ギボン三世さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

2人のローマ教皇(2019年製作の映画)

4.6

同じ神の僕ながら、信条は異なる相手を理解し、わかり合う過程を見事に描いている。

また、抑圧された体制下で振る舞うべき所作の難しさをフランシスコの苦悩を通して感じ、胸打たれる。そしてベネディクト16世
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エルネスト(2017年製作の映画)

3.6

革命に理想を費やした日系ボリビア人の物語。
派手さはないが、良質な人間ドラマに仕上がっている。

ゲバラやカストロの持つ、強烈な個性や何気ないシーンに意味が盛り込まれているのが印象的。

理想を求める
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アイリッシュマン(2019年製作の映画)

4.7

アメリカ版仁義なき戦い、というべきか。実録的なマフィア映画に仕上がっている。劇場公開を意識していない分、作りたいこと、描きたいことを全てやり切っている印象を受ける。が、最近の映画に慣れた人には冗長に感>>続きを読む

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.6

年明けになかなか満足度高い映画が続く。ジョジョ役がまずよい。ナチス、に限らず、教育の持つ怖さを見事に表現している。

また、魅力的なキャラが溢れている。大尉が全て持っていく。ヨーキーやfatレディの活
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フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)

4.5

年明け初。開幕からよい映画。最初はややギアが入らない気がしたものの、フォードがフェラーリにボロクソに言われたあたりから、トップギアになる。

そして車のシーンは珠玉の出来で、ワクワクさせる。また、なん
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シンドラーのリスト(1993年製作の映画)

5.0

いわゆる、ホロコーストを描いた作品では、著名すぎる作品で敬遠してきたが、機会があり視聴。

さもありなんな傑作である。特に、シンドラーとイザークの友情には涙を流さずにはいられない。そして、最後に工場か
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ふたりの女王 メアリーとエリザベス(2018年製作の映画)

2.8

ふたりの女性の在り方にはとても面白い対比であり、見応え充分である。

しかし、かなり残念なところが、時代背景考えるなら、重臣に黒人やアジア系がいることだ。最初からそのへん目を瞑るにして、あえて史実を無
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パリよ、永遠に(2014年製作の映画)

3.9

パリを愛するノルドリンクと先が見えてしまったナチス軍人の対話は、戦争行為における人間の行動について考えさせられる。

私はノルドリンクの気持ちに共感を得ながらも、連合軍の無差別爆撃を受けた日本人の子孫
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劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズ(2018年製作の映画)

3.5

この作品は、シティハンターのファンでなくば物足りない事は否めない。ただ、ストーリーは明快で、あまり考える必要もない。気楽に観ることができた。

しかし、映画のリメイク、ないし時間を経た新作を作るときに
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ヒトラーの忘れもの(2015年製作の映画)

3.8

戦後の勝った側の暴力を残酷に描いた作品。地雷だけではない、第二次大戦が持つ、ナチスの残したものがただ根深く感じ取れる。

虜囚の身に情が移ることは、ともすればありふれたテーマかもしれない。しかし、あり
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ヒトラーに屈しなかった国王(2016年製作の映画)

4.0

デンマークと異なる選択をした国王であるが、特に興味を引くポイントは、英仏と異なり、君主にある程度権力がある国家の判断を描いたことであろう。

第二次大戦は、まだ戦後に経験していく、世界と異なる。日本な
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仁義なき戦い(1973年製作の映画)

4.6

以前から気になっていたが、primeを機会に見る。

登場人物の大半が日本映画の中心となっていくことに圧倒される。

また、戦後日本のもうひとつの姿をありありと描いている。仁義なき、まさしく人間のドロ
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エンド・オブ・ステイツ(2019年製作の映画)

3.4

前二作に比べると、やや小物な敵、であるし、アッシャー大統領が全く出ない事など、物足りないところは多い。しかし、このシリーズならではの味ある描写はしっかり引き継がれている。

無名戦士たちの奮闘。絶妙な
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パディントン 2(2017年製作の映画)

3.7

映画は個々に感じ取れるものがあれば、名作だと思う。この作品はまさしく子どもからお年寄りまで、同じ空間で同じものと、違うものを感じさせるものではないかと感じた。

パディントン(2014年製作の映画)

3.5

子どもの頃に見て、大人になってまた見たい、そんな作品。

バルトの楽園(がくえん)(2006年製作の映画)

