kaoruiさんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

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さかなのこ(2022年製作の映画)

3.5

泣けたー。
寿司屋で最高潮の感動シーンは沖田さんの真骨頂で、「実はずっと魚が嫌いだった」と衝撃のカミングアウトからの、今はバラバラになった家族の想い出であるタコを選び、「タコ一丁!」(岡山君の声のハリ
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インヒアレント・ヴァイス(2014年製作の映画)

4.5

ホアキンの探偵物語は超ハードボイルド。
友情に厚くて愛した女を守り抜く。
エロい娘と軽いわかもんの弟分を引き連れて乗り込んでいく。
これしかないという構図をキレッキレのカッティングで組み上げ、グリーン
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LOVE LIFE(2022年製作の映画)

2.0

団地が主役。日常にポッカリ開いた穴に嵌る悲劇を描き続ける深田さん、今作もとある事件が起きるのだが、拍子抜けするくらい皆淡々としており、大丈夫?と思ってしまった。意外な人物が登場し物語が動き出すが、監督>>続きを読む

三姉妹(2020年製作の映画)

4.0

耳元でがなり、スナックをボリボリ齧り、最悪なタイミングで携帯がぶるぶる鳴る。ピリピリイライラした空気の中、長女が沼に呑み込まれるように無気力だ。父親の誕生会のシーケンスで最高潮に達するまでずーっと神経>>続きを読む

佐々木、イン、マイマイン(2020年製作の映画)

4.0

桐島… のように姿を現すことなく皆の心に影響与えるのかなと冒頭思っていたけれど、真摯に佐々木と過ごした青春時代を辿っていく。はちゃめちゃと思いきや抱えているものも重く等身大に悩む様は誠実で肩破りのヒー>>続きを読む

わたしは最悪。(2021年製作の映画)

3.0

自称最悪なレナーテを通して、二人の最高の男の生き様を描く。二人とも与えられた境遇の中で羽を伸び伸び広げていて気持ち良い。少し足りないのが愛すべきキャラのノードラムの屈託のなさがアンデルシュ(ベルイマン>>続きを読む

PLAN 75(2022年製作の映画)

3.5

これまた凄い監督が出てきた。
自分を信じているのか観客を信じているのかいずれにせよ全編確信に満ちて説明的ショット(決して悪いことではないと思う)が省略されスピード感に溢れる。何年も撮ってきた作家でも物
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NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

2.5

不穏な要素がいくつか散りばめられた前半はサスペンスフルでそれらがやがてシンプルなホラーに収束していく。シャラマン的帰結かと思いきや、そこから更にはみ出し者達の真っ向対決に展開していくJAWS的構成に唸>>続きを読む

わたし達はおとな(2022年製作の映画)

3.5

覗き見るようなローアングルな画角、灰色と淡い青の混じった絵に、若い二人の俳優を放り込みカメラを据える。重い設定を背負いやがて骨肉をゴツゴツぶつけ合った先、遂に藤原君が自身の持ついやらしさを解放し木竜さ>>続きを読む

最強のふたり(2011年製作の映画)

2.0

階級社会を痛快に笑い飛ばす。
オペラの木役のおじさんが熱唱する様は確かにおかしくて、真面目腐った聴衆ごと笑い飛ばす痛快さがある。クリュゼが思わずもらい笑いするのも良い。
円環構造にする必然性は感じなか
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ブギーナイツ(1997年製作の映画)

4.0

これも良いなー。特にディスコダンスシーンが大好き。
大好きなジュリアンムーアはこの時すでに熟女オーラがムンムンながら、裁判所の前の号泣シーンで哀しい母親の顔を見せる。落差が凄い。
息子に(が?)そっく
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パンチドランク・ラブ(2002年製作の映画)

4.5

無条件に大好き!
冴えない男女が、やり場のないエネルギーをイビツに爆発させ突っ走る。
共同経営者のラテン兄弟の超絶ワイルドな仕事っぷりに大爆笑。つるむリコリスピザの子役たちは彼らを彷彿とさせる。
盟友
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星の子(2020年製作の映画)

