kaoruiさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

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ナイブズ・アウト:グラス・オニオン(2022年製作の映画)

2.0

ファッション含めて茶目っ気たっぷりで脱力したダニエルクレイグが冒頭挨拶代わりに掟破りに軽やかに殺人ゲームのトリックを解いてしまったり、時間稼ぎで意味なく喋りながら突如ギアが入る。
推理劇としての色は薄
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ギレルモ・デル・トロのピノッキオ(2022年製作の映画)

2.0

デルトロのピノキオなのでグロテスクで残酷な物語かと思ったが、ピュアで素朴な作品に拍子抜けした。その一方で、あぁ意外とそうなのかも、と妙に腑に落ちもした。
欲に抗えない人間の本能の底しれない恐ろしさが代
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おやすみ オポチュニティ(2022年製作の映画)

2.5

息子レコメンドにて鑑賞。
僕もエンジニアとして四十年近く経ち関わった製品も三十製品を越えるが、どの製品にも一緒に開発したメンバーとの想い出がぎっしり詰まっている。辛いこと嬉しいこと悲喜交々だが僕たちの
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THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.0

熱い!まず原作のギャグ要素満載の描写、赤木にカンチョーしたり机にのって勝利宣言したりするが、自然に戦いの中に溶け込ませていることにまず驚いた。
名シーンも、むやみにスローになったり説明過多になることな
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容疑者Xの献身(2008年製作の映画)

4.0

クリスマスということで鑑賞。
堤真一のベストアクトで、全編陰鬱に演じながら山頂での絶叫とラストの慟哭が胸に迫るのは彼の演技の素晴らしさに負うところが大きい。
演出的には真夏の方程式に軍配が上がるけれと
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ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)

2.5


感動ポルノになる寸前で独特の距離感でコメディテイストを織り交ぜてくる。
桃李君が市毛良枝に遺言を捧げるシーンは、見ず知らずのオカンやぞ、しっかり読めよ!と突っ込みつつも泣けた。
桐谷君の、よくがんば
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明日の食卓(2021年製作の映画)

1.0

瀬々さん版「きみはいい子」だ。
だが尾野真千子のエピソードはサイコパス、マザコン、認知症、新興宗教などグロテスクなネタ満載でお腹がいっぱいになってしまった。菅野さんのエピソードには捻りが加えられるが捻
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A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

3.5

愛するルーニーマーラーがひたすら食べ、手作り感満載のゴーストが立ち尽くし見守る。愛おしくも哀しい生と死を一つの絵に収めた稀有なシーンである。
西洋でも成仏という概念があるのだろうか、静謐な絵から東洋的
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蜘蛛巣城(1957年製作の映画)

3.5

黒澤活劇の真骨頂の今作を劇場で観ることができるなんて、感謝感激。
怪しい森を生き物のような霧が包み三船たちを彷徨わせる。夜露に黒く底光りする藪の絵の向こうで白く光るモノノケの唄が不気味に震える。
よう
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グリーン・ナイト(2021年製作の映画)

4.0

これは凄い。開巻から未見性に満ちた映像の連続で目が釘付けになる。王の顔が燃え、家畜小屋、そしてヴィキャンデルとの絡みをワンカットで捉える。彼女との頽廃の暮らしぶりをカメラは不安定な画角で捉え続ける。>>続きを読む

アフター・ヤン(2021年製作の映画)

3.5

人種や血のつながり、更にはロボットやクローンも加わり新たな家族という共同体を再構築してみせる。彼等を繋ぎ止めるのは、伝承されるべき文化や民族、言葉、そして表情。
静謐な映像感覚はさらに冴え渡り、全てを
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コロンバス(2017年製作の映画)

4.5

息子レコメンドにハズレなし!
近代建築が建ち並ぶが時代に取り残された街に魅せられ集い離れられない人々を描く。なので建築物が構図の中心。モデルハウスのようなショットもあるが、川を跨ぎ苔むす建物の佇まいに
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土を喰らう十二ヵ月(2022年製作の映画)

