このレビューはネタバレを含みます
主人公をTVディレクターに設定し、複数の登場人物の独白インタビュー形式で進行するミステリー。
いわば古典的な「藪の中(羅生門)」フォーマットなのだけれど、そこにツイッターの書き込みや、ワイドショーの映像などがかさなり、重層的にストーリーが展開するのが、新しいといえば新しい。
冒頭すでに殺人事件が起こり、そこからは登場人物たちのインタビューによる回想で物語は進行する。記憶は各人によって曖昧で、思い込みによって事実がどんどんズラされていく、そこらへんがほんらい面白い筈なんだけど、いまひとつ展開がふくらまない。たぶん、そもそも話の幹になっているプロットが、単純であまり興味を引かれるものではないのが原因だろうか。
「白ゆき姫」というタイトルも意味ありげなようでいて、たいした意味がない。何とかブラザーズというミュージシャンのくだりは必要だったのかどうか。赤毛のアンのモチーフも、いまひとつテーマとして昇華されていない。という具合に、全体的にディテールが雑な印象を受けた。たぶんこれは原作の問題。