蛸さんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

ゲット・アウト(2017年製作の映画)

4.1

黒人である主人公が白人のガールフレンドの実家に挨拶に行くことになるのだけれど、彼女の実家の人々はどこか妙で…というお話。

序盤から中盤にかけて徐々に違和感のある演出積み重ねて終盤でドーン!な作品。
>>続きを読む

22ジャンプストリート(2014年製作の映画)

4.0

序盤から、「予算が増えただけの二番煎じ」なんていう風なメタ発言が飛び出すあたり『ダイハード』と同じタイプの知性を感じる(「学校への潜入捜査」という骨組みは踏襲されているにしても、中身は割と違ってたりす>>続きを読む

21ジャンプストリート(2012年製作の映画)

4.3

バディもので(立場の)入れ替わりコメディでもあって、ジェネレーションギャップからくる笑いもあるわ潜入捜査官としてのサスペンス=緊張と緩和の笑いもあるわでかなりてんこ盛りな内容。
アイスキューブが、出番
>>続きを読む

スパイダーマン:スパイダーバース(2018年製作の映画)

4.7

冒頭(コロンビアのロゴがヒップホップ的に=サンプリング、コラージュアート的にイジられる)から、エンドロール直後の映像に至るまで、徹頭徹尾とにかく「正解」し続ける大傑作(ヒーロー映画において最も本質的な>>続きを読む

ゴッズ・オウン・カントリー(2017年製作の映画)

4.3

登場人物や、劇伴、台詞、舞台などなど…映画を構成する要素が非常に少なくて話の筋自体もシンプル。
舞台となるヨークシャーの荒涼たる風景が片田舎で荒んでいる主人公=ジョンの心情を表現しているようで良かった
>>続きを読む

ファースト・マン(2018年製作の映画)

4.0

人類史に残る偉業(=月面着陸)を背景にしながらも、全編を通してニール・アームストロング個人の感情に焦点が当てられるとてもパーソナルな映画。
それは、とにかく(物理的に)被写体との距離が「近い」この映画
>>続きを読む

アクアマン(2018年製作の映画)

4.2

一言で言うと「勢い」と「物量」に特化した非常に景気の良い映画。
豪放快楽な主人公アクアマンのキャラクターもさることながら、流麗なカメラワークによる長回しや、擬似シームレスな場面転換(それこそ時間も場所
>>続きを読む

ブロブ/宇宙からの不明物体(1988年製作の映画)

4.2

片田舎の群像劇に殺人アメーバを放り込んだような映画。
冒頭十分で紹介された市井の人々による「ドラマの予感」が、殺人アメーバによってぶち壊されまくるという凶悪極まりない脚本。主要登場人物に対しての容赦の
>>続きを読む

バーニング 劇場版(2018年製作の映画)

4.4

存在するのかわからない猫や、消えた女、はっきりしない記憶、「納屋を焼く」のが趣味という告白、繰り返される無言電話、牛、フィッツジェラルドにフォークナーなど印象的なモチーフがとてもたくさん散りばめられて>>続きを読む

カッコーの巣の上で(1975年製作の映画)

3.6

「権力」とそれに対する「反抗」そして「自由」と言う言葉にストレートな意味があった時代の作品。
なので、いかんせん古くさいのは確か。
随所からヒッピー的価値観が感じられる割に、ほとんどミソジニーの裏返し
>>続きを読む

恐怖分子(1986年製作の映画)

4.5

映画を通して劇伴は存在せず、セリフはとても少ない。映像や編集のタイミングによって生じる独特のリズムが心地よく、説明的ではない演出によって淡々と物語が進行していく。「静謐」という言葉が、これほど似合う映>>続きを読む

サスペリア(2018年製作の映画)

4.1

アルジェント版の(鮮やかだがどぎつくすらある)色彩とは異なり、彩度を抑えた暗みのある落ち着いたトーンの色遣いによる映像が端正で美しい。
映像を一目見ればわかる通り、本作とオリジナルは別物と言っても差し
>>続きを読む

