kaoruiさんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

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親愛なる同志たちへ(2020年製作の映画)

2.5

今我慢すればきっと良くなる。二度この台詞が出てくる。最初は共産党員として、二度目は娘を探して死地を越えたどり着いたとき、母の心からの叫びとして。
県境の検閲所で取り調べられるシーンが怖い。廊下をいく足
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はい、泳げません(2022年製作の映画)

3.5

綾瀬はるかは聖母である。
現生ではうまく生きれなくて天性のコメディエンヌ全開なんだけど、異世界では神に連なる。ぎゅっと抱きしめ、そして重荷を負うて現生で生きろと背中を押してくれる。
作中地上はざらつい
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メタモルフォーゼの縁側(2022年製作の映画)

3.0

掛け軸の文字、良い加減。全編まさにこれ。
チンチクリンの愛菜ちゃんが持てる小細工をかなぐり捨てて走る走る。人生の其処此処に口開けて待ち受ける闇に拘泥しない突き抜けた爽快さが真骨頂の宮本信子が縁側で待ち
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恋は光(2022年製作の映画)

4.5

傑作!侍のような神尾君、つられる西野さん、侍かよと突っ込む馬場さん、主演陣の口跡の鮮やかさに惹き込まれる。

瀬戸内の歴史の流れが今に至るまで途切れない街を舞台に、これまた北代、東雲、宿木という脈々と
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ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

2.5

一人一人抱えている重荷が次々積み重なり、解決するはずもなく大団円を迎えるわけでなく終局にばらばらと雪崩れ込んでいく。
花火を見上げたり海辺でジャンプしたりスーパーショットが必要なんだけど、是枝さんとい
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愛のむきだし(2008年製作の映画)

2.0

エログロナンセンス(いい意味で)をハイテンションで押し切る(とてもいい意味で)園作品の中で、絶妙のバランスの上に成り立っている。キツイかなーというところでエロくなったり、緩すぎやろというところでグロ描>>続きを読む

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

1.5

円谷プロ世代ど真ん中で、冒頭から幼い頃見たきり脳内に押し込められていた怪獣達がぞろぞろ出てくる出てくる。
胸のパトカーみたいなサイレンも背中の縫い目もなくメタリックな美しい造形で膝を落とし気味にスペシ
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スパークス・ブラザーズ(2021年製作の映画)

2.0

エドガーライトの相変わらずの偏愛たっぷりな描写に観ている僕もニヤニヤしてしまう。
ショーンオブ…のゾンビ愛、ラストナイト…の60年代作品へのオマージュ、そしてベイビー・ドライバー。
今作スパークスの膨
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バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版(2022年製作の映画)

1.0

久々の西谷作品ということで楽しみにしていたが、うーんどうだろう。
受け入れられない描写がいくつもあり、集中力が切れてしまった。子供を車中で失って直ぐあんなことができるだろうか。親子の再会なってその場で
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パプリカ(2006年製作の映画)

3.5

かなり変態だ。
一瞬画面をよぎるハードゲイ雑誌やエディプスコンプレックス、千葉さんと時田君の関係もかなり危ない。そうやってみていくと粉川刑事と監督(自身?)の関係も怪しく見えてくるのだが。
シーンとし
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ハケンアニメ!(2022年製作の映画)

3.0

前半がかなり辛く、途中で見るのやめようかなと思ったほどで、けれど最終話のクダリで突然転がり出す。しかも相当面白くなる。引き金を引くのが柄本佑で病院でのエクレアを巡るやりとりはそれまで憎々しかっただけに>>続きを読む

東京2020オリンピック SIDE:A(2022年製作の映画)

1.5

ブレッソン作品を観ていると切ったものにこそ意味があることに気づかされる。今作河瀬さんが切ったものに彼女の覚悟が見てとれる。オリンピック公式フィルムで運動を切っているのだ。生半可な覚悟ではない。
悠久に
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湖のランスロ(1974年製作の映画)

