無難さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

無難

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泣く子はいねぇが(2020年製作の映画)

3.7

なまはげには、父親に子供を守らせることで親としての自覚を芽生えさせる機能もある。という側面をモチーフに、ひりつくような痛みを描いた作品。

ムラ社会ならではというほどでもないが、そこそこの過ちをきっか
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浅田家!(2020年製作の映画)

3.5

なりたい自分に、なれたらいいなぁ。
そんな優しい思いに支えられた男の物語。

”何者かになる”系のストーリーは久しぶりに観たような気がする、と思って観ていたら、”何かを為す”話になっていた。したいこと
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リアム・ギャラガー:アズ・イット・ワズ(2019年製作の映画)

3.4

わかりやすくロックンローラーっぽい成功と挫折のその後を追うドキュメンタリー。周囲の支えと自分の努力、綺麗事だけじゃない色々を経て、立ち直るリアム。

次聴かせてくれる曲が最高ならそれだけでいいじゃん。
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フェアウェル(2019年製作の映画)

3.5

一癖も二癖もあり、我が強いおばあちゃんでも、別れ際の姿は哀しい。
実は数えるほどしかお別れしていなくて、もう二度とお別れもできない自分のおばあちゃんを思い出した。

“個人の命は全体の一部”の考えのも
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TENET テネット(2020年製作の映画)

4.0

とりあえず、もう1回観たい。
全体の何%を理解できているのかまったくわからない。

時間の逆行というか反転を、映像として観ることができる。伏線回収どころじゃない、同じ場面を逆再生で体験し直す感覚。
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SKIN 短編(2018年製作の映画)

3.7

親が、露骨な差別感情のない人間でよかった。感謝していいと思う。
ナチュラルボーンレイシストは存在しない。
ただ、誰もが偏見を持っている。意見とも言う。
大切なものが傷つきでもしない限り、見直すことはな
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僕の好きな女の子(2019年製作の映画)

3.7

絶対に幸せになれない恋は、存在する。
愛らしさだけじゃ見守れなくて、やっぱりつらかった。
「ただのいい人」の呪いは強い。

刃先をちらつかせるような間合いを描ける玉田さんはやっぱりすごい。

3年目のデビュー(2020年製作の映画)

3.3

天才集団のドキュメンタリー。

“絶対諦めるな” みたいな歌詞、個人的には大嫌いなんですけど、
これが心に響くのは、そもそも「絶対諦めちゃいけないな」と思える時だけだと考えれば、
アイドルグループは堂
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宇宙でいちばんあかるい屋根(2020年製作の映画)

4.0

久しぶりに、ピュアな作品を観た。
恋と家族に悩む中学生と、天真爛漫で不思議なおばあちゃん。

モチーフとしての屋根はいい意味で概念化して回収しきらず、一方で随所に優しさエッセンスが入っていて、絵本のよ
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ソワレ(2020年製作の映画)

4.1

救いが足りてない。つらさに対して全然足りてない。
切なすぎる、刹那すぎる逃避行。

共有できるものが傷しかない関係。傷の浅い方が深い方を支えようとする構造。傷ついてるからこそ分かり合えることもあるし、
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君が世界のはじまり(2020年製作の映画)

4.0

タイトルが素晴らしい。副題の”my name is yours”も。
“普通”の解釈も、純粋な煌めきがあって良かった。
普通が理想。それぞれに理想の普通がある。
足りない部分となんとか折り合いをつけな
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アルプススタンドのはしの方(2020年製作の映画)

4.2

演劇部・元野球部・帰宅部・ブラスバンド部が繰り広げる、観客席の青春。一度も映らないグラウンドを想像しながら、諦めたこと、がんばれないことに対する「しょうがない」という感情と戦う彼女たちを応援する。>>続きを読む

思い、思われ、ふり、ふられ(2020年製作の映画)

4.2

ティーンムービーの最高傑作じゃないですか?

”全員、片思い”の状態からスタートして、コミック12巻分を詰め込んでいるのに、関係性の変化の描写に無理がない。大きいイベントは夏祭りと文化祭だけで主に4人
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劇場(2020年製作の映画)

4.3

全然違うはずだけど、「この人は僕だ」と思える映画がある。
結局自分を大切にしてしまって、続けるための努力ができないくせに終わりが怖いという気持ち。不安を憶えること自体が怖くなった後の、次の不安がいつ押
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はちどり(2018年製作の映画)

3.9

『はちどり』

14歳の少女の生活をただ見ているだけなのに、画面の静けさの中に美しさがある。こういう映画を、ずっと観ていたいと思った。
社会情勢や家庭環境にせよ交友関係にせよ、彼女がどう扱われているか
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ドロステのはてで僕ら(2019年製作の映画)

4.0

『ドロステのはてで僕ら』

2分の時差でつながった2枚のモニタの間(いや、周りか)で巻き起こる、SFコメディ。
設定の説明が丁寧だけど過剰じゃないいい塩梅だったのと、長回しの映像による”リアルタイム感
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その手に触れるまで(2019年製作の映画)

3.5

ベルギーのブリュッセル。テロ関与者の多さで悪名高くなってしまった街で、コーランに夢中になった少年。
隠れ過激派の導師に影響され、女性教師の殺害を図る。
彼が目指す「真のムスリム」は、おそらくイスラムの
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グッド・ボーイズ(2019年製作の映画)

3.5

思春期の入り口に立った少年たちの大冒険とくれば、面白いに決まってる。
めくるめくオトナの世界にグイグイ引き込まれつつも、紳士であろうとする彼らが素敵。相手の同意が最優先だし、優しい正義があって、本当に
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ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

