eulogist2001さんの映画レビュー・感想・評価

eulogist2001

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アシスタント(2019年製作の映画)

3.7

静かでミニマルだが、その中にセクハラの構造的な要因が深く紡ぎだされるように描かれる。

権力を持つものの言いようのない浅ましさやそれを分かりながらも追従するものたちのリアル。

ジュリア・ガーナーの静
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ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ(2023年製作の映画)

3.2

1970初頭、アメリカの超エリートが集うバートン高で、諸事情で帰省出来ずに寮に残された反抗的な学生とそこで長年歴史を教える頑固者の教師の短い冬休みを丁寧に描く。

シンプルな進展で伏線も少なく、わたし
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雑魚どもよ、大志を抱け!(2023年製作の映画)

3.2

小学校6年生のビルドゥングス・ロマン。それぞれの子どもたちが良い感じ。

同世代の子どもたちが観たらどう感じるのだろう。その子たちの感想を聞いてみたい作品。

大統領の理髪師(2004年製作の映画)

3.0

ヒューマンドラマ。ただご都合主義の展開が散見されて、入り込めなかった。

ソン・ガンホの演技が素晴らしいだけにシナリオが残念。

ゲバルトの杜 彼は早稲田で死んだ(2024年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

当事者たちへのインタビュー、再現ドラマ、そして当時の映像などで内ゲバの流れ、告白、再現、いくつかの評価を描く。

個人的に1969年前後の時代には興味があり、相当な程度、ドキュメンタリーや小説、ノンフ
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TAR/ター(2022年製作の映画)

3.8

Blu-ray
才能はあるが、その独断専行的な態度が周りとの軋轢や誤解を生み、遂には・・・。

どこの世界でもありそうなストーリーだけれど演技が絶妙でサスペンス感がいやがおうにも盛り上がる。ラストまで
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Laundry ランドリー(2001年製作の映画)

3.6

ラストが良かった。それまでの伏線が長い気もした。

また、今観ると窪塚や小雪についてのイメージがついてしまっているので作品世界に入り込むのに時間を要したかも。

ファンタジーを現代日本を背景として成立
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完璧な他人(2018年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

公的な生活、私的な生活、秘密の生活。そのバランスをどう取るのか。それが人生ってことなのかも。

スマホの状況設定はどこかで観た記憶があるが、全体として面白く観た。群像劇が好きなので、ひとりひとりの関係
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マンハッタン(1979年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

繊細で才能があるがエゴの塊のような43歳の中年男。そして彼の周りも似たようなもの。そうした気まぐれでその場限りの恋愛や結婚を繰り返し、最後に辿り着く先は・・・。

最後にいちばん若いコに諭されるのは愉
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悪は存在しない(2023年製作の映画)

3.9

カットの冗長さや無駄な説明を削りに削り、美しいショットと確かな構図で描く。さりとて大事なところはきっちりとリフレインさせて、韻さえも踏む。

そしてセリフや映像には重層的な意味を持たせ、余韻さえ残す。
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人生は、美しい(2022年製作の映画)

3.7

こんな死に方いいね。いろんな想いを出し切って伝え切ってのお別れ。そしてそこに純粋なる愛情がある。

ミュージカル仕立ての部分もほどよい香辛料となっていて楽しめた。

前半は多少の緩さを感じるが、そこが
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FLEE フリー(2021年製作の映画)

3.2

アフガニスタン。わたしにとって諸外国への関心の中でもかなり低い国だ。ただニュースではいろいろ耳にしてきたし、その国民はたいへんだろうなとは考えていた。

その国の若者が1995年に難民としてデンマーク
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あんのこと(2023年製作の映画)

3.8

考えたり想像すること。生きていく上では欠かせざる行為。ただ自分の事でさえ、最適に思いが至って充分かといえば心許ない。それが他者、しかも圧倒的に弱い立場に置かれているものたちについては、なにおか言わんや>>続きを読む

関心領域(2023年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

ルドルフ・ヘスの家族が住む豪華な邸宅。手入れの行き届いた庭園や小さいながらプールもあり、周りの自然も豊か。子どもが育つには絶好の環境だ。妻のヘドウィグもお気に入りだ。

その敷地を塀一つ隔てた向こう側
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ケンとカズ(2015年製作の映画)

3.8

クローズアップの多用で暴力の痛みや怒りや苛立ちをぐいぐいと捻じ込んでくる。韓国映画のヤン・イクチュン「息もできない」や北野監督のヤクザものを観たときと同じような息苦しさを感じた。

セリフも簡潔で無駄
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夕凪の街 桜の国(2007年製作の映画)

3.9

ひさしぶりにツボりました。かんざしを介して想いが受け継がれていくこと。被曝にあったが故の理不尽で想いが絶たれたり、偏見や差別、健康への遺伝的な不安などの環境。

全くもって想像を越える人生を強いられて
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ザ・コーポレーション(2004年製作の映画)

3.8

映画作品としてはどうかとは思うが、ここで語られる企業の本質については異論はない。むしろ経営者も従業員も自分の会社の利益を優先しているものが8割方の多数派。2割の変わり者や哲学者や信念のひとが少しずつ企>>続きを読む

星から来た男(2008年製作の映画)

