moronさんの映画レビュー・感想・評価

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満員電車(1957年製作の映画)

4.0

新宿の街や電車にすし詰めにされる人々の姿と、地元のバス停や会社の独身寮などの人っ子一人いない空間にぽつねんと突っ立ったり寝っ転がったりしている民雄の姿とのコントラストは、胸を痛めるよりも先に吹き出して>>続きを読む

花様年華(2000年製作の映画)

-

1966年、ポチェントン空港にてシハヌーク国王・王妃と多くの兵や民衆がドゴール大統領を迎えるシーンが終盤に挿入される。アメリカのベトナム戦争介入を痛烈に批判する彼の演説が、同年なされただろう。
同時代
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GONIN(1995年製作の映画)

2.5

長い。ストーリーや舞台設定はパンチが効いているはずなのに、どうにも間延びしている。特に、最序盤のバッセンシーンを反復する予感を感じさせてから、実際にそこにたどり着くまでが長く険しい。リストラリーマンが>>続きを読む

復讐するは我にあり(1979年製作の映画)

5.0

ハルの母親から巌の母親に場面が移るあの瞬間があまりにもすばらしい……。そのほか、競艇帰りにホースから水を飲むシーンや、漬物を作っていたハルを真上から映すシーンも好きだ……。そしてセックスがとにかくエロ>>続きを読む

赤と黒(1954年製作の映画)

4.0

ラブコメとラブロマンスと社会風刺の真ん中くらい。話はサクサク進むし、3時間超えの長尺もそんなに気にならなかった。いちいち劇的なのに重くなくて軽やかな感じがする。エピグラフの差し込み方もオシャレでアガる>>続きを読む

ファウスト(2011年製作の映画)

3.5

あんまり研究できなさそうな博士ファウストくん、いやらしい高利貸しマウリツィウスくん、ファウストくんについぞ見初められてしまう不幸な小娘マルガレーテ、その他諸々によるドタバタ。舞台はいかにも不快指数の高>>続きを読む

アギーレ/神の怒り(1972年製作の映画)

3.5

終始変な気分で観ていた。ドイツ語を振るいまくるスペイン分遣隊(これで面白がっている僕がたいそうよくないのはわかっている)は見るからに危険で不快そうな森や水際で帝政ごっこをしているが、当人たちは大マジだ>>続きを読む

幸福(しあわせ)(1964年製作の映画)

3.8

不穏なモーツァルトって初めて聴いたんだけど……。素直に昼ドラしている陰鬱なパートは弦が担当。全編通じた暖色系のやわらかな画とのどかな音楽が、その異常性を際立たせている。カメラの激しい切り替えは外連味た>>続きを読む

家族の肖像(1974年製作の映画)

-

ストーリーも画も苦手すぎてしんどかった。。。

ノスタルジア(1983年製作の映画)

4.0

タルコフスキーなのでストーリーわかんなくてもいいでしょ、と思うと安心してうとうとできた。目を覚ませば夢のようなつかみどころのない物語と、夢よりも美しい画があるので、精神に優しい。
ただし、最後のシーン
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壁あつき部屋(1956年製作の映画)

3.5

無力感と苛立ちとがない混ぜになった緊張感のある雰囲気が作中つねに漂っている。部屋に閉じ込められた人びとが何かしでかすのではないか、と眺めてしまう僕の目は、看守のそれと然程変わるところなかったのかもしれ>>続きを読む

死刑台のエレベーター(1958年製作の映画)

3.5

マイルス・デイヴィスが流れているとそれだけでオトナな雰囲気になるので化学調味料感がある。その化学調味料感含めて全編コメディっぽい。

5時から7時までのクレオ(1961年製作の映画)

4.0

画の力が強い。
タロット占いはてっきり、真夜中の暖炉のそばでカーペットに座って行なわれているのかと思った。壁に浮かび上がるひび割れたような線、街行く人びとの視線、クレオのまとう白や黒、口に収まり切る前
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ボヤージュ・オブ・タイム(2016年製作の映画)

2.5

ナショジオから説明抜いたやつ
本当に動物一般に関心をもてないことが再認識された

馬鹿が戦車(タンク)でやって来る(1964年製作の映画)

4.5

徹底的に喜劇的で、ほとんど寓話的で、しみじみしている。
サブの家でアヒルが飼われているあたり、皮肉がキツい。羽ばたくことに失敗した兵六と比べて、軛から脱した紀子のムラ社会における無意味さといったら、な
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寝ても覚めても(2018年製作の映画)

3.0

恥ずかしながら、僕にはこの作品で2時間は厳しかった。
映画内の仕掛けに対して朝子における引き裂かれたふたつの精神の距離(それはつまり、朝子が追う麦と、朝子が待つ亮平のふたりの男の像の距離とも最後の手前
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ファイト・クラブ(1999年製作の映画)

4.0

自分のなかの10歳児と16歳児がキャッキャ喜んでいる。しかし、いまの自分の精神はすこし苦い気分も味わっている。

クソみたいな仕事、意味と果てのない物欲、地獄というには物足りない精神的苦痛。邪魔だと削
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太陽の墓場(1960年製作の映画)

