松原慶太さんの映画レビュー・感想・評価 - 29ページ目

暗殺の森(1970年製作の映画)

3.9

ベルトリッチ監督作品。1930年代のイタリア。幼少期に同性愛者にレイプされかけたことがきっかけで虚無的な人生観を持つインテリ青年マルチェロが、ファシズムに加担していく姿を描いている。

大学時代の恩師
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悪魔は誰だ(2012年製作の映画)

3.5

15年前の誘拐殺人犯を追う刑事と被害者の母親。独自の捜査で真犯人に迫っていたのだが、あと一歩のところで取り逃がす。おりしも事件は時効を迎え、失意の刑事は退職するのだが、ときを同じくして15年前とまった>>続きを読む

万能鑑定士Q モナ・リザの瞳(2014年製作の映画)

2.9

まずこのタイトルからして「どうせラノベだろ」と思って大人の映画ファンは見ないと思う。ただじっさい見てみると、想像していたほど酷くなかった。演出面でモタモタしているところもあったけど、もうちょっとうまく>>続きを読む

夜の大捜査線(1967年製作の映画)

4.5

まだ人種差別の色濃く残る南部の田舎町で、都会から来た黒人のエリート刑事が、地元の警察署長とぶつかりあいながらも、孤独な捜査をつづける。

なんとなく自分の記憶の中で「クラシックな名作」に祭り上げられて
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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(2014年製作の映画)

3.0

もうちょっと、前半は仲違いしたり、負け犬としての駄目っぷりを見せて欲しかったような。
けっこう早い段階でチームのみんなわりといいヒトだと分かっちゃうあたりが、いまいち後半のカタルシスにつながらないよう
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幸せの教室(2011年製作の映画)

2.5

ランドール・パークというアジア系コメディアンが面白いので、出演作を検索していたらたまたま引き当てた映画。
スーパーをリストラされた中年男が、コミュニティカレッジに通い、さまざまな出会いを経験するという
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藍色夏恋(2002年製作の映画)

4.0

ひさびさにキラキラした青春映画を見てしまった...。こういう映画で、あざとくなく、苦さと痛さもあり、ふつうに共感できる映画って、あまりないよね。あと、この手の情感って欧米映画では描けないよね。ひとこと>>続きを読む

ゼロ時間の謎(2007年製作の映画)

2.4

「下の上」といったところでしょうか。フランス映画らしい洒落た隠し味も、ほんの少しだけありますが、まあ凡作と言っていいかと思います。素材のよさを生かしきれていない。

前半、ユル〜い感じの登場人物紹介が
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アイデンティティー(2003年製作の映画)

2.8

超C級サスペンス・スリラー。全体的にガチャガチャ感あり、好きな人は好きだろうけど、きらいな人はきらいだと思う(あたりまえ)。アイデア自体は評価できる。系統的には「saw」とか、シャマラン系ですかね..>>続きを読む

情婦(1957年製作の映画)

4.3

アガサ・クリスティーの「検察側の証人」の映画化。法廷物のマスターピース。ミステリーあり、法廷の弁論対決あり、ユーモアあり、どんでん返しあり。何度も見ている映画だけど、釘付けになる。しかし、このトンチン>>続きを読む

ゆりかごを揺らす手(1991年製作の映画)

3.9

「ごく普通の家庭に、ごく普通の美人なベビーシッターがあらわれました。でもただひとつ違っていたのは、彼女はサイコパスだったのです」。

なにげない日常生活を描いているうちに、じりじりと静かにサスペンスの
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フィッシュストーリー(2009年製作の映画)

2.4

伊坂幸太郎原作の映画って、村上春樹と浦沢直樹を足して3で割ったような雰囲気で、なんとなくいまっぽいし、オリジナリティもある。基本的に応援したいところなんですが...。

邦画って、ほんの5年前くらいの
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何がジェーンに起ったか?(1962年製作の映画)

4.2

ハリウッドで一世を風靡した美人女優が、歳をとり落ちぶれて、姉妹でひっそり暮らしている。

姉は不慮の交通事故で車椅子生活に。妹はその責任と嫉妬でアタマが変になっている。

部屋から出ることができない姉
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殺人の疑惑(2013年製作の映画)

1.5

ポン・ジュノの名作「殺人の追憶」にあやかって「殺人のナントカ」という邦題の韓国ミステリーが、昨今多いですが、本作はそのなかでもかなりの駄作。どんな凡作でもそれなりに楽しめる箇所をみつけられる自分ですら>>続きを読む

冷たい熱帯魚(2010年製作の映画)

3.1

熊谷で起きた「埼玉愛犬家連続殺人事件」を元ネタにしている。中盤まではまぎれもなく傑作。

こういう、いっけん親切にみえて、ずうずうしい部分があり、おかしなビジネスにハマっている頭の変な親父っているよな
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その街のこども 劇場版(2010年製作の映画)

3.3

NHKのスペシャルドラマを、未公開部分もくわえ映画化したもの。森山未來と佐藤江梨子が、新神戸駅でぐうぜん出会い、終電なくして三宮から御影まで歩き、また帰ってくる、という話。

超低予算。神戸とはいえ華
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パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間(2013年製作の映画)

2.6

オリバー・ストーンの「JFK」のようなものを想像していたので肩透かしを食らいました。非常に短い映画(1時間20分程度)で、まるでテレビ映画のようでした。基本的にストーリーは当時のできごとを淡々と追った>>続きを読む

真珠の耳飾りの少女(2003年製作の映画)