2.5

森の中を数機の馬を甲冑がガチャガチャ軋ませながら駆けるシーンが反復される。甲冑ごと首がはねられ、兜の中血が吹き溜りチャプチャプ鳴る音像/映像感覚に降参してしまう。
決闘シーンでは馬がかけ、バグパイプが
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たぶん悪魔が(1977年製作の映画)

4.0

凄いものを観た。撮りたいものを中心に構図を決めると頭が切れようがどうでもよくて、遂にすべてがフレームにおさまった時のカタルシス!調律中のパイプオルガンがビャーッと鳴ったり、窓から放り投げたチョコレート>>続きを読む

トレインスポッティング(1996年製作の映画)

3.5

人生折り返し点を大きく回ると過去を振り返ることが多くなる。ということで再見。
ドラッグとロックで時々シラフ、基本グニャグニャで汚物まみれの青春奇譚。
映画史上稀なくらいどうしょうもない輩達なんだけど、
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大河への道(2022年製作の映画)

2.5

花を花のまま撮ることは実はとんでもなく難しい。
北川景子にスタッフ全員が惚れたに違いないと確信するくらい魅力的で、映画の醍醐味は対象をいかに魅力的に撮るかだと僕は思うので全く満喫した。彼女のベストだと
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.0

映画好きでよかったー。ど真ん中直球、心から大好き。久しぶりにここ浜松でもいっぱいの映画館に興奮の歓声があがる。親友との絆、ライバルとの絆、そして師弟の絆にずるずるに泣いた。観終わりトイレで目を真っ赤に>>続きを読む

ヘヴンズ ストーリー(2010年製作の映画)

4.5

瀬々さんの作家性全開でいちばん好き。ほぼ全編手持ちで超長尺のため体力のある時を見計らって再鑑賞した。
やはり凄い。廃墟、草原に誇り高く屹立する大きな木など、なんとも素晴らしい絵の中繰り広げられる不条理
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流浪の月(2022年製作の映画)

1.5

息を呑むような美しい絵の中、登場人物たちの心情が座り心地の悪いままに只々流浪する。預かった同僚の娘の描写が雑なせいでしっくりこないのか、コールタールのように粘りのある演出のせいなのか僕の心も流浪してし>>続きを読む

息子の面影(2020年製作の映画)

4.0

こりゃ凄い!ダム湖に浮かぶ孤舟を俯瞰する絵、湖に映る枯れ木が宙に浮く。見たことのない絵の連続だ。通訳無しで語る老人の声のみを捉え、ようやく切り返したとき生き残った老人の苦悩の皺をアップで捉える。無駄を>>続きを読む

ブルー・バイユー(2021年製作の映画)

3.0

中盤過ぎ、ベトナム人親子のホームパーティでブルーバイユーを歌うまで素晴らしい出来で魅入られた。
悲劇的な帰結にならざるを得ないのだが、脚本の腕の見せ所だが、警官の父親がいい人になっていくという安易な流
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ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(2022年製作の映画)

1.5

MCUのバックグランドを全く知らないままの干渉だったけどスカーレットウィッチがなぜかホラー全開で追い回してくるあたりから、なんでもありの展開に毛穴全開で楽しめた。
別の次元のヒーローグループの脳みそが
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THE GUILTY/ギルティ(2018年製作の映画)

2.5

今作部屋から出ることなくどんどんツボにハマっていく怖さをヘッドセットからの音声と主人公の表情のみで表現する。
本来自分のいる場所ではないところに押し込められた焦りが彼に一線を超えさせる。
何しゃかりき
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カセットテープ・ダイアリーズ(2019年製作の映画)

3.0

重い気持ちを軽くしたくて息子のおすすめの中から鑑賞した。
等身大に隣に生きる人々への哀歌であるボスの歌は世界中の人々への応援歌である。
僕も厨房のときにノイズまみれのラジオからスプリングスティーンのラ
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マイスモールランド(2022年製作の映画)