3.6

やりたいことや、抱いた熱意と、他人との関係は別ものだ。
まして恋愛は、まったく別。
正直、これを観て僕は何を思えばいいんだ…と思った時間帯もあったけど、世間一般の価値観に囚われず、命を燃やす方向に突っ
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ルース・エドガー(2019年製作の映画)

3.7

『レ・ミゼラブル』に通じるところもあるのだけど、
人の思想はどこまで制御できるか、というなかなかセンシティブなテーマ。
内戦の孤児としてアメリカの夫婦に引き取られた移民の少年が、優等生として順調に成長
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レ・ミゼラブル(2019年製作の映画)

3.9

複数のヤクザグループが張り合うことで、表面上の調和を保っている犯罪都市。そこで生きている子供による犯罪の萌芽。

絶対的な正義がないのと同様、絶対的な悪もない。暴力の中に正しさを見出してしまえば、それ
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ワンダーウォール 劇場版(2019年製作の映画)

3.3

見聞きする物事はすべて自分が考えるきっかけにすぎず、自分ごととして考える痛みや揺らぎの上に今の文化が成立しているのだ、と思った。
考えることはつらいのだ。年齢は関係ない。

WAVES/ウェイブス(2019年製作の映画)

3.7

前半は、反骨心溢れるマッチョな価値観のダークサイドとして、挫折や失敗を許せない心の苦しさを描いていて、その後味の悪さを、後半で見事に解消する見応え抜群の構成。サイドストーリーがメインになる、それこそ『>>続きを読む

架空OL日記(2020年製作の映画)

4.0

奇跡的なバランスで、どうでもよくないし、憎めないし、
大好きだあぁぁぁぁぁ

こんな時に映画館行かなくてもと思うけど、こんな時だからこそ、行ってよかった。
ドラマも映画も、人生ベストにならないとは思う
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ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

3.7

戦争映画としてはベタだけど、子供目線でナチスの洗脳とそこからの脱出を描いた、戦時中の少年の成長譚。ポップでカラフル。異色だけど、ハートフルで凛とした物語だった。

要素が多すぎて、逆に掴みどころがない
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家族を想うとき(2019年製作の映画)

4.0

原題『Sorry We Missed You』。
宅配の不在票の文言だそうだ。

舞台となったニューカッスルに実際に住んでいる役者を使ってワーキング・プアの家族を描いた映画。

「昔に戻りたい」という
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デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆(2020年製作の映画)

3.4

懐かしいところはいっぱいあるし、『ぼくらのウォーゲーム』は何度コスっても最高。子供が主人公だったから成立した世界で、大人になることとどう向き合うか。デジモンらしい、落ち着いた答え。

願わくば、”無限
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ミッドサマー(2019年製作の映画)

3.9

全然ホラーじゃなかった。怖いんだけど、ドーン!キャー!の怖さはほぼなくて、静かな映像の中で、常識や人間関係がじわじわと壊れていく。(予告はいい意味でフェイクだ。)
次から次へと恐ろしいことが起きるにも
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この世界の(さらにいくつもの)片隅に(2019年製作の映画)

4.2

さらにいくつものシーンが追加され、168分の長尺版になって帰ってきた。
すずさんが居場所を見つけていく過程がより丁寧に描かれていて、その努力を踏みにじる戦争の非情さが際立つ。

所在を求めて苦労するの
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1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

3.8

IMAXおすすめ。驚異的な映像だった。
2人の兵士と一緒に戦場を走っている気分になる。
人と出会ったら、銃を撃ちながら追いかけられる。
(厳密には、長回しのワンカット映像をつなぎ合わせている”全編ワン
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.3

カンヌのパルムドール、アカデミー賞作品賞・監督賞・脚本賞・国際長編映画賞。当然だな!!
(観てから1ヶ月、まったく感想がまとまらなかった)

アカデミー賞の受賞スピーチで、スコセッシの『最も個人的なも
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37セカンズ(2019年製作の映画)

4.3

漫画家志望の女性の成長譚だ。彼女が車椅子生活であることは、ほとんど関係ない。光は光、影は影のままで、無理に照らしたり作ったりしない監督の心意気と優しさが詰まった映画である。

外に出て行こうとすること
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転がるビー玉(2019年製作の映画)

3.7

スナップショットから想像を膨らませたような、穏やかな目線で3人の女の子を見つめる映画。

3人の像はぼんやりしているけど、輪郭を失いながら、ブレながら、所在を探す営みが生なのだと思う。
すり減りかたも
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ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋(2019年製作の映画)

3.8

下ネタ満載でありふれたストーリーのアメリカンコメディなのだが、盛りだくさんの小ネタと、常識の対極で暴れる主人公たちを見ていると、きっと賢くて優しい人が作ったんだろうなと思う。
常識的な人ではなく、常識
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音楽(2019年製作の映画)

3.9

『音楽』

原作を知らないこともあり、想像もつかない展開だった(この絵面で何を想像できるか、というのもあるけど)。
イカツい高校生がバンドを始める。ありふれたストーリーと平坦な展開の果てに、初期衝動や
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#平成最後映画(2019年製作の映画)

3.6

11人の監督が平成最後の日に撮ったオムニバス。

子供たちの平成、老人の平成もあったけど、あの変わり目に熱量を持って挑めたのは、限られた大人たちだけだった。
できなかった決断、晴れない恨み。持てなかっ
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