その男、凶暴につき(1989年製作の映画)

4.1

ベタな(クサイ)お話と異質な演出の組み合わせが、化学反応を起こしているタイプの作品。
主人公の暴力警官ぶりを新人の目線を通して描いていたりと観客に親切な側面もあるが、冒頭のホームレス襲撃シーン(被害者
>>続きを読む

ルパン三世 カリオストロの城(1979年製作の映画)

4.1

とにかくアニメーションの気持ちよさと、テンポ、キャラクターの魅力が炸裂してる作品。

盗んだ札束が鞄から溢れ出るのを気にしなかったり、食事の後片付けをしなかったり、やりっぱなしの過剰さや生活感が宮崎駿
>>続きを読む

Tメン(1947年製作の映画)

4.4

財務省の特別捜査官=「Tメン」の偽札事件潜入捜査を描いた作品。
40年代後半における「セミ・ドキュメンタリー」と言われる一連のノワール作品のうちの一本。
事実がベースとなっている実録犯罪捜査ものという
>>続きを読む

死体が消えた夜(2018年製作の映画)

4.0

限られた舞台、時間、登場人物によって進行する、とてもミニマムな映画。
「消えた死体」という不在の中心を据えて擬似リアルタイムで進行する物語展開とラストのどんでん返しがエンタメとしての(一定水準の)面白
>>続きを読む

イップ・マン 葉問(2010年製作の映画)

4.1

イップ師匠は人格面においても武術面においても完璧な聖人なので、トラブル=試練の原因は基本的には外在的(金銭問題、弟子の未熟さ、武会のしきたりなど)。
それにもかかわらず観客がストレスを覚えないのは、イ
>>続きを読む

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密(2014年製作の映画)

4.1

現代コンピュータの祖として有名なアラン・チューリングを主人公に据えたドラマ。
チューリングのパーソナリティを、三つの時代を並行して提示することで浮かび上がらせて行く構成。
それでもメインはやはり大戦下
>>続きを読む

レディ・バード(2017年製作の映画)

4.3

これは「Call me Lady Bird.」と言い放つ、ここではないどこかに憧れる少女が等身大の自分自身を受け入れるまでの物語だ。
片田舎に暮らすボンクラ感満載の拗らせ女子の青春模様が、パステルカラ
>>続きを読む

アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダル(2017年製作の映画)

4.5

「This story is based on……」的な文言を嘲笑うかのようなオープニングに始まり、「真っ当な」伝記映画にあるまじき型破りな演出が続く、ダーティでポップ、サイテーでサイコーに胡散臭い(>>続きを読む

ジュマンジ(1995年製作の映画)

4.2

呪われたボードゲーム「ジュマンジ」をめぐるアドベンチャームービー。
「マス目に書かれている出来事が現実となってプレイヤーに襲いかかってくる」という設定からして楽しいけれど、ここでのボードゲームは人生の
>>続きを読む

ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル(2017年製作の映画)

4.3

「快作」という言葉がふさわしい一本。
『ブレックファストクラブ』的な、異なるスクールカーストに属するものたちの融和と、友情の形成に至る展開が軽やかではあるが巧み。
ロールプレイングゲームに入り込むとい
>>続きを読む

ウィンチェスター銃'73(1950年製作の映画)

4.4

1000本に1本の奇跡的な出来栄えのウィンチェスター銃を巡って展開される92分。
娯楽西部劇としてこれ以上ないほどよくできた一本(あまりにも娯楽に振り切れているためマカロニウエスタンの領域に接近してい
>>続きを読む

無防備都市(1945年製作の映画)

4.1

淡々とした物語の進行、カタルシスが得られない展開なんかはドキュメンタリー的かもしれないが、思ったよりもかなり劇映画的だった(悪役のキャラの立て方が特に)。
ヒロイックに過ぎるテーマの立て方も今の目線で
>>続きを読む

フィツカラルド(1982年製作の映画)

