花俟良王さんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

花俟良王

花俟良王

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超擬態人間(2018年製作の映画)

4.0

やられた!素晴らしいテンポが醸し出す迫力で、観客に突っ込む隙を与えずに駆け抜けて行ったぞ!

胸糞悪い秀作『狂覗』の藤井監督だけに登場人物の裏設定も冴えている。大真面目なテーマもあるんだろうが、今はた
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ブリング・ミー・ホーム 尋ね人(2018年製作の映画)

4.0

辛そうで後回しにしてたけど、案の定充実してました。

サスペンス映画というよりはツイストの効いた社会派映画。イ・ヨンエがブランクを感じさせない熱演。

コメディリリーフやユーモアを排除した潔さも作り手
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VIDEOPHOBIA(2019年製作の映画)

4.0

宮崎監督のそれぞれ趣の異なる過去3本の長編の集大成というだけでなく、作家として次なる領域に達しているのが頼もしい。

好き嫌いは別れるだろうし、分かり易さという意味では不親切かもしれない。だからこその
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鬼手(2019年製作の映画)

4.0

囲碁の知識ゼロでも大丈夫。テクニカルなことは一切描かず、異常な劇画テンションで筋肉モリモリ人死に続出囲碁バトルを堪能させてくれます。

しかしこのキャラとエピソード量を、駆け足ながら106分でまとめた
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慶州(キョンジュ) ヒョンとユニ(2014年製作の映画)

4.0

不思議な魅力で好きな作品だった。

古墳の街、慶州(キョンジュ)を訪れた男の次第に溶解していく24時間を時にユーモラスに描く。

とにかく「死」(過去)のイメージに溢れているが清潔感で冷静さを保つ。明
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劇場版「鬼滅の刃」無限列車編(2020年製作の映画)

4.5

原作でも泣いた話だったけど、素晴らしいアニメーションの効果により迫力も感動も倍増。

煉獄さんの言葉に泣いて、それを受けての炭治郎の「悔しいなぁ…」で号泣。

活況のシネコンは以前なら辟易したかもだが
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わたしは金正男を殺してない(2020年製作の映画)

4.0

見応えありました。

既に(一応の)終幕を迎えているのに、当時ニュースであれだけ衝撃を受けたのに、事件はこんなにも激動の展開を見せたのに、その後のことを一切知らなかった自分の軽薄さ。

不時着なんて絶
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鵞鳥湖の夜(2019年製作の映画)

4.0

良かった…。監督の前作とは異なり(活劇シーンに顕著だけど)カット割りが往年のノワールを意識して非常に折り目正しいのが新鮮。

時代に取り残された町の郷愁と相まって魅惑的な時空の歪みを発生させた。

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マーティン・エデン(2019年製作の映画)

4.5

素晴らしかった。堂々たる文芸大河ドラマの風格。

スーパー16mmの本編と記録映像は境い目をなくし20世紀のナポリへ誘ってくれる。

往年の大作を想起させるがテンポの良さは明らかに現代的。

この内容
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カゾクデッサン(2019年製作の映画)

4.5

冒頭のフェードインとカーテンの揺らぎでこの作品の高いポテンシャルを確信。

作り込まれた構図と光にプロの仕事を見る。幾度も転調する物語。散りばめられる映画ならではの魔法。市井の人々への眼差し。そして緩
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ストレンジ・フィーリング アリスのエッチな青春白書(2019年製作の映画)

4.0

『ストレンジ・フィーリング アリスのエッチな青春白書』この邦題を書くのも気まずいですが、男性のエロ目線ではなく、女性監督(兼脚本)による性に困惑する思春期成長もの。

小粒ながら面白かった。舞台が00
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プリズン・エスケープ 脱出への10の鍵(2020年製作の映画)