4.0

元来、捕虜収容所は戦争映画として頻繁にあるトピックである。本作も人間の交流をよく描いている。

今作で特徴的なことは、言語的な障壁をよく描いている。欧州と日本というかけ離れた言語だからこそ、本作が見せ
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太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男(2011年製作の映画)

4.0

米国のノンフィクションが原作であるが、日本の戦争映画としては久しぶりに名作に出会えた。

まず、役者陣の演技が素晴らしい。一面的でない、戦争に翻弄される人々を見事に表現し、私たちの感情を揺さぶる。
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バーフバリ 伝説誕生(2015年製作の映画)

4.7

2を映画館で見たのち、漸く視聴。カッタッパの視点で見たとき、この作品は娯楽映画だけでなく、インドのカーストを考えさせられる。

バーフバリ!と叫びたくなる一方で、2を見ていたので、カッタッパを思うと、
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バイス(2018年製作の映画)

4.5

現在なお世界最強の国家、アメリカ合衆国。そのナンバー2である副大統領を務めた、ディック・チェイニーの物語であるが、一言で表現するならば、リアルなハウス・オブ・カードである。特に北米版ではなく、英国版に>>続きを読む

雨に唄えば(1952年製作の映画)

4.7

50年代のオールド・グッドデイズが集約された作品。

ダンスにミュージカルと、まさに娯楽映画かくあるべきと、ハリウッド自らの模索を描いているようにも見える。

今日では、記録映画の意味合いすらあるが、
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宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第七章 新星篇<最終章>(2019年製作の映画)

4.0

期待度高めた最終章。劇場版最終章で見るか、テレビシリーズの先行上映であるとして見るかで、印象は変わる。

特攻でもなく、テレサに丸投げでもなく、人間の意志を重視したその着地点はとてもよい。

一方で、
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オーロラの彼方へ(2000年製作の映画)

3.5

消防士の話で過去と繋がり死んだ父と交流する、と聞かされボケっと見ていたら、SFでサスペンスな内容であった。タイムパラドックスがかなりはちゃめちゃな感じではあるが、よくまとまっていて、爽快感がある作品。>>続きを読む

帝都物語(1988年製作の映画)

3.0

同僚の勧めで視聴。実相寺監督らしい、ウルトラマンなどを見てきた私にとって特撮要素が満載された撮影方法にデジャヴを感じさせるものだった。

物語については、詰め込み感が強い。しかし、悪役の存在感は圧倒的
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蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH(2010年製作の映画)

5.0

まさか、当時こうした形で劇場化するとは思わなかった作品。

テレビシリーズでやりたかったクオリティを盛り込み、やり残した物語を描いたといえる。

続編モノにある、前提を知らないとついていけなくなる展開
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ヴィクトリア女王 最期の秘密(2017年製作の映画)

4.0

歳が離れた人間の交流は豊かな刺激をもたらしてくれる。

人間が直に刺激し合うと、かくも心が揺り動かされるのか。この物語は互いへの敬意、恋愛ではない愛情をあたたかい気持ちで楽しめる。

この2人への色眼
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イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密(2014年製作の映画)

4.3

ベネディクト・カンバーバッチの好演が光る作品。

単なる大戦下の暗号解読ものではなく、諜報戦における言葉のやりとりが巧みでイギリス映画の真骨頂だろう。

また一方で、人間アラン・チューリングの哀しみ、
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15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)

3.0

事が起きた時に人間が行動できるのか。

もっと電車内の出来事に焦点を当てた映画かと思いきや、行動した人間の背景を描いて、どこにでもいる若者たちだったと見せようとしていた。

よって、背景の説明がともす
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華氏911(2004年製作の映画)

1.8

率直に言うと、映画館ではじめて眠ってしまった作品。

政治的主張はわかるが、はっきり言って品がない。別に下品なものが全て悪いとは思わないが、全体的に論調が変わらないから冗長に感じてしまう。

ブッシュ
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ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

5.0

新年一発目。話題になりすぎて敬遠していたところがあったが、いくつかタイミングが重なり視聴。リピーターが多い理由もさもありなん。間違いなく、音響がいい映画館で見るべきだ。

名作は様々な視点から見れる。
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ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書(2017年製作の映画)

4.0

近年のスピルバーグ作品では良作でした。合衆国の報道に対する信頼と真摯さを改めて惹起させようとしているようにも読み取れる。

また、マイケル・ムーアよりも品がある、政権批判映画だろう。その品の良さ、洗練
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