よーすけカサブランカスさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

よーすけカサブランカス

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グリーン・ナイト(2021年製作の映画)

3.9

必要以上の活劇やらドラマやら飾り付けのない、だがどこを切り取っても芳醇で美しい場面の続く童話だった。
ガウェインの旅路は欲というものについての反省を促し王たる器?に相応しい男にさせるために母が課したも
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

4.1

一子相伝的な息子が被災地となる場所を全国行脚して、その過程で神の一部となるのを「生きたい」と否定させるなんて反天○的だし、311の被害映像をわりとそっくりそのまま出すし、相当野心的な作品には違いない。>>続きを読む

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022年製作の映画)

3.5

チャドウィック・ボーズマンの死というあまりに悲しい出来事に対するフィクションとの境目を超えそうな弔いの場面は見ててなかなか込み上げるものがあった。のだが、それでもアイアンハートを登場させ、ブラックパン>>続きを読む

未来惑星ザルドス(1974年製作の映画)

3.4

ショーン・コネリーの奇抜な衣装とザルドスのチープな造形が印象に残りすぎるが、かなり真面目なSFだった。不老不死というものが引き起こしうることが相当考え抜かれていると思う。ショーン・コネリーの汗を舐める>>続きを読む

Arc アーク(2021年製作の映画)

3.6

やはり自分の娘に5歳ぐらいのあの年齢で(いわゆる一番可愛い年代と言われるやつ)不老手術を受けさせていたと分かる場面がかなりゾッとする。20歳ぐらいで止めるならまだしも、親のヤバいエゴが見えるから。なの>>続きを読む

アフター・ヤン(2021年製作の映画)

3.9

一応は家庭用アンドロイドの故障を通して、死生観と家族のあり方を問う、みたいなテーマだと総括することができそうなんだが、感触としては様々な要因が絡まって、それが綺麗に答えが出されることはなく、ふわっとし>>続きを読む

TITANE/チタン(2021年製作の映画)

4.1

世間と相容れない嗜好、という点から言えばマイノリティがテーマとも言える。だがLGBTQのどの領域の愛とも違って、彼女の腹にはそれが宿る。
ここで消防士の男に息子と間違われる、という??な展開が始まるの
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LAMB/ラム(2021年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

シンプルな因果応報ストーリーかなと思う。子を失った夫婦のもとに子を授ける。あの謎の羊男は夫婦を哀れに思ったか、羊の群れを管理していたことをまだ感謝していたか。死んだ息子の生まれ変わり、という考えもアリ>>続きを読む

ザ・ミソジニー(2022年製作の映画)

3.6

真のファシズムを実現させるとか生贄あたりまではまだ全然ついていけたが、アメリカのスパイという疑いで儀式が中断して黒魔術対決が始まるあたりから完全に混乱した。
ただ断片的に非常に心に残る部分が多かった。
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シャイニング(1980年製作の映画)

3.9

4Kで久々に視聴。4Kだと冒頭のデンバーの山々から圧倒される。ふつうの空撮だけど。
あのホテルが先住民の墓を壊して建てられたというのは完全に忘れていた。というか気にしてなかったのか。ジャックだけでなく
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ポスト・モーテム 遺体写真家トーマス(2020年製作の映画)

3.5

背景にはWW1とスペイン風邪によって埋葬が追いつかず、というのがあると考えると墓に連れていけ、という悪霊たちの動機は悲しい。結構村の敷地広そうなのにどっかに埋めてあげれば、と思ってしまう。
殺される人
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NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

4.4

終盤までやってることはPOVホラーと同じでその超常を捉えて記録したいというだけなんだが、そこに撮るという芸術行為、映画そのものへの賛歌、ただその歴史に葬られてしまっているもの、撮るという行為に必ず横た>>続きを読む

ガンパウダー・ミルクシェイク(2021年製作の映画)

3.5

主題から一切逸れずに進むシンプルな脚本、随所に溢れるフェチ、工夫されたアクション。これがあれば退屈はしない。
男と彼らが作ったシステムは総じてクソで、立ちはだかるなら皆殺す。強引で身も蓋もない話だがよ
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死霊館 エンフィールド事件(2016年製作の映画)

3.7

おじいさんがその目的を「脅かすのが面白いから」って言ったのがかなり面白かった。前作で霊がドアをいきなり閉めたり後ろに立ったりするのは相手を不安にさせ取り慿きやすくするためという、極めてスマートな解説が>>続きを読む

女神の継承(2021年製作の映画)

4.1

この点数にしたが結構粗がある作品だったとは思う。B級ホラーにありがちな、登場人物の思慮の浅い行動がきっかけだったり(子供がいる、と言って発狂しながらドアを開ける母はちょっと都合がよすぎるキャラ)、儀式>>続きを読む

ニュー・ミュータント(2020年製作の映画)

3.5

途中まではX-Menシリーズってのは完全に「ガワ」で、少年少女の心の問題と押さえつける大人、みたいな構造になっている。割としっかり青春ムービーである。
敵がはっきりしてからは今や大スターのアニャテイラ
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カーター(2022年製作の映画)

3.9

カメラはとうとう人の手から自由になって自ら動けるようになった、みたいな映画だった。自由なのでカットが入れられることもなく(一応)、どんな場所状況でもついていける。
ワンカットが擬似なのは分かるけど、に
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プレデター:ザ・プレイ(2022年製作の映画)

