花俟良王さんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

花俟良王

花俟良王

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ロード・オブ・カオス(2018年製作の映画)

4.0

メンバーの自殺とバンドの覇権争いという嫌な話に加え、リアルな人体損壊描写が追い打ちをかける。それでも異色の青春映画として十分に見応えがあった。

虚栄、悪への憧れ、死への恐怖と誘惑。若気の至りと表現し
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アメイジング・グレイス アレサ・フランクリン(2018年製作の映画)

4.5

素晴らしかった。牧師の娘でソウルクィーンの原点回帰。

音源は既にベストセラーだけど、映像の説得力が加味されて、宗教行為に留まらぬ圧倒的な音楽としてぶつかってくる。

アリサと呼応する超アグレッシブな
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迷子になった拳(2020年製作の映画)

3.5

ミャンマーの神聖かつ超過酷な格闘技、ラウェイの日本参入と様々な想いを抱えた男達を追ったドキュメンタリー。

顔と肉体、血と拳の説得力に門外漢の私も引き込まれた。ポスターの二人の対比が切ない。現在の混乱
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JUNK HEAD(2017年製作の映画)

4.0

面白かった!

不気味でグロいけど愛らしい。で、話の運びが面白い(あの伏線回収!)。昨今の技術で圧倒させるストップモーションアニメも凄いけど、やはり際立つのはセンスと世界観。孤独に作られたこの労作にず
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騙し絵の牙(2021年製作の映画)

4.0

面白かった!弛緩しない脚本と編集のテンポが、スターたちのコンゲームに没頭させてくれました。

余計なユーモアや色恋がないのもいいし、エキストラの多い贅沢な画面づくりもさもいい。大人のエンタメ快作です。
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ファーザー(2020年製作の映画)

4.5

凄いものを観た、という印象。

家族の絆とか社会問題とかではなく(それもあるけど)、伏線をいかしたミステリーとして壊れゆく記憶の迷宮を描いている。

戯曲原作ということも相まって、アンソニー・ホプキン
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ジェントルメン(2019年製作の映画)

4.0

うん、面白かった(安堵〜)!

キャリアを否定はしないけど、このガイ・リッチーを待ってたの!入り組んだストーリー、暴力と悪知恵と紅茶の世界。豪華役者陣も適材適所。

おヒューさんとコリン・ファレルがい
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旅愁(2019年製作の映画)

3.5

とても小さな作品(立教大学院の修了作品)で粗もあるんだけど引き込まれた。

関係性はともかく、人生に何度か経験するであろう「奇妙なバランスの頂点」までの日々が慎ましく描かれていた。

一見いかつそうだ
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あのこは貴族(2021年製作の映画)

4.5

コミカルなタッチを想像していたので肝の据わった重厚感に驚かされた。キャストが誰一人悪目立ちしないバランス(水原希子の采配!)で無理なく東京の聖域へと誘ってくれる。成長譚としてはお馴染みだが、監督の原作>>続きを読む

さつきのマドリ(2021年製作の映画)

3.5

私には少し甘過ぎる内容だったけど、内省的なインディー作品ばかりの中、この手のライトコメディを作ってくれるのはありがたい。
監督や演者の魅力も感じることができたので、今後も期待しています。

別に、友達とかじゃない(2020年製作の映画)

4.0

微妙な距離。微妙な想い。
クライマックスの爆発もどこか気持ちいい。40分の尺が丁度いい好編。

ミナリ(2020年製作の映画)

4.0

良かったです。が、

これ、がっつり韓国資本とスタッフで撮ってたら、こんなにサラッとはしていなかっただろうな。もっと泣かせにくるんだろうね。

そのドライ感が「物足りない」と思う人もいるでしょう。僕は
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レッド・スネイク(2019年製作の映画)

3.5

人種も価値観も異なる女性だけで編成された対IS軍隊のドラマと、親をISに殺され人身売買でIS幹部に買われた女の脱出と復讐のドラマ、このふたつが交錯する。

決してけなすような作品ではないけど、何という
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水を抱く女(2020年製作の映画)

4.5

あの「人魚姫」を原典とした愛憎と幽玄のおとぎ話。

無機質な都市に立ち上がる神話。

ミステリアスな湖底の不気味さと寂しさ。

うーん、この雰囲気、大好物です。

街の上で(2019年製作の映画)

4.0

良かったです。下北沢という街に特化した分、今泉監督の語りにも若葉竜也の佇まいにも、新鮮な親密さを覚えた。

とても心地良い時間。終盤の早朝ワチャワチャは声出して笑ったよ。

既にこの映画からも変貌を遂
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野球少女(2019年製作の映画)

4.5

良かった〜。野球のこと分からなくても基本はジェンダーと若さと未来の話だから多くの人に観てほしい。

爽やかだけど決してブチ上げない演出と音楽がいい空気を作ってる。静かに泣いた。

そう、この映画はスタ
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スプリー(2020年製作の映画)

4.0

予想を上回る面白さでした。

視聴者を増やしたいというチャラついた導入から、いくつもの見せ場を経て立派なサイコパスホラーとして着地してる。キーリー君も危うくていい。

ちなみに今は韓国が若者のトレンド
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アウトポスト(2020年製作の映画)

4.0

案の定どっと疲れた。

なぜこんなところに!という場所(山に囲まれた渓谷)に設置されたアフガン紛争前哨基地における地獄の攻防。

密着する手持ちカメラが恐怖と混沌を倍増させる。

後半の主役はケイレブ
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SLEEP マックス・リヒターからの招待状(2019年製作の映画)