4.0

手が主役である。柄杓で柔らかい湯を掬い茶葉に注ぎ、里芋を洗い、胡麻の皮を剥き、筍を引っこ抜き、ご馳走様と手を合わせる。
土地に腰を据え時間を味方に付けないと撮れない絵達である。ショートカットを忌むこと
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ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)

2.5

面白かった。
基本お姫様物語なので沼に絶対いるはずの蚊や蛭、ムカデなどグロテスクな生き物達は登場せず、鳥や蛙や色づく木々や草花が表舞台で彩る。
追いやられた彼等は湿地に潜み蛍の飛び交う幻想的な沼にジジ
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くれなずめ(2021年製作の映画)

1.0

どうにも合わなかった。
今泉組を中心に旬の若手俳優を集わせ、長回しで追うが、悪ふざけのみが延々と続く。
ドラマはフラッシュバックの中で動くのだが、リアルタイムでは相変わらずグダグダで過去と同期してこな
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ある男(2022年製作の映画)

2.5

雨の日の安藤さくらの文具店に窪田くんがやってくるシーンが良い。新しい家族の絵、特に父子の絆が温かくて切ない。
転じて妻夫木君が引っ張る中盤、在日問題、ヘイトクライム、死刑廃止など途端にキナ臭いテーマが
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秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

3.0

老婆たちの病室を訪れ別れを告げる少女。
無事退院なのかなーと思わせといて悲しい死が描かれタイトルがスタイリッシュに重なる。このオープニングでノックアウトされる。クロスワードパズルと杖という二つのキーに
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ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022年製作の映画)

2.0

久々のクーグラー作品で、自ずと映像と音楽を貫くドープなビートを期待してしまうのだが、今作リアーナのテーマ曲に代表させるエッジを落としたビートは深く重く情緒的に刻む。
冒頭のMarvel ロゴはボーズマ
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窓辺にて(2022年製作の映画)

4.0

「街の上で」を越える傑作。
色彩設計の行き届いた絵の中で繰り広げられる窓辺のシーンがいずれも素晴らしい。
まず冒頭の喫茶店。淡く差し込む光がコップの水に屈折し、手をかざす。透けてしまいそうだ。
おじさ
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his(2020年製作の映画)

1.5

奔放な季節君、繊細な宮沢君が抜群に良い。受け入れる村人たち、特に一癖ありそうな鈴木慶一、根岸季衣演じる鉄火婆の一言が沁みるのだ。
校庭で戯れる四人を俯瞰する長回しは「あの頃。」での覚醒を予感させる。

アイネクライネナハトムジーク(2019年製作の映画)

1.0

原作を読んだ時に小さな物語が淡く繋がっていくことがノイズに感じて乗れなかったのだけど、案外小泉さんに合うかもしれないと思いながらの明日の「窓辺にて」に備えて予習鑑賞。結果、原作を読んだ時以上にノイズに>>続きを読む

スペンサー ダイアナの決意(2021年製作の映画)

3.5

傑作だ!
クレール・マトンの映像が素晴らしく、全編ローキーで部屋のオレンジに溶けてしまいそうに儚く漂うダイアナを捉える。
穏やかで不穏な宮廷楽にミュートの効いたトランペットが不協和音を被せ、シンバルの
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RRR(2022年製作の映画)

3.0

ジョンウー作品を観ているような錯覚に陥る圧倒的熱量に貫かれた様式美だ。但しこちらは鳩ではなく虎が舞う。撃たれても蛇に噛まれても驚異的な回復力で安心安心。
自分の息子に英国人を撃て!というシーンには当時
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Mank/マンク(2020年製作の映画)

3.5

脚本家の映画だ。
市民ケーンの映像文法を押さえた深度の深いモノクロ画面にタイプライターがカタカタと文字を刻む。追想、屋外。音声は音響をたっぷり含んでいる。流麗に暗転し右上にパンチマークが明滅する。めく
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僕と頭の中の落書きたち(2020年製作の映画)

