moronさんの映画レビュー・感想・評価

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鑑定士と顔のない依頼人(2013年製作の映画)

3.0

貞節は最も異常な性的倒錯、と同業者たちは軽口を叩いてみせたけれど、ヴァージルは貞節とは異なる奇怪なフェティシズムを抱えていた。室内装飾も着付け(?)も見事にやってのけるヴァージルが、肖像画で壁を敷き詰>>続きを読む

羊たちの沈黙(1990年製作の映画)

4.0

人間たちのまなざしの不快さがたまらなくて、それをありありと浮かび上がらせる画が圧倒的によい。おかげさまで、クラリスの苛立ちや不安、モヤモヤにベッタリと追従しながらサスペンスを2時間きっかり楽しめました>>続きを読む

荒野にて(2017年製作の映画)

3.0

なんだか、画面の重々しさに対して緊張感が続かなかった。テーマはとても分かりやすいし、馬が映ってるだけでよいっちゃよいのだけど。

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)

3.7

享楽的、頽落的な夏が終わる物語。輝度の高い画とは対照的に、湿気たっぷりの肉体の接触と人間関係の矢印が散りばめられている。バイト先の人間関係がマジでよかった。
おそらくは、個人的な事柄には深く干渉し合わ
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息子のまなざし(2002年製作の映画)

3.7

(この監督の作品を見るのは2本目だけれど、)ダルデンヌ兄弟の撮る映画の世界にあって、人びとはおよそ娯楽を持たず、人間関係と労働だけで納得や満足を得るほかないように見える。緊張感と閉塞感が通奏低音にある>>続きを読む

わたしは、ダニエル・ブレイク(2016年製作の映画)

3.8

セーフティネットの(粗い)網の目から零れ落ちていく人びとの物語。官僚制とか物象化とか新自由主義とかその手のワードが脳裏にちらつく。はっきりいって地獄みたいな気分にさせられるし、役所仕事で嫌な思いをさせ>>続きを読む

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)

2.0

教習所とか道徳の授業でビデオ見せられてるみたい。エピソード紹介して歌うたうだけじゃ物足りないのよね。題材は感動的なのに、題材が感動的だったという以外に何もないように思われたので、いろいろと足りなかった>>続きを読む

エクス・マキナ(2015年製作の映画)

2.5

人間もAIもいかにも社交が苦手そうなやり取りをしていてよかった。私見では、この点は作品の肝だ。人間「一般」とAIを対立させる図式を当てはめてしまうと、この映画は過去のSF映画の焼き直しに過ぎなくなって>>続きを読む

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

3.7

最後20分くらい、一生この映画終わらないでくれ、と祈りをささげていたが、願いは届かなかった。

シャロン・テートはそれとしても、自分の出演していた映画を見返す役者の姿なんて観てしまったら、そりゃ泣いて
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イゴールの約束(1996年製作の映画)

3.8

イゴール少年が交わしたものは雇用契約ではなくて約束。約束を守るとはどういうことか、人を守るとはどういうことか、という生涯学習の一部分をじっくりとわれわれが見守る。カメラもストーリーも粘り強い。

楢山節考(1958年製作の映画)

3.6

田中絹代の演技が恐ろしい。化け物じみた形相を見せていたはずのその顔に、尼僧もかくやの静謐さを湛えてみせる。
三味線があほほどうるさくて笑いそうになった。

マルコヴィッチの穴(1999年製作の映画)

3.3

前評判で何か深遠なものについて考えさせられる系かと思い込んで見始めたところ、痛快ドタバタギャグコメディドラマ(?)だったので最高によかった。

ブラック・スワン(2010年製作の映画)

2.3

中盤までの緊張感から一転、終盤で一体何を見せられてるんだという気分になった。外連味が濃すぎる。

ドッグマン(2018年製作の映画)

4.0

犬と人間、人間と人間の話。

ミシェル・ウエルベックが犬を「愛を実現する機械」と呼んだのを思い出す。犬が飼い主を見て尻尾を振る姿に、やがて与えられる褒賞への期待を見て取るのは難しい。翻って、シモーネに
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テッド(2012年製作の映画)

3.3

ピザ食って安酒空けながら眺めるのに相応しい。賑やかなので。
「内輪では絶対ウケること喋り合ってるんやろなぁ、おれは分からんけど」みたいな瞬間がたびたび訪れて、ジョンとテッドのやり取りについていけない恋
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ANTIPORNO アンチポルノ(2016年製作の映画)

3.5

見られることをめぐる教育的なおはなし。見ることと見られることのはざまで、もっとも微妙な位置にあるものが性だ。
表現や表象が徹底的に露悪的なので少し辟易するけれど、それらはみな、この世界のなかで京子(あ
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惜春鳥(1959年製作の映画)

