囚人13号さんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

人造魔法少女カイニ(2023年製作の映画)

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PARALLEL併映。クライマックスだけ切り取って、人間の欲望から生まれた人造人間≒アニメ産業というメタをやりつつそれに共鳴する映画本編の(両親の性欲から生まれた)主人公。奥行きも生まれる

PARALLEL(2021年製作の映画)

4.3

いや参った…面白いな。世間の高評価に便乗する癖はないんだけど、みんなに観てほしいのでちょっと高めに付けます。

このテンションの映画をまだ現代日本が生み出しうるという可能性を知れて嬉しかったし、インテ
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ジャンヌ・ダーク(1948年製作の映画)

1.5

ロッセリーニとハリウッドの異次元的な偏差をよりによってバーグマンとジャンヌが媒介しているという不可思議もまた映画史か

スクリーンにおけるジャンヌ・ダルクは特別落差の大きい主題であることは周知の通りで
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ルクス・エテルナ 永遠の光(2019年製作の映画)

1.5

映画の本質である光のイメージを癲癇なる人体現象によって普遍的次元へ飛躍させつつ、極めてノエ的な作為閃k…ひぎぃ(断末魔

ガートルード/ゲアトルーズ(1964年製作の映画)

4.9

神話を現代劇へ翻案してしまう暴挙をゴダールのマリア以前に実践し、何より本作すらまだ野心の途上であったというドライヤーの遥かな意志を汲み取れぬまま観終えてしまった。

確かに視線は交錯を避けられるしゲア
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奇跡(1954年製作の映画)

5.0

蝋燭=光源によってのみ影が生じるという光学を最も意識させられる映画。装飾品に溢れていた部屋がクライマックスは白一色に純化され、対角線上に位置する(画面外からの)陽光によって影が点在している画面はシンプ>>続きを読む

The End of a Love Affair(原題)(2003年製作の映画)

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久々に電車が空いてて座れたので見た。タイトル通り失恋後の心情を切り取った切ない映画らしく、画面左端へフレームイン/アウトを繰り返すカーテンが風を可視化する。コスタもビル・ヴィオラみたいなビデオアート系>>続きを読む

怒りの日(1943年製作の映画)

4.5

『裁かるるジャンヌ』との比較は避けられるべきなんだろうが、それはもはや演劇的次元で語られるべきではないということで、悉く老人の聖職者(性的不能者)どもが禁欲と信仰心を盾に処女を貶めていく展開において、>>続きを読む

彼らはフェリーに間に合った(1948年製作の映画)

4.0

フェリーに間に合いたいサスペンスから生じる疾走感が交通安全啓蒙なのに胸熱レース映画になる。
終盤は全カットめちゃくちゃ怖い。衝撃映像と控えめなサウンドの熱量が乖離したブニュエル的な不穏さ。突然時間が飛
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キートンのセブン・チャンス/キートンの栃麺棒(1925年製作の映画)

4.5

大俯瞰から捉えられた追跡劇は脳内でシネスコサイズに変換。何とか捕獲されないようキートンの逃走速度を幇助する自動車の平行移動、更に追っ手との距離を引き離す傾斜というか殆ど垂直落下してるクライマックス。i>>続きを読む

キートンの探偵学入門/忍術キートン(1924年製作の映画)

5.0

先天的な運動神経と映像技術の臨界。ストップトリックや多重露光に加え当時の技術では達成し得なかったビリヤードは実技を身につけてるし、スクリーン内へ越境していく疑似ワンカットはメリエスまで逆行しつつ要求さ>>続きを読む

海を待ちながら(2012年製作の映画)

3.8

根底には神話が潜んでるが、それとは無関係に砂丘を数メートルずつ進んでいく船という構図がシュールで好き。
群衆は暴力を振るうために存在してるとこなんかは相変わらずだけど、結局はもう会えないと分かってるの
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スーツ(2003年製作の映画)

4.5

去年の登録忘れ。マジ傑作。『ルナ・パパ』とは似て非なる渓谷地帯で生活している三人の青年が海を渡った先には開発されきった文明世界が広がっている、同じ地平上に全く別の映画が出現したようなコントラストに感激>>続きを読む

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

4.8

めっちゃくちゃ良かった。物語は平坦なんだけど、観終わると映画に流れていた時間がショット単位ではなく一つの統率感をもって漠然とした感動に変わる。

というかチャイムが鳴り、生徒が一斉に教室へ収束していく
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さよならエリュマントス(2023年製作の映画)

3.5

楽しそうに撮られてて何よりです。解散寸前の野良チアリーダー部と半グレヤクザのミニマルな抗争をミニシアター系監督が撮ってるという絶妙な生々しさ。
ダンスの反復が冒頭の冷めたワンカットとクライマックスの爽
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ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.0

最終日ギリセーフ。やはり何でもない瞬間を見せるのが抜群に上手くて、船のフォローやドア枠/窓枠の遠近法フレームインフレームなどショット意識が全てに先立ってるので余白の多い物語もダレない。
今度のライカー
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第七天国(1927年製作の映画)

4.5

背後から光が差し込むラストカットの神々しさこそサイレント映画の特権であるが、抱き合う直前に帰還したチャールズ・ファレルが画面右端へフレームインしてくるショットで既に彼の像だけ霞んでいて、もしかしたら幻>>続きを読む

マッチ売りの少女(1928年製作の映画)

4.0

多重露光と特殊効果の融合。意図してメリエスらしい原子的なセットも良く、マッチをすって生じる光が映画のエモーションとなる。フィルムの高感度乳剤は像が鮮明に映って素晴らしいし、(リリアン・ギッシュみたい>>続きを読む

アル中女の肖像(1979年製作の映画)