4.0

眠りのために作られた8時間のアルバムの再現ツアーまでの道のり。

映画音楽は生活のため、と割り切って芸術を追求した事も語られる。

「眠りは空白ではなく受取り方が変わるだけ」というスタンスが目から鱗。
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ガンズ・アキンボ(2019年製作の映画)

4.0

快作でした。

終らぬ禊のように酷い目にあい続けるラドクリフ、今回は両手に拳銃をボルト付けされてボーントゥキルなヤバ女と殺し合わされるというw。

軽快でグロポップな画面にサマラ・ウィービングが狂鬼の
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すばらしき世界(2021年製作の映画)

4.5

案の定良かったです。

いい画、いいホン、いい演技に何度も泣いた。

しかし役所広司はこれだけ見慣れているのに物語を完璧に生きていた。まったくとんでもない役者だよ、もう。

仲野太賀も風呂場で泣かせて
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約束の宇宙(そら)(2019年製作の映画)

4.5

とても良かったです。エヴァ・グリーンと娘ちゃんの素晴らしい演技もあり、当然のように泣かされました。

そしてそして、欧州宇宙機関協力によるかつてない程のリアルな訓練・慣習描写が素晴らしい。映画の「説得
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私は確信する(2018年製作の映画)

4.0

見応えありました。

偏見と同調に屈してはならない司法。制度は違えど推定無罪の原則は変わらず。

裁判物の見せ場「最終弁論」で炙り出される人間の無責任さに誰もが何かしら思い当たるはず。

終始編集が素
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ワン・モア・ライフ!(2019年製作の映画)

3.5

死んだ自己中男が「スムージーを飲んでた分もう少し生かせ」と追加で92分生きられることに…って92分換算が切ない(笑)。

価値観は置いておいて、イタリアはコメディ映画の土壌ができてるのが羨ましい。
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ベイビーティース(2019年製作の映画)

4.0

は?女子高生と不良の難病モノ?
そんなのおじさんが一笑に付してやるよ!と観始めたものの、ラストには胸が締め付けられて呼吸困難!あ〜切ないよ〜!

ドギツさも含めて大人側の描写も丁寧なのが肝(お父さんは
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テスラ エジソンが恐れた天才(2020年製作の映画)

3.5

ドキュメンタリー的な側面もあり、地味なようで思いのほか野心的な演出に溢れていて面白かった。

第四の壁を超えてくるどころか、ラスト、イーサンに○○○○させるとは恐れ入ったが、邦題で損をした異色作『アイ
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カポネ(2020年製作の映画)

3.5

帝国を築いた男の痴呆と妄想の晩年。トムハが熱演するカポネはこれでもかと醜態を晒す。『クロニクル』のトランク監督はやはり強大な力をもった人間の罪を描く。妄想シーンが不思議な味わいを醸し出し、ギャング武勇>>続きを読む

レンブラントは誰の手に(2019年製作の映画)

3.5

画商、収集家、美術館、政府…、アッパービジネスの狂騒を描きつつも監督の眼差しはあくまで人間、というところが見応えを与えている。

超絶金持ち公爵(城住まい!)も絵画の中の人物に魅せられた子羊だ。背景の
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幸せへのまわり道(2019年製作の映画)

4.5

冒頭から結局最後まで涙目。
地下鉄のシーンではボロボロ泣いた。
気に病み怒り、疲弊した心をほぐしてくれた。

この手の映画を冷笑するのもありだろう。
それでもこの真正面からの癒しは、一時でも人を変える
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わたしの叔父さん(2019年製作の映画)

4.0

体の不自由な叔父さんと日々酪農に勤しむ女性。

いつか獣医になりたい。
恋することにも憧れる。
でも日常が大きすぎる。

質素に淡々と積み重ねられる作風に好みは別れようが、彼女も叔父さんも観客も、日々
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エポックのアトリエ 菅谷晋一がつくるレコードジャケット(2020年製作の映画)

3.0

興味深く見た。菅谷氏の穏やかな話しぶりの中にある情熱。発注したら最後、何が出来上がるか分からないからこそのアーティスト同士のリスペクト。レコード・CDジャケが間違いなく愛おしくなる。

ただし、映画
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ノンストップ(2019年製作の映画)

4.0

快作でした!

超庶民派一家がハワイ旅行に当たって爆アガリで飛行機乗ったらハイジャックに遭遇してもう大変!と思いきや!そう、思いきや系は痛快!陽性仕様で血は流れない分、伏線に次ぐ伏線でお茶目なオチまで
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ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)

4.5

見応えあった。鳥肌もののオープニングタイトルこそ往年の様式美だけど、暴対法によって無力化された近年の現実こそが話の肝。

舘ひろしは優し過ぎな気もするけど、綾野剛は悲哀と因果にまみれた20年を大熱演。
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ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!(2020年製作の映画)

4.0

SFルール全無視で地球を救うドタバタも、下ネタや過激ネタの投下ではなく、あくまで二人のパーソナリティで魅せるマナーが嬉しいし、「なんかいい映画観た気がする」と思わせるご都合大団円こそ真髄で痛快。二人の>>続きを読む

天国にちがいない(2019年製作の映画)

4.0

良かったです。タチのように飄々とした監督の目を通して描かれる辛辣でユーモラスな都市と人間のスケッチ。

パレスチナ問題を頭に入れてから観ることをお勧めするけど、シュールなアイデアが次々に披露されていく
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ジョニーは行方不明/台北暮色(2017年製作の映画)

4.0

気になってた『台北暮色』、案の定良作でした。

雑多な人々が交差する街のある瞬間を抽出し、彼らの背景を描き、そしてまた雑踏に帰す。

冷たそうな街の人だけど、みんな人生を背追った人。

洗練やポップが
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