3.7

英語話者が善でフランス語話者が悪というキャラのバランスが気になったが、(そもそもコマンチ族に英語話させるのもアレだが)物語は良かった。
一人前の狩人を目指す少女と、元々狩人てあるプレデターが重ね合わせ
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籠の中の乙女(2009年製作の映画)

3.4

ヨルゴス・ランティモスは常にこういうゲーム的なものを撮っている(シュールさと残酷さが同居するような)が、これは一際悲惨である。恐ろしく稚拙な価値観を植え付けられて成長していく子供たち。
割とみんな暴力
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RUN/ラン(2020年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

さすがに誘拐してきた子を大学まで(しかも同じ名前で)育てるのは不可能なように思う(行政とか医療機関が気づくのでは)、と思うのだがそういう物語の粗以上に面白い部分も大いにあった。
足の件も弱った娘を守る
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フォーガットン(2004年製作の映画)

3.6

母親の、狂気にも繋がりかねない子への愛というものの両面をちゃんと上手く物語の中で「使って」いたので、なるほど、と思った。母性を礼賛しすぎかな、とは思ったけど、過去に見たものから人相を擦り合わせることが>>続きを読む

RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)

4.4

さすがフランス、大学生の自治の力が強い。ただ親元を離れてこの治外法権と言ってもいい学生たちだけの世界に一人(姉もいるけど)飛び込む、というのが「目覚め」には重要なトリガーとなる。うさぎの腎臓を食らうシ>>続きを読む

ブラック・フォン(2022年製作の映画)

3.7

犯人があのやけにアーティスティックな仮面を被ってる理由も動機も説明されなかったが、物語の主軸はあくまで子供たちの側にある。アジア系、メキシコ系、連れ去られる子たちの人種が散らばってるのは意図的で(もち>>続きを読む

グレイマン(2022年製作の映画)

3.7

とにかく景気の良さと勢いで突き進むアクションムービーだった。一日中CIA(私設部隊)とSWATに破壊され続けたプラハは見てて可哀想になった。
話は一人の男の暴走としてもあまりに滅茶苦茶であってないよう
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レイジング・ファイア(2021年製作の映画)

3.4

よし、SPLとヒートを両方やってしまおうという欲張りなアイディアから生まれたのだろう作品。ヒートというかそれに影響を受けた「ザ・アウトロー」か。
正直ストーリーは強引でわちゃわちゃしてたがアクションは
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CLIMAX クライマックス(2018年製作の映画)

3.4

ダンス。身体を使役することの限界を試す動作。身体から魂を解放する試み。身体というものを生まれ持ったことを寿ぐ祈り。言葉の要らない意思疎通。そうしたことを生業にしているもの達にとってトリップは常人のもの>>続きを読む

鑑定士と顔のない依頼人(2013年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

そもそも、おじいさんが若い子をどうにかできるかもだなんて考えること自体気味悪いんだが、最後はさすがに可哀想になった。と言ってもまああのコレクションも言わば不法に集めたものだから振り出しに戻っただけなの>>続きを読む

わたしは最悪。(2021年製作の映画)

3.7

目の覚めるような恋の瞬間、周りが見えなくなってすべてが止まったように、というのは心情としてはベタなんだが、あの電気のスイッチを入れた瞬間の場面はさすがにハッとした。ただあれが終着点ではないのが彼女のス>>続きを読む

X エックス(2022年製作の映画)

3.9

老いを認められない気持ちと若さへの嫉妬。身勝手ではあるがあのポルノ映画撮影団の意味の無い自信を見ていると同情が芽生えてくるのも面白いところ。ただ男の理屈から自由になる自信を手に入れたロレインがあんな目>>続きを読む

呪詛(2022年製作の映画)

3.6

事の起こりは不届きな若者がタブーを犯していく、かなりよく見る展開だし、だんだんと自業自得やんという思いも芽生えてくるし、じゃあ序盤子供に起こってた細かい驚かしは結局何だったのかとか思うところはあるんだ>>続きを読む

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト(1968年製作の映画)

4.6

「ウエスタン」からは20分ぐらい足されてるらしいがどこがというのは暇がなくて確認できなかった。ただ画質が上がったことでブロンソンとヘンリーフォンダの顔のアップの威力が上がっていたというか、皺のひとつひ>>続きを読む

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

3.6

「マグノリア」にもあったが、大人のショービジネスに出入りしている青年というPTAの関心が気になる。今作の青年は葛藤のほぼない、15歳にしても無垢に見える感じで(だが色々と手際は良い)、終盤に向けて何か>>続きを読む

マグノリア(1999年製作の映画)

4.4

一向に国内盤BDが出ないので配信で久々に。愛はあってもはけ口のない者たち、はけ口を間違ってしまった者たちとその後悔、彼らの過ちのせいで愛を受けられなかった者たち。
カエルについては監督のPTA自身の父
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死霊館(2013年製作の映画)

4.2

相手はドアを急に閉めたり物を落としたりノックしたり、と序盤はやたら嫌がらせみたいな攻撃なのだが、このホラーあるあるを悪魔の行動の3段階のひとつ、という理屈をひねり出したのはさすがエンターテイナー、ジェ>>続きを読む

オールド(2021年製作の映画)

4.0

時間の経過が異様に早い空間、という舞台から発生しうることのなかで最悪の展開をちゃんと見せてくれるのは凄い。あのパニック状態ではあるが冷静になろうとしている感じの会話を表現するのが上手かった。医師の精神>>続きを読む