り上げられるイエス像のシーンは「ユリシーズの瞳」、「グッバイレーニン」にオマージュされた。

昼と夜
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8 1/2(1963年製作の映画)

4.9

夢の渋滞、現実の瞬き。漫画構図、非線形の語り口。劇中劇、意識流。

Nostalgia、Childhood、Religion、Love。狂乱サーカス、荒涼世間図。

(CalvinoやFreudとの関
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ホーリー・マウンテン(1973年製作の映画)

5.0

映画以上、大型芸術装置展示会に近い。

宗教と政治への挑発。信仰は霧だらけの道。信仰の終点は虚妄のHoly Mountain。さよなら、現実が待っているから。

西遊記(仏抜き。

偉大なるシュルレア
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悦楽共犯者(1996年製作の映画)

5.0

カルト教会聖典。異常性癖黙示録。

極楽同盟。超壮絶オーガズム革命。

Family Romance, LLC(英題)(2019年製作の映画)

4.0

白桃色調、ゆらゆら手持ちカメラ、粗糙な演技が作り出した濃厚なporn-docu感。

夢と現実、人間と機械の境を曖昧化する重ねテク。

無刀切腹武士が東アジアの孤独を演じる。
人類孤独のピークは日本に
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