映画は、ファムファタール的な存在感を放つパトリツィア(レディー・ガガ)と、グッチ一族の跡取り息子であるマウリツィオ(アダム・ドライバー)の出会いの場面から始まる。
やがて二人は結婚し、その姓を同じくす>>続きを読む
MCUのシリーズ27作目であり、これまでのスパイダーマン映画全5作の内容が絡んでくる非常にハイコンテクストな映画。
上記の前提に加え、シリーズの結節点として、様々な現実的制約があったと思われるが、それ>>続きを読む
前作と打って変わって明るいトーンを打ち出した、シリーズの2作目(悲劇的なクライマックスが際立っているが…)。
それは、前作と違い、スパイダーマンのアクションが昼日中で披露されることや、コミックのポップ>>続きを読む
明朗快活なライミ版のスパイダーマンに比べると、こちらはシリアスでダークなトーンが印象的。スパイダーマンが活躍するのがほとんど夜間であることも、その印象を強くする。この暗さは、蜘蛛男と蜥蜴人間の戦い、と>>続きを読む
良くも悪くも前作より、一層「軽さ」が増したシリーズの2作目。
98分と言う尺の短さもあって、ストーリー展開の早さは半端じゃないが、そこで語られるものの薄っぺらさは、この映画が意図してB級映画に徹しよう>>続きを読む
長い時を経てのシリーズ4作目は、「マトリックスについてのマトリックス」といった趣の強い、非常に自己言及的な作品(より詳しく言うと、レッドピル/ブルーピルの二者択一を始めとるするマトリックスを象徴とする>>続きを読む
冒頭からエンジンフルスロットルで、ツイストを繰り返しつつ怒涛の勢いでエンディングに雪崩れ込む、凄まじいエネルギーを持った「ど」エンタメ映画。
点が線で繋がる伏線回収、観客の予想を裏切る(様々なジャン>>続きを読む
時間的にも空間的にもMCU史上かつてない壮大なスケールの物語だが、そこで描かれるドラマはとても抒情的で繊細なものだった。
個々のキャラクターの描き分けも見事で(限りなく自然にそれぞれの個性を描き分け>>続きを読む
とにかく建造物や、宇宙船のデカさ、砂漠の広大さに圧倒される。
『メッセージ』の時からヴィルヌーヴは巨大で崇高なもの(と、それに対する矮小な人間)を撮るのが上手い。ハンス・ジマーによる劇伴やSEの重低音>>続きを読む
二時間半越えの大作ながら、非常にテンポの良い語り口で上映時間の長さを全く感じさせない作品。話運びも丁寧でわかりやすく、曖昧なところがない。
衣装やセット、照明(自然光?)などが計算され尽くされた、ゴー>>続きを読む
オリジナルの根本にあった、コンシャスな面を昨今のBLM運動をうまく絡めて前面に押し出した意欲作。その辺りの手際の良さは流石ジョーダン・ピールという印象で、かなり自然。
映像面ににおいてもオリジナルを>>続きを読む
都市伝説のモンスターとして、噂されることでその命を永らえていくキャンディマンの存在は、その起源が人種差別とそれに伴う奴隷制にあるだけあってこの映画の根本を非常にコンシャスなものにしている。
忘れてはい>>続きを読む
前2作において壮大に広げられた風呂敷を畳みにかかる3作目。
人類vs機械の戦争シーンなど面白い場面はあるけれど、その中で展開される個々のキャラクターのドラマの描き方はかなりベタで、割と退屈させられる>>続きを読む
2作目ということで、世界観の説明and顔見せ的な要素の強かった前作よりも、見せ場となるシーンが多い。
中でも、無限に増殖するエージェントスミスを相手取るアクションの「過剰さ」こそが、シリーズの2作目>>続きを読む
自分がリアルだと信じてきたものがリアルではなく、レッドピル/ブルーピルに象徴される二者択一を潜り抜けていくことで、真実の世界に至り救世主として覚醒する、という脚本は、はっきりと陰謀論的な構造を持ってい>>続きを読む
「強いやつが現れて、そいつがさらに強いやつに負けて、そのさらに強いやつが…」という少年ジャンプのバトル漫画における強さのインフレを凝縮したかのような脚本が潔い。
コミカルなシーンもちゃんと楽しいし、地>>続きを読む
とにかく多種多様に展開されるアクションが楽しい。様々なシチュエーションの中、あの手この手でアイデアを凝らしたアクションが目眩く展開される様は、まさしく眼福。
ストーリーの軸は父殺しと通過儀礼。つまり>>続きを読む
衝撃的なオープニングから、映画全体を通して首尾一貫したテーマを一気に台無しにしかねないエンドロール後の仕掛けまで、バッドテイスト全開でありつつ、笑えて感動的ですらある一本。
人の命の軽さと重さが両立>>続きを読む
