囚人13号さんの映画レビュー・感想・評価 - 11ページ目

偉大なるマッギンティ(1940年製作の映画)

3.5

独力で投票数を稼ぎまくる古のなんj民が裏金クンに見込まれ脱路上ニートし、今度は自身が汚れ町長になってのし上がっていくも自滅するまで。偽装結婚した妻や子供の存在から正義に目覚めていく凡庸な話もコメディな>>続きを読む

ゴールデン・ボーイ(1939年製作の映画)

3.6

上島春彦曰く「フィドル・オア・フィスト(弦か拳か)」。

原作戯曲はバッドエンドらしいが、映画はややインテリ趣向の文武両道ドラマに収まっている印象。しかし舞台ではクリフォード・オデッツほか俳優時代のエ
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ルナ・パパ 4Kレストア版(1999年製作の映画)

4.9

寝取り男を捜して親子は砂漠を進んでいくが平坦な景観は永遠に拡張され、砂塵世界を暴れながら周回していく似非ロードムービー。

ジオラマ的な砂地で勃発する破壊衝動・飛行機の離着陸によって世界に不穏きわまり
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オペラ座 血の喝采(1988年製作の映画)

3.5

奔放な現代版オペラの怪人、眼球フェチのわからせ装置がロックンロールでかっこいい。

端正でオペラから一番遠い顔をした俳優たちのアンバランスに挑発味を感じるし、過剰なズームとスローモーション/主観を頻用
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ガンヒルの決斗(1959年製作の映画)

3.0

うーーーん………。胸糞すぎる。妻が強姦の果てに惨殺され、犯人は親友の息子という鬼畜。籠城もスペクタクル派のスタージェスにはどうも合わず、結構良いキャラのキャロリン・ジョーンズも基盤が殺された妻の復讐な>>続きを読む

当りっ子ハリー(1926年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

三大喜劇王に若干アーバックルも入ったハイブリッドだがやはりキャラ渋滞気味。

運命の女性を探す道中で漫画のような無法街に放り込まれてウケなかったら殺され、ウケても多分死ぬ無茶振り芸をさせられる鬼畜キー
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勇者の赤いバッヂ(1950年製作の映画)

4.5

一人の青年が死を乗り越え覚醒する。
オーディ・マーフィの瞳に決意が漲り星条旗掲げ突撃していく様をただ追うしかないカメラ、それに続いてリパブリック讃歌が誘引されるという劇的な反転構造によって生まれたエモ
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キートンの蒸気船/キートンの船長(1928年製作の映画)

4.2

絶好調。名高い壁倒壊シーンは習作時代の『デブの舞台裏』から来ていると知ったが、これを超える視覚的ギャグは未だ発見できず。
キートンの魅力は垂直方向への落下に留まらず並行移動する際に彼を引っ張る絶大な作
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切腹(1962年製作の映画)

4.9

長く鈍重で残酷。しかしその尺では余りに短い人生の痛みが込められている。時代劇かくあるべし

あなたの死後にご用心!(1991年製作の映画)

4.0

古より現在まで擦られ倒している死後の世界について、その部類では『天国への階段』『幽霊紐育を歩く』を殿堂入りとしても本作はかなり好感触。冥界も変に造り込まれてはおらず、死者の魂が一時的に滞在する街があり>>続きを読む

ファッティとキートンのおかしな肉屋/デブ君の女装(1917年製作の映画)

3.0

キートンデビュー作。後年作られたドキュメンタリー『Buster Keaton: A Hard Act to Follow』によると彼はアーバックルから正しいコケかた、パイ投げ技術など喜劇の基礎を叩き込>>続きを読む

不思議な少年(1946年製作の映画)

3.7

「友達ゼロの俺が馬と喋れるチート能力を授かった結果、ギャンブルで無双しました」みたいなラノベ化希望。

話はもう原題通りだが、パグみたいな顔の少年が擬人加工されていないナチュラルな馬と大自然で戯れるシ
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ニースについて(1930年製作の映画)

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ドキュメンタリーフィルムからダダイズムへ急降下していく尖りまくったカメラ/モンタージュがクセになる。名もなきブルジョアが纏う高そうな服=虚勢を容赦なく剥いでいく気概はヴェルトフの系譜。

競泳選手ジャン・タリス(1931年製作の映画)

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かなり先駆的でビビる。現代においても芸術性を強調すべく頻用される運動のスローモーション化はヴィゴの実験精神に端を発していて、しかもこの時点で既に限界近くまで到達しつつコミカルさも垣間見せてアメトーーク>>続きを読む

夜の看護婦(1931年製作の映画)

3.3

ナイトクラブの楽屋≒女学校≒看護婦寮と女性の素が露わとなる空間を男性に向けて撮っているプレコード期の一本、搾取要素をコメディに内包するという手段は60年代まで続く。

本作では男が普通に女をぶん殴った
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サンセット大通り(1950年製作の映画)

3.5

再見してみた。別に名作名作した雰囲気は無いと思うんだけど、個から過去が語られる構造において次第に一人称から逸脱していくというノワール映画の暗黙の了解を、死体が語り出すという究極のシニカルで返すアイデア>>続きを読む

イヴの総て(1950年製作の映画)

3.4

『サンセット大通り』と同時期に公開された繰り上がり世界の実情と老いへの抵抗。

マンキウィッツもワイルダーも脚本が書けるので中々精緻なのだが、どちらも沢山の大人が寄って集って過保護に作り過ぎた感じがし
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SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)

3.0

いいもん見れるぜとよだれ垂らして観に行ったら思いのほか小ぶりで泣いてる。

1対1000くらいの脳筋展開を期待してたんだけど1師団をじわじわ追い詰めてくタイプの話で、まぁそれなりにアツい。てか序盤なん
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スポンティニアス・コンバッション/人体自然発火(1989年製作の映画)