3.0

新興宗教に染まっていく家族という切実なテーマだが、新音と田村君カップルが寄り添う様が瑞々しい。
そんな中、終盤の施設内の演出は不穏で、両親との隔離、黒木華の不気味に空っぽな笑顔、友達の意味ありげな表情
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ファイト・クラブ(1999年製作の映画)

2.5

フィンチャー監督、ウェスアンダーソンとティムバートンを足して2で割ったようなのカリカチュアされた絵を撮る。
バートン監督の愛したヘレナボナムカーターがボナムカーターを演じ、エドワードノートンが真正面の
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花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

3.0

ゆっくり冷めていく恋の描写、怒鳴り合うことなきことをルールとして決めていたが如く、ゆっくりゆっくりそれは進む。調布の多摩川を見下ろすアパートが徐々に彩られていき、押し迫る現実に色褪せていくのだ。
あ、
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冬薔薇(2022年製作の映画)

4.5

傑作!
当て書きしたのであろう伊藤君はもちろん、小林薫がもう自分を見ているようにイライラする。阪本監督はあかん人々をあかんままにカタルシスを与えないまま放り投げる。
唯一、余さんがそんな人たちを懐深く
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今夜、世界からこの恋が消えても(2022年製作の映画)

2.5

一歩間違うとリアリティのないのもになってしまうのだけれど、脚本が緻密に編み込まれており、安心して作品世界に没入できた。
異相女優である古川琴音が今作もビビッドな演技で、王子様とお姫様の物語を現実に繋ぎ
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ムーンフォール(2021年製作の映画)

1.0

猛暑にはエメリッヒに限る。
巻頭からもうぐんぐん物語が進む。知らないうちに街は海に沈み、少し微睡んでいる間に月が間近に迫る。コックリコックリしたかと思ったら、アナログに隕石を避け進む進む。
気持ちの良
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鏡の中にある如く(1961年製作の映画)

5.0

座礁船の中の腐臭の漂う海水の中での禁断の行為、そして閉ざされた扉から遂に神らしきものが現れるがそれは異形で絶望的に神の不在を示唆する。
だが今作神は人々の絶望に寄り添う。沈黙の向こうに、愚かな人々の営
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ボイリング・ポイント/沸騰(2021年製作の映画)

3.5

ワンカットワンシーンの作品は幾つかあり、実験的側面の好奇心からわりと観に行ってしまうのだが、果たしてワンカットである意味があるのか?作家の自己満足ではないのか?という冷めた目でも観てしまう。今作、1時>>続きを読む

沈黙(1962年製作の映画)

4.0

ベルイマン沈黙三部作中、最も難解と言われている今作。初見当時の未熟だった僕も爆睡した苦い思い出があり、そして今回再見。
ずーっと知的で美しいイングリッドチューリンが一瞬だけ奥歯剥き出しに醜く顔を歪める
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不良少女モニカ(1952年製作の映画)

2.5

ボートの舳先に虚無に横たわるモニカを乗せ沖へ進むキレッキレの構図に度肝を抜かれる。
ラルス・エクボイが赤ん坊を抱き鏡を睨みつける。その瞳の燃えるような憎悪を真正面から捉える。ベルイマンの追い求める続け
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のぼる小寺さん(2020年製作の映画)

2.5

小寺さんに交わった周囲と適当に迎合しながら過ごしていた人々の生き様が魔法をかけられたかのように変わっていく。掛け値無しに清々しい青春物語だ。
一方で終盤近くまでフォレスト・ガンプ状態が続くにつれ、やや
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ワン・セカンド 永遠の24フレーム(2020年製作の映画)

4.0

広陵とした砂漠の村を舞台に、なんと張芸謀がスクリューボール作品を撮った。
妻への旅路も哀しみの中にそこはかとないユーモアがあったけれど、今作はとにかく楽しい。
小屋に集まる村人たちが総出でフィルムを洗
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エルヴィス(2022年製作の映画)