3.0

不謹慎ながら脳内の三人のキャラが楽しく賑やかでコメディタッチに進む前半だが本人にとっては深刻な事態である。
薬の副作用と戦う中盤はかなり辛い。
今作も腹黒顔⁈のウォルトン・ゴギンズが最高で、顔と本性の
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線は、僕を描く(2022年製作の映画)

3.0

小泉さんの作品は初めて観た。
心地良くて透明感があって秋の日の陽だまりのような温かさだ。
江口洋介が久々に水を得た魚で、地に足のついた日常から自分の絵を獲得する漢を快演する。流星君はエキセントリックさ
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百花(2022年製作の映画)

3.5

三つの度肝を抜くシーケンスショットだけでもみる価値がある。
冒頭、須田君が母を探して公園まで走るシーン、KOEのプレゼンで河合さんが CGの中に取り込まれていくショット、そして大震災で倒壊した商店街を
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アンカット・ダイヤモンド(2019年製作の映画)

4.0

またまた息子レコメンドでこれまた面白い!
アダムサンドラーが彼ならではの多動キャラを嬉々として演じる。どうしょーもないところまで追い詰められて目が逝ってるが、その瞳には苦悩と快楽が宿る。
快楽の頂点で
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ヘルドッグス(2022年製作の映画)

2.5

骨太の熱い男たちを描いたら天下一品の原田さんのスイートスポットだ。
岡田君の重心低く構え瞬時に逆関節を取る格闘シーンだけでも見応え十分だ。
坂口君のサイコな犬っころキャラも面白く見た。
煽りを食って松
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オクジャ okja(2017年製作の映画)

4.0

息子レコメンドでポンジュノが監督だということを全く知らずに鑑賞。
面白かったー。歯の矯正しているティルダスィントンが出るたびに整っていく感じとか、ポールダノの嘘っぽいキャラ造形とか世渡り上手なスティー
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カルト(2012年製作の映画)

1.0

嫁さんがマッサージ行ってる間に部屋を真っ暗にしての鑑賞。
大真面目にスィー!とかやる霊能者師弟が笑えるけど、順番にやられるところとか結構怖い。真打の霊能者のキャラがおぉそおくるか、て感じで面白かった。
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セイント・フランシス(2019年製作の映画)

2.5

子供と心通うような劇的なエピソードがあるわけではなく淡々とエピソードを積み重ねる。やり場なく状況的には切実なケリーオサリバンは最後まで冴えないままなんだけど、二人の間にほんのりと絆が生まれてくる。派手>>続きを読む

川っぺりムコリッタ(2021年製作の映画)

4.0

死の匂いに満ち満ちた傑作だ。
蝉の声、遠くで聞こえる川の音、遺骨、金魚、ナメクジ、刹那と牟呼栗多の間に響く鐘の音、蜘蛛。お釈迦様に蜘蛛の糸を切られ転落した人々がそれでも日々を営々と紡ぐ様が愛おしい。
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雨を告げる漂流団地(2022年製作の映画)

1.0

流行りなのか今作も団地が主役。
団地達が海を進む設定と描写は斬新だが主役二人の拗らせ方がストレスで見るのやめよかなと何度か思った。
一緒に観てた息子曰く、小学生はこんなもん。
いやいやいや僕も団地世代
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ハードエイト(1996年製作の映画)

2.5

後にPTAの盟友となる者達が集い、既に監督作の原形を感じられるのが面白い。
それらしいショットやシーンがあるわけではなく典型的なノワールが展開されるのだが、匂い立ってくる。
フィリップベイカーが擬似家
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沈黙のパレード(2022年製作の映画)

2.0

冒頭の黄昏迫るのど自慢大会の絵から捜査会議まで圧巻の展開だ。一気に数年飛び、夏の終わりの香りいっぱいに死の影を振り払うように繰り広げられるパレードを濃密に描く。
相変わらず不気味な村淳のキャラ造形は見
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