花俟良王さんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

花俟良王

花俟良王

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さがす(2022年製作の映画)

4.5

凄かった。『岬の兄妹』の片山慎三監督なのでそれなりにハードルは上げたけど、ヒリヒリしたあの作家性は商業映画のスケールに負けることなく、観る者に固唾を飲まさせる。

「本領発揮」の佐藤二朗の素晴らしさと
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殺人鬼から逃げる夜(2020年製作の映画)

3.5

結局最後までハラハラして見てたし、活劇としてじゅうぶん楽しめるけど、色々モヤモヤはある。

登場人物が錯綜する中盤までは上手いなーと思ったけどそれ以降は「スマホもっと活用できるだろ(終始思った)」とか
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007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2019年製作の映画)

2.5

そういうの求めてないんですけど…。

勝手に何してくれてんですか…。

Our Friend/アワー・フレンド(2019年製作の映画)

4.5

このテイストは大好物でして、はぁ~泣き疲れたわ…。

妻の死期が迫る夫婦と、その親友の関係を時間軸をばらして描く。恵まれた環境の綺麗事、と思う人もいるかもだけど、この優しさはこの世に確実に存在するもの
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THE MOLE(ザ・モール)(2020年製作の映画)

4.0

スパイ志望の素人と富豪を演じる役者が北朝鮮と世界の暗部に触れてしまうドキュメンタリー。

監督の前作『誰がハマー・ショルドを殺したか』のような急展開はないものの、10年間世界中を飛び回り撮影された映像
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MONOS 猿と呼ばれし者たち(2019年製作の映画)

4.5

凄かった!少年少女で編成されたゲリラ組織と本部からあてがわれた人質は寒々しい山頂から鬱蒼としたジャングルへ。

まず絵面の説得力が凄いが、無理なく状況を把握させる脚本やミカ・レヴィの音楽もいい。コロン
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キャッシュトラック(2021年製作の映画)

4.0

結局イサム無双なやつでしょ?

と思うなかれ。フレンチノワール『ブルー・レクイエム』のリメイクだけあって、いつものイサム映画よりも重厚な面白さ。

ガイ・リッチーは趣味性の高い『ジェントルメン』を撮る
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レリック ー遺物ー(2020年製作の映画)

4.0

これは想像の斜め上を行く異色作だった!前半こそは気配で怖がらせる王道だけど、後半の展開には衝撃。

「老い」がキーワードだけど、散りばめられたヒントを解読してこそのあのラスト。久しぶりに頭回転した。野
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彼女来来(2021年製作の映画)

4.0

コメディにもホラーにもなりそうなテーマだけど、文学的な余白がある(安部公房的な)不条理な物語として楽しんだ。

濃い色調と照明の加減が妖しく不思議な世界に説得力を与えてる。前原滉さんはどんな世界にもハ
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由宇子の天秤(2020年製作の映画)

4.5

前作『かぞくへ』では家族の境界をあえてぼかした春本監督が、本作では真実と正義の境界をぼかし、秤にかけた。

相変わらず血の通った人物描写に、長尺・劇伴なしでも時を忘れた。

同じくマスコミを描く力作『
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空白(2021年製作の映画)

4.0

見応えありました。古田新太がモンスター化する先入観だったけど不器用なだけで実はまとも。まともな人を惑わすのは「まとも風」な人々。いや、そもそも人は不安定だ。どちらにも傾く危うい生き物。だからこそあのラ>>続きを読む

ディナー・イン・アメリカ(2020年製作の映画)

4.5

タイトルの出し方のセンスでもしや、と思ったけど最高じゃないですか!

プロットはありえないシンデレラストーリーだけど、下品な笑いと物語のツイストと人への眼差しが心地良くて没頭させてくれる。優しくて愛お
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黄龍の村(2021年製作の映画)

4.0

情報入れずに『黃龍の村』。おお、和製ミッドサマーが始まるのか、みんな好きだなー…、ん?若者集団をよく見ると、伊能昌幸やウメモトジンギがいるぞ、え?なにこれ……。

物語のツイストと見事な肉弾アクション
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素晴らしき、きのこの世界(2019年製作の映画)

3.5

日本でも局地的に知られる超キノコ博士ポール・スタメッツが誘う驚異のキノコ宇宙🍄どんどん話が拡がり、今すぐキノコを買いに行きたくなるし、死期が迫ったら幻覚剤を飲みたくなる🍄監督はタイムラプスドキュメンタ>>続きを読む

返校 言葉が消えた日(2019年製作の映画)

3.5

何度も映画の背景になっている台湾の政治的弾圧「白色テロ」を真正面から描きながらもホラーという新鮮さ。先にゲームとドラマもあり、世界観は既にできてるのだろうけど、美術と編集の細やかさには目を奪われた。ホ>>続きを読む

眠る虫(2019年製作の映画)

4.0

ずっと観たかった金子由里奈監督『眠る虫』を。バスに揺られて迷い込む、生と死の曖昧な町。市井の人々の何気ない生活を、場所と物質の何気ない記憶を、淡くて少しダークなセンスで慈しむ62分。映像と音楽の一体感>>続きを読む

君は永遠にそいつらより若い(2021年製作の映画)

4.0

見応えあった。他者との関わりを模索する青春映画に違いないけど、堂々の社会派映画でもあった。地に足のついた演出と主演二人の好演が引き込ませる。シラケる危険性もある中盤の二人の関係の決定的な変化に全く違和>>続きを読む

サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)

4.5

全てをぶつけてくるクライマックスに意外な程泣いた。劇中の映画愛・時代劇愛を、作り手の自己満やオタク向けとせず、次代への想いを込めたエンタメに仕上げたセンスと心意気が気持ちいい。しかしあの「映画としての>>続きを読む