4.0

鬼とか死体とか色んな役やりすぎ感あるラドさんだけど、今回は髭メガネの反アパルトヘイトの活動家。

木片で鍵を作りまくるというのも凄い。一枚扉を開けたらまた一枚、活動場所を徐々に広げてくのも期待と緊張を
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グッバイ、リチャード!(2018年製作の映画)

4.0

重々しくならず、小気味良いテンポと笑い、何よりデップの実力でひと時も飽きさせない大人のコメディ。

教育者として次世代に矜持を説く姿には、時の経過を感じ感慨深くなる。

ジョン・ヒューストンの息子ダニ
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ブルータル・ジャスティス(2018年製作の映画)

4.5

珍しく初日に観た。なぜなら遂にS・クレイグ・ザラー作品が正式に日本劇場初公開されたから。

バルト400席にはこの日を待ちわびたファン(実測男性98%)の静かな熱気が充満していた。

残酷描写は控えめ
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事故物件 恐い間取り(2020年製作の映画)

3.0

中田監督の職人技やモブの充実は映画らしさを感じたし、イベント映画としては全然ありだと思う。

でもラストの見せ場には困った。なぜこの原作・題材が受けているのかを見誤ってはいないだろうか。

「映画らし
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れいこいるか(2019年製作の映画)

4.5

ある夫婦が辿った阪神淡路大震災からの23年。

無駄を排しながらも混乱させない脚本と、2人の熱演に100分見入った。

いまおか監督の想いが滲み出る傷ついた人への映画。脇役の描写も行き届いてる。

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メイキング・オブ・モータウン(2019年製作の映画)

4.0

「曲が作れる社長」の元に集まった才能たち。

人種も性別も関係ない民主的な社内。マナー講師まで在籍した差別の時代の経営戦略。そして微塵も色褪せない膨大なヒット曲。

(70年代までだけど)よくぞまとめ
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シリアにて(2017年製作の映画)

4.0

シリア内戦下、銃撃や空爆は続き、外に出ればスナイパーに狙われる異常な状況下の「普通の人々」。

微かな希望は描かれるものの、伝えたいのはやるせない諦念とも取れる円環構造。

この映画はそんな現状を、優
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エクストリーム・ジョブ(2018年製作の映画)

4.0

絶対面白いんだからと後回しにしていた『エクストリーム・ジョブ』をようやく。

いやー、面白かった(笑)。

主人公たちのある「前提」をどこで語るか。こんなに美味しいタイミングはないよ。上手い脚本だなー
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ラ・ヨローナ ~彷徨う女~(2018年製作の映画)

4.0

『火の山のマリア』の監督と知り慌てて観た。伝承怪談とグアテマラの虐殺を融合させた見応えある社会派作品。

あくまでホラー「風味」だけど落とし所は紛れもない怪談。庶民の恨みを込めた正統派だ。随所に演出の
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モルグ 死霊病棟(2019年製作の映画)

3.5

ドリフのように後ろでドアが開きまくる映画だった。

あと、最後はカッコつけた映画だった。

前半の変に効果音入れない姿勢に期待をしたけど、うーん、惜しい…かな。

東京の恋人(2019年製作の映画)

3.5

原節子と三船敏郎の映画と同じ題名だ、くらいの無防備さで観たら、令和に甦ったロマンポルノな香りに驚き、歪なピース同士の化学反応を楽しめた。

男の都合良さと言われれば身も蓋もないけど、ラストはやっぱりグ
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横須賀綺譚(2019年製作の映画)

3.5

東日本大震災を大きな足がかりとするものの、戦争や個人の資産まで「喪失」を語る。

映写事故かと思ったラストのひねりはある種の禁じ手だが、本作に限り有効に作用していたのではないか。

正直ノれない部分も
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アリス・スウィート・アリス(1977年製作の映画)

3.5

初見を劇場で飾れました(是空鈴木さんとナマニクさんのトーク付き)。

単純なガールスラッシャーと思ってたら全然違うスリラー展開にクラクラ。あの妹、ブルック・シールズなんだ…。

それにしても母ちゃんか
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マーダー・ミー・モンスター(2018年製作の映画)

