紫亭京太郎さんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

紫亭京太郎

紫亭京太郎

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いけいけ!バカオンナ~我が道を行け~(2020年製作の映画)

3.0

思い込みの激しい意地っ張りで超絶見栄っ張りなアラサー女子の10年に渡る友情物語。無駄なこだわりが幸せへの障害になることを身をもって教えてくれる結子の奮闘は女子の皆さんには“痛い”に過ぎないのか“わかる>>続きを読む

なぜ君は総理大臣になれないのか(2020年製作の映画)

4.0

小川淳也という政治家を初めて知った己の不明を恥じ入るばかり。
山本太郎に政治に対する真っ直ぐな姿勢と政治家としての真っ当なあり方を感じていたが小川淳也のそれは彼を遥かに凌駕する。
あまりにも真っ正直な
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ブレスレット 鏡の中の私(2019年製作の映画)

4.0

突然親友の殺人犯として逮捕された16歳の女子高生・リーズと彼女の両親を含め本心を掴みかねる彼女を巡りオトナ達の思いが交錯するものの誰が彼女の“心”を理解できるだろう。誰もできやしない。
全編ほぼ裁判シ
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アングスト/不安(1983年製作の映画)

3.8

殺人罪で服役していた強度のサディストの男が刑務所を出たその足で一家惨殺に至る一部始終をほぼ男の心の声とセリフだけで描きシリアルキラーの思考や行動を体感して全編に渡って不快感や不安感に追われ続ける衝撃的>>続きを読む

パブリック 図書館の奇跡(2018年製作の映画)

4.0

記録的な大寒波が襲来したシンシナティでホームレス達が図書館を“平和的”に占拠。居合わせた図書館職員のスチュアートもホームレス達と共に立て籠り警察と対峙する。
警察・検察官やメディアの思惑とスチュアート
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東京不穏詩(2017年製作の映画)

3.3

父親からの抑圧から逃れてきた東京でクソのような暮らしの中で愛情と信頼と財産と夢を一瞬で失った女優志望だったジュンと彼女の周辺人物に現在の日本が投影された全編に渡って不穏な空気が漂い続けるザラっとした触>>続きを読む

タッチ・ミー・ノット~ローラと秘密のカウンセリング~(2018年製作の映画)

3.5

人に触れられることに激しい嫌悪感や恐怖すら覚えるローラのカウンセリングを通して人間の“内なる抑圧”からの解放をフィクションと現実とを錯綜させて描く異色の“カウンセリング・ムービー”。
こういう映画が最
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グレース・オブ・ゴッド 告発の時(2018年製作の映画)

4.5

子供の頃に“信頼すべき大人”から受けた性的虐待が凄惨な心の傷を作ることを改めて思い知らされるという表現が陳腐過ぎて己の表現力の乏しさに反吐が出そうになる衝撃的な事件に触れて映画館を後にしてもいつまでも>>続きを読む

パラダイス・ロスト(2019年製作の映画)

3.0

自分を救い出してくれた「パラダイス」である夫の「死」に直面した亜矢子が彼女を取り巻く人々の様々な「生」に触れて「命の力」に背中を押されるように喪失感を乗り越え生きていく活力を取り戻していく再生のポエト>>続きを読む

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

4.5

大学1回生で観た時に感じた、夢か現か現か夢か的な幻想感よりも、フランコ政権下で暗喩と隠喩でメッセージを伝えざるを得なかった作家・芸術家達の鬱屈に想いを馳せてしまう点に寄る年波を感じた日曜の午後。
ただ
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どこへ出しても恥かしい人(2019年製作の映画)

3.0

友川カズキという人はホンマに面白い。競輪と音楽と酒と煙草の繰り返しでしかない(しかも競輪の比率がかなり高い)が合い間に発する人を食ったような発言と相まって笑わされる♪
とりわけ彼がアーティストとしても
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空飛ぶタイヤ(2018年製作の映画)