3.8

使用人としてフェルメール家に雇われることになった少女グリート(スカーレット・ヨハンソン)。彼女は文盲であったが、すぐれた色彩・絵画感覚を持っていた。そのことを見抜いたフェルメール(コリン・ファース)に>>続きを読む

招かれざる客(1967年製作の映画)

3.8

'67年製作のヒューマンドラマ。天真爛漫な娘が、黒人のフィアンセをともなってサンフランシスコの実家に帰ってくる。ビックリ仰天する両親だったが、黒人青年(シドニー・ポワチエ)の誠実な人柄にやがてこころを>>続きを読む

重力ピエロ(2009年製作の映画)

3.5

いままで見た伊坂幸太郎原作の映画のなかでは、展開が大げさになり過ぎないぶん、感情移入しやすく楽しめた。適度なミステリーとどんでん返しもあり飽きさせない。加瀬亮、岡田将生の兄弟が微笑ましくて好感が持てた>>続きを読む

月光ノ仮面(2011年製作の映画)

1.0

役者・芸人としての板尾さんは大好きですし、ついでにいうと、松本人志の映画作家としての才能も買っております。しかしながら、これは本当に駄作です。

なんだこれ「スケキヨ」まんまじゃん、と誰もが言うと思い
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かぐや姫の物語(2013年製作の映画)

4.3

日本最高のアニメーション作家が、50億をかけてつくりあげた、ぜいたくなぜいたくな「昔話」。絵巻物がそのまま動き出すような視覚的興奮があった。もはや「竹取物語」でこれ以上の映像化は望めないだろう。個人的>>続きを読む

女子ーズ(2014年製作の映画)

2.0

福田雄一監督は好きです。好きですが、やっぱり力を入れている作品と、そうでない作品と、ムラがありますね。

脱力系コメディも好きです。好きですが、作るほうまで脱力してたら、観客を笑わせることは出来ません
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列車に乗った男(2002年製作の映画)

2.9

うーむ。なかなかに味わい深い。主役ふたりの渋い存在感と、フランスの小さな街の雰囲気がいい。ラストの展開はちょっとあざとかったかな。

ウルフ・オブ・ウォールストリート(2013年製作の映画)

3.0

ありがちなウォール街サクセスストーリーかなと思って見始めたら、かなりブチ切れぎみのブラックコメディ。とりあえず3時間の長尺を感じさせないスコセッシの手腕にはおそれいりました。

とりわけ前半。ブラック
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レスラー(2008年製作の映画)

4.0

歳をとり身体はボロボロ、それでもリングに立ち続ける中年プロレスラー・ランディ(ミッキー・ローク)の話。映画的技巧などなにもない、ど真ん中直球のドラマ。
「男の哀愁」なんてカッコいいものではない。中年男
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清須会議(2013年製作の映画)

2.2

宇多丸ラジオでこの映画「面白かったのか、面白くなかったのかすら、よく分からない」という感想が多かったと言っていたけど、まさに同感。

筋書きだけ聞くとメチャクチャおもしろそうで、丁寧に作られていてどこ
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薄氷の殺人(2014年製作の映画)

4.2

季節は冬。舞台は中国・東北地方。まずは映像の美しさに圧倒された。なんの変哲もない、匿名的なアジアの地方都市を、これほど美しく撮ることができるのかとおどろいた。

緊張感の欠けた長回しの果てに、偶発的に
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モナリザ(1986年製作の映画)

4.0

7年ぶりに刑務所から出てきて、高級娼婦の運転手をはじめた、風采の上がらないチンピラ(ボブ・ホスキンス)の話。
高飛車な女と、下品な男はそりが合わないが、次第にこころを通わせるようになる。やがて女は、あ
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アウトブレイク(1995年製作の映画)

2.5

感染症の恐怖を描いたパンデミック映画。導入部はリアリティもサスペンスもあり良い。中盤からハリウッドらしく大味な展開になり、とくに終盤、ヘリコプターの空戦シーンは荒唐無稽。まぁ、分かりやすいといえば分か>>続きを読む

あの頃ペニー・レインと(2000年製作の映画)

3.9

地方新聞に投稿したロック評がローリングストーンズ誌の目に留まり「スティルウォーター」というバンドのツアーに同行取材することになった、15歳の少年の物語。胸に刺さる青春映画。

じっさい監督は十代の頃ラ
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或る夜の出来事(1934年製作の映画)

4.1

家出した大富豪のお嬢様が、マイアミからニューヨークまでの夜行バスのなかで、新聞記者と出会い…という話。ラブコメディの古典中の古典。「ローマの休日」の元ネタ。

コンテイジョン(2011年製作の映画)

4.9

今回見返してみて(5回目くらい)あらためて素晴らしいなと。見るたびにより面白くなる。限りなく満点に近い。もっと広く知れ渡るべき映画だと思う。

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人類と未知の感染症との死闘を描くパンデミッ
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白ゆき姫殺人事件(2014年製作の映画)

2.4

このレビューはネタバレを含みます

主人公をTVディレクターに設定し、複数の登場人物の独白インタビュー形式で進行するミステリー。

いわば古典的な「藪の中(羅生門)」フォーマットなのだけれど、そこにツイッターの書き込みや、ワイドショーの
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ロボコップ(2014年製作の映画)

2.9

これは評価がむずかしい作品ですね。オリジナルの要素を生かしつつ、現在の目線でどうやってリアリティを担保するか、かなり理詰めで考えられた作品だと感じました。ただそれによって、分りやすいアメコミ的なカタル>>続きを読む