4.0

視覚・聴覚ともにこれでもかと言わんばかりの情報が叩き込まれる。泥まみれで、不衛生で、ひと同士が近く、湿度が高いのに、なにかが渇き切っている。強烈な訛りに叩きつけるような話し方で、すべての会話を漏らさず>>続きを読む

八月の狂詩曲(ラプソディー)(1991年製作の映画)

3.0

人びとの時の流れをめぐる物語。
左手首にしっかりと時計を巻きつけた孫たち。彼らは戦争の「後」の時の流れを生きており、カレーを拝む祖母の姿に世界の異なり方を認め、彼女の思い出話と長崎の地のなかで、その壮
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14の夜(2016年製作の映画)

4.0

戯画化されたひと昔前の景色に向けて、自分の過去を勝手に重ね合わせてしまう。微笑ましい気持ちになるし、いまのままじゃダメだとも思う。
バカっぽくおっぱいの話に振り回される脇で、生き様を考えるようにもなる
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ブルーバレンタイン(2010年製作の映画)

3.0

ふたりのやりとりが「リアリティに溢れている」のが笑いどころだ。

厳しい状況でつい甘っちょろい選択肢をとってしまう人間の哀しき性向と、ひとに対して向ける感情の気まぐれっぷりが、ボタンの掛け違えとして「
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フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)

3.1

タイトルがタイトルなんだから、フェラーリもっと前面に出さんかい。
ホントに2020年の映画かこれは、と疑うほどにアメリカ味の映画で笑った。

鑑定士と顔のない依頼人(2013年製作の映画)

3.0

貞節は最も異常な性的倒錯、と同業者たちは軽口を叩いてみせたけれど、ヴァージルは貞節とは異なる奇怪なフェティシズムを抱えていた。室内装飾も着付け(?)も見事にやってのけるヴァージルが、肖像画で壁を敷き詰>>続きを読む

羊たちの沈黙(1990年製作の映画)

4.0

人間たちのまなざしの不快さがたまらなくて、それをありありと浮かび上がらせる画が圧倒的によい。おかげさまで、クラリスの苛立ちや不安、モヤモヤにベッタリと追従しながらサスペンスを2時間きっかり楽しめました>>続きを読む

荒野にて(2017年製作の映画)

3.0

なんだか、画面の重々しさに対して緊張感が続かなかった。テーマはとても分かりやすいし、馬が映ってるだけでよいっちゃよいのだけど。

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)

3.7

享楽的、頽落的な夏が終わる物語。輝度の高い画とは対照的に、湿気たっぷりの肉体の接触と人間関係の矢印が散りばめられている。バイト先の人間関係がマジでよかった。
おそらくは、個人的な事柄には深く干渉し合わ
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息子のまなざし(2002年製作の映画)

3.7

(この監督の作品を見るのは2本目だけれど、)ダルデンヌ兄弟の撮る映画の世界にあって、人びとはおよそ娯楽を持たず、人間関係と労働だけで納得や満足を得るほかないように見える。緊張感と閉塞感が通奏低音にある>>続きを読む

わたしは、ダニエル・ブレイク(2016年製作の映画)

3.8

セーフティネットの(粗い)網の目から零れ落ちていく人びとの物語。官僚制とか物象化とか新自由主義とかその手のワードが脳裏にちらつく。はっきりいって地獄みたいな気分にさせられるし、役所仕事で嫌な思いをさせ>>続きを読む

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)

2.0

教習所とか道徳の授業でビデオ見せられてるみたい。エピソード紹介して歌うたうだけじゃ物足りないのよね。題材は感動的なのに、題材が感動的だったという以外に何もないように思われたので、いろいろと足りなかった>>続きを読む

エクス・マキナ(2015年製作の映画)

2.5

人間もAIもいかにも社交が苦手そうなやり取りをしていてよかった。私見では、この点は作品の肝だ。人間「一般」とAIを対立させる図式を当てはめてしまうと、この映画は過去のSF映画の焼き直しに過ぎなくなって>>続きを読む

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

3.7

最後20分くらい、一生この映画終わらないでくれ、と祈りをささげていたが、願いは届かなかった。

シャロン・テートはそれとしても、自分の出演していた映画を見返す役者の姿なんて観てしまったら、そりゃ泣いて
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イゴールの約束(1996年製作の映画)

3.8

イゴール少年が交わしたものは雇用契約ではなくて約束。約束を守るとはどういうことか、人を守るとはどういうことか、という生涯学習の一部分をじっくりとわれわれが見守る。カメラもストーリーも粘り強い。

楢山節考(1958年製作の映画)

3.6

田中絹代の演技が恐ろしい。化け物じみた形相を見せていたはずのその顔に、尼僧もかくやの静謐さを湛えてみせる。
三味線があほほどうるさくて笑いそうになった。

マルコヴィッチの穴(1999年製作の映画)

3.3

前評判で何か深遠なものについて考えさせられる系かと思い込んで見始めたところ、痛快ドタバタギャグコメディドラマ(?)だったので最高によかった。

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