「お袋でも分からないな」
冒頭、顔面の大怪我により形成手術を受けた″男″が自嘲気味につぶやく。
あまりにもさりげなく発せられるこの台詞が孕む意味と闇の深さを知ったとき、全身が粟立った。
″タイムト>>続きを読む
ファーストカットのアップから始まり、終始、主演俳優クライヴ・オーエンの″濃ゆい顔面″が印象強い映画だった。
特に好きでも嫌いでもない俳優だけれど、改めて振り返ってみると、結構印象強い映画に多数出演して>>続きを読む
「アバター」のクライマックスで、サム・ワーシントンと死闘を繰り広げるクオリッチ大佐役で知られるスティーヴン・ラングは、サイコが入った軍人役がよく似合う。
″ど素人の若者vs歴戦の軍人″の対決が一方的に>>続きを読む
忌み事や不気味なものを心の栄養とし、苦痛を愛するファミリーの面々は何ともフリーキーで、そのハチャメチャな倫理観のせいで一般市民とのいざこざも多い。
ゴメズと妻のモーティシアはことあるごとに妖し>>続きを読む
乱れ飛ぶ欲望とドラッグ、そして3時間の尺を目一杯使って映し出される人間という生物の下衆の極みの様に、序盤から偏頭痛を覚える程にクラクラしっぱなしだった。
こんな人物のこんな人生が実在して、この悪行の>>続きを読む
映画の冒頭、少年時代の主人公が、自作したジェットパックで未来都市を飛び回る。
このシーンをはじめとする「未来」を目の当たりした問答無用の高揚感こそが、この映画の総てだと言っていい。
映し出された未来像>>続きを読む
冒頭の一連のシーンだけでも、この作品のエンターテイメント性、メッセージ性の高さが伺い知れる。
少年期のサーヒルが生身のアクションを活かしてゴロツキを手玉に取り、軽々と彼らから逃げ出してみせるシ>>続きを読む
「犯罪現場の清掃人」という仕事をピックアップし、その仕事だからこそ有り得るサスペンスを描き出した試みは、実にアメリカらしいと思うと同時に、新しかったと思う。
べっとりとごびりついた血液を、サミュエ>>続きを読む
ゴードの「贈り物」攻撃は、それだけでもたいへん不気味だ。
″「贈り物」には必ず返礼がなされなければならない″、ということは、社会において根本的なものだからで、ゴードは「贈り物」の見返りに何を求めている>>続きを読む
「恐怖」が東京を破壊し尽くす。
吐き出された熱焔が街を焼き、四方八方に放出された無慈悲な熱線は人類の英知を尽く無に帰していく。
暗闇の中で、「恐怖」それのみが美しく妖しく光を放っている。
その光景>>続きを読む
製作総指揮の一人には、あの巨匠ジョージ・A・ロメロが名を連ねる。
というのも、リメイク元である『ザ・クレイジーズ』は、ロメロが初期に手掛けた作品。
『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(68年)の5年>>続きを読む
″動機″や″きっかけ″は些細なことだった。
今となっては、どうでもいいような事なのかもしれない。
圧倒的に強い力で突然に襲い掛かってくる″ソレ″からは、普通の人々はたとえ不条理だとしても逃げるしか道は>>続きを読む
夢に憧れて、夢を持ち、夢を見て、見て、見続けて、ついに夢を叶えた時、夢は終わる。
それは、二人が踊ったマジックアワーのように、限られたものだからこそ、美しく、何にも代え難い。
「LA LA LAND>>続きを読む
人間の情愛というものは、必ずしも綺麗ごとで済まされるものではない。
愛するという行為はこの世界において最も美しいことだが、その行為は往々にしてすれ違い、報われない想いが時に悲劇を生む。
久しぶりに観>>続きを読む
想像以上に″いびつ″で、″混沌″とした映画であったことに驚いた。
もっと大衆向けの感動映画なのかと思っていて、それがこれまで今ひとつ食指が伸びなかった理由でもあったけれど、想定外の映画の世界観に心が掴>>続きを読む
ヒロインの「悲鳴」に気づき、ジョン・トラヴォルタ演じる音響効果マンの主人公が彼女の危機を救うべく走る。
このクライマックスまで冴え渡るブライアン・デ・パルマのカメラワークを観ながら感心しつつ、一方>>続きを読む
猟奇殺人サスペンス映画ブームの90年代に量産された凡作の一つと言わざるを得ないのが正直なところ。
雰囲気としては、新米捜査官+殺人のプロフェッショナルコンビのパートナー感は「羊たちの沈黙」のそれを、>>続きを読む
ついに進退窮まった最後の局面において、主人公は「これは誰のせいでもない」と達観する。
それはすべてをやり尽くした上での諦めの境地のようにも見えるが、やはり、彼女がようやく辿り着いた″生きる″ということ>>続きを読む