オープニングから、女性が、男性やこの社会から投げかけられているであろう理不尽な言葉や行為を寄せ集めて一気に放出したかのようなシークエンスが展開される。その様は、さながら「この社会において、女性であるこ>>続きを読む
スタンダードの画角にモノクロの映像という極めて擬古的な様式、灯台(Lighthouse)のある小島という限定的なシチュエーション、更にメインの登場人物は男二人(若者と老人)だけという非常にミニマムな映>>続きを読む
スパイ映画をベースにした展開、肉弾戦が繰り広げられる地に足のついたアクションシーンが好印象なMCUの最新作。
映画全体を通して、擬似家族というテーマが丁寧に描かれる。
ただ、ナターシャの「レッドルー>>続きを読む
まずハードSF的な世界観に耐えうる内田パブロのキャラデザが素晴らしい。
重厚でありつつ繊細な演出(キャラクターの描写)、作画のクオリティなど、どこをとっても映画館で観るにふさわしいアニメーション。
し>>続きを読む
ゴジラとコングのビッグマッチを邪魔する不純物=人間ドラマが最小限にシンプルに(その分雑にも)なっている、とても見やすい映画でした。
タイトルこそ、二大怪獣のダブル主演を思わせますが、この映画はコング>>続きを読む
演出方針がまだしっかりと固まっておらず、探り探りな印象が強かった前作と比べると、終始一貫したしっかりとした続編。安心して見ていられた。
原作の「ウツボ編」を丸ごと実写化したとあって、原作にあるいくつ>>続きを読む
有名なアベサダ事件を描いた、極めて官能的な映画ですが、あまりにも開放的に描かれる性愛の描写からは一種の清々しさすら感じられました。
まるで着る者の情念を表現したかのように扇情的な赤や紫の衣装、舞台と>>続きを読む
「舐めてた男が殺人マシーンだった」系の映画は、ともすれば単にマスキュリニティの復権を表現して終わってしまいます。
銃や車、そして何よりも「暴力」に託された男性性の復権は、そこに+αとなる何かがなけれ>>続きを読む
戦時下という極限状態、限定された空間の中で繰り広げられる男達のやりとりには、異様な緊張感が漂っています。
それは一つには、異なる文化を持つ二つの国家を象徴する登場人物たちによる異なる言語を使用しての>>続きを読む
認知症を患った老人の視点を観客に追体験させる、という意味でこの作品はどこまで言ってもライド映画であり、つまりテーマパークのアトラクションのような映画です。
「信頼できない語り手」と化してしまったアン>>続きを読む
4時間という長尺を余すことなく使い、サイボーグとフラッシュというチームの若手たちのドラマを丁寧に描いている。
彼らのドラマが映画の中心に据えられつつ、それが緩やかに「ヒーローがチームを組む意義」という>>続きを読む
前作を経て、もはや「幸福をもたらす装置」と化したパディントンがロンドン中に幸福を撒き散らす。
基本的な演出は前作を踏襲しているものの(『オリバー・ツイスト』へのオマージュ!)全ての面において前作よりも>>続きを読む
まず、この映画に満ち満ちているであろう幸福感を予感させる見事なオープニングが観客の心を掴む。
とてもユーモラスで、ステキな演出(シームレスで幻想的な回想シーン、フリ/オチの効いたコミカルなやりとり)>>続きを読む
アクションのクオリティは高いけれど、平場での何気ないやりとりの演出とかがすごく稚拙…というかカッコ悪い…というか……
2時間超えの尺もあって間延びした印象も強かった。
でも殺陣は凄いです。
映画はとある警察官の葬儀から始まり、そこでは息子である少年(=主人公)が静かに一筋の涙を流している。
舞台は飛んで19年後、内務監査官からの聴取に応じる刑事になった主人公の姿が描かれる。どうやら彼は、>>続きを読む
言わずと知れた、ボリス・カーロフが(最早アイコン的な)「怪物」役を演じるフランケンシュタイントリロジーの最終作。
前作、前々作と比べると知名度が低い印象の本作ですが、殊ヴィジュアルという側面に関して言>>続きを読む
まず、弐瓶勉×シュヴァンクマイエルとでも言えそうな広大で閉塞感溢れる世界観とそれを表現する美術が素晴らしい。
その上で、魅力的なキャラクターたちのユーモラスなやりとり、エンタメとしての勘所を抑えた展開>>続きを読む
社会の周縁で彷徨い続ける「ノマド」という生き方を選択した、初老の女性主人公の生活を、ドキュメンタリー的タッチで淡々と提示していく、極めてストイックな印象の映画。
主人公は、時に同じ境遇の人間たちと繋が>>続きを読む