使用人としてフェルメール家に雇われることになった少女グリート(スカーレット・ヨハンソン)。彼女は文盲であったが、すぐれた色彩・絵画感覚を持っていた。そのことを見抜いたフェルメール(コリン・ファース)によって、ふとしたことから例の有名な作品のモデルをつとめることになる。
美術・衣装は完璧で、17世紀オランダに足を踏み入れた感覚にとらわれる。作家の内面に触れた、とまでは言わないが、創作の現場を覗き込むようなスリリングな興奮は味わえる。
フェルメールとグリートの共同作業は、ある意味、性的関係の暗喩だが、じっさいに手を出すのではなく、あくまでも画家としての眼で、スカヨハを眺め回すのがいい。かえって画家の業の深さを感じさせる。