4.0

オープニングタイトルから絢爛豪華なパズラーマン節全開でまず魅入った。時代を越え民族を越えゴスペル、ブルース、そうしてヒップホップが融合しロックンロールに昇華されるシーンには燃えた。
そして絢爛たるエン
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ひまわり(1970年製作の映画)

3.5

もう何回観ただろうか、いっぱいに広がるひまわり。物悲しげなマンシーニのテーマ曲が流れるオープニングですでに胸がいっぱいだ。たった12日間の新婚生活に凝縮された想い。
怒った時の嫁さんがロシアを彷徨うソ
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スープとイデオロギー(2021年製作の映画)

2.0

伝承の映画だ。
冒頭、済州島の触れることの許されなかった暗黒歴史が母の口から迸るように語られるが、語られるたびに忘却の霧に紛れていく。娘である監督が消えゆくものをフィルムに刻もうと足掻く様に心揺さぶら
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ディストラクション・ベイビーズ(2016年製作の映画)

4.0

殴られても殴られても嬉々として立ち向かっていく柳楽優弥の顔がいい。
暴力の持つ根源的な快楽を、暴力に対して不純に向き合う紛いものの菅田将暉と対照させながら描く。遂には菅田君が魔力にドロドロと飲み込まれ
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レイニーデイ・イン・ニューヨーク(2019年製作の映画)

3.5

シャラメの内省的で世を拗ねた雰囲気がニューヨークの雨に溶け込む。
外からフロントガラスの雨粒ごしに車中のシャラメを捉えるショットはエモーショナルだ。ストラーロ、健在である。
喘息ネタやアスペルガーや兄
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気狂いピエロ 2Kレストア版(1965年製作の映画)

3.5

自分の中の映画の概念がひっくり返った記念碑的作品で超久々の鑑賞。以来数十年それなりに自由奔放な作品を観てきたけれど、やはり今作ぶっ飛んでる。振り切った色彩、ブツ切れの音楽、いきなり映り込む死体、謎の寸>>続きを読む

ベルイマン島にて(2021年製作の映画)

4.0

これは大好き。
骨肉ぶつかるゴツゴツという音が聞こえてきそえな愛憎ほとばしる顔のカットバックを通して神の不在を極限まで問うのがベルイマンなのだけど、今作決定的にすれ違いながらも女性監督ならではのしなや
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あゝ、荒野 後篇(2017年製作の映画)

2.5

前後編合わせて。
寺山修司の昭和の新宿の路地の香りが匂い立つ世界観を映像化、なんと2022年!テロが常態化している時代設定で、この辺り岸監督の映画勘は素晴らしい。
ヤンチャでしなやかな菅田将暉が瞬時に
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リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

4.5

PTA作品には言葉(文章)で表しきれない魅力がある。中毒性と言っても良いのかもしれない。
今作なんとアメリカングラフィティ!
下ネタ連発のブラッドリークーパーのスタ誕ネタには大爆笑した。僕もずっとバ
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神は見返りを求める(2022年製作の映画)

2.0

吉田さんは基本的に性善説なんだけど露悪的に撮るものだから胸糞系でも生温くなってしまう。森田君然り古田さん然り、まぁあんな感じになってしまうのもしょうがないよねと感じてなってしまう。今作もまぁしゃあない>>続きを読む

冷たい熱帯魚(2010年製作の映画)

1.5

でんでんが家族の心の隙間に侵食していく描写が怖く面白く観た。彼岸を越えたものはこっち側の人々にとって魅力的に見えるものなのだ。
後半は目を開けていられなかったのでほぼ音声のみにて鑑賞ながら、時々恐々薄
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犬王(2021年製作の映画)

4.0

これは傑作だ。
犬王が唄い躍る鯨には仰天した。土着のビートとロックが融合し反復され高揚していく。中毒性があり延々観たくなる。友有の路上での70年代ジャパニーズハードなロックは歌詞も下手で違和感があった
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