3.1

大企業では往々にして人間らしい良心が出世の妨げになるということの普遍性にイヤになるが生き残った良心に明晰な頭脳が結び付けば自浄力があるのも大企業ではある。
それにしてもこの映画は何度もリコール隠しが発
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菊とギロチン(2016年製作の映画)

3.2

関東大震災後の閉塞感漂う時代に自由を求める心で共鳴しあった女相撲と無政府主義者の噴き上がり爆発する生命力のエネルギーに力強さを感じつつどうしようもなくがんじがらめで窮屈な境遇が哀しい。瀬々監督の描く鬱>>続きを読む

一度も撃ってません(2020年製作の映画)

3.5

「伝説の殺し屋」を気取って“殺しのリアル”を書き続ける売れない年老いた作家が夜な夜な訪れるBARでワケ有りな仲間たちとつるんで“青い頃”を引きずるように遊んでいる中で巻き起こった騒動によって現実との境>>続きを読む

三大怪獣グルメ(2019年製作の映画)

3.0

寿司ネタのイカとタコとカニがささやかでくだらない“陰謀”のために怪獣化する意味不明な展開が悶絶を呼ぶ着ぐるみ系特撮の王道を行く怪獣映画!
国立競技場を器に海鮮丼ができたら他の追随を許さず世界最大の丼メ
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ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

3.5

「女の幸せは結婚」という概念が当たり前の時代に自らの足で歩みを進めようとする女性の奮闘と葛藤を上手く織り込んで当時も今も誰もの思いが丸く収まる大団円へと紡いでいく21世紀の「若草物語」!惑い迷う娘への>>続きを読む

長沙里9.15(2019年製作の映画)

4.0

学徒動員による凄惨な戦いを描けるのもまた「世界大戦」とは異なる独特のドラマを内包する「朝鮮戦争」ならではかもしれない。韓国映画における“鉄板”コンテンツに最後まで息つく間もなくスクリーンに目が釘付けに>>続きを読む

ホドロフスキーのサイコマジック(2019年製作の映画)

3.0

ホドロフスキーの映画には彼が提唱する「サイコマジック」という心理療法が根底に流れていたとは知らなかった。
かといってその作品の映像を見せられてもよく分からなかったが彼が療法士としての能力もあったことは
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許された子どもたち(2019年製作の映画)

4.0

殺した子供と真実から目を逸らして子供を守る母親と殺された子供の親。三者に対して自己満足と誹謗中傷にまみれた正義を振りかざして興味本位とヒマ潰しで襲いかかるネット民。イマドキの様々な負の状況を生々しく描>>続きを読む

CURED キュアード(2017年製作の映画)

4.5

人間が凶暴化するウィルスの大流行から回復しようとする社会を健常者と感染からの回復者との対立構造を軸に描くコロナウイルス禍の世情をデフォルメして描写したかのような今まさにドンピシャタイムリーなパンデミッ>>続きを読む

デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)

3.5

「コーヒーゾンビ」にはじまり「スマホゾンビ」に「テニスゾンビ」に「ギターゾンビ」にと多種多様なゾンビ達がゾロゾロさまようオーソドックスな動きと昔ながらの“生態”を見せるゾンビ映画としての基本に忠実なイ>>続きを読む

音楽(2019年製作の映画)

3.5

札付きのワルと恐れられる男子高校生が突如音楽に目覚めて才能を開花させていくチョイダル系ダラダラ青春物語。
徹底的に“自由”に生きていくためには何か強力な“武器”が必要。研二は手っ取り早く戦闘能力を高め
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火口のふたり(2019年製作の映画)

3.0

本能的に二人でいることが“最適”と分かっている二人が「いとこ」という社会的な枠組みに縛られて無理に理性で離れようとしてもがいてきたものの未曾有の破滅的な天変地異を前にしてようやくあるべき“解”にたどり>>続きを読む

COMPLY+-ANCE コンプライアンス(2020年製作の映画)

