蛸さんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

ヴェノム(2018年製作の映画)

3.8

スパイダーマンの敵の1人としてトッド・マクファーレンに生み出されたアンチヒーロー、ヴェノムの単独映画。

とはいえ今作にはスパイダーマンは登場しません。そのためヴェノムの胸には蜘蛛のマークはなく、その
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アンダー・ザ・シルバーレイク(2018年製作の映画)

4.5

ハリウッドのシルバーレイクで、失踪した女性を探し求めるうちに、主人公が異常な世界にどんどんと足を踏み入れて行くお話。

主人公が「自分の知らなかった世界を垣間見て成長する」という筋書きはどストレートな
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イコライザー2(2018年製作の映画)

4.3

一作目と同じく、主人公(ロバート・マッコール)のユニークなキャラクターと、叙情的な演出によってありふれたジャンルムービーからは一線を画す作品。

冒頭で主人公がベルギーまでわざわざ悪を懲らしめに行く展
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A.I.(2001年製作の映画)

4.1

キューブリックの遺した企画をスピルバーグが引き継いで出来た映画、ということなんだけれど実際に映画を見てみるとそんなにキューブリックらしさは感じられず(特に映像面は)モロにスピルバーグの映画!って感じ。>>続きを読む

2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)

4.7

言わずと知れたSF映画史上に残る傑作。
映像と音楽の圧倒的迫力だけで感動させられてしまうという、とてつもないパワーを持った作品です。
とにかく美術から何から完成度が高すぎます。1つ1つのシーンのクオリ
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ジェイソンX 13日の金曜日(2001年製作の映画)

3.5

冷凍睡眠で眠らされていたジェイソンが、25世紀の宇宙で大暴れ、というシリーズのセルフパロディ的作品。
400年の時を経て宇宙船のクルーたちがジェイソンを眠りから目覚めさせてしまう。

触れてはいけない
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ターミネーター4(2009年製作の映画)

4.0

シリーズ4作目は、スカイネットの反乱=「審判の日」以降の世界を舞台にした、ポストアポカリプスもの。
「審判の日」以前の話ではないことに加えて、「冷酷な殺人マシーンに延々と付きまとわれる」というシチュエ
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侵入者(1962年製作の映画)

4.1

ロジャー・コーマンが撮った唯一の「金目当てではない」映画として有名な作品。
黒人差別感情渦巻くアメリカ南部を舞台に、人々を煽動する謎の男(アダム・クレーマー)が引き起こす物語を描く。

アダムを演じる
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リトルショップ・オブ・ホラーズ(1986年製作の映画)

4.2

貧民街の花屋で働くシーモア(のび太型の青年)の元に宇宙から食人植物がやってきた。自己肯定感を失ったシーモアの運気は、食人植物(命名オードリーⅡ)の登場によって上向いていくが…というお話。

傑作ホラー
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三つ数えろ(1946年製作の映画)

4.2

筋が入り組んでいることがノワールの条件だと言わんばかりに、ややこしい脚本(運転手のくだりがややこしさに拍車をかけている気もする)の作品。

それにもかかわらず、最後まで一気に見させるホークスの演出手腕
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リアル・スティール(2011年製作の映画)

4.1

チャーリー(父)とマックス(息子)の父子がロボットボクシングを通じて、親子の絆を取り戻すお話。
ノスタルジックな音楽と父子の絆というテーマによってただよう「アメリカ映画」感がすごい(母親の不在も含めて
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リング(1998年製作の映画)

4.3

「恐怖が刻印された人間の表情そのものが、圧倒的な恐怖を観客に暗示する」ということに尽きると思う。

優れたホラー映画は(恐怖表現が真摯な映画的技巧の探求によって生まれるという意味で)テクニカルなもの。
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ミザリー(1990年製作の映画)

4.1

まず、「ベストセラー作家がサイコパスなファンに監禁され、ファンの望む通りの小説を書くことを強制される」という物語の骨子自体が、作家と読者(もしくは表現者と享受者)の関係性のパロディとして良くできていて>>続きを読む

イップ・マン 序章(2008年製作の映画)

4.2

拳法を映画において描く際のキモは、格闘に入る前の「構え」にあると思った。
身体が指し示す動線と呼吸、それに沿ったカメラワークによって映される各々の拳法家の「構え」が凄まじくかっこいい。

当然、格闘シ
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帰ってきたヒトラー(2015年製作の映画)

4.1

現代にタイムスリップしたヒトラーが、ヒトラーのパロディとして祭り上げられていくおはなし。その有様を通して現代ドイツの難民問題やらなんやらが炙り出されていく…みたいな。

とにかく主役のヒトラーが、世間
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サバイバルファミリー(2017年製作の映画)

4.0

「ある日突然、電気が使えなくなったら」というほとんど超常現象的な前提の元に繰り広げられるファミリードラマ。
あくまでもミクロな家族視点の話で、日本が、世界がどうなってるかとかはほとんど描かれないので注
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過去を逃れて(1947年製作の映画)

4.5

タイトル通り、疚しい過去を持つ男がその過去から逃れて幸せな未来を掴めるのかどうか…っていうお話。

主人公の過去と未来はそれぞれ対照的な2人の女性によって体現される。
過去を体現する女性は所謂ファムフ
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ローマの休日(1953年製作の映画)

4.2

主人公が(別世界に)行って戻って来きたことで成長する=通過儀礼もの。
それこそ『アリス』から『千と千尋の神隠し』に至るまで定番の物語ではある。けれど本作はオードリーの魅力が炸裂している点と、もう1人の
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007 ロシアより愛をこめて/007 危機一発(1963年製作の映画)

