たかちゃんさんの映画レビュー・感想・評価 - 13ページ目

たかちゃん

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愛の果実(1926年製作の映画)

3.5

ドヴジェンコの監督第2作目。ここには後のウクライナ愛、プロレタリア革命などの叫びは微塵もない。まるでキートンのような切れ目のないギャグが、単発ではなく、雪だるまのように転がって行く。預かった赤ん坊の処>>続きを読む

この子は邪悪(2022年製作の映画)

2.9

「この子」とは誰のことなのかは、ラストショットで明らかとなる。玉木は偽装家族を自分だけの考えで実行する。そのために起こる家族崩壊。ファーストシーンから不穏な空気を醸成している。だが、精神科医の玉木が使>>続きを読む

天才詐欺師物語 狸の花道(1964年製作の映画)

1.5

小林桂樹は、煙草屋を騙して入手した煙草を現金化する詐欺師。警察に捕まっても泣き落としで純真な被害者や刑事からカネを巻き上げる。こんな主人公の手口を笑えるわけがない。三木のり平の刑事もただのお人好し。こ>>続きを読む

孫悟空(1959年製作の映画)

3.0

山本嘉次郎2度目の『西遊記』であるが、前作の反省があったのかは分からないが、全く別物の『西遊記』となった。カラー、シネマスコープを逆手に取り、徳川夢声の紙芝居屋の名調子で進める。背景は書割とは大胆。前>>続きを読む

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

3.8

ジョーダン・ピールの変種ホラー。いや、これはホラーなのか。UFO、チンパンジー、馬。これらがひとつに結びつくことはない。UFOは生き物のように動く。雲に隠れ、石礫のようなものを放つ。UFOの写真を撮ろ>>続きを読む

オカルトの森へようこそ THE MOVIE(2022年製作の映画)

3.4

手持ちカメラによる、白石得意のフェイク・ドキュメント形式。怪物退治の黒石とAD、そして超能力者の名無し、そして憑依の筧の4人が、カルト宗教の本拠地で大殺戮。これはホラーなのか。アクションでもコメディで>>続きを読む

暗黒街(1956年製作の映画)

1.9

これはフィルムノワールでも、やくざ映画でもない。敵対する組は出てこないから、抗争も起きない。切れ者の鶴田を妬み、始末しようとする。それが内部崩壊につながる、という話だが、拳銃で鶴田を撃ちながら、やばい>>続きを読む

続坊ちゃん社員(1954年製作の映画)

3.2

続篇は、地元ヤクザの親分のバカ息子が、女子社員に一目ぼれ。結婚を強いるが、小林桂樹と女子社員の友人・河内桃子、芸者の藤間紫が助けるという話だが、サラリーマンものでなくても成立する内容。会社組織は事態か>>続きを読む

坊ちゃん社員(1954年製作の映画)

3.2

ヤマカジのサラリーマンもの。『ホープさん』と同じく源氏鶏太原作だが、こちらの方が面白い。頑固で融通が利かないのに、仕事に結果を出し、女にはなぜかモテモテ。芸者と女子社員が張り合うが、共同戦線をはること>>続きを読む

ランディ・ローズ(2022年製作の映画)

3.9

オジー・オズボーン・バンドの初代ギタリストで、プラチナムディスクに輝いた翌年、25歳で事故死したランディ・ローズのドキュメンタリー。スチール写真は豊富だが、動画のアーカイブは多くない。だが、オジー、ヴ>>続きを読む

ストーリー・オブ・マイ・ワイフ(2021年製作の映画)

4.4

男の視線で描く夫婦の心の闇。男は賭けのような気持ちで妻を迎える。男は天国と地獄の両方を抱えることになる。浮き沈みの激しい愛。妻の支配欲。船長である男は長旅で留守がち。不在の間の妻の行状が不安。女は男の>>続きを読む

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者(2021年製作の映画)

1.2

これはひどい。これほどつまらない映画は久しぶりだ。脚本の練りが足りないのか、会話の表現に工夫がない。演出も動きに捻り、創意工夫がないのが致命的。さらに、雑な字幕が腹立たしい。登場人物のキャラが平板で、>>続きを読む