3.8

意表をつくような捻りが数回あって、展開に流されているうちに泣かされた。

主役の演技がすばらしく、それも本作を盛り上げている。ファン・ジャンミン、こんな役もこなしてきたのか⁈

ありふれた教室(2023年製作の映画)

3.6

ふとした誤解や思い込み、言葉足らずの議論の中で、その情報が噂や曖昧な憶測、一面的な断定によって少しずつ捻れていくさまはそら恐ろしい。そしてその当事者でさえ、その流れを糺す術がない。

いちばんの被害者
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コンクリート・ユートピア(2021年製作の映画)

3.6

なかなか突き抜けた設定だけれど、韓国映画らしいエグさが満載で楽しめた。イ・ビョンホンの汚れ役も迫真に迫ってる。

観た後でなにかが残るかと言えば、キッパリとない。そういう楽しみ方の作品。だとわたしは思
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

3.6

圧倒的な映像体験は前作にも負けず。ストーリーもついに仇を討ち、領家連合との全面対決へ。次回がたのしみ。

次回はやはり大スクリーンで映画館で観たい。

人間の境界(2023年製作の映画)

3.9

感情の奥底からジリジリとどこに向かうでもない怒りに満ちてくる作品。ロシア・ベラルーシとEU西欧社会の政治的な思惑。それぞれの政治のもとで警備にあたるポーランドとベラルーシの警官や国境警備隊。いささかの>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.8

骨太な作品。戦中からの戦後を生き抜く仲間たちが一致団結して闘う王道を行く物語。

迫力ある映像としても見事だけれど、大団円に向かう緊迫感が澱みなく描かれていてそこがまたすばらしい。

安心してwストー
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フォロウィング 25周年/HDレストア版(1998年製作の映画)

3.2

ストーリーが今ひとつ分からなかった。コッブの天才的な手法にやられたのか、もしくはビルの夢想なのか。

いずれにしても時間軸の行ったり来たりは処女作からだったのか。

“死刑囚”に会い続ける男(2021年製作の映画)

3.4

奥本章寛、植松聖、白石隆浩、千葉祐太郎。いずれも2名以上を殺害した死刑囚である。その死刑囚との面会を8年に渡りし続けるTBSの記者。

タイトルが記者がメインに思えるのは違和感がある。死刑囚の環境要因
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ジェニファーのしたこと(2024年製作の映画)

3.0

ドキュメンタリー作品。ほんとうにこんな事をしてしまうのか?

いくら自分の望みを親から反対されたとしてもやり過ぎとしか思えない。しかしそうした彼女の周りにいたのはそれを可能とする人間関係。

終身刑の
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マイケル・ムーア in アホでマヌケな大統領選(2005年製作の映画)

3.6

元のタイトルが、「この分断国家」。今の時点では日本でもこちらの表現のほうが伝わりやすいかもしれない。

・ユタ州の人口の7割がモルモン教徒とは知らなかった。また政党比率が共和党12に対して民主党1とい
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キャピタリズム マネーは踊る(2009年製作の映画)

3.9

資本主義が強欲なウォール街や政治家を産んだのか、それとも強欲な人物が資本主義を利用してさらに政治家をも動かして富を得ているのか。

しかしながらルーズベルトの例を見るまでもなく、優れた為政者を選べる権
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普通の人びと:彼らを駆り立てる狂気(2023年製作の映画)

3.6

1997年発行の書籍を原作としたドキュメンタリー作品。

・普通の人々がいかにホロコーストに加担するのか。強烈な反ユダヤ主義者であったり、ナチズムに傾倒していたわけでもない「普通のひと」が仕事としてひ
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ファーゴ(1996年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

なんともマヌケなきっかけから、予想外の展開に。借金を返すため偽装誘拐を仕組んだ男の妻、その男親。警察官、犯行を目撃した通りがかり2名。犯人の片割れ。駐車場の改札係。合計7人が死んでしまうとは、冒頭から>>続きを読む

ビリーバーズ(2022年製作の映画)

3.4

宗教的な心情や洗脳と人としての基本的な欲望。メンタルとフィジカル。どちらか一方だけで生きていくのは難しい。

個人的にはイデオロギーや宗教、異性を含めた他者、趣味や嗜好などに強く依存してしまうこと、そ
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.2

わたしにはすこし合わなかった。いささか長い。毀誉褒貶のドラマでもあり、オッペンハイマー自身の物理学の才能やキャラの奔放さが結果的に振幅が大きくなり、周りから翻弄されたり救われたりする人生でもあったかな>>続きを読む

歩けない僕らは(2018年製作の映画)

3.6

ショートフィルムなだけにドラマとしての盛り上がりには短すぎるが、構成やショットにはセンスを感じる。緩急の付け方や展開もうまいと思う。

青春期の挫折や恋愛の断面をなかなか深く切り取っていて、苦みも爽や
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人間蒸発(1967年製作の映画)

3.6

「藪の中」そのもの。多くの場合、現実に生きていくことは幾多の誤解と思い込みの中でなんとか正気を保っていくことなのかもしれない。

本作もどこまでがフィクション(演出)でどこまでがノンフィクションなのか
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破戒(2022年製作の映画)

3.8

丁寧な作りでじっくりと味わえた。ラストへの「泣き」の部分は分かっていながらも心動かされる。

部落差別の背景を知らないと分かりにくいところもあるように思ったが、それでもなおドラマとして感動した。

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