ギボン三世さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

エノーラ・ホームズの事件簿(2020年製作の映画)

3.0

ホームズの妹を描いた作品。時代背景と兄達の性格を、マイクロフトはやや悪役だが、よく捉えている。

ジュブナイルな作品としてよくできているが、ホームズ好きが見ると物足りなさはあるだろう。

ただ、正典へ
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ライムライト(1952年製作の映画)

4.8

チャップリン晩年の作品。彼のメッセージが強く出ているが、そこに嫌味なり、くどさがないところがさすがチャップリンである。

役者として、人間としての思想がよく出ている。そして強い人間賛歌を感じる名作だっ
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ウイスキーと2人の花嫁(2016年製作の映画)

3.5

大戦下で配給を強いられた銃後の人々をコミカルにたくましく描いた映画。

ハイランドの美しさとケルト音楽、スコッチへの愛、まだ教会が力ある地方など見どころはたくさんある。気軽に見て楽しめる映画だった。

サンストローク ロマノフ王朝の滅亡/サンストローク 十月革命の記憶(2014年製作の映画)

3.0

白軍ロシアの兵士たちの悲劇とある将校のエピソードを通してロマノフ朝末期の世界を描く。

ロシア人にとっては当事者意識も出てくるだろう作品、とはしながら当事者のほとんどは抹殺されていったわけだろうから、
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独裁者と小さな孫(2014年製作の映画)

3.5

独裁者と独裁国家の有り様を流浪とともにじっくりと描く。

最後の若者が語るメッセージと語らぬ結末は私たちに想像の翼を与えてくれる。

ストーリーも演出も申し分ないが、まじめな作りなために、気楽に見るタ
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フライボーイズ(2006年製作の映画)

3.6

第一世界大戦を描くと、いまひとつ日本人には捉えにくいところが多々あるだろう。

戦争映画としては、とりあえず抑えるべくところは抑えている。

人種やまだ戦場にロマンがあった時代などなど。

アメリカ人
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博士と狂人(2018年製作の映画)

5.0

本映画は気をてらった演出はない。中身で勝負した骨太な作品だ。

言葉に対するあくなき追求、友情や愛、犯罪加害者と被害者、精神障害、辞典編纂以外に様々な切り口で見ることができる。

どれも魅力的で、私は
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恋は雨上がりのように(2018年製作の映画)

3.0

原作漫画を読んでいて、好きな作品だったこともあり、Amazonで視聴できるようになったので視聴した。

実写化は完璧に再現しなくとも評価はされるものがある。釣りバカ日誌がその代表だろう。割と忠実に作ら
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ナチス第三の男(2017年製作の映画)

2.7

いわゆるナチモノであるが、この映画、途中でハイドリヒ暗殺に焦点が移るにせよ、唐突に主役交代な印象があり、構成と演習に失敗しているように感じる。

もっとハイドリヒの話に絞っていればいいのに、これではハ
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激動の昭和史 軍閥(1970年製作の映画)

4.0

昭和期に、こうした構成の映画を作ったことは評価できる。おそらく、プライドが出るまでは大日本帝国とならび、もっとも東條を描いた作品だろう。また、重要人物が日本のいちばん長い日と被っているから、入りやすい>>続きを読む

孤狼の血(2018年製作の映画)

4.6

近年珍しいバランスがよい、ヤクザ映画であった。

刑事2人組の王道さ、極道の姿勢も基本をよく抑えているし、演出もよい。

何よりいい点が、この映画を見て、極道映画にどこかあるアウトローへの撞着を感じさ
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戦争と人間 第一部 運命の序曲(1970年製作の映画)

3.8

時代に流された人々をよく描いている。また、役者がとても贅沢なので、演技は見る価値ある。

一方で70年代の作品なので、名前こそ出るが、あまり政治中枢は描けなけていない。石原や板垣などは背景に触れている
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ラストスタンド(2013年製作の映画)

3.5

シュワルツネッガーらしい作品。

あまり考えることなく、気楽にみることができる。エンタメとしては充分な出来。

湾生回家(2015年製作の映画)

4.0

岩波ホールで見るタイミングを逸していたが、視聴できた。

この作品が、こうした存命者がいるうちに制作できたことが素晴らしいと感じされた、良質なドキュメンタリー映画であった。

冨永勝翁が故郷を訪ね、友
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日本沈没(1973年製作の映画)

5.0

先日、小松左京を宮崎哲弥がラジオで触れていたことや、アニメ版の話を聞いて視聴。昔見たかと思っていたのは、首都消失だった…。

役者の演技もさることながら、ストーリーがすばらしい。国土を失ってなお日本人
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ロケットマン(2019年製作の映画)

4.8

タイミングを逸していたが、ようやく視聴。
ボヘミアンラプソディと比較されるのも、さもあろうが、どちからというと、ララランドやグレイテストショーマンの血統かなと思う。