バイオレンスアクション(2022年製作の映画)

3.1

流行りの女殺し屋もの。橋本環奈のアクロバティックなアクションは編集で処理しているが、やはりワンカットで見せるべきだろう。大量に雑魚が殺されるが、杉野、城田など主要人物は死なない。人物描写がしっかりして>>続きを読む

ホープさん サラリーマン虎の巻(1951年製作の映画)

2.4

東宝サラリーマンものを形作ったとされているが、昭和砿業というこの会社の業務内容がまったく描かれていない。主人公は庶務課勤めだが、仕事は社長の随行。社内にライバルがおらず、上役の虐めもない。社長派、専務>>続きを読む

風の子(1949年製作の映画)

4.0

ヤマカジ最良の1本ではなかろうか。二つの疎開先での出来事。田畑に水を運ぶ少年。水は土壌に浸み込む。しかし『裸の島』のような虚しさはなく、少年の努力は実りとなって表れる。登場人物も、冷淡なようで、実は人>>続きを読む

コンビニエンス・ストーリー(2022年製作の映画)

3.7

三木聡の変化球だが、少し混乱しているようにも見える。三木のダークな面が強く出て、ユーモア、ギャグが薄らいでしまった。コンビニの外人レジは面白いが、常連のふせえり、岩松了の扱いは弱いのが残念。車が消失し>>続きを読む

はい、泳げません(2022年製作の映画)

3.5

男は、水の中ではダメだが、陸地では一人前。女は、水の中では指導者だが、陸地では車を怖がって満足に歩けない。二人が補い、助け合って一人前だ。二人は恋愛関係に陥ることなく、礼儀正しく接していく。お互いの屈>>続きを読む

加藤隼戦闘隊(1944年製作の映画)

3.2

戦意高揚映画として成功しているし、こんな良い上官なら付いていきたいと思わせる人物像に描かれている。思いやりのある上官は『西住戦車長伝』(40)が最も巧く描けていたが、本作も魅力ある人物にしている。実際>>続きを読む

血みどろの入江(1970年製作の映画)

3.1

登場人物全員が悪人。入江の権利を巡る犯罪が描かれるが、入江そのものの構造がよく分からないのが難点。クロディーヌ・オージェは『007/サンダーボール作戦』(65)から8年後の作品だが、その頃より美しさは>>続きを読む

白い肌に狂う鞭(1963年製作の映画)

3.2

マリオ・バーヴァの代表作。短剣など小道具の使い方は巧いコスチューム・プレイだが、幽霊が本物だったのには驚いた。

エノケンの孫悟空 前編(1940年製作の映画)

2.0

エノケン=ヤマカジのなかでは何とか観るに耐え得る出来。エピソードが団子で、どのシーンのセットも衣裳も類型的なので飽きてくる。キャストは大人向けなのに、体裁は児童映画。『西遊記』なのに、悟空の師を守護す>>続きを読む

永訣(わかれ)(1969年製作の映画)

2.0

大庭秀雄、最後の監督作品だが、無残な出来。登場人物があまりにも薄っぺらで、緒形拳に至っては観ていて恥ずかしくなるような熱血キャラ。舟木と相撲をとることで親睦を深めたいと考えているようだが、ひ弱そうな舟>>続きを読む

坊っちゃん(1935年製作の映画)

2.2

『坊っちゃん』はこれまで5回、映画化されているが、本作は最初の映画化。戦前の作品ということもあってか、マドンナの存在感が希薄。うらなりの許嫁というだけの設定でしかない。そして主人公の坊ちゃんがあまりに>>続きを読む

ザ・ディープ・ハウス(2021年製作の映画)

2.7

ユーチューバーの男女が湖底に眠る家を探検する。家の中に2遺体。拘束された姿。そして何者かがいる気配。そして2人は家に閉じ込められてしまう。エアーの残量も僅か。家から脱出できるのか。
湖底は暗く、ライト
>>続きを読む

グリーンバレット(2022年製作の映画)