4.0

とにかく出てくる人びとがみな幼い。当然、テーマは青春なのだけれど、それにしたって忌々しいほど青臭い。メインキャラクターのみならず、この作品に登場する人びとはだいたい幼い。

同性愛を連想させるような距
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風花(1959年製作の映画)

3.7

ほんっとーにどうしようもない筋書きなのに美しくまとまっていて詐欺くさい。

野菊の如き君なりき(1955年製作の映画)

3.5

泣けてくるのは、政夫の若さと、それにもかかわらず深く交差する二人のそれ。それを、一部の大人たちはよくわかっていた。恋なんて言葉じゃ甘っちょろいけれど、劇中では決してはっきりと言われない。

悲しんでい
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Girl/ガール(2018年製作の映画)

4.6

驚くべき時間経過の描写にずっとヤキモキしていた。
いくつもの痛ましい瞬間がなかなか終わらない。痛ましい出来事の積み重ねの果てにささやかな救い――決してそれはカタルシスなどではない!――が待っているはず
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僕たちは希望という名の列車に乗った(2018年製作の映画)

4.0

これがベルリンの壁が作られる5年前の出来事だった、という事実が重くのしかかる。静かな教室のもとで若者たちが為したささやかながら力強い反逆が続けざまに成功することは、これから壁の崩壊に至るまでほとんど期>>続きを読む

第9地区(2009年製作の映画)

3.8

イカれた量の情報を最高の構成で叩き込んでくる前半。人をぶちゅぶちゅとした肉片に変えてしまうような武器やパワードスーツ、なぜか使い勝手が悪そうなGUIを据えたハイテクなシステム、尻切れトンボとも絶妙な余>>続きを読む

マルタ(1974年製作の映画)

3.5

序盤は眠い。普通にうとうとしていた。話の筋はだいたい読めるし、今日にあっては退屈なほどだ。けれど、物語の中で支配の形態が度を越してゆくさまに、胸の高鳴りを抑えられずにいた。絵が美しいなかで、支配と暴力>>続きを読む

ローラ(1981年製作の映画)

3.7

登場人物たちの役割はあまりにもはっきりしていて退屈なほどだけれど、スクリーンに映るものに当世風の何かを嗅ぎ取ってしまうからたまらない。
フォン・ボームは赤き頽落の光に飲み込まれてしまうが、それは時間の
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アラジン(2019年製作の映画)

3.5

アトラクションに乗っているような感覚でたのしかった。
作中のちょっとした違和感とかはだいたいホール・ニュー・ワールドがかき消してくれる。最強。

さよならくちびる(2019年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

顔のいい人びとにそれぞれ重ための過去を与えて、限界に近い人間関係を組ませてみた結果。他者の心中を想像したり共感したりする部位がガンガン刺激される作品。

「さよならくちびる」が感動的なのは、ハルレオの
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イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密(2014年製作の映画)

3.5

めちゃくちゃおもしろかった、また観たいです。
自分のなかに住まう小学生が騒ぎまくってました。

愛がなんだ(2018年製作の映画)

3.5

よかったのかよくなかったのかさっぱり分からない。それというのも、この映画を観るときの体験が、いつもの「映画を観る」という体験と著しく異なったからだ。スクリーンを目の前に、2時間考え事をしていた、という>>続きを読む

グリーンブック(2018年製作の映画)

5.0

先月観たのにレビューをすっかり書き忘れていた。記憶がぼけぼけ。

そんななかでいまだ鮮明に印象に残っている(あるいは、僕の脳みそが捏造してしまっているのかもしれませんが)のは、ドン・シャーリーの最高の
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ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)

4.1

最近は(案外昔からそうかもしれないけれど)実話に基づくだのなんだのってのが流行っているみたいねぇ、なんて嘯きながら、やや偉そうな態度でもって観始めたわけだけれど、やられた。

軽快でコミカルだけれど、
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東京物語(1953年製作の映画)

4.2

言わずと知れた怪作。
血の繋がりとは皮肉なもので、血が繋がっていないのに一緒にいるほうがよっぽど特別だ。まあ、血の繋がっていない人間同士がわざわざ互いを思い合うことを考えれば、血の繋がりがあるというだ
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運び屋(2018年製作の映画)

4.1

いつだってイーストウッドは「気楽に楽しんでくれよ」といわんばかりの軽妙洒脱な作品を披露してくれる。そしていつだって作品の底にヘビィな問いかけを(ときにはいくつも)敷いている。

「金で時間は買えない」
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グレイテスト・ショーマン(2017年製作の映画)

2.7

エンターテインメントのお手本のような作品……良くも悪くも。
これを観た人びとが快哉と共にエンターテインメントと「自分らしさ」への賛美を叫んだなら、まさにバーナムの背後にいるマイケル・グレイシーがほくそ
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