3.5

いやーこれはやばいぞ(笑)。

このビジュアルでカンヌ「ある視点」部門出品なんだから察してくれ。

グロも怪物もあるのにお気楽ホラー想定者からは絶不評、メタファー満載アンデス寒村難解地味アートホラー。
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透明人間(2019年製作の映画)

4.0

はー、面白かった。

リー・ワネルのこのくらいのサイズ感、いいわー(音楽が無理矢理恐怖のゴージャス感を出してるけど)。

前半の雰囲気だけで見せる低予算ぶりもいいけど、結局脚本の面白さで魅せてくれるの
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アルプススタンドのはしの方(2020年製作の映画)

4.0

良かったよー。

素晴らしい高校演劇の「純」な部分を、城定秀夫監督が職人技でさらに愛おしくまとめてくれた。この腹八分感、うまいよなぁ。

舞台版から続投した女性陣の派手すぎないキュートさも絶妙。

パブリック 図書館の奇跡(2018年製作の映画)

4.0

タイトルが「ライブラリー」ではなく「パブリック」というのが肝。いくつもの正論が闊歩する現代の公共性を問う。

芸術が差し伸べる救いの尊さも踏まえ、エミリオ・エステベス手堅くも思い入れたっぷりに描く社会
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眉村ちあきのすべて(仮)(2019年製作の映画)

3.5

いや、ここまでやるのか!

彼女の才能とキャラを愛でるドキュメンタリーと思って見てたらSFスペクタルになってるんですけど!

虚実ない混ぜのカオス、何度も変更されるタイトル(だから仮!)、そして貫かれ
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mid90s ミッドナインティーズ(2018年製作の映画)

4.0

良かった…。

基本は王道青春モノだけど随所にジョナ・ヒルのセンスと愛が感じられ、意表を突くラストには泣いた。

あの時若くて記録出来なかった事を、今16mmフィルムに焼き付けてるようだ。

そして主
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セノーテ(2019年製作の映画)

4.0

マヤ文明唯一の水源で多くの生贄も捧げられた泉。

浮遊するカメラ。
8mmで撮られた地域の営み。
遠くに聞こえるマヤ演劇のセリフ。

やがて生と地の円環に包まれる快感。

前作『鉱 ARAGANE』か
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悪人伝(2018年製作の映画)

4.0

面白かった!

腕っ節組長と横暴な刑事が手を組みヤバい殺人鬼を追うサスペンス。

マ先輩(と彼が率いる「チームゴリラ」)はあのキャラを活かした物語をたくさん作ってくれてるけど、今回はその中でも抜きんで
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ハニーボーイ(2019年製作の映画)

3.5

ジョン・レノンが「マザー!」と叫んで心を治療したように、シャイア・ラブーフは父への想いを綴った。そして役者として、自らが父になった。

ただし、オーソドックスな内容なんだけどなかなかスッと入ってこない
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ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

4.5

どんなにハードルを上げようと素晴らしかった!

グレタ・ガーウィグが「原作のメッセージを全て理解している私が絶対に脚色する」と豪語し、実際新たな時代の青春映画の傑作にまで昇華してくれた。

再構築され
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海底47m 古代マヤの死の迷宮(2019年製作の映画)

3.5

じっとりした恐怖の前作に対して、(同じ監督ながら)本作は雰囲気たっぷりの水中古代遺跡をサメをかわして逃げまくるサバイバル活劇の趣き。

主役4人組の中にはスタローンやジェイミー・フォックスの娘もいて体
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誰がハマーショルドを殺したか(2019年製作の映画)

4.0

人道派の国連事務総長の死を追ううちに巨大な狂気の尾を掴んでしまう二人の男。強烈な展開に引き込まれた。

ドキュメンタリーの場合、監督が前面に出るのは諸刃の剣だけど、今回は吉と出たのでは。つきまとう違和
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