3.8

グラスが投げられ、大破することで寸断される快楽の時間。そもそも理解を求めてない自己満映画なんだろうが、ちゃんと感覚的に面白いと思えるようには作られてる。

冒頭の空港と奥行きのない足音はモロに『プレイ
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ストロンボリ/神の土地(1949年製作の映画)

3.8

マグマを撮影した助監督が事故死。

バーグマン嫌いなので(笑)、照明で白光りする顔面も1カットとて『アモーレ』のマニャーニに匹敵しうる瞬間は無かったと思いたい。
ただ夫に連れ添う帰郷も彼女からすると異
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商船テナシチー(1934年製作の映画)

3.5

淀川さんや双葉っち等、大批評家連と現代人の熱量が乖離してる映画というのはやはり戦前作が圧倒的に多い。

詩的リアリズムもヌーヴェルヴァーグに貶されるずっと以前、フランス映画贔屓の日本配給事情からしてデ
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不審者(1951年製作の映画)

3.8

低予算映画のミニマルさが極限まで突き詰められ、常に起こりうる想定外の事態を前に男女の愛は悉く敗北する。
廃墟の砂塵も良いが、逃げ切ったと思い込んでる夫婦を戦慄させ屋内へ引き戻す録音音声、届くとは思えな
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騎馬試合(1928年製作の映画)

4.0

史劇大作だが貴族社会の内部を絵画的に描写してくので衣装メイン。美術もめちゃくちゃ豪華だけどヒロインのアップが感光エグすぎて殆どぼやけてて、もう彼女自身が発光してるようにしか見えない存在感。騎馬試合の決>>続きを読む

ドイツ零年(1948年製作の映画)

4.0

初見時は気色悪いとしか思えなかったが、再見してみて少年の視点を介した反戦映画なんかじゃないと気付く。そもそも瓦解した世界において子供であることは不利にしか働かないし、反射的に無垢(無知)を装っても内面>>続きを読む

非難(1951年製作の映画)

3.0

ネオレアリズモが終わっても続くロケーションで逆に豪華な邸内(セット)の不自然さが浮く。

三角関係と冤罪も稚拙すぎるが、原作不在のイタリア劇映画は悉くプロットがへなちょこなので仕方ないと割り切りたい。
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ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)

3.5

ひとまず続編に期待を込めてこの辺で。
しかしこれはショットというより構図を意識しすぎよ…。とにかくカッコつけた平坦で写真的な画面はパンフレットに見開き載せたかっただけとしか思えない。

戦闘場面は一定
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ダーティハリー(1971年製作の映画)

4.9

フィルム上映行きたかったが時間が合いそうにないためDVDにて。

巨匠の黄昏。未だこの映画を超えるズームアウトには出会えていない気がする。 法と正義とが乖離した世界において相手を一撃で仕留められる銃弾
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電撃脱走・地獄のターゲット(1972年製作の映画)

4.8

土壇場の展開も取って付けたようなカスだし、カメラ位置なんかほぼ全部間違ってるのに超絶おもろい。なんだこれ。とりあえずみんな観てくれ、DVD貸すから。

刑務所の面会なのに切り返しの使用数を自制して、変
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TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

3.0

何というか青い。ドラッグの代換品になる降霊術も面白いのに撮り方が一辺倒だし、母娘の物語に結実してない。過剰摂取の果ても啓蒙的なんだけど幕引きは絶妙。

血槍富士(1955年製作の映画)

4.5

内田吐夢の私的ベスト。 擬似親子や酒の席が本音を漏らす空間となる設計、一対複数の殺陣がそれぞれ濃厚な企画協力者エッセンス(伊藤大輔・小津・清水宏)。
クライマックスの円形も激情を際立たせるためアップが
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恋愛準決勝戦/ロイヤルウェディング(1951年製作の映画)

3.5

何か唯ならぬ関係を匂わせる兄妹に危険な香りを感じるが、全ての展開はダンスに結実する(というかそれの口実である)黄金期ミュージカル。

やはり触れぬ訳にはいかないのがアステアのゼログラビティ、小部屋の周
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殺人地帯U・S・A(1961年製作の映画)

4.5

復讐に人生を賭けた男の「拳」に纏わる物語。少年時代に悪戯で割った風船の音は拳銃の発砲音へ変奏され、十数年前に父が殴り殺されたその現場で映画は終わる。
復讐劇への干渉を許されないヒロインはただ男根型の氷
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アモーレ(1948年製作の映画)

4.5

みんな退屈退屈言ってる前半も凄いよ…。やってることはメンヘラのギトリなのにドライヤー並のアップと照明で顔面だけが空間から疎外されてる。
第二部は言わずもがな信仰心と世界からの断絶について、マニャーニは
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メランコリア(2011年製作の映画)

3.7

躁鬱SFトリアー。前半の結婚式はレネへの目配せがあるのでメランコリックな心情も抑圧されるも、悲劇を受け止める女性の役割がシンメトリーに反転していく二部構造はマジもんの狂気。孤立が誘発したとしか思えない>>続きを読む

BLOODY ESCAPE -地獄の逃走劇-(2024年製作の映画)

2.5

前半はゲロつまらんし、脚本も予め組み立てられた物語のクライマックスだけ切り取った感じなので弁明としてすげー説明的な台詞が頻出する。

そもそもこの作画はアクションに向いてないと思うんだけど、速度と瞬間
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ローラーとバイオリン(1960年製作の映画)

4.5

言語よりサウンドより、ショットそのものの強度が何にも増して雄弁なタルコフスキー神話の源流。学生がこんなの作っちゃったらみんな恥ずかしくて映画撮れなくなるな。

これは自分も直面している困難ですが、つま
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