4.3

全ての要素が前作よりグレードアップしているという意味で、正しい続編。ボンドの女たらしぶりも凄まじいことになっている。

イスタンブールを舞台にした三つ巴の諜報戦。山場の作り方の巧みさ。どこを切り取って
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007 ドクター・ノオ/007は殺しの番号(1962年製作の映画)

4.0

シャープでスタイリッシュ、それでいてゴージャスな映像がかっこいい(それが一番現れてるのはオープニングではあるけど)。
若かりし頃のショーン・コネリーの色気が半端じゃない。

白人男性(健常者)の夢を体
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キートンの探偵学入門/忍術キートン(1924年製作の映画)

4.3

探偵に憧れるボンクラ映写技師が、夢の中でスクリーンの中に迷い込んで行くお話。

しばしば指摘される「映画」と「夢」の相似性に根ざした構成。
手に汗握るアクションシーン。
まさしく身体を張ったギャグの数
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ウエストワールド(1973年製作の映画)

4.1

テーマパークで、壊れたロボットたちが人間に反逆していくおはなし。

このテーマパークは古代、中世、西部開拓時代、の3つの時代を疑似体験できるものらしい。テーマパークの中ではセックス&バイオレンスに彩ら
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エレファント・マン(1980年製作の映画)

4.3

ヒューマンドラマの枠組みで語られがちな作品ではあるけれど、ありがちな視点で「かわいそうなメリック」の話を描いているわけではないとは思う(そういうふうにも見れるし、感動的な話ではあるんだけど、それにした>>続きを読む

タイム・トラベラーズ(1964年製作の映画)

4.1

「未来を覗き見るスクリーン」の実験の最中に、そのスクリーンが107年後の(2071年)の未来へと通じる時空の裂け目と化した…!
科学者たちは(凄まじい軽率さで)未来の世界へと足を踏み入れることになり、
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ちはやふる 下の句(2016年製作の映画)

4.1

前作と打って変わって、主人公ちはやの物語がしっかりと描かれる。
とは言うものの、ライバル役の松岡茉優がまさに「役者が違う」存在感を見せつけていて、ちはやの話は割とどうでもよかった印象。

全然関係ない
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ザ・プレデター(2018年製作の映画)

4.0

90sのハリウッドアクション映画の集合的イメージを体現したかのような大味さのある映画です。
みんなが思い浮かべる「ハリウッド」的なアクション映画のイメージ(脚本が粗い、程よくコミカル、男臭い、爆発、家
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マッドマックス 怒りのデス・ロード ブラック&クロームエディション(2015年製作の映画)

4.9

ジョージ・ミラーが言うように、白黒版では映画全体の抽象度が増している。
色を失ったことでこの映画は特定の時代や地域から自由になり、「神話」としてより強固なものになったと言えるだろう(とてつもない未来の
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人類SOS!(1962年製作の映画)

3.8

人類の終末×モンスターな映画。
人類の大半が盲目になってしまった世界における食人植物トリフィドたちとのサバイバル生活。

原作に比べると「世界の終わり」描写が手緩いし、色々と描写不足な部分は散見される
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ちはやふる 上の句(2016年製作の映画)

4.1

シリーズ一作目なのに、主人公のちはやは物語的には「不在の中心」であり、その周囲の人間たちがドラマの焦点となっているところが面白い。
今作では特に太一の成長がストーリーの中心要素とされている(あと机くん
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プレデター(1987年製作の映画)

4.2

とてつもなくシンプルな脚本が潔い。
とはいえ、さりげない描写でシュワルツェネッガーを始めとする隊員たちの性格や役割を上手く説明できていると思った。
窃視的に獲物として見られる恐怖、みたいなものが存分に
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ウインド・リバー(2017年製作の映画)

4.3

雪に覆われた大地とそこに佇む人間という映像の持つシンプルな力強さ。象徴的な映像と同じく無駄を削ぎ落とした非常にミニマムな脚本。
アメリカの原罪を巡る現代の神話=西部劇。

アントマン&ワスプ(2018年製作の映画)

4.0

前作とは違い、善と悪の明確な二項対立の存在しない脚本。マクガフィン(=30年前に量子世界に消えたジャネット・ヴァン・ダイン、もしくはピム博士のラボ)を巡って複数の勢力が入り乱れる展開が繰り広げられます>>続きを読む

勝手にしやがれ(1960年製作の映画)

4.1

映画を見始めたばかりの中学生の頃に見て、随分と混乱した記憶がある作品。
とはいえメインの筋自体はアメリカのB級犯罪映画にありがちなシンプルなもの。けれど、映画としてやってはいけないことをたくさんやって
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激突!(1971年製作の映画)

4.0

ただひたすらにトラックに追われ続けるというワンシチュエーション、89分の中で映画的技巧を凝らしまくった作品。
車窓やサイドミラー、バックミラーなどのスクリーン内スクリーンの使い方の巧みさ。
一方的に追
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逃走迷路(1942年製作の映画)

4.2

オープニングからスタイリッシュでかっこいい、濡れ衣を着せられた主人公の逃亡劇。
ガソリンの入った消化器という逆説をキッカケにして主人公は、非日常へと突入していきます。そこは何も信用することができない、
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夜は短し歩けよ乙女(2017年製作の映画)

4.3

まるで自意識という「壁」が存在しないかのような人々たちのあいだに、有機的なつながりが生じては消えて行く。ここでは、出会ったばかりの人々がまるで10年来の友であるかのように接し合う。人々は自分の感情を曝>>続きを読む