演出や音楽は文句なしといえる。
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ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)

3.0

実話ベースにすると、ともすれば内容がよくてもテンポが良くない場合がある。良くなくても見応えがあったり、よいフレーズがあればよいが、あまり強烈には残らなかった。

マイケル・ムーアほどではないが、やりた
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コードギアス 復活のルルーシュ(2019年製作の映画)

4.5

ようやく視聴。当時から語られていた生存説だが、映画を見ずに入ったので、少し驚いてしまう。私は楽しめたが、生存説を取らない方には、まず蛇足感は否めないだろう。

内容は、後日談的ストーリーとしてふさわし
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薔薇の名前(1986年製作の映画)

4.0

ウンベルト・エーコを映像でいかに表現するかが気になり視聴。ミステリとして楽しめるだけでなく、中世修道院や教会をよく理解しているため、時代劇としても良くできている。

ソシュールやバルトやフーコーから入
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太平洋奇跡の作戦 キスカ(1965年製作の映画)

4.3

どうしても第二次大戦で日本の戦争映画を作ると、悲壮感やメッセージが求められてしまうが、この作品は娯楽性が高く、単純に楽しめる。

三船敏郎と山村聡のやりとりや、若き西村晃やど役者の演技が見応えあり、円
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エジソンズ・ゲーム(2019年製作の映画)

4.8

自粛明け初。良質な映画でした。

テーマが面白いだけでなく、科学の専門知識がなくとも充分に楽しめる内容に仕上がっている。

ウェスティングハウスとエジソンの性格の対比、そしてテスラに横たわる移民の視点
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ハドソン川の奇跡(2016年製作の映画)

4.0

一時期、イーストウッドがやたら実話を映画にしていたなと、距離を置いていたが、構えずにと最近何作か見てきたが、満足感高い作品だった。

敢えて厳しく追及する構図にすることで、サリーたちの努力、判断が最善
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ガガーリン 世界を変えた108分(2013年製作の映画)

3.6

宇宙について、ちょうど色々調べていたタイミングで視聴。

ハリウッド以外でこうした映画が作られるところがよいと思う。まずガガーリンに焦点がいくだろうが、ロケット技術を担ったコロリョフにもしっかり描いて
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ジャッジ 裁かれる判事(2014年製作の映画)

3.7

派手さはないが、良作。色々盛り込んでいて、ややとっちらかった印象を受けるが、親子の和解と故郷への思いに焦点を絞って鑑賞すると、心がさわさかにさせられる。

一方で法廷ものとしたら、物足りなさがある。

PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR(2020年製作の映画)

4.5

本シリーズの大事なテーマを扱い、新旧の登場人物もバランスよく描いていた。内容はとてもよかったと感じたので、テレビシリーズの消化不良は解消されたといえる。

しかしながら、個人的には、テレビシリーズでじ
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マガディーラ 勇者転生(2009年製作の映画)

3.7

実にインド的な展開。バーフバリを見て、これを見たら、やや構成は好みが分かれるかもしれない。私はそれほど気にはならなかった。

パッケージからは予想しにくい展開であるが、わかりやすく、アクションもよい。
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ゴッド・オブ・ウォー(2017年製作の映画)

4.6

久々の中国映画。倭寇が素材ということで見てみるが、期待以上の作品で、間違いなく近年の中国映画で頭ひとつ抜けた出来だ。

特筆すべきは倭寇の実態を日本人キャストを使うこと、言語も両国双方用いて、東アジア
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鉄道員(ぽっぽや)(1999年製作の映画)

5.0

いままで見る機会がなかったが、志村けんの逸話に惹かれて視聴。鉄道員の人生を高倉健が見事に演じ切る。小林稔侍の親友とのやりとりや、彼の思いにも涙が出てくる作品。また、意外にファンタジーな要素もあり、そこ>>続きを読む

ピータールー マンチェスターの悲劇/ピータールーの虐殺(2018年製作の映画)

5.0

これまた行きそびれた作品。プライム視聴するも、果たして圧倒された。

19世紀イギリスのある事件を淡々と描き、進行していく。時代の言説や様子が面白いなと歴史的な視点で見ていくが、途中であることに気がつ
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LBJ ケネディの意志を継いだ男(2016年製作の映画)

4.0

ケネディの副大統領という、映画としては使われやすいテーマながら、作られてこなかった作品。

自己理解と役割を意識しながらも、周囲からの様々な気持ちを受け、行動していく姿は、伝記映画の基本であろう。
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英国総督 最後の家(2017年製作の映画)

5.0

映画館に行きそびれ、長らく機会に恵まれなかったが、ようやく視聴。

見なかったことを後悔する素晴らしい作品だった。

マウントバッテン夫妻の行動と英国政府のやり口、そして翻弄されたヒンドゥー教徒とムス
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