3.2

コンプライアンスを意識し過ぎて“えらいことになる”映像のオンパレードとエスカレーションに最後は爆笑!
コンプライアンス感覚に満ちたコンプライアンスを守るために必要な姿勢を極限まで学ぶことができる挑戦的
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21世紀の資本(2017年製作の映画)

3.3

こういうドキュメンタリーを観る度に歴史は螺旋状に巡ることを思う。
その螺旋が人類の進歩に繋がることを祈るばかりだが現在の格差社会の拡大を思うと絶望的にならざるを得ない。それも18世紀並みに貧富の格差が
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小さな命が呼ぶとき(2010年製作の映画)

3.7

4万人に1人が発症するという極めてまれな難病であるポンペ病にかかった子供達を救うために奮闘する父親と彼に協力する型破りな研究者の姿を描く実話。
子供を救おうと奔走するジョン・クラウリーは実在の人物で今
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キック・アス(2010年製作の映画)

3.7

ごくフツウの冴えない人間がヒーローへと変身する異色のヒーロー物語。
ビッグ・ダディとヒット・ガールの強さの秘密もキチンと理由付けられていて現実味があり主人公のデイヴも最後まで特殊能力は身に付かない。し
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ザ・ロード(2009年製作の映画)

3.8

いろんな映画の中で様々に終末期の地球が描かれてきたがこれほどまでに絶望的
な世界がかつてあっただろうか。
食べるものは尽き果て人間性を持った人間は理性を捨て去った人間に食われてしまう。いまだかつて見た
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花のあと(2009年製作の映画)

3.5

庄内地方にある架空の小藩・海坂藩を舞台にひそかに思いを寄せていた武士が自ら命を絶ったことを知りその原因となった相手に敵討ちを果たそうとする女性の姿を描く。
仇討ちという花を咲かせた後豊かな人生を実らせ
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武士道シックスティーン(2010年製作の映画)

3.6

ストイックで侍のような香織とキャピキャピとイマドキな早苗の女子高校生二人がぶつかり合いながら友情を深めてお互いに無かったものを発見して成長していく成海璃子と北乃きい二人の瑞々しい演技が光るさわやかな正>>続きを読む

ボーイズ・オン・ザ・ラン(2009年製作の映画)

3.5

こんなに歯がゆい男もないのだがその歯がゆさが腹立たしくもおかしく悲しく最後までスクリーンに惹きつけられる。
不愉快なはずの主人公の行動から目が離せなくなったのは自分にも田西のようなダメダメな部分がある
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ヒックとドラゴン(2010年製作の映画)

3.8

ドラゴンと見れば目の敵にして倒すのがバイキングにおける常識の中で主人公のヒックは傷ついたドラゴンと“秘密の友
情”を育みその友情がやがてマッチョで頑ななバイキング達の心をゆさぶり世界を変えていくことに
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月に囚われた男(2009年製作の映画)

3.9

月面での孤独なミッションに取り組む男を襲った事件と衝撃の事実!
一人の人間と人工知能の“ペア”によるストーリーは「2001年宇宙の旅」を彷彿とさせるが人工知能「ガーティ」は応対は無機質ながら「サムを助
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ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女(2009年製作の映画)

4.1

革ジャン鋲打ちベルトに鼻ピアスと全身タトゥーで背中一面にドラゴンの刺青をいれニコリともせず無表情にパソコンを駆使し天才的なハッキングの腕前と驚異的な映像記憶力であらゆる情報を収集して謎を解き明かしてい>>続きを読む

ゴールデンスランバー(2009年製作の映画)

3.8

宅配ドライバーとしてごく平凡な人間がある日突然首相暗殺犯とされ追われ追い詰められていく。
「最後に残された武器は人を信じることだ。」
孤独な逃亡に追い込まれ人間不信に陥ってしまう境遇にありながらも人を
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おとうと(2009年製作の映画)

4.0

約10年ぶりになる山田洋次監督の現代劇にして2008年に逝去した市川崑監督作『おとうと』に対するオマージュでもある「家族の絆」をメインテーマに昨今の社会的諸問題もピックアップされて様々な角度から観客の>>続きを読む