3.3

『ベイビーわるきゅーれ』の阪元裕吾監督作品。今回も殺し屋もの。6人の殺し屋志願の女の子の特訓合宿生活。ドキュメントという設定だが、会話の切り返しはあるし、それほど効果に寄与しているわけではないが、合宿>>続きを読む

ソングバード(2020年製作の映画)

2.7

2024年のロス。新型コロナウィルスはさらに強力で致死率の高いウィルスに変異していた。感染者は隔離施設Qゾーンに強制収容される。主人公の青年ニコは、ウィルスの免疫を持ち、バイク便(ほぼ自転車のような)>>続きを読む

エノケンの青春酔虎伝(1934年製作の映画)

1.9

ヤマカジとエノケンの作品は、『ちゃっきり金太』も『近藤勇』もつまらなかったが、本作も良いところがない。ヤマカジの『馬』、『吾輩ハ猫デアル』、『綴方教室』も、『ハワイ・マレー沖海戦』にしても、それほどの>>続きを読む

都会の横顔(1953年製作の映画)

3.2

戦後の清水は、新東宝、大映で撮っているが、本作は唯一の東宝作品。キャストは豪華で、池部、有馬、木暮を主役に、森繫、伴淳三郎、小泉、トニー谷らが脇を固める。伴淳三郎、トニー谷はワンシーンだけ。トニ―谷は>>続きを読む

太陽は光り輝く(1953年製作の映画)

3.9

フォードの34年作品『プリースト判事』のリメイク、といっても話はまるで違うし、こちらはキャスティングが地味。南軍派と北軍派に分断されているような町、黒人差別と偏見、リンチが横行しているが、判事のプリー>>続きを読む

モホークの太鼓(1939年製作の映画)

3.6

モホーク・バレーに開拓の夢を抱いてやってきた新婚夫婦。しかし英国派が操る原住民の襲撃で家も田畑も焼かれ、すべてを失う。未亡人の使用人となり、田畑を任されるが、原住民討伐隊に夫も加わる。夫の留守中にまた>>続きを読む

クリエイション・ストーリーズ 世界の音楽シーンを塗り替えた男(2021年製作の映画)

3.9

ロックバンドを立ち上げようと、ロック好きの多くの人々との出会いが、クリエイション・レコードを設立することに。サクセス・ストーリーなのだが、例えば、列車に乗り遅れたら運命が大きく変わった、というような不>>続きを読む

響け!情熱のムリダンガム(2018年製作の映画)

3.9

インド音楽の演奏で使われる打楽器ムリダンガム。主人公ピーターの父親はムリダンガム作りの職人。父の作ったムリダンガムを名演奏者アイヤルに届けるが、その演奏を間近に見て、自分もムリダンガム奏者になろうと決>>続きを読む

炎のデス・ポリス(2021年製作の映画)

3.6

警察署内の一晩の出来事。向かい合わせに収監された詐欺師と殺し屋。詐欺師抹殺のために送り込まれた狂気の殺し屋が署内の蹴り感を皆殺し。唯一人、生き残った女性警官。孤立無援の中、詐欺師か、殺し屋か、どちらを>>続きを読む

グレイマン(2022年製作の映画)

3.2

アクションが切れ目なく続く。ドカン、バギュンと騒々しい。ストーリーらしいものはなく、CIA組織内の上層部による情報発覚を阻止するための殺し合いという設定だけだ。主要人物の性格描写、人物の掘り下げを放棄>>続きを読む

将軍と参謀と兵(1942年製作の映画)

2.0

本作が名作と位置付けられていることが理解できなかった。70年代に邦画5社共同企画による「日本映画名作選」に、東宝『暁の脱走』、松竹『愛染かつら』、大映『羅生門』、東映『飢餓海峡』というラインナップに日>>続きを読む

スープとイデオロギー(2021年製作の映画)

4.1

ヤン ヨンヒの家族を描いたドキュメンタリーは、これまで4本観てきたが、今回は悲惨な「済州島4.3事件」を扱っていながら、温かな肌触りとなったのは、ヨンヒ監督のパートナー、荒井さんの存在だ。葬儀屋に抗議>>続きを読む