3.5

説教臭くなりがちな難しいテーマに正面から挑みながらも、デビュー作と思えない堂々とした佇まいで観入った。
不安定な運動を手持ちで追いつつ、ここ一番はどっしりとしたフィックスで切り返す。
嵐莉菜さんがとて
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とんび(2022年製作の映画)

3.5

盟友斎藤幸一と再び組んで、温暖な瀬戸内を舞台に心温まる物語を情緒たっぷりに描く。全編繊細で柔らかい絵だ。
海のシーンがニ度出てくるがいずれも家族の絆を穏やかに優しく大きく包み込む。
随所に涙腺全決壊す
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インフル病みのペトロフ家(2021年製作の映画)

4.0

敬愛するドストエフスキーの作品でも爛れた饗宴の場面が必ず出てくるのだが、今作も熱に浮かれた狂乱のシーンの連続で、観ているこちらちも感染しクラクラしながら楽しく観た。ド氏が憎みながらも愛したロシア的な荒>>続きを読む

カモン カモン(2021年製作の映画)

2.0

ウディ君の清らかな瞳、ギャビー(フィールドドリームスからこんなに素敵に)ホフマンの目尻の皺、インタビューされる子供たちは皆自分が恥ずかしくなるくらいお手本のような受け答えだ。そんな優しい優しいマイクミ>>続きを読む

PASSION(2008年製作の映画)

4.0

まず驚愕するのは教室でのシーケンス。屹立する内側と外側。自信の及ぶのは内側で生徒達の内側には決して踏み込めない事実が如実に現れ慄然とする。
大好きなのは河井青葉と岡部君の早朝のシーン。港湾に聳える煙突
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山の焚火(1985年製作の映画)

4.5

凄いものを観た。
山の斜面にへばりつき生きる家族が縦の構図の中運動する。天井の隙間から降りてきたり顔を出したり、農作機を崖から落としたり、双眼鏡で麓を俯瞰したり、見上げるとヘリコプターが牛を吊り下げて
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アネット(2021年製作の映画)

4.0

ホーリーモータースを情緒的に凝縮した作品で僕は大大大好き。スパークスのロックオペラを映画のフレームに収めつつ、そのまたオペラの中でアダムドライバーの劇中劇があったりの超多重構造を乗り越えるとその先には>>続きを読む

ベルファスト(2021年製作の映画)

4.0

覗き込むようにスーッとカメラが降りていくとモノクロの街がある。そこには夕暮れに向けて声掛け合う人熱と晩ごはんの匂いが充満している街の暮らしがある。
いいなーと思う間もなく北アイルランドの現実が雪崩れ込
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ふたつの部屋、ふたりの暮らし(2019年製作の映画)

2.5

薄暗い廊下をドアスコープ越しに覗いたり、バスに隠れて息を潜めたり、バルバラスコバの顔がいきなりアップになったり、その顔がかなりやばかったり、カーテンを開けたら一緒に寝ていたり、ガラスがいきなり割れたり>>続きを読む

ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)

3.0

見世物小屋の描写はデルトロの真骨頂のグロテスクで濃密な空気感で彩る前半から一転、良質のファムファタールなサスペンスに切り替わる。これが予想外に教科書のような出来映えで職人監督の手際の良さなのだ。
そし
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The Hand of God(2021年製作の映画)

3.5

故郷を舞台に、ソレンティーノの迸るイマジネーションに目が釘付けになる。
巻頭の船から島を俯瞰する長回しにまずやられるが、オールドミスの恋人を一目見ようと親戚中が集い猥雑に会話するシーンがなんとも魅力的
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さがす(2022年製作の映画)

1.5

きつい作品だった。
不治の病とはいえ愛する人を快楽殺人者の手に委ねるシチュエーションを撮ってしまう製作陣のメンタリティに心が閉じてしまった。
ネガティブな感想でどうもすみません。
作品に向き合う以前の
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