4.8

滅茶苦茶に面白い。反核メッセージを建前に人体が物理的に瓦解していく様をじっくりと愉しむフーパー。どぎつく発光するインテリアから次第に画面全域が色光で埋め尽くされ、終盤のカオスはアクション映画が一つ限界>>続きを読む

日曜日の人々(1930年製作の映画)

3.7

ヴェルトフの『カメラを持った男』に感化されて制作したという素人俳優映画。しかしメンバーを見てみると凄いな。

陽光を全身で受け止め寝そべる休日の若者たちの光景が美しく、アップの異様な多さは名も無い一般
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荒鷲の翼(1956年製作の映画)

3.8

『大空の闘士』『コレヒドール戦記』の脚本を担当した元パイロット、フランク・ウィードの伝記映画。飛行シーンの迫力は言うまでもないが、戦闘機も軍隊も終盤まで戦争には直結しない割と平和な世界のため、彼の負傷>>続きを読む

探偵物語(1951年製作の映画)

5.0

再見。舞台劇とは異質な生々しさを醸成しつつ窒息寸前にまで停滞した高濃度な空気がフィルムに刻まれ、観るものを否応なしに緊張させるシャープな三点照明が痛ましい過去とダグラスの激情を暴き出す

トゥルーライズ(1994年製作の映画)

3.0

脳筋に極振りするわけでもなく、しかしシュワちゃんに高カロリーな設定を上乗せしまくって暴れさせるハードコアアクション。
銃撃・爆撃の度に大金が吹き飛んでると思えばなんか興奮しないと損する気がする、それは
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A Window of Memories(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

二人の祖母から人生経験を聞くドキュメンタリー。文字起こしされた(話し言葉の)テキストをそれぞれ別の女性が音読する特殊構造、しかし絶対に交わることはないという二つの人生を世界に届ける役割を担う女性たちは>>続きを読む

タンポポ(1985年製作の映画)

3.5

やや醜いが伊丹十三なのでこれは上手くやったと言っていいのか。日本の食文化を真面目に捉えるはずもなく、ただ食事(麺を啜る)という人間の本性が垣間見える行為=「生きるための欲求を満たす」人々を描写するうえ>>続きを読む

キートンの恋愛指南番(1931年製作の映画)

2.8

本当に数本しか観てないトーキングキートン。

別にそこまで声が悪いわけではなく、この映画の退屈さを責めるべきはハードアクトに音が付くと痛々しくなるとしてキートンから運動能力を剥奪した制作会社の上層部で
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デブの舞台裏(1919年製作の映画)

3.5

アーバックル、キートン、セント・ジョンのキーストン三人衆。
移動する楽屋前の★、お手伝いの女性を虐める怪力男をやっつけるあの手この手からの急な発砲にビビる。スリム二人のアクロバティック芸よりもファッテ
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千の顔を持つ男(1957年製作の映画)

4.0

ロン・チェイニーの伝記、それを老キャグニーが演じるという映画史のエモーション。女性(妻)の描かれ方にやや疑問を覚えるものの、ラストのポスター群と継承されていくメーキャップ箱の前には全てが問答無用に肯定>>続きを読む

星を持つ男(1950年製作の映画)

4.9

傑作。豊穣な時間が町を包み込み、勃発しかけた戦争も最終的には皆が暴力を避けるかたちで収束していくリリカルな西部劇。
タイトルから勝手に保安官の話かと思っていたがジョエル・マクリーはキャリア屈指の善人だ
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リトアニアへの旅の追憶(1972年製作の映画)

4.5

小学生時代にニュージーランドの従兄弟の家で観た以来、そのときは英語字幕が付いてたはずだけと今回は無字幕でつらかった。
我が家を発見し感極まったメカスのナレーション「My… home…」と後半に出てくる
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カップ/ソーサー/2人のダンサー/ラジオ(1983年製作の映画)

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スープとコーヒーをこぼされた白シャツの気持ち(適当)。
ポストモダンという解説があったが、芸文においても研究課題のままらしいので本質的には未だ解明されていないと。

瞬きを我慢し、機械的に痙攣する肉体
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ライフ・オブ・ウォーホル(1990年製作の映画)

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第三者(メカス)によるウォーホルのMV。

洋楽を気狂い倍音BGMに進化させ、そこへウォーホル一家のホームビデオを切り刻んだ「何か」を融合させると、めちゃくちゃに破壊された日常世界の粒子どもが暴力的な
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ゼフィーロ・トルナー、あるいはジョージ・マチューナスの生活風景(2002年製作の映画)

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画の美的価値を損なうとして16mmフィルムへの字幕焼き付けを許可しなかったメカス、しかし自分の拙い英語力では何か重要な言葉を聞き逃してはいまいかという不安に襲われる。

映像で綴った日記のような極めて
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ブロウ・ジョブ(1963年製作の映画)

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シュルレアリストのブニュエルが生涯をかけて追求した主題に肉薄する。

無償の被写体たる人体の一部分が大写しにされるだけで実験映像になる、殆どの前衛作家はこれを実践していると言っても過言ではないのだが、
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エンパイア(1964年製作の映画)

4.5

無音が持続しヘリや飛行機は平面的な画面をハエの如き大きさで通過するのみで構図を決定的に脅かす事件など起こるはずもなく、当然キングコングもやってこない、日本庭園的な要素を冷たい鉄筋ビルに見いだせというの>>続きを読む

狂熱(1921年製作の映画)

3.8

密室の痴情騒ぎがペシミスティックに描写され、アップの挿入で情感が高まっていく。フォトジェニー論の実践によってデリュックはシネフィル監督の先駆者となり、また同時期にドイツで誕生した無字幕映画の到来すらも>>続きを読む