スクールガールズ(2020年製作の映画)

4.0

良かったです。ビジュアルだけだとおマセな女の子達がウェイウェイかと思うけど(それもあるけど)切実さが加速する後半の振り切り方が新鮮。

修道院と外に開かれていく92年のスペインを背景に描く思春期。主演
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RUN/ラン(2020年製作の映画)

4.0

面白かった。車椅子はもちろん、ネットやスマホ使用不可など、不自由な状況を盤石にしてくれているので余計な突っ込みは考えずに「どう立ち振る舞うか」をハラハラと堪能。若干モヤモヤしてた箇所はオチで解消。90>>続きを読む

オールド(2021年製作の映画)

3.5

今夜はシャマラナイト!修学旅行の消灯後「おいシャマラン、なんか面白い話聞かせてくれよ」「うん、新しい話を考えたんだ。みんな集まって。いくよ。あるリゾート地には隠された海岸があってね…」みたいな変わらぬ>>続きを読む

サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)(2021年製作の映画)

4.5

感動した!音楽映画を超えた社会派映画として素晴らしかった。眠っていた(忘れ去られた)素材だから見たことない映像ばかり。フィフス・ディメンション、ニーナ・シモン、凄いのだらけだけど、「ゴスペルとは?」の>>続きを読む

人肉村(2020年製作の映画)

3.5

Z級を想定してたら堂々たるB級で嬉しい。新鮮味がないとの批判を見るが、私はあまりそこは重視しないかな(あればあったで嬉しい)。

いかに現実に引き戻さないか、きちんと作っているか。監督・脚本・撮影・編
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スターダスト(2020年製作の映画)

3.0

主演俳優自ら「ダークな小品」と言うように、華々しさはほぼない。権利の兼ね合いで肝心なボウイの曲も一切歌われない(これは痛い)。

ただしファンとしては『世界を売った男』の全く冴えないアメリカ宣伝ツアー
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フリー・ガイ(2021年製作の映画)

3.5

前半こそ先発の同系作品がチラついたけど、後半はさらに踏み込むエンタメで楽しく観れた。

BESTIA、ほぼ若い客層でみんな笑って盛り上がってて(特にあのパロディ!)、久しぶりの感覚になんだか感動してし
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アナザーラウンド(2020年製作の映画)

4.0

見応えあった。血中アルコール濃度0.05%で人生大逆転、と聞けば陽気なコメディと思うけど筆致は穏やか、というかビター。

教師仲間の実験、というのが肝で、無限の未来を持つ生徒たちとの対比が切なさや感慨
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クリーン、シェーブン(1993年製作の映画)

3.5

辛い、痛い、息苦しい。雰囲気重視のアート作品などではなく、人間ドラマとサスペンスを、侵略された精神の霧の中で再構築する真摯な作品だ。

急展開するラストに立ち昇る伏線と問題定義、そして考察の余白に作品
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べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)

4.5

面白かった!現役スタントウーマン伊澤彩織の肉弾バトルはもちろん、高石あかりの天真爛漫だけどイザというときのカッコよさ。敵役、秋谷百音の弾け方といい、とにかく女性が魅力的。

撮影やエフェクトもいい。脚
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トムボーイ(2011年製作の映画)

4.5

『トムボーイ』良かった。セリーヌ・シアマが『燃ゆる女の肖像』のかなり前、2011年に撮っていた珠玉の小品が日本公開。

子供たちの演技が素晴らしく、新天地で少年としてふるまう少女の切実さが際立つ。
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共謀家族(2019年製作の映画)

4.0

ポスタービジュアルから勝手に小粒な作品を想像してたら、中国エンタメの地力を思い知る一大娯楽サスペンスでびっくり。

贅沢な画面の中、手に汗握る展開を大いに楽しんだ。罪と罰だけでない、踏み込んだラストも
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半狂乱(2021年製作の映画)

4.0

観たぞ!藤井秀剛最新作『半狂乱』!

『狂覗』『超擬態人間』でグッタリした私たちをさらに地獄に落とす劇団員の暴走。語り口はより巧みに、編集はより偏執的に、胸糞悪さはより胸糞悪く駆け抜ける。原動力であろ
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湖底の空(2019年製作の映画)

3.5

日中韓合作で3つの言語が飛び交うミステリー仕立ての人間ドラマ。

少し長く感じたし、仕掛けも新鮮味に欠けると思うけど、真摯なシーンの積み重ねが功を奏してか、結局良い心持ちにしてくれた。

各国の風景も
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元カレとツイラクだけは絶対に避けたい件(2020年製作の映画)

3.5

チャラい邦題(私は往年のギャガっぽくて全然アリ派)だけど、中身は案外ハードなサバイバル活劇。

随所で色々思うことはあったけど、結局固唾をのんで楽しんだし、各種根源的な恐怖も堪能。これ4DXで観たら楽
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シュシュシュの娘(2021年製作の映画)

4.0

twitterで立ち上げからレポートされていた『シュシュシュの娘』を。入江監督原点回帰の自主映画だけど、メジャーで培った経験が見事に作品体力に結実していて、この怒りの娯楽作を大いに楽しんだ。

手弁当
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愛について語るときにイケダの語ること(2020年製作の映画)

3.5

障害、ハメ撮り、病、死、と、とっつきにくさ満載だけど、そこまでどぎつくないので大丈夫。

愛を欲した一人の男の「理想(フィクション)」と、刻一刻と命を奪う「現実」を映す60分は哲学的ですらある。気の置
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映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)

4.0

やはり映像だと説得力がある。大事なものを「切る」という大切さ、ホント重要。音楽もよかった。本作を観て映画を志す若者が増えるといいなー。