今回紹介したいのは、何の心配もせず頭も使わずキャッキャキャッキャと無心で楽しめるB級モンスター・パニック作品、その名も『ビッグ・バグズ・パニック』。
なんともB級感満点の邦題である。
モンスター・パニ>>続きを読む
「あなたが普通じゃないから、世界はこんなにも素晴らしい」
勿論それは映画上で脚色された台詞だろうけれど、たとえそうであったとしても、この映画とこの台詞により、アラン・チューリングという不遇の天才数学>>続きを読む
紛れも無い「18年」という時間の中で、奇跡のように美しい″出会い″と″再会″を経て、ともに人生を歩んできた男女の様を描いた本作を観て、言うまでもなく、身につまされ、″辛辣な時間″を耐え忍んだことは確か>>続きを読む
悲しいわけではない、物語自体が極端に感動的だというわけでもない。
ならば、どうしてこんなにも涙が溢れるのだろう。
……と、とめどなく流れる涙を拭いながら思った。
ただただ主人公の希有で幸福な人生を見>>続きを読む
大量のニトログリセリンを荷台に積んで悪路を延々運転する主人公に、同乗する相棒が言う。
「2000ドルは運転の報酬だけではない、恐怖に対する報酬でもあるのだ」と。
それはまさにその通りで、後半の主人公は>>続きを読む
ハリウッドきっての人気親子主演の映画「アフター・アース」の日本版トレーラーにおいて、かつて一世を風靡したはずの「監督」の名前が一切表示されないことをあまりに不憫に思い、改めて″彼″の未見作品を見直して>>続きを読む
この映画のインフォメーションを観た段階から、「好きな映画」だということは直感的に分かっていた。
人生の機微とそれに伴う悲喜劇を、こういう映画ならではの表現方法で展開させる作品には滅法弱い。
ストーリー>>続きを読む
2015年に公開され各方面から絶賛された″異色の″、あるいは、″好色″のホラー映画。
映画批評家のレビューを集約し百分率化するサイト″Rotten Tomatoes″では、驚異の97%を叩きだした。>>続きを読む
「容姿端麗」
それは映画スターにとっては最低条件とも言える素養の一つであるわけだが、そうであることが当たり前過ぎて、俳優としての評価においてしばしばないがしろにされがちだ。
その形容がもっともよく当て>>続きを読む
本作は、原題『The Invisible』が示すように、幽体離脱をするも、誰にも気づかれず「透明人間状態=本当の自分を誰も分かってくれない」、″The 思春期″特有の葛藤を描いた青春映画である。
昨>>続きを読む
映画を観終わり、外気に触れたくてバルコニーに出たとき、いつもと同じ風景が少し違って見えることがある。
そして、呼吸の感覚までもが、映画を観る前と後では何か違うと感じる。
「映画を観る」ということは、人>>続きを読む
″英国王″もとい″英国紳士″然としたコリン・ファースが、いかにもスパイ映画風の魅力的なギミックを駆使して小悪党どもを小気味よく打ちのめす。
この白眉のアクションシーンをはじめ、映し出される映像の娯楽性>>続きを読む
96分という、切り詰められた内容と、しかしそこでしっかりと描かれる「人間ドラマ」。
やるべきことをやった人々への賛歌。
もっとも、NTSB(国家運輸安全委員会)と、サレンバーガー機長らのやりとりは必>>続きを読む
アカデミー賞作品賞をまさかの封筒手渡しミスで逃すという歴史的な珍事があった『ララランド』の影響からか、またもや注目され出した本作。
自身の感情の整理がまったくつかぬまま、虚無感に苛まれつつレビューを綴>>続きを読む
「その土曜日、7時58分」この邦題も嫌いではないけれど、原題「Before the Devil Knows You're Dead」は、「悪魔があなたの死に気付く前に天国にあらんことを」というアイルラ>>続きを読む
突如として発生した高致死率の新種ウィルスが瞬く間に世界中に広がっていく恐怖を描いた映画。
という、イントロダクションを聞いて真っ先に連想してしまうのは、やはり「アウトブレイク」だ。
「アウトブレイク>>続きを読む
″ソリッドシチュエーションスリラー″というジャンルを確立した、エポックメイキングな傑作。
その後、無数のパチモンと2作の続編を生み出し、『SAW』シリーズの原典ともなった。
圧倒的なアイデア、極限状態>>続きを読む
土曜日、いつもの感覚で家を出たのだが、講義が午後からだったことに気づくもときすでに遅し。
この持て余した時間をどう有意義に過ごしてやろうかと、無い頭で捻り出した答えが本作だ。
いや、恥ずか>>続きを読む