4.3

「密林にオペラハウスを作る」という途方も無い野望に取り憑かれた男=フィッツカラルドの挑戦。

『地獄の黙示録』や、フリードキン板『恐怖の報酬』果ては同じヘルツォーク監督の『アギーレ神の怒り』などと同じ
>>続きを読む

扉の陰の秘密(1948年製作の映画)

4.2

フリッツ・ラング版『レベッカ』的な作品。
素性もロクに知らない相手と結婚した主人公の「もしかしたら夫がやばいやつなのでは?」という疑いを推進力にして進む物語。
新しい環境(夫の実家)にやってきた主人公
>>続きを読む

ブリグズビー・ベア(2017年製作の映画)

4.2

幼い頃に誘拐された主人公が、軟禁状態の間に見ていた教育番組?『ブリグズビーベア』の続編を作ろうとする。その過程を通して、「表現すること」の純粋な喜びを描いた作品。
すごく乱暴に言うとサンタにプレゼント
>>続きを読む

ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)

4.5

怖いという感覚を通り越して禍々しさに塗れた作品。
もはや「こんなの、ふつうに映画館で上映してて良いのか?」と思ってしまうくらいに恐ろしい。

オープニング。ミニチュアの家の中にカメラが入っていき、その
>>続きを読む

イントレランス(1916年製作の映画)

4.2

とにかく映画黄金時代の圧倒的物量がモノを言っている映画。
この時期のハリウッドの逸話はどれもこれも神話的なレベルでスケールのでかいものだけど、そのような神々の絶頂期を体現するかのような一本。
「不寛容
>>続きを読む

恐怖の報酬 オリジナル完全版(1977年製作の映画)

4.4

油田の火事を吹き飛ばすためにトラックでニトログリセリンを運ぶ200kmの地獄行脚、のフリードキンによるリメイク。

最初から最後まで全てのシーンに「ヤバイ」雰囲気が漂っている映画。
とにかくあらゆるシ
>>続きを読む

リトル・ランボーズ(2007年製作の映画)

4.0

宗教上の理由でテレビも見たことがなかった少年ウィルが、偶然見た『ランボー』によって映画にヤられてしまい、悪ガキのリーと一緒に映画を作り始める。
お話は途中までは2人の少年の友情とウィルの成長をベースと
>>続きを読む

風の谷のナウシカ(1984年製作の映画)

4.1

映画を通して、最初から最後までナウシカは処女性と母性を兼ね備えたやることなすこと全部正しい完全無欠の主人公。だから物語の構造は、俺TUEEEならぬ私TUEEE(倫理的に)なものだとも言える。
ナウシカ
>>続きを読む

レオパルドマン 豹男(1943年製作の映画)

4.4

ショーに使われる黒豹が逃げ出した街で殺人事件が発生する。殺人は続き、事件は豹の仕業とされてしまう。主人公たちはこれが人の仕業であると見て捜査を行うが…というお話。
全体的にサイコホラーにモンスター要素
>>続きを読む

革命前夜(1964年製作の映画)

4.1

主人公(共産主義にかぶれたブルジョア階級の若者)の青春の精神的彷徨。
全体的にすごくヌーヴェルヴァーグの影響が濃い作品(詩的なモノローグや無駄話、非映画的な外しの編集などなど)。

カメラが結構ガンガ
>>続きを読む

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

4.0

クイーンの伝記映画というより、フレディ・マーキュリー個人の物語に焦点が当てられた映画という印象。ここは長所でも短所でもある部分だと思う。個人的には音楽史的な側面にも興味があったので他の有名アーティスト>>続きを読む

マイティ・ソー バトルロイヤル(2017年製作の映画)

4.1

前半は、一貫した骨組みというか本筋から逸脱したようなコメディシーンが目について若干乗りづらかった。
映画の冒頭では特に、物語の動機としてのヘラの存在感が希薄な気がしたのでその辺が原因なのかもしれない(
>>続きを読む